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*レイバーネット日本・メーリングリストから転載

国鉄は石綿労災を認めよ  (08/11)

 斎藤洋太郎です。本日、国鉄清算事業本部に対し、退職者の石綿肺を認めるよう、 神奈川労災職業病センターと一緒に申し入れました。実はこのかたは2001年から療養 しており、放置されていました。国鉄清算事業本部の官僚的な対応には驚くばかりで す。そのかたが国鉄清算事業団後にも粉じん作業をしていたのではないかと、国鉄の 業務災害として認めることを拒んでいるのです。石綿による胸膜肥厚などボイラー修 理による古い影があり、国鉄がしらん顔をすることはできないはずです。  このかたは国鉄のうたごえサークル協議会の議長だったかたで、国鉄最後の日の集 会で指揮をしています。国労の六本木委員長もその写真に写っています。六本木さん が修善寺大会に登壇したことは私の学生時代で、懐かしいです。大学構内に国鉄問題 の赤旗記事をはっていたら、革マル派の人にこづかれたことを覚えています。    電工のかたの石綿肺で、じん肺管理4という一番重い症状なのですが、粉じん作業 をした期間のうち、労働者の期間より事業者の期間のほうが長いので労災不支給にさ れました。しかし、形式上事業者期間でも実態労働者の期間があるとして審査請求し ていたのですが、当方の主張を認めず棄却しました。

 ご本人も現場に出ていれば勤労者という意識なのですが、労働者と認められるため には会社の指揮監督下にあり、労務の対価として報酬を受けていなければなりませ ん。審査官は本人の確認も必要な聞き取りという方法によらず、本人への質問のテー プ録音という異例な形で審査官に都合よく労働者性を否定しました。当方も攻めきれ ず失敗したなと思いました。  ただ労働者としての粉じん期間と、事業者としての粉じん期間はいづれも相対的有 力原因であり、業務(労働者として)が最有力でなくとも認めなければなりません。ま た、石綿被害について業者の救済も課題となっており、考えながら進めようと思いま す。


石綿専門医は適任か  (08/11)

 斎藤洋太郎です。4日に自民党の鴨下衆院厚生労働委員長の秘書に、アスベストセ ンターと患者・家族の会で実情をお話し、遺族補償時効5年をはずすよう求めまし た。石綿作業者家族で中皮腫になった女性らが話し、秘書はじっくり聞いてくれまし た。鴨下事務所では、前にはつり作業者で石綿肺になった足立区の業者の労災のため に尽力してくれました。労働者のみならず、その家族、自営業者、周辺住民といった 石綿被害者の救済を図ってほしいと思います。

 10日に共産党の志位事務所で、石綿作業によるびまん性胸膜肥厚の補償が拒否さ れている問題について、厚生労働省と交渉しました。  業務上疾病への補償は、現在の医学水準に照らし、基本的には発病から補償すべき ものですが、本省の専門医が重症にならないと補償しないというひどい姿勢なので す。石綿の労災認定基準を改正したときの専門医は、びまん性胸膜肥厚の補償を恣意 的に拒否し、また、肺がんの認定要件である胸膜肥厚斑についても、なるべく認めな いようにしています。

 建設労働者で肺がんになり、胸部写真で胸膜肥厚斑がないと本省専門医に判断され たかた3人が、解剖や手術で胸膜肥厚斑が確認されています。旭硝子船橋工場の肺が んについて、胸膜肥厚斑が典型的でないから認めないと本省専門医が裁判で証言しま した。その後、同工場の中皮腫が労災認定されたことが報じられました。  実は、こういう専門医が、今回の石綿対策にも当たることになったのです。本当に 患者に学び医学を築いているか、最低基準たる労災補償を踏まえているか、監視と行 動が必要です。


公害と労災  (07/29)

 斎藤洋太郎です。私が石綿問題に関心を持ったのは1985年、社会党岩垂議員の質問 です。私の住んでいた佐倉市に米軍基地からの石綿が捨てられていたという問題だっ たと思います。しかし、このときには現実の健康被害はあまり騒がれていませんでし た。

 今回は、住民と労働者などの健康被害、公害と労災が同時に問題になっています。 たとえば、イタイイタイ病で鉱山労組は住民に敵対的で、しかし、自分たちのじん肺 は問題にしていました。住民と労働者が連帯できなかったのです。私は川鉄千葉公害 訴訟にかかわっていましたが、のちに在日朝鮮人と日本人からなる合唱団で一緒の川 鉄役員のかたは、住民は川鉄よりあとから来た、だから公害ではないという言い方を されていました。公害被害者のクリスチャンのかたは、露骨に朝鮮人を蔑視していま した。川鉄労働者で共産党員のかたは、息子が公害病ということで反公害のためにが んばっていました。

