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愛知派遣切り抗議大集会に525人!
――湯浅誠さん、「『No!』と言える労働者をつくろう!」――
http://imadegawa.exblog.jp/10417148/

製造業における相次ぐ「派遣切り」に抗議するため、
2月22日、
名古屋市東区のテレピアホールで
「愛知派遣切り抗議大集会」が開催された。
集会には市民など525人が詰めかけ、
「派遣切り」にあった当事者からの訴えや
年越し派遣村村長の湯浅誠さんの講演に
耳を傾けたあと、
労働者派遣法の抜本改正などを求める決議を
採択。
名古屋駅前トヨタ・ミッドランドスクエアに向けて
2.8キロをデモ行進した。

集会ではまず、
実行委員長を務める
宇都宮健児弁護士(反貧困ネットワーク)が
挨拶に立った。

■宇都宮健児弁護士の発言
「私も派遣村の名誉村長を務めたが、
 年越し派遣村に日本社会は衝撃を受けた。
 派遣切りのヒドさを浮き彫りにした。
 今まで、『もう日本に貧困はない』などと言われていたが、
 貧困の実態が明らかになった。
 派遣切りは単に職を無くすというだけの問題ではない。
 寮や社宅に入っている人は、
 たちまち野宿に追い込まれ、
 生存の危機にさらされる。
 これは単なる労働問題ではない。
 人権問題である。
 派遣村505人の村民の中には、
 静岡から歩いてきた人もいた。
 自殺を図って警察に連れられてきた人もいた。
 全国からカンパや食料も寄せられて、
 『もう一度生きてみよう』という希望が生まれた。
 助け合い・連帯の精神がここにある。
 派遣村の実態は
 労働者派遣制度の実態そのものである。
 今の労働者派遣制度は、
 いざとなったら簡単に
 モノのようにクビを切るための制度だ。
 抜本的に改められなければならない。
 けれど、
 法律が変わるのを待っていては、
 いま困窮している人を救えない。
 不当な解雇はやめさせなければならない。
 いま派遣切りしている企業の多くは、
 これまで大変な利益を上げてきた。
 内部留保をため込んでいる。
 いまだに株主配当を続けていたりする。
 定額給付金というようなことも言われているが、
 派遣切り対策、
 貧困者の対策へと
 重点的に振り向けられなければならない。
 労働運動と市民運動が結合すれば
 大きな力になるということを
 派遣村は示した。
 愛知は厚生労働省によると、
 派遣切りで職を失う人がダントツの第1位だという。
 派遣切りに負けない、
 大きな力をつけていこう!」

■当事者から発言が続々
次に、
派遣切りにあった当事者からの発言が続く。
「妻と一緒に住み込み派遣で働いていた。 
 子供が生まれて5ヶ月で派遣切りにあった。
 次の日から面接を繰り返したが、
 1名の募集に対して30名来るというのが当たり前。
 雇用促進住宅に入ろうとしたけど、
 入居時に10万円いると聞いて
 諦めざるを得なかった」とか、
「仕事帰りに、作業着を着たままの状態で
 いきなり解雇予告をされた。
 3日で退寮しろと言われ、
 とっさに、
 『仕事がなくなるなら次の仕事を見つけなきゃ!』
 ということしか頭に浮かばなかった。
 解雇そのものの正当性になど
 考えが及ばなかった。
 後に、自分の解雇そのものが不当であったことを
 知ったときはショックだった。
 解雇を予告されてから、
 ユニオンに相談して、
 団体交渉の申し入れをするまでに
 20日もかかってしまった。
 とんでもない遠回りをしてしまった。
 余裕、特に時間的余裕の大切さを
 痛感させられた。
 『3日以内退寮、補償はなし』、
 それを当たり前だと受け入れてしまった自分が
 いま考えれば恐ろしい」などの
生々しい体験談が相次いだ。

