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「2009アジア労働メディア」参加報告

 レイバーネット韓国(ノドンネット)が主催する「2009アジア労働メディア」が4月27日から4月30日まで、ソウル市で開催され、日本から安田幸弘さん(レイバーネット共同代表)と細谷修平さん(メディア活動家)とともに参加した。会議には日本のほかバングラデシュ、フィリピン、タイ、オーストラリアの5カ国とネパール、インドネシア、スリランカの3カ国の韓国で働く労働者が参加した。会議の目的は労働運動におけるインターネット活用およびWEB管理の技術研修とレイバーネット・アジア強化のための会議であった。すでに知られていることだが、韓国の労働運動や民主運動においてIT活用とメディア活動が盛んで、技術レベルも高い。この技術をアジアの労働運動に広げ、労働運動の国際連帯のために生かすことが主な目標であった。
WEB制作の技術研修(4/28 ソウル女性プラザ) WEB制作の技術研修(4/28)
 ↑左:WEB制作の技術研修(4/28 ソウル女性プラザ)    ↑右:同上(4/28 ソウル女性プラザ>
 ↓左:同上(4/28 ソウル女性プラザ)   ↓右:パソコン組み立て実習(4/28 ノドンネット事務所)

WEB制作の技術研修(4/28)  パソコン組み立て実習(4/28 ノドンネット事務所)

 3日間の会議の内、最初の2日間はインターネットを中心とするIT技術の研修であった。ノドンネットの活動家がホームページ作成の基礎から、少し高度な技術まで2日間びっちりと指導した。短い時間だから到底全部マスターできるわけではないが、さまざまな技術を実際に体験するだけでも有意義であった。とりわけ重視されたのはさまざまなイベントのライブ中継(ストリーミング)技術であった。教室でビデオカメラをパソコンと接続して、会議を中継する実地訓練も行った。私には画像の圧縮技術やサーバーとの接続など一度聞いたくらいではとても理解できなかった。
 そして、教室での授業と同時に実際にその技術を使われているスタジオや団体を訪問し、それらを見聞した。まず、ノドンネット事務所でパソコンの組み立てを実地体験した。参加者の手で4台のパソコンが組み立てられ、組み立てた人が自分の国に持ち帰るプログラムだった。2日目の夜は韓国で働く外国人労働者の移住労働者TV(MWTV)を訪れ、移住労働者・韓国人に理解を広げる番組制作を紹介された。また、今年1月龍山(ヨンサン)で地上げに抵抗した住民5名が警察の焼き打ち攻撃によって虐殺されたビル(現在も機動隊に24時間包囲されている)を訪ね、飾られた遺影に皆で線香を捧げた。そして、その隣にある龍山ローソク・メディアセンターを訪ねた。そこで、各国代表が参加する国際座談会のテレビ収録を見学した。日本から韓国訪問中の雨宮処凛さんが参加した。それが終わったら夜中の12時を過ぎていた。
ビデオ生中継の実習(4/29 ソウル女性プラザ) 移住労働者テレビ(MWTV)を訪問(4/29)
 ↑左:ビデオ生中継の実習(4/29 ソウル女性プラザ)    ↑右:移住労働者テレビ(MWTV)を訪問(4/29)
 ↓左:ヨンサン撤去民虐殺現場ビルで犠牲者に追悼(4/29)   ↓右:チョップル(ローソク)放送局の座談会出演・収録見学(4/29 龍山ローソクメディアセンター)

 ヨンサン撤去民虐殺現場ビルで犠牲者に追悼(4/29) MWTV(移住労働者放送)の座談会出演・収録見学(4/29 龍山ローソクメディアセンター)

