本文の先頭へ
韓国:「ホットな投資アイテム」シェアハウス、青年たちは二回泣く
Home 検索

「ホットな投資アイテム」シェアハウス、青年たちは二回泣く

[ワーカーズ・イシュー(1)]青年シェアハウス入居奮闘期

キム・ハンジュ、ユン・ジヨン、チョン・ウニ記者 2019.05.31 11:11

ワーカーズ・イシュー(1)目次

  1. この家がわが家ではない理由
  2. 3億ウォンで見つけて、ホームズ
  3. 資本の出口戦略、不動産市場は相変らず熱い
  4. ホットな投資アイテム、シェアハウス、青年たちは二回泣く
  5. ドイツの不動産企業没収運動...「皆のための社会化を!」

両親の世話にならないと、元気に家を出て数年。 三十を前にした年齢にもかかわらず、相変らず月貰、知人の家などを転々としている。 無住宅者が独立しても迷惑をかけるだけのようで、まったく気分が良くない。 青年住宅難で追い出された人は、ほとんどが似た生活をしながら、似た危機感を感じる。 昨年の青年最低住居基準未達の割合は9.4%。 10人に1人は「家のようではない家」に住んでいて、 所得の20%以上を住居費に注いでいる。

文在寅(ムン・ジェイン)政府になっても青年の住居環境はなかなか良くならない。 相変らず伝貰費用は高く、食費を減らして月貰を払う。 青年のためのもっと安く安定した住居形態はないのか? 悩みを繰り返す渦中で新しい住居の世界を発見した。 いわゆる「シェアハウス」。 共有経済に力づけられて登場した「共有住宅」だという。 月貰は周辺の相場より安く、保証金も二か月分の月貰水準だ。 傾いた。 いよいよ住む家を見つけたような気がした。

「投資開発株式会社」が運営するシェアハウス

ソウル都心を中心として、シェアハウスを見つけに出た。 真っ先に訪れたのは、江南の真ん中にあるAシェアハウス。 投資開発株式会社が運営する所だ。 この会社はシェアハウスだけでなく、 シェアオフィス、シェアファクトリーなどの共有空間を企画、開発する業務を行っている。 マスターリース(業者が建物全体を賃貸してこれをまた再賃貸して管理する方式)、 委託管理サービスをはじめ、不動産開発ファンド造成、 公共基金を活用したファイナンシング戦略コンサルティングなどの 不動産投資と開発に関する全般的な事業をしている。 この会社が保障する運営収益は5.6%。 彼らにとってシェアハウスなどの共有住宅事業はそれなりにホットな「投資アイテム」だ。

この会社は2016年、老朽ビルをリモデルして、ビルの2つの階にAシェアハウスを開いた。 部屋を見たいというと会社の職員が直接出てきて案内した。 職員と共に最新式の指紋認識装置を使って中に入った。 一階は約52坪の規模で、8つの一人部屋で構成されている。 8人が一戸を共有するわけだ。 トイレとシャワー室は各々3つ。 三人がトイレ1か所を共有しなければならない。 部屋の面積は3.6坪ほど。 部屋は狭くなく清潔で、何よりも静かだった。 価格を聞いた。 保証金200万ウォンと月貰52万ウォンだという。 光熱費は「ハメ(ハウスメイト)」がN分の1で分ける。 1か月約4万ウォンだ。 管理費もまた別途に6万ウォンを払わなければならない。 これを足すと月支出は月62万ウォンを上回る。 不動産プラットホーム「タバン」によれば、 江南区ワンルームの平均月貰は57万ウォンだ。 ワンルームより高いシェアハウスだった。

もう少し月貰が安い麻浦区のBシェアハウスへ向かった。 ここを運営する会社はソウルに38件のシェアハウスを持つ 別名「シェアハウス ブランド」業者だ。 Bシェアハウスは麻浦にあるアパートの一戸を活用している。 4つの部屋の50坪型空間だ。 4人部屋と2人部屋がそれぞれ一つ、1人部屋が2つある。 合計9人が一戸を共有するわけだ。 現在二人部屋が空室になっている。 ベッド二つと小さな机二つが入る程度の空間。 ここの二人部屋の賃貸料は保証金74万ウォンと月貰37万ウォン。 1人部屋は保証金100万ウォンと月貰50万ウォンだ。 管理費と光熱費は月8万ウォンと高いほうだ。 8万ウォンのうち3万ウォンがシェアハウス業者が持っていく分だという。 入居した時に業者に事務手数料5万ウォンを仲介手数料的な概念で支払わなければならない。 二人部屋の場合、月々の支出予算は40万ウォンを上回る。

Aシェアハウス1件から発生する収益はおよそ月420〜450万ウォン。 Bシェアハウスのアパート一戸から発生する収益もまた約400万ウォンになる。 建物所有主と業者の立場としては、少なくない固定収益が発生することだ。 では収益分配構造はどうだろうか。 まず契約形態によって違う。 建物所有主がシェアハウス業者に運営を委託する場合、 業者は収益の約20%を持っていく。 シェアハウスが家主から空間を賃貸し、入居者に再賃貸する式で運営事業をする場合、 業者は家主に一定の契約金を払うだけで残りの収益をすべて持っていく。 過去には単に家主-賃借人の間で賃貸借契約がなされたとすれば、 今は専門不動産共有業者を媒介として多層的、多段階契約がなされているわけだ。