 石綿による職業癌で私が本格的にかかわったのは、1994年からです。配管工、大工 の肺がんが解剖により石綿所見を確かめて、労災認定されました。その10年前に石綿 の公害だと言われ、やがて建設労働者に石綿による健康障害が現実化したのです。こ の10年ずっと肺がん、石綿肺、中皮腫、びまん性胸膜肥厚の労災認定が続いていま す。しかし、これは組合などが一人ひとりの組合員の人権に心を配り、私傷病として 埋もれているのを掘り起こさねばだめなのです。確かに、国や企業の責任を追及する のみならず、石綿を吸ってしまっている労働者の健康被害に自ら取り組まなければな りません。問題を、中皮腫やこれからの解体作業に限定されないようにすべきです。

 私が一緒にやっている海老原勇医師は1987年11月の『建築設備と配管工事』という 雑誌に、中皮腫の職業性、家庭内、公害性の1965年のブリテン調査などを引用してい ます。エタニットパイプ家庭内石綿裁判のため、それを完成させたのが『社会労働衛 生』2-1,2に出ています。衆議院厚生労働委員会で阿部委員がブリテン調査を引用し た労働省の1976年通達を取り上げ、「地方に通達を出し、知らしめなきゃいけないと 言っている本人が、そうした視点を持たないで、30年間行政をやってこられた」と批 判しています。環境庁も1973年にはブリテン調査を知っていたそうです。  海老原氏は7月20日の東京新聞で『家族の二次被害や周辺住民への影響は60年代に 指摘されており、その危険性を考えれば企業はもっと早く調査し、公表できたはず』 と指摘しています。具体的事実に基づいて実践的に批判を行う必要があります。

 また、海老原氏は7月30日の週刊東洋経済にも登場し、石綿による肺がんは中皮腫 の2倍どころでは収まらないと指摘しています。そのreadには「企業のアスベスト被 害の公表が相次ぐ。『パンドラ』の箱を開けたのはクボタ。周辺住民に被災者の存在 が判明、石綿被害は公害問題に発展する可能性も高まった。建設労働者の肺がんの9 割が石綿関連との説もあり、石綿被害拡大は底なしの様相。厚生労働省、企業の責任 は。石綿被害の拡大を防止する策はあるのか」とあります。労基法にもとづく災害補 償の考え方は、業務つまり石綿作業が相対的有力原因であれば認める、最有力原因で なくともよろしいというものであり、建設労働者のほとんどの肺がんは労災補償が可 能だと思われます。

 朝日新聞は7月25日の特集紙面で、女性国際戦犯法廷を特集したNHK番組が、政治家 の圧力で改変されたことを再確認しました。朝日は番組とへの当否でなく、番組が改 変された事実に迫り、説得的に取材の経緯も明らかにしています。朝日の特集を批判 している人たちもいますが、私が問題だと思うのは、政治家の圧力で報道がねじ曲げ られること、それから軍国主義を否定すべき公務員が軍国主義を肯定し、戦争犯罪を 覆い隠そうとしていることです。  そういう意味で、しんぶん赤旗7月26日主張でポツダム宣言60年が記念されている ことに賛成です。ポツダム宣言の軍国主義駆逐と基本的人権尊重の原則がもとになっ て、憲法、労基法ができているのですから。


事前規制・調整→事後監視・救済の落とし穴  (07/26)

斎藤洋太郎です。ある記者のかたが送ってくれるmailに、労務屋の雑感というのが ありました。  事前規制・調整型社会から、事後監視・救済型社会へという主張の紹介です。これ が労基法から労働契約法への流れと説明されています。  そして、連合の労働契約法は、広告の記載を下回る契約はだめ、労働者の承諾なく 労働条件を変更するのはだめという最低基準的なものだと、批判されています。

 まさに石綿の問題は、1960年代から被害が予測できているのに、後手後手に回り、 被害者をこれから救済するという典型です。  労基法、最低基準の規制を実現する取り組みは弱く、労使の調整が主流だった気も します。個人の労基法にかかわる人権に労組が取り組むべきです。  労基法の一環である労働安全衛生法は多岐にわたり、どうやって生かすか模索して います。最低基準・規制から参加型へという主張が、最低基準の否定だと、労働契約 法の流れにからめとられる危険性があると思います。最低基準と参加型、安全衛生水 準の向上の関係がよく考え抜かれ、整理される必要があると思います。

