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韓国:資本の出口戦略、不動産市場は相変らず熱い
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資本の出口戦略、不動産市場は相変らず熱い

[ワーカーズ・イシュー(1)]投機勢力から建設資本、限りない「不動産好況期」

キム・ハンジュ、ユン・ジヨン、チョン・ウニ記者 2019.05.30 16:35

ワーカーズ・イシュー(1)目次

  1. この家がわが家ではない理由
  2. 3億ウォンで見つけて、ホームズ
  3. 資本の出口戦略、不動産市場は相変らず熱い
  4. ホットな投資アイテム、シェアハウス、青年たちは二回泣く
  5. ドイツの不動産企業没収運動...「皆のための社会化を!」

2017年の8.2不動産対策からその年の11月の分譲価格上限制と住居福祉ロードマップ。 翌年の総合不動産税改編案と9.13対策まで。 この2年間、文在寅(ムン・ジェイン)政府は住宅価格安定と投機需要抑制、 実所有者の「マイホームの機会」を拡大するためのさまざまな対策を吐き出した。 政策効果に対する政府と与党の評価は概して肯定的だ。9.13対策以後、 住宅価格が下降安定傾向に入り、投機需要も抑制されているという。 だが現実の体感温度は政府与党が期待するほど高くはない。 文在寅(ムン・ジェイン)政府以後、 住宅価格は絶えず上がり、マイホームを持つことはさらに難しくなった。 資本と投機屋は政府の規制を迂回する新しい脱出口を探したり、 政府と協調してもうひとつの投機市場を作った。 「ワーカーズ」が『投資』という名でもうひとつの投機市場を構築している彼らの動きを探ってみた。

[出処:ホン・ジノン作家]

1. アパート投機には終わりがない

去る4月、今年になって初めてソウルのアパート平均売買価格が8億ウォン以下に下がった。 だがそれほど歓呼するほどの数値ではなかった。 いくら価格が下がったとはいえ、前年12月の売買価格と較べれば、 やはり11.3%高かった。 文在寅政府になってからも アパート価格は着実に上がった。 実際に2017年4月、ソウルのアパート平均売買価格は5億6774万ウォンだ。 そして2年後の2018年4月。 ソウルのアパート平均売買価格は7億9921万ウォンを記録した。 2年でソウルのアパート価格は何と40.77%も沸き上がったわけだ。

ソウル25区の中で上がらないところはなかった。 平均売買価格が一番低い衿川区は2017年4月の3億1137万ウォンから 今年4月は4億301万ウォンと29.42%上昇した。 平均売買価格が最も高い江南区は11億1661万ウォンから15億8201万ウォンへと41.67%上がった。 一般庶民には追いつけない険しい上昇速度であった。 2017年、全労働者の月平均賃金は288万ウォン。 2018年には300万ウォンだった。 不動産価格が高騰する間、労働者の賃金はせいぜい4.55%上がっただけだ。

アパート売買市場が凍りついたとしても、相変らずアパート投機に向ける熱気は熱い。 いわゆる「不動産専門家」は、安定傾向を見せている今が「投資の適期」だとして投機をあおる。 「持っていれば上がる」という不変の法則がこわれることは絶対にないということだ。 去る5月16日、ソウルのコエックスで大規模財テク博覧会の 「2019ソウルマネーショー」が開かれた。 3日間続く株式、創業、不動産などの投資戦略セミナーで、 唯一不動産関連セミナーだけが早々に申請を締め切った。

ある不動産専門家は 「規制の中で見つけた未来価値! 今でも買わなければならないアパートはある」という主題のセミナーで 「誰もが迷う時が、あなたが動くべきタイミング」だと強調した。 10年をながめる長期投資はほとんど上がるほかはなく、 5年の中期投資は好材料が実現されれば上がるということだ。 実居住目的の需要が多い地域で竣工10年未満の新しいアパートは「買ってもよい物」、 ソウルと京畿上位10地域の新しいアパートと、 地方核心地域で一番高いアパートは「無条件に買わなければならない物」に選んだ。 「嫌悪施設除去地域」に注目しろというヒントも付け加えた。 軍事保護施設、鉄道と鉄道および車両基地、発電所、外国人集団居住地などが撤収する地域は無条件にプレミアムがつくということだ。

2. 政府が与えた機会、不動産信託会社は史上最大の実績

不動産市場の沈滞の中でも不動産開発金融業界は好況期を享受している。 昨年、不動産信託会社の営業実績は史上最高値を記録した。 昨年、これら11社は5077億ウォンの当期純利益を上げ、 各社はすべてが200億ウォン以上の黒字を見た。 不動産信託会社は多数の投資家から土地の信託を受け、 これを開発・管理した後に分譲または賃貸収入で投資費用を回収する会社だ。 これらは現在の開発物量の減少、住宅価格上乗の鈍化、地価上昇による開発費用の増加などの市場状況がうれしいはずがない。 だが政府の政策は彼らに「機会要因」という新しい脱出口を開いた。

