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201910010
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いつもまだ早い
［ワーカーズ］レインボー
ある忠誠誓約
「私は同性愛は法的に許容するしないの事項ではないと思います。 同性婚を法的に認めるのはわが国の状況ではまだ早いと考えています」。 模範的な回答だ。 「何人かの牧師さん」が憂慮を示しているから同性愛と同性婚に対する見解を問うと言っていた議員も、 この程度なら満足したように遅滞なく軍刑法第92条の6、醜行罪に関する質問に渡る。 今回ももちろん、合意された性関係を刑法で処罰する問題の本質についての指摘なく、 営内と営外を区分する必要があるという円熟した回答が出てくる。 9月6日に開かれた法務部長官候補者国会人事聴聞会の一場面だ。 2017年4月、大統領候補放送討論会である候補が (同性愛に反対するかという相手候補の質問に答え、後で付け加えて) 「同性婚を合法化するつもりはないが、差別には反対する」と話したことの反復だ。
いつからか、この質問は高位公職者聴聞会に必ず登場して可否を分けるリトマス紙のようなものではない。 差別には反対するが、法制化は早いという水準の賢い形式的な返事をやり過ごすことで 互いに満足することができる。 初めからこれは相手の政治観や信念を尋ね、検証するための質問ではない。 異性愛中心主義という既存の価値体系にあえて挑戦しないという忠誠誓約を受けるための装置でしかない。 彼もこの装置の前で言葉を変えた。 彼は一時、「軍人間の同性愛は原則的に非犯罪化し、 軍刑法第92条の5の構成要件を『階層・威力による醜行罪』に改正して、 軍隊内性暴力に対する処罰の空白を埋める必要がある」とはっきり主張していた。 �長�(チョ・グク)、 「軍刑法第92条の5 『鶏姦その他の醜行罪』批判-軍人間合意同性愛刑事処罰の当否-」、314ページ、「刑事法研究」第23巻第4号、韓国刑司法学会、2011、291-316ページ。 この論文が発表された後の2013年の軍刑法改正時、 第92条の2 類似強姦罪が追加され、醜行罪は第92条の5から第92条の6に移動し、 条文の用語は「鶏姦またはその他の醜行」から「肛門性交またはその他の醜行」に変更された。
そんな彼は、「内務班で勤務中の同性愛の場合は、より強い制裁が必要なら 休暇中［の…］場合まで刑事制裁をするのは少し過度ではないかと思い、 もう少し細分化しなければならないという立場」という言葉で、 いわば水位を調節した。 今回の場合には転向宣言といっても過言ではないだろう。
今は早いという言葉
「まだ早い」という言葉は安全だ。 特に「差別には反対するが」といった言葉と同時に使えばさらにそうだ。 否定する言葉だが、同時に徐々に、遅くはあるが、しかし着実に、いつかは実現する、 といった隠れた意志を読む余地を残すということだ。 無条件の支持まで行くこともなく、若干の期待さえあれば、 もっと大きなことを企てるための偽りの降伏ぐらいだと感じて、 むしろ残念がることもできるだろう。 しかしそのような期待を持つには、「早い」という言葉は個人の歴史であれ 社会の歴史であれ、とても多く明らかな用例を持っている。 青少年に投票はあまりに早く、障害者に脱施設はあまり早く、 公務員に労働組合はあまり早い。 これらすべての早いという言葉は実質的な変化を起こすために必要な時間を示して使われるのではなく、 ただ要求と抵抗を揉み消して先送りするために使われてきた。 投票権がなければ国会議員を動かす力を持てず、 自立生活の条件が備わっていない社会で施設を閉鎖するのは不可能で、 労働権がなければ労働組合を作る準備さえできないから、 これらすべての早いという言葉は何かの役に立つ時間を稼いではくれない。 ただ約束なく待つことを強要するだけだ。
待つことなく乗り越えた人々がいた。 低床バスを導入するには財政が足りないという言葉に退くことなく、 車椅子からおりてバスの階段をよじ登った人々、 女は飯が作れれば良い、文字を学んでどうするという言葉を気にせず 夜学に集まって本を読んだ人々、 労働時間を減らすには経済が危険だという言葉にも、きっぱりと工場を止めた人々。 そんな人々がいた。 まだ早いという言葉で時間を稼いでもったいぶっていた人々ではなく、 当分は無理だとか、むしろ自分たちの害になる可能性があることを恐れながらも先送りせずに実践した人々が世の中を変えてきた。 権力は不公平に分配されるが、その不平等を通して安定する。 何が今可能で、何がまだ早いという言葉で順序を付けて組に分けることは、 その不平等の安定に寄与するだけだ。
早いか遅いか、その向こう側で
不公平な世の中で、無力な人々が試みる変化は、したがっていつも時期尚早だ。 だがそのいつでもできることなら、早いという言葉には何の意味もない。 またそれは、少なくとも人権や平等、人間の尊厳のようなものが宣言されて以来、 相変らず実現されなかったことだから、実はいつも遅れていることだ。 人権の時計は1秒ずつ、1分ずつ、着実に積み重なって流れはしない。 すでになければならなかったこと、 しかし相変らず早いという言葉で遅れていることを、 この世界に突然呼び入れること、 そうした跳躍と飛躍が変化の時計が動く方式だ。 差別には反対するが、社会的にまだ早いという言葉に隠れされた善意をつけられない理由だ。 彼らがまだ早いと言ってあやしているまさに今、 私たちの人生は一気に形成されるだろう―― 先送りせず未来を生きることによってだ。［ワーカーズ59号］
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可（ 仮訳 ）に従います。
Created byStaff. Created on 2019-10-03 11:48:42 / Last modified on 2019-10-19 02:09:45 Copyright: Default
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