 東京労働安全衛生センターや全国安全センターの労働局・厚生労働省交渉で怒号が 飛び交いました。労働基準監督署に残業代未払いの申告に行くと、労働局の相談員が 労働者を相談でごまかして追い返してしまう問題です。私は労災請求で監督署は受理 するので、そんな変な仕組みがあるとは知りませんでしたが、確かに相談員は残業代 などの問題を民事にすり替え、監督官による規制からはずしてしまうことを経験しま した。

 若いかたと接していて、個人の意識は強まっていると思います。教養の再生という ことが模索されていますが、その地盤はあると思います。  パクキョンシク氏は、教養教育の失敗がイラク戦争を許したと述べ、強制収容所で の人間性の喪失に対抗する上で、ダンテの神曲の詩が力になったという経験を取り上 げています。収容所では人が他人を蹴落とし、奪い合う世界になる。そのときに詩が 力を発揮する。日本語の詩と旋律にもそういうものはあるでしょう。


石綿被害の過小評価  (07/25)

斎藤洋太郎です。23日に、首都圏の土建建設労働組合と職業性疾患・疫学リサーチ センターが記者会見しました。石綿関連肺がんの労働者、遺族などが発言し、海老原 勇医師から建設労働者の石綿被害について述べました。建設作業者数が約500万人 で、離職者を視野に入れると1000万人。建設作業者のほとんどに石綿による胸膜変化 (胸膜肥厚斑。石綿吸入の証拠だが、それ自体では健康上問題なし)が認められること から、1000万人に肺がん死亡率を掛け合わせると6000人になります。肺がんの死亡率 (人口10万対)は1970年の14.8から2002年66.8に急増しているのです。

 24日に全国建設総連合が石綿など電話相談を行いました。私も手伝いましたが、 なりっぱなしでした。自宅の石綿建材の心配、建設作業者の健康管理、肺がん・石綿 肺などすでに罹患しているかたの労災相談、30年前に石綿による癌で亡くなった思わ れる例がかかってきました。東京は約200件でした。  住民の被害は衝撃的ですが、労働者の被害は仕方ないという風にしてはなりませ ん。息子が石綿の解体作業に従事するが、会社に危機感がないという相談では、労働 組合に入って安全衛生を要求するか、その会社をやめるか、将来癌で命を奪われない ようにということを、そのお母さんと話し合いました。


石綿のつづき  (07/22)

 斎藤洋太郎です。共産、社民、民主の各党が石綿問題に取り組んでくれていること を述べましたが、21日付の公明新聞も紹介します。  坂口前厚生労働大臣らが、石綿疾患患者家族の会から実情を聞きました。  大坂の古川さんが建設労働者である夫を中皮腫で亡くしましたが、労働基準監督署 から生前に解剖しなければわからないと却下されたこと。

 エタニットパイプという石綿水道管製造工場で働いていた労働者がうちに石綿粉じ んの着いたマスクを持ち帰り、子供の頃それで遊んで中皮腫になった小菅さん。小菅 さんは亡くなり、その妻は、会社が労働者に労働安全衛生教育をしたり、マスクなど を持ち帰らせないようにする安全配慮義務があるのに、それを怠ったとして裁判で争 い、最高裁にかかっていること。  公明党はそれを受け止め、取り組むと語りました。

 古川さんは図書館で、私たちしばぞの診療所の海老原医師が書いた建設労働と石綿 という小冊子を見て、上京され、その後監督署と交渉してかろうじて生前に労災認定 されました。古川さんが、夫のように労働者だけでなく、石綿工場周辺住民に、石綿 特有の病気中皮腫が複数出ていることに愕然とした場面(今回のきっかけか)が、関西 労働者安全センター片岡氏のくれたTV番組のDVDに出ています。

 明日は、東京土建、千葉土建、神奈川建設労連、埼玉土建が建設労働者の石綿労災 で記者会見します。あさっては、全建総連が電話相談を行い、私も待機します。  公害・労災など補償のため、どの党派とも仲良く、被災者の人権を第一にがんばり ましょう!