去る5月16日、ソウル建設会館で開かれた 「不動産開発金融トレンドと発展方案セミナー」で、 不動産信託会社は政府の「大規模地域開発事業」を機会要因にあげた。 政府が発表、推進した「住居福祉ロードマップ」と「都市再生事業」等の事業が 市場拡大につながるという期待だった。 実際に彼らは住居福祉ロードマップで開発金融の需要が拡大すると予測する。 年間10兆ウォン規模の都市再生事業にも積極的に介入し、 機会を確保するという期待感も表明した。 都市再生を含む大規模開発事業が複合開発形態(住居+商業用不動産)なので、 地方自治体とともに「汝矣島パークワン」のような大型複合開発事業も活発に展開するという計画だ。

不動産信託会社はいわゆる「金の卵を生む鶏」に通じる。 投資家が預けた資産を再投資して莫大な不動産利益を享有しているためだ。 政府が進める都市開発事業が彼らにとっては「機会」になるということは、 莫大な国家財政が彼らの「不動産利益」に流れて行くということだ。 事実、文在寅政府は 昨年3月、何と10年ぶりに不動産信託会社三社の新規認可を推進した。 新規進入した三社ともに強大な資本力を持つ証券会社を基盤にしている。 業界では今後、政府の都市再生産業などの新事業を先行獲得するための 信託会社の無限の競争が続くと見通している。

[出処:ホン・ジノン作家]

3. 賃貸市場に押し寄せる大きな損失、建設会社

過去に開発・分譲を中心として図体を大きくした国内の建設資本も 「不動産総合サービス」の名前を付けて賃貸市場に飛び込んだ。 大規模開発事業が限界に至り、 不動産賃貸管理などで収益性を確保するという一種の「出口戦略」だった。 現在、建設資本は「分譲、賃貸管理、売却」に至る全過程のサービスを提供し、 事業領域を拡大している。

大型建設業者の中では業界4位の大宇建設が2015年に初めて不動産総合サービス市場に進出した。 アパートに不動産総合サービス「D.Answer」を初めて適用して入居者募集をした。 その他の建設企業も後発走者として続々と合流している。 コオロングローバルは2017年に賃貸住宅ブランド 「COMMON Life」を作り、賃貸市場に進出した。 これ以外にも昨年中旬、ロッテ建設をはじめシニョンエセット、 新世界建設、徐照グループ、宝城グループ、ハンシン・コンヨンが、 今年4月にはHDC現代産業開発が不動産総合サービス事業を始めた。

不動産総合サービス事業を水面下で支援しているのは政府だ。 国土交通部は不動産総合サービスの革新を誘導するとし、 2016年2月に不動産サービス産業発展方案を作り、 11月から「ネットワーク型不動産総合サービス認証制」の試験事業を推進した。 昨年6月には不動産サービス産業振興法案(金玄(キム・ヒョン)自由韓国党議員発議)を施行して支援体系を整備した。 国内の企業の「不動産総合サービス」は、 日本などの事例をベンチマーキングしている。 海外からはすでに大型建設会社を中心として不動産総合サービスが形成されている。 特に43の系列会社を率いる三井不動産やドイツのVonovia、DWなどが代表的だ。

4. 新しい投機市場、シェアハウス

「不動産賃貸業のブルーオーシャンはシェアハウスです。 すでに日本ではシェアハウスのような共有住宅が『失われた20年』を解決した財テク一等商品でした。 8人賃借人がいれば賃貸収益は年8%〜12%まで増えます」(2019ソウルマネーショー、キム・ミンス スマートハウス代表の発言)。

数年前までシェアハウスは青年住宅難を解決する「代案住宅」の性格が強かった。 だが最近のシェアハウスは不動産業界で一番有望な「今年の投資アイテム」に浮上した。 実際に小資本と企業等が押し寄せて、 シェアハウス市場規模は幾何級数的に成長した。 シェアハウスポータルの「コメンステイ」によれば、 シェアハウス市場は2013年から5年間で26倍に成長した。 現在ここに登録されたシェアハウス業者だけでも252社に達する。 そのうち上位17社を除く235社は、10か所以下の支店を運営する小規模業者だ。

運営方式は多様だ。 業者がシェアハウスを新築して運営したり、 建物を買収あるいは賃借りしてリモデルした後に運営したりもする。 運営方式により、投資収益率は12〜25%まで多様に発生する。 市場が大きくなりながら、 不動産総合サービス企業の京城リッチ、住宅賃貸管理専門業者のスマートハウスなども シェアハウス市場に飛び込んだ。 先月には国内最大の不動産プラットホーム業者である「即決」が 優良シェアハウス業者の「宇宙ハウス」を買収した。

シェアハウスが投機市場に変わり、シェアハウスの「安い賃貸料」も揺れている。 ソウル市立大都市工学科のユ・ソクヨン教授などによれば、 需要者が好むシェアハウスの適正賃貸料は20〜30万代、 供給者の選好賃貸料は40〜50万ウォン代であった。 業界では最近シェアハウス賃貸料が供給者の要求に従っていく傾向だと分析している。 昨年12月にソウル市のシェアハウス一人部屋平均賃貸料は48万ウォンから、 6か月で8千ウォン上がった。 二人部屋の場合、40万6000ウォンから1万6千ウォン増加した。 保証金もまた上昇の勢いだ。 「コメンステイ」は報告書で 「最近中型級の運営社で保証金を百万ウォン以上に上げ始めた」とし 「このような現象がどこまで広がるのか凝視すべき部分」と明らかにした。[ワーカーズ55号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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