■光精工外国人「期間工」からも発言
トヨタ自動車下請の光精工の
外国人「期間工」のリーダー・大成アレサンドロさんも
発言に立った。
光精工は過去長年にわたって偽装請負を続けてきたが、
労働局の指導により大成さんら「請負工」を直接雇用。
ところが、そのわずか6ヶ月後に
再び派遣労働者に戻そうとした。
大成さんらは個人加盟制労働組合・ユニオンみえに結集し、
「グルーポ光」を結成。
3度にわたるストライキの先頭に立って闘い、
直接雇用の維持を勝ち取った。
その矢先の「期間工切り」である。
「光精工はいままで嘘ばかりついてきた。
 けれど私たちは絶対に負けない。
 必ず勝ちます!」と大成さんは
525人参加者の前で宣言した。

■筆者は「組合の闘い方」を報告
筆者も「組合の闘い方」として
発言の機会を得た。
「労働相談を受けていると、
 はっきり言ってひどい話が多い。
 いきなり『明日から来なくていい』と言われたり、
 『3日以内に寮を出ていけ』と言われたというような話は
 決して特殊事例ではない。
 企業のやり方がおかしいのは明らか。
 法律にも反している。
 でも、そんな法律云々以前の話として、
 『今日寝るところがない』、
 『お金がもう50円しかない』といわれたら、
 平日なら『中村区役所に
 藤井さんという人がいますから……』と、
 こんな不細工なことしか言えない。
 でも、
 労働者のクビを切ったのは国でも県でも市でもなく、
 中村区役所でもない。
 いままで非正規雇用労働者を
 安く使ってしこたまもうけてきた企業に
 きっちりと責任を取らせなければならない。
 労働組合は働く者の団結の力で
 経営者の横暴を規制し、
 労働者の要求を実現する組織だ。
 究極的には法律さえも関係ない。
 働く人の団結があれば、
 労働組合は何でもできる。
 トヨタ労組を見ればいい。
 今年も賃上げを要求する。
 赤字経営の中、
 賃上げをしなければならない『法的根拠』なんか
 どこにもない。
 給料なんか最低賃金さえ払っていれば
 『合法』である。
 それでも労働組合は『賃上げしろ!』と言っていい。
 嫌ならストライキだぞ! と
 経営者と堂々と渡り合っていい。
 派遣社員も、非正規社員も同じだ。
 労働組合に入れば、
 堂々と『クビ切るな!』『責任を取れ』と言える。
 要は道理が通っていれば、
 大義があるなら労働組合は闘える。
 私自身も2年前、
 派遣切りにあった。
 期間満了の雇い止めだった。
 派遣先が180人人員削減するからと、
 更新が1回もないままにクビにされた。
 法律だけでいうならば、
 こんなのは到底勝てない。
 でも、本当にこれでいいのか。
 いままで6ヶ月間まじめに働いてきた労働者が
 何の補償もなく切り捨てられていいのか。
 労働組合は立ち上がって闘った。
 法律なんか関係ない。
 おかしいもんはおかしい。
 そして私は勝った。
 派遣会社は一定の、
 いや『一定以上』の補償を私にすることになった。
 アパートの敷金・礼金も確保して、
 職業訓練も受けることができた。
 労働組合・ユニオンは
 職場の理不尽を許さない。
 全ての職場で労働組合に結集して、
 クビ切り攻撃から身を守ろう!」
筆者は参加者に呼びかけた。

■中村区役所支援者「派遣寮借り上げを」
その後、中村区役所で
押し寄せる住居喪失者のために奮闘している
名古屋生活保障支援実行委員会の藤井克彦さんが
報告。
「中村区役所では現在のところ、
 私たちの活動もあっておおむね生活保護申請などが
 受理されているが、
 他の自治体などでは不当な対応がまかり通っている。
 中村区役所の職員も疲労が極限まで達しており、
 現場では言い合いをしながらも、
 『お互い大変ですなぁ』というような
 奇妙な連帯感のようなものまで芽生えている。
 全ての自治体事務所で不当な対応を
 やめさせなければならない。
 家がないひとが急増している一方で、
 三河地域の派遣会社が借り上げていたアパートなどは
 ガラガラに空いている。
 住居喪失者を収容する施設がないというのなら、
 こういったアパートを借り上げて利用するしか
 方法はない」と訴えた。

