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8月6日東京地裁 トヨタ中労委救済申立却下取り消し訴訟 不当な棄却判決

判決は「原告の請求を棄却する」。
理由は「不当労働行為の救済に関する我が国の労働組合法の規定の適用はないという他な
いのであり、原告の主張は理由がないという結論になる。」つまり門前払いでした。僅か
数秒で終わり、判決文をうつむいて読み上げた渡邉裁判官はそくそくと退場しました。以
下判決文を紹介します。

フィリピントヨタ労組を支援する会
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<主文>
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は、補助参加によって生じた費用を含め、原告の負担とする。

<事実及び理由>
第1請求

中央労働委員会が、平成18年(不再)第53号事件について、平成18年12月6日付けでした命
令を取り消す。

第2事案の概要

1原告は、多国籍企業である被告補助参加人らがフィリピン共和国に所在するToyota
Motor Phlippines Corporation(以下「フィリピントヨタ社」という。)の支配企業であっ
てフィリピントヨタ社の労働者の労働条件に実質的に重大な影響力を及ぼしている等とし
た上で、

(1)被告補助参加人トヨタ自動車株式会社が、フィリピン共和国においてフィリピントヨ
タ社がToyota Motor Phlippines CorporationWorkersAs-sociation(以下「フィリピント
ヨタ労組」という。)を労働組合として承認すらしていない事態を放置していること及び
フィリピントヨタ労組の組合員の解雇問題につき、原告と協議すらしないことは不作為に
よる支配介入に当たる。

(2)フィリピントヨタ労組の上部団体である原告が、上記のフィリピントヨタ社とフィリ
ピントヨタ労組間の労働関係上の問題について、日本において被告補助参加人らに団体交
渉を申し入れたのに対し、被告補助参加人らがこれを拒否したことは団体交渉拒否に当た


と主張して、平成17年2月10日、神奈川県労働委員会に対し、被告補助参加人らを被申立
人として不当労働行為救済申立てをした(神労委平成17年(不〉第1号事件、以下「本件申
立て」という。)。

 神奈川県労働委員会は、平成18年8月4日、本件申立てに関しては我が国の労働組合法の
適用はなく、原告に申立人適格を認めることはできないとして本件申立てを却下した(以
下「本件初審決定」という。)。
 原告は、本件初審決定を不服として、同月22日、中央労働委員会に対し、再審査申立て
をした(平成18年(不再)第53号事件〉ところ、中央労働委員会は、同年12月6日、本件申立
ては、我が国の労働組合法を適用すべき労使関係に関する申立てとは認め難く、本件申立
ては不適法なものであるとして再審査申立てを棄却するとの命令(以下「本件命令」とい
う。)をした。
 本件は、原告が本件命令を不服としてその取消しを求めた事案である。

2争点
本件において、我が国の労働組合法が適用されるか。

(1)原告の主張
 原告が不当労働行為として主張している行為は、フィリピン共和国におけるフィリピン
トヨタ社による解雇等そのものではなく、多国籍企業でフィリピントヨタ社の支配企業で
ある被告補助参加人らがフィリピントヨタ社の解雇等を容認又は放置していること及び原
告が我が国で被告補助参加人らに団体交渉を申し入れたのに対して被告補助参加人らがそ
れを拒否したことである。したがって、本件は、我が国の労働組合法が適用されるべき事
案である。

(2)被告及び被告補助参加人らの主張
 原告の主張は、外国における労使関係において生じた労使紛争を問題とするものである
から、本件に我が国の労働組合法が適用される余地はない。

第3当裁判所の判断

1 労働組合法27条に定める労働委員会の救済命令制度は、日本国憲法28条の保障する労
働者の団結権及び団体行動権の保護を目的とし、これらの権利を侵害する使用者の一定の
行為を不当労働行為として禁止した労働組合法7条の規定の実効性を担保するために設け
られたものである。したがって、不当労働行為の救済に関する我が国の労働組合法の規定
は、我が国に存在する労使関係に対して適用されるものと解するのが相当である。

 確かに、本件申立ては、我が国国内の労働粗合である原告が、国内の企業である被告補
助参加人らに対し、一定の対応と団体交渉を申し入れたのにこれを拒否したことを不当労
働行為であると主張するものであるが.この主張の実質は、結局のところ、フィリピン共
和国におけるフィリピントヨタ社とその労働者又はフィリピントヨタ労組との間の労使関
係において生じた労使紛争の救済を求めるもので、国外の労使関係を対象としたものとい
うべきである。

 そうすると、本件においては、不当労働行為の救済に関する我が国の労働組合法の規定
の適用はないという他ないのであり、原告の主張には理由がないという結論になる。

2 以上によれば、本件命令は適法であり、原告の請求は理由がないのでこれを棄却する
こととし、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第36部
裁判長 裁判官 渡邉弘
      裁判官 山口均
      裁判官 田辺暁志


フィリピントヨタ労組を支援する会 

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