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LNJ Logo 消される事故原因〜鉄ちゃんの意見
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T@鉄ちゃん(鉄道ファンの略称)です。

佐々木さん記:
> 日勤教育や過密ダイヤはJRの他社もやっているので、事故原因と認めるのは難し いという捜査本部の見方がでたそうです。
> 同じことをやっている他社は、JR西と同じく大事故の危険性があるというならわ かりますが、まったく逆の結論をだすんですね。。

問題の記事、私も読んだのですが…

>  また、過密とされたダイヤ編成についても、福知山線以上に運行本数が多い路線 はJR東などにあるが、多数の死傷者を出す事故は発生していない

の部分について、「異議あり」です。
鉄道ファンの中にも、同様の見解を持つ人は多くいて、「福知山線程度のダイヤで過 密による事故が起こるんだったら東京なんて毎日事故だよ」という声が聞かれること も事実です。 しかし一方で、東京など首都圏は旧国鉄時代からATC化が進んでいる、という事実が あります。
在来線でも京浜東北線、山手線など多くの線区にATCが導入されていて、過密ダイヤ でもそれなりにさばける、という事情を見落とすことはできません。
これに対して関西地区は在来線のATC化は遅れており、大阪環状線クラスの線区でも 地上信号による一般の閉塞方式が採られています。

先日の4.15シンポでも、私はブレーキ制動距離の規制緩和に絡めて若干述べました が、地上信号による一般の閉塞方式では、閉塞区間(1つの列車に占有させる区間) は600mに設定されていることが多く、「ブレーキ制動距離は原則600m以内」という撤 廃される前の制動距離規制はこれを1つの根拠としていました。 1つの閉塞区間を600mに設定して、列車同士の「車間距離」を600m以上取れるように した上で、600m以内に停止できるように制動距離の制限を設けておけば、追突は避け られます。 それゆえに、閉塞区間の長さと制動距離の規制とは全体が1つの流れの中で組み立て られた規制であるといえます。

閉塞区間が600mに設定されるということは、逆の見方をすれば、列車同士を600m以内 に近づけることができないということを意味します。 (実際には後続列車が先行列車のすぐ後ろの閉塞区間に入れば600m以内になることも あるけれど、この場合、後続列車には赤信号が出るため走行できない) 先行列車と後続列車の距離をこれ以内に近づけた形で運行ができるようにしたけれ ば、ATCを導入するしかないわけですが、首都圏の場合、曲がりなりにもATCを導入し た上で過密ダイヤを組んでいます。 しかし関西のJR西日本の場合、通常の閉塞方式(非ATC)のまま超過密ダイヤを組ん でおり、そうした無理をしていることが危険の背景にある、と考えなければならない のです。 そこに着目せず、ただ単にどちらが過密かだけを論じても、事故の本質には決して行 き当たりません。

申し訳ないけれど、警察といっても鉄道に関してはしょせん素人集団です。 信楽高原鉄道事故の時、「素人集団」の警察が事故原因の解明に手こずったことで、 鉄道事故調査委員会ができることになったのに、素人集団の警察がしゃしゃり出てき てトンチンカンな見解を示されたのでは、犠牲者は浮かばれません。

貴い犠牲を出した鉄道事故を未来へ生かしていくために、鉄道事故(航空機事故もそ うですが)に関しては、事故調査委員会に第1次調査権を与え、事故原因が解明され た後に関係者の刑事責任を追及する段階で初めて警察が「2次捜査」を行うほうが、 より適切であると思います。 そうした方向で法制度が改正されるよう、強く望んでおきます。


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