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News Item 20060116m2
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なすびです。

 香港WTO抗議行動で逮捕・起訴され、1/11の裁判で起訴取り下げとなって解放された日本人のNさんは、1/13(金)に無事帰国しました。今回の行動にNさんを特派員として派遣した人民新聞社、およびNさん本人から、帰国を知らせるメールが届いていますので、転載します。
 今後の取り組みについては、また改めてアナウンスいたします。

(以下、転載)
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解放・帰国のご報告

 弊紙記者・Nが拘束された件につきまして、皆様には多大なご心配をおかけし ましたことをまずお詫びしなければなりません。しかし、11日の裁判で、14 名の被拘束者のうち11名は起訴取り下げ、2名は不法集結、1名が不認可集結 の容疑へと切り替えられ、全員の帰国が実現しました。Nが以下の挨拶で指摘し ているとおり、世界の反WTO民衆運動の勝利です。  起訴された韓国の農民・労働者3名の救援・反弾圧闘争については、引き続き 取り組んでいく所存ですが、この間皆様からは心温まるご支援をいただき、心か ら御礼を申しあげます。 以下Nの挨拶をもって、ご報告と御礼に代えさせて頂きます。ありがとうござ いました。      人民新聞社 山田洋一

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私たちは団結できる! ともに感動し、勝利することができる!                                      N・K

 私は、昨年12月に香港で開催されたWTO世界貿易機構会議への国際的な抗 議行動に参加し、香港当局により13名の仲間とともに逮捕・起訴されました。 いまだ3名は公判を抱えていますが、香港の仲間をはじめ、韓国やフィリピンな ど世界中の仲間が抗議の声を集中するなかで、11名の起訴を取り下げさせ、1 4名全員の帰国を勝ち取ることで、ほぼ全面的な勝利を得ることができました。 これは、WTOという共通の敵に対してともにたたかった、世界中の労働者・農 民・市民にとっての画期的な勝利だと思います。

 いま、新自由主義が世界中の仲間の生活を破壊し、命を奪っているなかで、W TOもまたその中心的な役割を担っています。奴らの言う自由は、多国籍資本の みに自由な活動を保証し、富める者はますます裕福に、貧しいものはますます貧 しく、死へと追いつめられるという現実を私たちに突きつけています。私は香港 滞在中にアジアやアフリカや南米の仲間たちと出会い、お互いの貧困と、貧困に 対するたたかいを分かち合ってきました。

 インドの仲間は、多国籍資本がごり押しする農村の機械化にともなって地域の 文化が破壊され、仕事を奪われ、行き場を失った農民が都市に出てスラムに入り、 さらに貧困をなめ尽くすという現実を訴えていました。アフリカの仲間は、先進 農業国の作物が輸入自由化により流入したために収入が3分の1に激減したこと を嘆いていました。フィリピンやインドネシアの女性労働者は、農村では仕事が ないために他国に出稼ぎに出るものの、わずかな賃金で機械のように働かされて 使い捨てられる現実に、声を上げていました。韓国や香港では非正規雇用が拡大 し、若者の貧困化が急速に進行し、野宿を強いられる仲間も増え続けています。 コメの輸入自由化により窮地に陥った韓国の農村は、何人もの自殺者を生み出し 続けています。

 私は、日本では3万人が野宿を、3万人が自殺をしている現実を伝えました。 私の身近な仲間がひとりまたひとりと命を落とし続けていること。飢えや寒さに ふるえながら仕事を求めたり、わずかな金さえあれば治るはずの病気で死んでく 仲間たちの生き様。「豊かな経済大国」であるはずの日本の実態に、ほとんどの 仲間が驚きため息をついていました。

 私たちの暮らす社会は今、世界中できしみ、悲鳴を上げています。それは日本 だけ、一国だけの事態ではなく、国境を越えて活動する世界資本によってもたら されているのです。

 しかし世界の仲間も、決して黙って死を待っているわけではありません。世界 中で新自由主義に、自由貿易に、多国籍企業に抗議をする、命がけのたたかいが 展開されています。香港でのWTO抗議行動は、彼ら世界の仲間の「もう一つの 世界を!」という声を結集させる舞台でした。

 数千人の仲間が一週間にわたって香港市内を闊歩し、資本が人間を搾り取る自 由を糾弾し、ひとりの人間としての尊厳を求める声を上げ続けました。特に韓国 の仲間は、「死の行列を止めるため」のたたかいとして、警察との激しいぶつか り合いだけでなく、民族の楽器を打ち鳴らし、たたかいの歌を歌ったり、路上に 寝転がったり土下座をしたり祈りをあげたりと、多彩で豊かな表現で私たちを惹 きつけ続けました。香港市民も私自身も、その情熱あふれる姿、力強い説得力に 強く感動し、共感したのです。

 香港当局は、抗議行動の盛り上がりに恐れ動揺して、12月17日のデモで1 000人以上を根こそぎ逮捕した上、闇雲に14名を起訴するという暴挙に出ま した。その時点で私たちのたたかいは大きな前進を勝ち取っていたのです。韓国 の仲間の戦闘性ばかりが強調されがちですが、その日のたたかいはアジア・アフ リカ・南米のなかまがいっしょに、またそれぞれの文化ややり方を尊重しながら の、豊かな笑顔の輝いた美しいものでした。警察との衝突の際にも、私は右にイ ンドネシアの仲間、左に台湾の仲間とスクラムを組んでいたのです。新自由主義 を決して許さない各国の仲間が国際的な連帯を果たしたたたかいにより、香港当 局を恐怖に陥れたのです。