■湯浅誠さん「貧困スパイラルに歯止めを」
休憩をはさんで、
年越し派遣村村長を務めた湯浅誠さんが
「年越し派遣村から見た日本社会」と題して
講演した。
湯浅さんは、
日本では「失業」と「生活保護」との間にある
「失業保険」や「緊急小口貸付」といった
数少ないセーフティネットが適正に機能していない結果、
たちまち「生活保護しか方法がない」という状態に
追い込まれると指摘した。
「派遣という制度のもとで、
 労働者はモノのように切り捨てられると
 よく言われる。
 しかし、ここで忘れられがちなのだが、
 労働者は人間である以上、
 『それでも生きていく』ということだ。
 切り捨てられ、セーフティネットもなければ
 もはや選択の余地はない。
 彼らは命をつなぐために
 自らの労働条件を極限まで切り下げ、
 雇用保険も社会保険もない、
 寮費を引かれればほとんど手元に残らないような仕事に
 就くことを余儀なくされていく。
 次の給料日まで資金が続かないため、
 日払いの仕事しか選べない。
 いきおい、『どんな仕事でもいいから』と
 いうことになる。
 彼らは自分の生活を守るため、
 命をつなぐためにこういった行動を取っているだけなのだが、
 全体を見ればこういう行動が労働市場を破壊する。
 『どんな労働条件でも働く人』が大量にいれば、
 『嫌なら変わりはいくらでもいる』ということになり、
 いま働いている人の労働条件も
 ガンガン切り下げられていく。
 『No!』と言えない労働者がどんどん作られていく。
 日雇い派遣といった制度は、
 労働市場が破壊された結果でもあるが、
 それがまた労働市場破壊の原因となっている。
 この貧困スパイラルに
 どこかで歯止めをかけなければならない」と
湯浅さんはいった。
そして、年越し派遣村について、
「年越し派遣村は単なる救済運動ではない。
 どこまでも自らの労働条件を
 切り下げていかなければならない労働者に、
 『貧困すべりだい』からはい上がる階段を付け、
 『No!と言える労働者』を作り出して
 健全な労働市場再び回復するための運動だ」
とした上で、
「当面の暮らしを立てる見込みがあれば、
 雇用保険も社会保険もない日払いの仕事に
 就かなくてもいい。
 出てきた仕事を
 『本当にこれで暮らしていけるのか』と
 吟味することが出来るようになる。
 そうしなければ、
 悪質な雇用が消えることはない。
 労働市場が破壊されて、
 みんながみんなの労働条件を切り下げ合って、
 喜ぶ労働者は一人もいない」と訴えた。

■地域で、全国で、「派遣村」に続け!
湯浅さんの公園の後、
東京・日比谷公園に続き「派遣村」を計画する
全国の取り組みが報告された。
大阪から、仙台から、
そして地元愛知・豊田市からも報告があった。
愛知県においては豊田を中心とした三河地域で
主に派遣切りが行なわれていることから、
三河地域での運動の重要性が強調された。

集会は最後に、
「製造業大企業等による解雇・雇い止めに抗議し、
 政治・行政に対して法的責任、政治的責任を果たすことを求める決議」
を採択。
派遣先企業も雇用責任を果たすべきことや
労働者派遣法の抜本的改正、
緊急宿泊施設のある自治体に対応を押し付けないことなどを
訴えた。

集会参加者はその後、
「派遣社員を寮から追い出すな!」
「行政は臨時宿泊所を用意しろ!」
「外国人だって生きたいぞ!」
「労働者派遣法は抜本改正しろ!」などと
シュプレヒコールを行ないながら、
テレピアホールから2.8キロ離れた
名古屋駅前トヨタ・ミッドランドスクエアにデモ行進した。 


酒井徹
ホームページ:『酒井徹の日々改善』
http://imadegawa.exblog.jp/
*写真=名古屋ふれあいユニオンHP

Created by staff01. Last modified on 2009-02-23 21:58:43 Copyright: Default

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