石綿、人事委員会  (07/21)

斎藤洋太郎です。石綿問題は深く進んでおり、要求を通すために取り組みたいと思 います。労働基準監督署、労災審査官(元労災課長が多い)の増員が必要です。

 共産党の小池議員の質問では、東京土建組合員で配管工の肺がんの認定の遅れたこ とが取り上げられ、大臣は石綿暴露の証明の困難性に配慮すると答弁しました。とい う会議録を志位議員事務所からもらいましたが、志位事務所でも千葉土建の大工の石 綿肺の認定の遅れに対し、協力してもらっています。石綿肺などじん肺の認定につい て、地方じん肺診査医が国の定めるじん肺診査ハンドブックに沿わず、余計な検査を 要求して救済を遅らせているのです。本日、全国労働安全衛生センター連絡会議の厚 生労働省交渉があるので、ハンドブックからの逸脱を追及したいと思います。

 社民党の阿部議員の質問では、ブリテンの石綿職業・家庭内・公害被害の調査を引 用して国が通達していたのに、その後対策を取らなかったことが指摘されました。私 たちが作っている『社会労働衛生』という季刊誌の2-1,2号に、石綿による微量ばく ろ被害の論文のまとめが連載されています。この論文は、エタニットパイプの労働者 家族の悪性中皮腫裁判で、海老原医師が提出したものです。佐々木さんが紹介された 全労協の村上さんは、エタニットパイプの石綿癌・石綿肺に果敢に取り組んでこられ ました。  民主党の松野議員事務所でも、この間びまん性胸膜肥厚の空調工の早期認定のた め、協力していただいております。しかし、タバコのせいにされて補償を拒否されま した。これは、ぜひ労災審査官を粘り強く説得して、労基署の処分を取り消してもら おうと思います。

 昨日、障害職員のいじめ問題、業績評価による昇給延伸にたいする東京都人事委員 会を被告とする裁判の参考判例を、母校の図書館で見つけました。ジュリスト 1959.1015号で、地方公務員法46条に基づく勤務条件に関する措置の要求を違法に拒 否された職員は、これに対し訴えをもって救済を求めうるというもので、この東京高 裁判決を最高裁も是認しています。判例カードしかないのですが、この雑誌には安保 改定問題の究明が特集されています。  労基署同様、人事委員会には、労働者の権利のために仕事をしてもらわなければな りません。労基署にくらべて、人事委員会は信じられないくらいでたらめですが。


昨日の報道  (07/20)

斎藤洋太郎です。昨晩のTV朝日報道ステーションに、石綿による疾病にかかった労 働者と遺族が登場したそうです。私は夫婦の会話を重視しているのでTVがなく、見て いないのですが。

 一昨年国が新たな石綿による疾病として追加した『びまん性胸膜肥厚』について、 現に治療しているのに補償しないとされた元空調設備工。  解体工で石綿肺と肺がんになり、労災申請しようとして、現在事業主だから労災は きかないとして、監督署から取り下げさせられた患者。  大工で肺がんになり労災申請したけれど、石綿による胸膜肥厚斑が認められないと して業務外になり、不服審査しているうちに亡くなり、解剖して胸膜肥厚斑が確認さ れたかたの奥さん。大工さんは石綿板の記載のある設計図を保存していました。  国の対応はどれも間違いです。しかし、労働者と家族を保護するために、労働者は 具体的に取り組む必要があります。立法にも協力してもらいたいと思います。  今日これから、やはりびまん性胸膜肥厚の補償を拒否された電工のかたの不服審査 で、東京労働局審査官に会いに行きます。早期に救済させたいと思います。

 昨日若い新聞記者が来て補償のことを考えていました。dryな対応でなく、悲惨な 事実に目を向けたいという経済紙の記者でした。労災補償は保険化されていますが、 石綿による住民被害は公害補償で行けるのか、労働者家族はどうするのか。会社が賠 償する必要もありますが、1960年には米国で知られていた石綿による公害・労災・労 働者家族被害への日本国の遅い対応も考慮せざるを得ません。


石綿作業による疾病  (07/15)

 斎藤洋太郎です。石綿の公害、労災、労働者家族の被害が社会問題になっていま す。  昨日厚生労働省で被災労働者が労災補償不支給について、記者会見しました。  国は石綿の労災認定基準の補償範囲を拡大したのに、実際に労災申請したら石綿に よる疾病であることは認めながら、補償を拒否しました。  朝日、日経、毎日、読売に小さく記事が出たようです。毎日は、厚生労働省の見解 として、医師が治療を必要とするlevelと、補償範囲は違うといったことを報じてい ます。これでは何のための労災補償か! ということになります。石綿による病気で 治療しているのに、勝手に補償範囲を狭めるとは。  申請してから却下するまで1年近くかかりました。被災者の早期救済を図りつつ、 じっくり攻めてゆこうと思います。  今日はこれから自治労や手話通訳の会員で、頸肩腕障害について労災を打ち切られ ようとしている件と、業務外にされた件でさいたま労基署に交渉に行きます。  

 

 


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