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Document 20110921takeo
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●『タケオ』と『ちづる』
「障害者と家族」―日常のありのまま追うドキュメンタリー

 障害者の映画を2本みた。

 一本は常田高志の『タケオ――ダウン症ドラマーの物語』。

 これはダウン症として生まれて24歳になる新倉壮朗(通称タケオ・写真)が、3年前に憧れのセネガルで音楽のワークシヨップに参加した日々を中心に、彼の生い立ちを描いた音楽ドキュメンタリーである。

 セネガルでは「サバール」という棒と手で叩くリズム音楽が主流で、ワークショップでは、海辺の町の広い砂浜で7、8人が輪になって練習にいそしむ。カメラは、演奏するタケオたちに焦点をあてながら、砂浜で興じている人々ののどかな風景もとらえている。音楽が自然に溶け込んでいく感じがとてもいい。

また、タケオが成長していく数々のシーンは母親がビデオ撮りしたものだろう。幼い彼はドレミの音階がわからず、ピアノのキーを奔放に叩いているが、不思議にそれが心地よく響く。タケオは興にのると全身リズムとなって踊ることもある。自由に育てようとした母の思いをそこにみる。もはや彼の音楽は、障害がありながら、とはいえない領域に達している。

 もう一本は、立教大学の卒業制作として作った赤正和の『ちづる』。

 20歳になる自閉症の妹の日常を軸に、その母と赤自身の3人家族の葛藤を描いたドキュメンタリー。彼はこれによって、隠していた障害者の妹を世間にさらすことになる。担当の教授にその悩みを打ち明けつつ作ったのがこの映画だ。教授は、あの『延安の娘』『蟻の兵隊』で知られる池谷薫で、映画のプロデューサー役も買ってでている。

 ちづるは絵を描くことと自動販売機で買い物をするのが好きだ。そんな妹を赤$(Oのカメラは追いかけるが、やがて妹と母の修羅場を撮り、自らにもカメラを向けるようになる。彼が食卓を挟んで母と話し合うシーンがいい。共に生きることの大変さと大切さがにじむ。「父に捧ぐ」のラストにもぐっとくる。

(木下昌明/『サンデー毎日』2011年9月18日号)

*『タケオ〜』は横浜ニューテアトルで上映。『ちづる』は10月29日より、同劇場他でロードショー。


Created bystaff01. Created on 2011-09-21 11:54:09 / Last modified on 2011-09-21 11:58:40 Copyright: Default

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