 逮捕・拘留された仲間を奪い返し、無罪放免を勝ち取るたたかいもまた、海を 越えた貧しい労働者・農民の連帯によってたたかい取られてきました。この反弾 圧闘争は、デタラメで非民主主義的な逮捕・起訴への抗議というだけではなく、 新自由主義とのたたかいに対する弾圧への抗議として反WTO行動の延長戦とし て取り組まれました。韓国の民主労総の仲間は「私たちはWTOとたたかってき たのであり香港行政に対してではない。だが、14名を起訴し続けている現実は 香港当局がWTOの奴隷であることを示しているのだ」として、香港当局を糾弾 しながら反WTO・反新自由主義の立場を明確に示しました。14名全員の帰国 を勝ち取った1月11日の公判にも、韓国をはじめフィリピンやマレーシア、イ ンドネシアなどから農民・労働者の代表が駆けつけ、各国においても中国領事館 への抗議行動が取り組まれました。

 いまや、海を越えて活動するのは資本だけではありません。私たち、たたかう 貧しき者たちもまた、海を越え、国境を越えて仲間と結びつきたたかうことがで きるのです。新自由主義的グローバリゼーションに対し、たたかいのグローバリ ぜーションを前進させつつあるのです。

 反WTO弾圧闘争はこのように、国も民族も、言葉も文化も、職業も世代も違 う仲間であっても、共通の敵に対してともにたたかう国際連帯闘争の歴史的な一 歩を刻むものなのです。もちろん東京と大阪で中国大使館・領事館に抗議に押し かけたたたかいは、香港を通じ世界中に届けられています。韓国の仲間とともに 一週間のハンガーストライキをたたかった私もまた、世界中の仲間の支えがあっ たからこそたたかい抜くことができ、起訴取り下げを勝ち取ることができたので す。世界中の労働者・市民・農民にとっての画期的な勝利たるゆえんはこうした 点にあります。残る3名の無罪を勝ち取る闘争もまた、国際連帯により必ずや勝 利を得られると信じています。

 私を含む被拘束者の救援に奔走して頂いたみなさん。香港・反WTO闘争に参 加されたみなさん。  そして新自由主義グローバリズムと闘い続けているみなさん。  私たちは連帯することができる。団結し、たたかうことができる。ともに感動 し、勝利することができる。この確信を持って、様々な違いを乗り越え、新自由 主義という共通の敵に対しともに手を結びあって、たたかいを進めていく決意を 表明して、帰国の挨拶に代えさせて頂きます。    -------------------------------------------------------------------    香港反WTO被拘束者 11名が起訴取り下げ
   3名は不認可集結・非合法集結で正式起訴 
N君 起訴取り下げで 不当拘束の実態明らかに

 「ダウン・ダウン・WTO! 拘束者全員を即時釈放しろ!」  観糖裁判所の内外は、香港当局とWTOを非難するシュプレヒコールに包まれ た。11日、午後2時半に開廷した香港・反WTOデモ拘束者を審理する第4回 予備裁判は、数度にわたる休廷、弁護団と検察の司法交渉が繰り返された結果、 午後4時半、被拘束者のうち11名は起訴を取り下げ、2名は不法集結、1名が 不認可集結の容疑で改めて起訴するとの起訴状が読み上げられた。

 起訴を前提に拘束されていた11名の起訴が取り下げられ、残る3名の内1名 も容疑が不法集結から不認可集結に切り替えられたことで、警察による拘束の不 当性が改めて明らかになった。不法集結容疑は、公共物の破壊や警察官への暴力 的行為が含まれることが起訴要件となっているため、起訴容疑が不認可集結に切 り替えられたことで、香港警察が主張し続けていた「暴動」・「暴力的デモ」と の主張は、かなり怪しくなった。
 起訴された3名も課せられていた移動制限が解かれて帰国が許可され、被拘束 者全員の帰国が実現する。

 公判終了後、観糖裁判所の外はお祭り騒ぎとなった。内外のテレビ局を含むマ スコミ多数が被拘束者を取り囲み、記者会見。国際共同行動として世界から香港 に集まった反WTO活動家や支援の香港市民らとの記念撮影が延々と続いた。こ の間、裁判所横に設置されたハンストテント前では、断続的にアピールが繰り返 され、香港当局とWTOを非難するシュプレヒコールが続いた。

 弁護団との司法交渉で検察がこれほどの後退を余儀されたのは、拘束後20日 も経過していながら、「暴行」の事実を示す証拠を提示できず、面とおしでも 「容疑者」が特定できず公判維持が極めて困難なためだ。  3名の次回公判は、3月上旬と決まったが、関係者の間ではこの間に検察が証 拠をそろえられない場合、3名についても起訴の取り下げも有り得るとの観測も 流れている。反WTO闘争は、勝利的展開を遂げている。
                        (編集部)


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