ふかひれスープ
「サメは4億年以前から、地球上で生存に最も適した長寿の体質のまま進化もせずに生き延びてきた特異な生物です」「最大の特徴は〔骨が無く、全て軟骨〕で形成されており云々」といったことは、スピルバーグの「ジョーズ」を見ても解らない。広辞苑を見たって解らない。何を見れば解るのかというと、「(本場=気仙沼/無添加)ふかひれ濃縮スープ=特別価格600円/箱入り」の箱の裏を読むと解る。
この「ふかひれスープ」をどうやって入手するのかは、もちろん、広辞苑を見たって解らない。何を見れば解るのかというと、皆さんここまで読んで既にお気付きのこととは思うけれど、もちろん、「4・28ネット05年冬季物販(40種類商品)カタログ」を見るとよ〜〜く解る。
というわけで、箱の裏を読みたい方々、どうぞご注文下さるようヨロピクお願い致します。
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昨年のこと、新聞の折り込みチラシに中華料理店の「半額!ふかひれスープ(500円余)」というのがあった。おまけに、珍しいカニの卵までも入っていると書いてある。何年か前から、世界最高の味とも聞く「ふかひれ」という奴を一度は食べてみたいと想いを募らせていたボクは、すぐに飛んでいった。
「本物の味」を宣伝文句にしている中華料理店。ホントに500円余で食べられるのだろうか?!
ドキドキと胸躍らせヨダレを垂らして待つボクの前に運ばれてきた赤いスープ。まずはそっと大事に一すくい、じっくりと噛みしめる。「ん!?」ナンダコレハ!である。どれが「ふかひれ」の味で、どれが「珍しいカニの卵」の味なのか、両方とも初めてなので解らない。おまけに、赤いスープの正体はトマトスープであって、このトマトの濃い味と香りがジャマをしているのだった。
こうして挫折感に打ちひしがれている時、昨年の「4・28ネット冬季物販」カタログに「ふかひれスープ」が初登場したのだった。拍手!拍手! さすが我が4・28ネット物販!拍手!拍手! 自画自賛と言われようが何と言われようが、とにかく拍手!拍手!感謝状と表彰状!拍手!拍手!
夜、ちゃぶ台の前に座りテレビドラマなんぞのチャンネルも合わせ、準備万端、ゆったりとした気分で「(気仙沼)ふかひれスープ」と向き合う。スープは美味い、が、醤油味で、ふかひれだけの味というのは解らない。それで、具の個体だけをつまみ上げて噛みしめることにした。ちょいと黒っぽいフニャとした個体、テレビを見ながら口の中に放り込むと椎茸に似た味がした。それでこのフニャとしたのをよく見てみると、それは椎茸だった。で、今度はちゃんと薄茶色っぽいふかひれを選んで口に運ぶ。シコシコといい感じ。だが濃い味ではないので、噛み心地なんかに気をとられていたら良く解らない。神経を味のみに集中しなくてはならない。で、もう一回。で、マサにこの時!ドラマは佳境に突入! で、それで・・・ドラマが終わった時、ハタと気付いたら、スープはカラになっていたのであった。
世の中、こういった不遇はちょいちょいあるものなので、マジででふかひれを味わってやろうという方々は、一つといわず二つ三つ、どうぞご注文下さるようヨロピクお願い致します。
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今、4・28ネットの財政はピンチだ。どのくらいピンチかというと、もしも財政状況を直視したとしたらサメザメと泣けてしまうほどで、もしも財政状況を凝視したとしたらサメ肌が立ってしまうほどで、ホントに冗談ではなく、こんな冗談を書いている状況ではないほどなのだ。
だが「スープのサメない距離」よりも近い人々の暖かさ、このピンチを脱するのはフカ能ではなく、郵政当局の非をいサメ、当局が頭を低くフカくヒレ伏す情景は、闘いの豊フカにヒレいして実現するとの想いは、サメやらぬ。
名古屋哲一(郵政4・28免職者)
「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載
*タイトルはレイバーネット編集部