見つけた、ソウルの超特価シェアハウス

中間業者が混じった多段階契約はどうしても高くならざるをえないと判断した。 それで国内最大の不動産直取引カフェ「ピーターパンの良い部屋探し」に接続した。 ソウル地域のシェアハウス掲示板に一日約200件(重複含む)の文が載っている。 個人が所有するシェアハウスに直接入居者を求めるという文が多かった。 ここでかなり興味をそそるCシェアハウスを見つけた。 保証金と月貰がそれぞれ23万ウォン、その上管理費もなく、 ソウルで一番安いシェアハウスだ。

位置はソウル駅から5分の距離。 華麗なビルでさえぎられた竜山区東子洞の密集地域だ。 Cシェアハウスは丘の頂上にあった。 教会付属の建物を改造して作ったものだった。 入口には古くなった「宣教院」の看板がかかっている。 数十年たった建物のようだった。 Cシェアハウスは合計3階だった。 各階ごとに6個の個人室があって、6人が一階を共有する構造だ。 ソウル駅前にあるため、大部分の入居者が20代〜30代の会社員だという。

個人の部屋の面積は約2坪だった。 比較的大きな窓があったが、高い塀があって陽光は入らなかった。 建物が密集している地域なので他の部屋も陽光が差しこんでくる余裕がなかった。 そのためか、居間全体が暗く空気は湿っぽかった。 Cシェアハウスの管理人はここを「考試院の拡張版」と考えれば良いと淡々と話した。 都心に出張にきて1〜3か月短期滞在する人もいて、 2〜3年暮らしている入居者もいると話した。 そのために最低契約期間がないという。 都心のまん中という最適の位置条件で、空室があまり出ないとも付け加えた。 Cシェアハウスに居住する人は約18人。 彼らが月貰23万ウォン払うと414万ウォンだ。 業者も介在しないので、すべて家主の財布に入る。 みすぼらしい建物にもかかわらず、家主は確実な収益を上げていた。

公共シェアハウスは奇跡…

かびと湿っぽいのは避けたかった。 政府と地方自治体が供給するシェアハウスに目を向けた。 公共賃貸なら施設も価格も合理的ではないだろうか。 ちょうど国土交通部は2022年までにシェアハウス5万室 (建設型3万室、買入型1万室、賃借型1万室)を供給するという。 これは文在寅(ムン・ジェイン)大統領の公約事項でもあった。 ソウル市も青年を対象とするシェアハウスの供給に力を入れている。 現在、ソウル市は土地賃貸部社会住宅、リモデル型社会住宅を相場の80%で供給している。 今回こそ、公共シェアハウスで「私の部屋」を見つけると約束した。

道峰区倉洞にあるDシェアハウスを訪れた。 ここはLHが買いとった新築の建物を某社団法人がシェアハウスで活用して賃貸・運営する公共型シェアハウスだ。 該当社団法人にDシェアハウスを見たいというと、入居者につなげてくれた。 入居者が直接空室に案内した。 ここは15.8坪空間を3人が共有する構造であった。 部屋はすべて2〜3坪ほどの一人部屋だ。 社会新人と大学院生の2人が3月から入居して暮らしている。 約3坪の部屋は保証金300万ウォン、月貰30万ウォンだ。 LH管理費と公課金は約3万ウォン。 やはり入居者が1/Nで分ける。 企業が運営するシェアハウスより確かに安かった。 2坪の部屋は月貰が15〜20万ウォン水準でさらに安い。 部屋を案内してくれた入居者は2坪部屋を使っているが、 とても狭くてほとんどの時間を居間で過ごしていると話した。

契約期間は6年だ。 賃貸料はLHが2年ごとに策定する。 契約手続きはかなり複雑だ。 入居希望者が賃貸運営主体の社団法人に書類を提出すると、 社団法人はまた住居福祉財団にこれを渡し、 住居福祉財団はLHに審査を要請する。 最終的にLHが入居適格審査を経て予備入居者の選定を通知する。 手続きに必要な時間だけでも3か月だ。

手続きが複雑だということを除けば、価格と条件などは民間より優秀だった。 では現在、ソウルにはどれほど公共シェアハウスがあるのだろうか。 ひとまずソウル市が運営する「社会住宅プラットホーム」で確認できる公共シェアハウスは40か所ほどだ。 非常に不足した物量だ。 その上、ほとんどがソウル都心から比較的離れたところにある。 恩坪区に6か所、江北区に5か所、冠岳区に5か所、城北区に4か所など、 平均住宅価格が低い地域を中心に公共シェアハウスが分布していた。

そればかりか、公共シェアハウスさえ民間委託で運営される場合がほとんどだった。 政府や公企業が民間業者にリモデル費用を支援したり、 シェアハウスを作るように公共所有地を賃貸する方式だ。 青年住居費をめぐる多段階賃貸運営を事実上、政府が支援しているのだ。 現在、不動産業界でシェアハウスは「高収益を保障する注目投資アイテム」に成長した。 そして不動産市場が「投資アイテム」に視線を転じたそこには、 住宅難と低賃金に苦しむ青年たちがいる。[ワーカーズ55号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-06-04 17:27:49 / Last modified on 2019-06-06 10:50:51 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について