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名古屋コラム

郵政首切り25年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 都営団地ひっこし騒動

  引越を1月16日にした。十日以上たつのにまだ全然片づかない。かなり凄まじい準備不足のためで、引越業者の人には、予定時間を過ぎても全部を積み込みできず迷惑をかけてしまった。だが一番迷惑を被ったのはボク自身だった。過去のボクが悪い奴だったので、今のボクはイイ奴なのに苦労をしている。

 古い都営団地の取り壊しと新築で、徒歩4分の新居への移転だ・・・広大な団地敷地全体の再編、緑地面積は減るらしい。そのうち都から情報がもたらされるのだろうなんてボケッとしていたら、自分の住む区域の未来図などほとんど何も知らされないまま今日に至ってしまった・・・マア、そんなことにはとりあえずかまってはいられない。引越日の翌日以降、自転車で10回以上往復して残りの荷物を運んだり、26年前の反マル生越年闘争でブツダメの成果により郵便局内は“ファイバーの山”なんていう情況の3倍くらい密集した“段ボール箱の山”の中で暮らしたり、パソコンという便利で不便な物の再設定で電話ケーブルがLANコードがルーターがどうのこうのとまた友人に電話ご指導を願ったり、今のボクはイイ奴なのに苦労をしている。

 1月25日には、ビデオプレス製作「郵政クビ切り物語(仮)」の上映試写会があり・・・50人参加で評判上々の成功。のっけから自分の顔が大画面に大写しはとても恥ずかしいものだ・・・4・28反処分26年間の思い出が脳裏をよぎり、押入の奥にあった55年間の生活の思い出が詰まる引越荷物とも接したりすると、ついつい懐古趣味に走ってしまいそうになる。が、それどころではない。ホカ弁についてきたお箸を洗って次も使わなければならない。割り箸はとても貴重品で、どこの段ボール箱に隠れてしまったか分からない食器類が出てくるまでは、運動諸資料なんかよりもダイヤの首飾りなんかよりもずっと有益なものだった。交換価値より使用価値。いざとなれば手づかみで食べればよいのだが、歳をとるうちいつの間にかボクも「お上品」な生活に慣らされてしまっていた。

人一人が生活していくのには、いかに多くの品物の御世話になっているのかを実感した。お茶一杯飲むのも大変だ。水道屋さんのおかげで水をゲットすることを手始めに、電気と電気ポットと急須と茶葉と湯飲み茶碗を揃える必要がある。今現在、これらはなんとか揃えたが、電気ポットのコードが見つからないので難儀をしている。ところが、自動販売機とかコンビニとかへ行けばペットボトル入り緑茶がすぐ手に入ったのだった。10年程前、包丁もまな板もない家庭が出現しているとニュースになっていたが、その生活感覚を理解できた。

 品物というのは全て、またお茶を美味しく入れるノウハウなども含めて、原始時代から続く人間労働の蓄積と、世界の人々の労働交換と蓄積とが結実したものだ。この結実にはもちろん、郵政労働者の通信手段や庶民のための貯金・保険などインフラ確保に汗水してきた労働蓄積も貢献している。この公共性を破壊して、人を不幸にする儲け主義労働へ従事させようとする小泉純一郎は、一度お茶も飲めない生活を送ってみればよいとも実感したのだった。

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 ぐだぐだと饒舌になってしまった。本来は次のことを述べよう思っていたのだが、余白が少なくなったのでかいつまんで書くことにする。

 100余世帯が入居する7階建ての新築団地、屋上緑化とか太陽電池とかまでは東京都は気が利かないだろうと思ってはいた。ところが気が利かないどころではなかった。大量生産大量消費の構造だった。今までの古い建物は、東側に鉄ドアがあり南北に大きな窓があって、お日様の熱と光や風など自然の恵みを多く取り入れていた。だが新しい建物は、北側の鉄ドアでこれらの恵みを全てシャットアウト、昼から電気ガスを使い通しで、お仕着せの「立派な」換気設備もフル回転だ。さらに一階4世帯程の車いす住居は、集合受け箱ロビーへはスロープがなく表からは出入りできず半分隔離のような造りになっている。更にさらに、移転料も半額にされたし、今までの3DKをいきなり1DKに等々・・・。

 郵政事業と同じで、労働者と利用者の自治へ向け歩まねばと反省した。

名古屋哲一(郵政4・28免職者)

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:10 / Last modified on 2005-09-29 06:44:53 Copyright: Default

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