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清道テナム病院コロナ19集団感染、終わらない質問

[イシュー]

パク・チュンヨプ、チョン・ヨンギル ニュースミン記者 2020.03.31 09:32

[出処:ニュースミン]

2月19日 104番患者(64)死亡/20日コロナ確診.
2月21日 205番患者(56)死亡/21日 確診後釜山大病院移送中死亡.
2月23日 54番患者(42)死亡/19日 確診後東国大慶州病院で死亡.
2月23日 5番患者(60)死亡/19日 確診後東国大慶州病院で死亡.
2月23日 286番患者(63)死亡/21日 確診後国立中央医療院で死亡.
2月24日 26番患者(68)死亡/20日 確診後慶北大学校病院で死亡.
2月25日 298番患者(59)死亡/22日 確診後江南誠心病院で死亡.
3月5日 391番患者(84)死亡/21日 確診後安東医療院で死亡.

死亡者8人の共通点は3種類だ。 清道テナム病院の精神病棟に長い間入院していたこと。 基礎疾患があること。 確診後、およそ四日で死亡したこと。 清道テナム病院精神病棟入院者103人全員がコロナ19に感染し、 このうち8人が死亡し、7.8%の死亡率を示した。 国内の確診者死亡率1%、世界の確診者死亡率4.1%より高い。

2月、国内コロナ19感染拡散の初期、 清道テナム病院、新天地、清道郡に関するさまざまな疑惑があふれた。 立証が難しい疑惑を別とすれば、 なぜ精神病棟だけで死亡率が高くなったのかについての いくつか有意味な質問がある。 清道テナム病院精神病棟の患者はなぜ長期入院していたのか、 なぜ基礎疾患があったか? なぜ確診者発生初期に集中的に患者が死亡し、 他の病院に移送された後は死亡者が発生しなかったのか?

なぜ清道テナム病院精神病棟には長期入院者が多かったか?

国内初の死亡者は清道テナム病院で20年以上生活していた。 死亡当時の彼の体重は42kg。 長い病棟生活で健康が悪化していたことが察せられる。 清道テナム病院の精神病棟は全ての窓に鉄格子が設置されていて、 窓を開けられず換気が不可能だ。 部屋一つに6〜8人が床で共同生活をする。 彼らにとって法が定める最低住居基準は意味がない。

精神病院は野宿者や無縁故者などの医療費を払えない患者で、 患者当たりの医療給付点数を受けられる。 保健福祉部の行政規則によれば、精神疾患で患者が入院した時、 1日当たりの定額点数が病院に支払われる。 病院は患者をさらに多く、さらに長く受け入れ、 さらに不十分なサービスを提供すれば、さらに大きな利益を得られる。 清道テナム病院が患者の人権を尊重するサービスを提供していたのかについて、 あまり知られていることはない。 だが清道テナム病院を運営する財団が不正事件で釜山から退出させられ、 清道テナム病院を会計不正に活用した前歴があるという点で、 病院の利益のために患者に不適切なサービスを提供した可能性を疑うことができる。

なぜ確診者などが早く死亡したか? 確診者が他病院に移送された後にはなぜ死亡者が発生しなかったのか?

死亡者8人のうち7人が確診後、四日以内に亡くなった。 病院によれば、精神病棟で15日前後に集団発病の兆しがあったが、 18日になってやっとコロナ検査を依頼した。 初めての感染患者は19日に死亡し、それから一週間でさらに6人が死亡した。 100人もの患者を移送できず、保健当局は国内で初めて集団隔離措置をした。 感染した患者は部屋一つに6〜8人が暮らしていた状態そのままで隔離され、 順次テナム病院の一般病室に分散した。 障害者団体はテナム病院が治療設備不足、劣悪な環境など、 患者の治療に不適切だという理由で人権委に緊急救済を申請した。

他病院への移送は5日に完了した。 死亡者が最後に発生した日も5日だ。 集団発病の兆しがあっても患者に対する検査→隔離→治療が迅速に行われず、 きちんとした病院に入院するまで最大20日以上かかった。 患者の治癒よりも社会から隔離することに重さをおいた措置だ。