 3日目(30日)はアジア・メディア国際会議で、各国の労働運動とWEB状況が報告され、レイバーネット・アジアをどのように強化していくか討論した。各国の報告は経済恐慌によって労働者が厳しい攻撃に直面していることが共通した。次に、今回ノドンネットから発表されたレイバーネット・アジアの新しいホームページについて議論したが、まだ稼働していないために参加者から意見はあまり出なかった。私は現在のレイバーネット・アジアに日本以外からほとんど記事を掲載していないなど問題点をいくつか提起した。ノドンネットのスタッフから指摘を真剣に検討したいと回答された。また、韓国側からレイバーネット・アジアの新しいサイトを韓国のほか複数のWEBマスターで共同管理したいと提案され、協議の結果、オーストラリアとフィリピンと日本が管理に参加することを確認した。そのほか、途上国のWEBマスター支援する基金集めに協力を要請された。そして、今回のような国際メディア会議を毎年開催することも提案された。最後に参加者一人ひとりにWEB研修の修了証書が手渡された。
 4月30日午前、韓国民主労総と金属労組を表敬訪問した。いずれも幹部が応対してくれ、われわれは自己紹介をした。韓国労総はちょうど翌日のメーデーの戦術(デモなど)について緊迫した協議の最中で、ゆっくり時間を取れないことを詫びた。一方、金属労組では広報部長が金属労組のIT体制についてWEBを見せながら、詳しく説明してくれた。また、国際部長は移住労働者との連帯など国際連帯に努力していると話した。私が日本で託された韓国財閥のハンジン・フィリピン重工(造船所)の労災死多発や組合弾圧にどのように対応しているか質問したのに、同部長は金属労組としてすでに支援していると答え、日本での支援活動にお礼を言われた。
 30日夜、建国大学で開かれたメーデー前夜祭に参加した。しかし、大学はキャンパスの使用を許可しなかったので、前夜祭は門前の道路で開かれた。多くの労働者や学生が参加し、音楽など文化イベント中心に大いに盛り上がった。翌日のメーデー本番については、レイバーネット掲載の報告を参照ください。メーデーが終わった後、活動家たちはメーデーの後退を嘆いていたが、韓国労働運動は現ミョンバク政権の弾圧と並行して職場段階で進む右傾化・御用化の激しい攻撃にどう対抗するかが最大のテーマとなっている。そして、御用化に対抗するために企業主義や民族主義に抗して国際連帯を強めようとしていることが今回の国際会議の背景にあることを理解できた。また、高度なWEB技術を活用することによって、労働者を企業側に取り込もうとするマスコミに対抗して、民衆のメディアを発展させようとする意志が今回の訪問を通じて伝わってきた。
 レイバーネットアジアに関する国際会議(4/30 ソウル女性プラザ)  民主労総本部と金属労組本部を表敬訪問(4/30 金属労組)
↑左:レイバーネットアジアに関する国際会議(4/30 ソウル女性プラザ)    ↑右:民主労総本部と金属労組本部を表敬訪問(4/30 金属労組)
 ↓左:メーデー前夜祭(4/30建国大学前の道路)   ↓右:メーデーのポスター
メーデー前夜祭(4/30建国大学前の道路) メーデーのポスター

 会議などプログラムの感想をさらに書くと、労働者の国際連帯への韓国労働者の意気込みは相当なものだ。ただ、国際連帯のために言語や文化の違いを乗り越えることは容易くないので、今後も多くの課題が立ちはだかるだろうという「重さ」を感じた。WEBやIT技術を運動側が自由に使えることが非常に重要だが、国際連帯をそのような技術問題に重点置いていいのかという疑問も感じた。というのは、レイバーネット・アジアが2006年秋に出発して2年以上経つが、各国からの情報発信がほとんどない問題は、各国で記事を書くことや英語翻訳などやIT技術以前の問題も大きいと想像するからである。しかし、グローバル化の時代に労働者が互いの情報と意見を交換するメディアを獲得する意義は決して小さくない。これを契機に各国のWEBを支援するプログラムを開始することと労働メディア国際会議を毎年開くことも提案された。うまくいけば、情報の分野での交流は大幅に拡大することが期待できる。韓国からは経済的に豊かな日本やオーストラリアに基金協力も要請された。日本で広く提起して、できるだけ協力していきたいと思う。
 会議の公式言語は英語で、私は英語のスピーチを聞いて答える能力の貧困を痛感した。ソウルに住むレイバーネット会員の宮内正義さんが30日の国際会議から参加して、韓国語の通訳をしてくれ、だいぶ助かった。そして、今後とも協力を約束して頂いた。会議はハードスケジュールで私は体力の限界も感じた。今後はより若い人にこの種の国際会議に参加してもらった方が将来の日本の国際連帯に寄与するだろうと思った。
     高幣真公(レイバーネット国際部)


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