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●映画「死んどるヒマはない−益永スミコ86歳」
人は皆生きたいように生きる 平和も人権もそのためにある

 映画をみているといろんな老人がいるものだと感じ入ることが多い。その一人、86歳になってもすたすたすたと速足で歩くたくましい雑草のようなおばあさんのドキュメントをみた。タイトルは「死んどるヒマはない」。

 制作したのはビデオプレスの佐々木有美と松原明。二人は新聞などでよく紹介されているビデオジャーナリストの草分け的存在である。

 先ごろ、国鉄分割民営化に伴うJR不採用問題で1047人の被解雇者が、たたかっていた当局と「和解」し、24年目にして終止符を打った。二人はこのたたかいに当初からかかわり、行商などで食いつなぐ彼らの苦しい生活を撮りつづけ、そのつど上映活動を行ってきた。それを一本の長編「人らしく生きよう─国労冬物語」にまとめて劇場公開と全国300カ所以上の上映運動をくり広げ、被解雇者を側面から支援し、映像の力でたたかいを持続させてきた。特に、政治的妥協をはかろうとした国労大会で、一人の主婦が突然演壇に駆け上って「無責任にわたしたちの人生を勝手に決めないで下さい」と訴えた感動のシーンは忘れがたい。女性は強かった。

「死んどるヒマはない」でも女性のしたたかなエネルギーがひきだされている。彼女は益永スミコという草の根の平和運動家で、常に「平和」と「人権」の問題にかかわり、あらゆる所に出かけていき、意思表示をしてくる。

 その彼女と二人が出会ったのは、国会前でロウソクをともして開かれたある集会でのこと。二人は彼女が大分県からわざわざ駆けつけたと知って驚く。映画はそこからはじまるが、興味を抱いた二人は、早速大分の僻地に足を運び、彼女の数奇な半生を聞く。

 戦争中の「軍国の娘」から一転、戦後は手さぐりで女たちの組合を立ち上げたり、死刑囚の養母になったり……その常識をこえた行動力に誰もが圧倒されよう。彼女の「人を殺してはならない。戦争をしてはならない」という思いが伝わってくる。(木下昌明/「サンデー毎日」2010年5月23日号)

*映画「死んどるヒマはない」は5月12日、東京の「なかのZERO」視聴覚ホールで完成上映会。(今後の上映予定などの問い合わせは 03-3530-8588)

作品の詳細は→ビデオプレスHP


Created bystaff01. Created on 2010-05-26 11:29:36 / Last modified on 2010-05-26 12:12:35 Copyright: Default

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