清道テナム病院の集団感染は、 韓国内のコロナ19事態で初めての病院・集団居住施設内の集団感染事例で、 最初の集団隔離実験場という象徴的な事件だ。 18日現在、死亡者を除き他の病院に隔離治療を受けている患者95人のうち65人が完治した。 だが問題は終わらない。 彼らが100%完治しても、清道テナム病院に関する記録は100%感染、7.8%死亡だ。 そしてその次の質問はこれだ。 清道テナム病院で感染して外に出た患者はこれからどこに行くのだろうか?

コロナ19、政治の場所を診断する

「文在寅(ムン・ジェイン)肺炎が大邱市民を殺す。 初期対応に失敗して災害座礁した文在寅は責任を取れ!」 31人目のコロナ19確診患者が出た二日後、未来統合党のある予備候補の1人デモの内容だ。 共に民主党の洪翼杓(ホン・イクピョ)議員は「大邱封鎖」を口に出した。 与党の一部の人物と支持層は 「未来統合党=新天地=クォンジン」という陰謀説をオンラインでまき散らした。 恐怖をあおり、地域を孤立させ、不安に気をもむ大邱市民に政治が見せた姿だった。

追加補正予算の拡大要求に未来統合党の黄教安(ファン・ギョアン)代表は 「バラマキ追加経費はだめだ」という言葉を連日吐きだしている。 共に民主党の金富謙(キム・ブギョム)議員は 「危機の時に国民が放棄しないように力を集中するのが国家の役割」とし、 政府と与野を行き来したし、一部の現金性直接支援予算が追加経費に含まれた。 この渦中で総選挙の公認競争をしていた未来統合党の国会議員は静かだった。 公認排除の発表が出てから、反発して口を開き始めた。 実際の概念と合わないが、「災害基本所得支払い」という政治的用語は、 全州市長の口から初めて出てきた。 多くの政治家が災害手当て、災害支援金などの話を言い始めたが、 公論の場は作動しなかった。 大邱市議会は大邱市長が是正を決めるまで、何の立場も出さなかった。 防疫されない政治だけが漂った。 現政権を支持するか、反対するかの単純な対決構図だけが残ってしまった。

だが3月1日に啓明大東山病院で医療奉仕を始めた国民の党の安哲秀(アン・チョルス)代表は口を閉ざした。 医師免許証所持者で、コンピュータ・ウイルスのワクチン開発者である安哲秀は静かに拍手を受けた。 民主党所属の李貞鉉(イ・ジョンヒョン)南区議員は臨床病理士の経験を生かして、 まだドンサン病院で医療奉仕活動をしている。 正義党大邱市党のチャン・テス委員長は2坪もない日雇い雇用が切れた簡易宿舎に通って防疫に参加した。 民衆党のソンウ予備候補は自宅隔離障害者のための弁当配達をした。

政治改革連合だの、共に市民党だの、総選挙比例代表選挙に集中したいわゆる進歩政党は、 感染病の災害が襲った大邱では存在感がなかった。 大邱、慶北には政治家がおらず、関心もなかった。 民主労総の支持政党である社会変革労働者党、労働党も同じだ。 コロナ19事態は社会のあちこちの空席がどこなのかを照らした。 もし政治が暗い所を記録して、これを公論の場に引き出せないのなら、また忘れられるだろう。

公共医療、福祉システムは抽象的な概念ではない。 自立生活障害者が感染病危機対応に参加でき、 自宅隔離期間中に生活が可能でなければならず、 他の重症患者が感染病指定によって病院から追い出されてはならず、 感染病対応期間に労働者に対する解雇は不可能でなければならず、 所得が減った小商工人が生計を立てられる希望を与え、 移住労働者が防疫物品を受けとれるようにしなければならない。 そこが政治があるべき場だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-04-08 20:23:57 / Last modified on 2020-04-08 20:25:13 Copyright: Default

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