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Document 20100712
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●レイバー映画祭2010
なかなか現実は目に映らない だからドキュメンタリー時代

   

 映画はドキュメンタリーの時代に入った。愛とか善悪を中心にしたドラマでは現代をとらえきれなくなっている。現実をリアルにとらえる目がいま求められているからだ。

 今年も「レイバー映画祭」が開催される。「私たちの未来や生きる権利は、アイスクリームのように溶けていくのか?」と問いかけつつ、5本の長短ドキュメンタリーを上映する。皮切りはマイケル・ムーア監督の「キャピタリズム〜マネーは踊る」。人間の命を弄ぶことで成り立つカジノ化した資本主義に正面からメスを入れている。企業が無断で社員に高額の保険をかけて死をエサに儲ける例、貧困層に安く住宅を提供し、金利をつり上げて追い出す例などの袋小路社会を暴いている。彼は故郷のフリントを足場に銃や医療や戦争という米国社会の病巣を根っこから抉りだしてきたが、これはその集大成だ。

 タンヴィール・モカメル監督の「バングラデシュの衣料工場で働く若い女工たち」は、いまや世界の衣料工場と化した首都ダッカで働く女工の夢と絶望が点描されている。急造の工場の火災や崩壊で3000人もの死者を出している悲惨な状況も映される─あなたの着ている安い衣料品はこのようにして生まれている、と納得できよう。

 テ・ジュンシク監督の「あなたと私の戦争」は、韓国の双龍自動車の77日間に及ぶストライキの日々の記録。2004年、中国国営の上海自動車が双龍を買収し、製造技術だけ分捕って労働者2646人を整理解雇したことから闘いがはじまった。ここでも人々の生存権を奪うことで成り立つグローバリゼーションの典型をみることができよう。

 以前本欄で紹介し問い合わせの多かった「死んどるヒマはない」も上映される。猜發プラカード瓩海86歳のおばあさんの話は一服の清涼剤となろう。映画から世界のいまがみえてくる! (木下昌明/ 「サンデー毎日」 2010年7月18日号)

*写真は「あなたと私の戦争」「キャピタリズム−マネーは踊る」から。「レイバー映画祭2010」は7月24日午前10時〜、東京都港区の田町交通ビル6階ホール。問い合わせは Tel 03-3530-8588

<付記> なお『月刊東京』の今月号に『キャピタリズム』の批評を書いています。タイトルは「資本主義の『悪』に切り込む」です。また前号では、わたしたちの活動を先取りしている『ビルマVJ』についても書きましたので、よろしくお願いします。(木下)


Created bystaff01. Created on 2010-07-12 14:46:23 / Last modified on 2010-07-12 15:17:32 Copyright: Default

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