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貧困の色

[ワーカーズ 人権の場所]釜山兄弟福祉院と大淵牛厳共同体

ミョンスク(人権活動家) 2018.07.10 11:58

▲無縁墓地[出処:キム・ヨンウク]

ソウルより南側の釜山は予想と違い、空気が冷たかった。 東から吹いてくる風の違いで温度差が10度程度あるというが、 出発した時のソウルよりも寒かった。 遅い春と早い秋の気候を一日に体験するようだった。 釜山地域で見て回った場所の色も、そのように差異が大きかった。

今回の人権紀行の道案内は、釜山障害者差別撤廃連帯シン・スヒョン代表だ。 彼は「釜山兄弟福祉院事件真相究明のための対策委」共同代表でもある。 彼と会った駅広場は工事中だった。 すでに広場の左側には駐車場が作られていた。 鳥瞰図を見ると広場は階段式の花壇に変わる予定だ。 釜山駅広場はメーデーのような大きな集会の時に人々がたまに集まる場所だが、 もう彼らの立つ場所も小さくなりそうだった。 シン代表は何よりも木かげのベンチが消えることを惜しんだ。 大きな木の下に丸く設置されたベンチで暑さを避ける場であった。 旅行客だけでなく、釜山駅にある野宿者のための所でもあった。 残ったベンチには野宿者が大小集まって、談笑していた。 シン代表は、あるいは今回の公社は野宿者を追い出すための美観工事ではないのかと憂慮した。

▲実にガンの家[出処:キム・ヨンウク]

国家が作った拉致と暴力劇

兄弟福祉院があった時、釜山駅から野宿者が消えたという地域民の話のように、 釜山駅はいわゆる浮浪者と呼ばれる人々を強制的に連れていった人権蹂躙の場所でもあった。 時には服が汚いという理由で、時にはガムを売っているという理由で、 住民登録証がないという理由で拉致されるように連れて行かれた。 そこには家族と分かれた青少年もいた。 私が会った兄弟福祉院被害生存者もここに連れて行かれた。 釜山駅公安(駅で安全警備を担当する人)は、家に連絡したり派出所で引き継ぎをせず、兄弟福祉院に連絡した。 摘発の根拠は1975年に制定された「内務部訓令第410号浮浪者の申告、摘発、受け入れ、保護と帰郷措置および事後管理に関する業務指針」だ。 全方位的な社会統制をした朴正煕(パク・チョンヒ)独裁政権が作った訓令だ。 全斗煥は1981年、 乞食行為が多いとして国務総理に特別指示を下し、 1982年から個人が経営する福祉法人に対して政府が補助金を支払って浮浪者善導事業をした。 政府は36の浮浪者施設に約80億ウォンを支援して、拉致と監禁、暴力を勧めた。

兄弟福祉院に連れて行かれた人々は生き地獄を経験した。 釜山市北区(現沙上区)チュレ洞11番地。 1977年、兄弟福祉院法人は国家から安く国有林を買いとって施設を作った。 そこは暴力と強制労役で人々の魂も破壊する死の空間だった。 われわれは兄弟福祉院があった場所に移動した。 3000人を越える人々を受け入れ、500人以上が殺されたその場所には、アパート団地になっていた。 当時の痕跡を推察できる所はアパート団地の裏にある小さな山が全て。 そこには共同墓地もあり、教会もあった。 丘にある施設で外界のあかりを見ながら、世の中を懐かしんだ彼らを想像してみる。

昨年、被害生存者はアパート団地の入口に集まって、兄弟福祉院事件真相究明を要求する国土大長征を始めた。 思いのほかアパート住民は被害生存者らを励ました。 きちんと真相究明をして、自分たちが生きる土地に埋められたくやしい怨みの霊を慰労しなければならないといった。 そうすれば自分たちも気が楽だと言って。

凄然な無縁故者の墓

われわれは機張にあるパク・イングン一家が運営していた重症障害者施設 「シロアムの家」に立ち寄った。 そこは先日閉鎖された。 最近のように丘に作られたそこは、障害者が閉じ込められていた所だ。 あちこちに入った亀裂を見た後、兄弟福祉院で犠牲になった人の一部が埋められているという金井区のヨンナク公園に行った。 事実、兄弟福祉院で死んだ人の数もきちんと把握されず、どこに埋められたのかもわからない場合が多い。 釜山市公園墓地管理所(現ヨンナク公園事業団)の埋葬処理簿に記載された兄弟福祉院(兄弟院)の無縁故遺体数は1986年基準で23人だった。 だが2014年、兄弟福祉院が閉鎖された後の1987年から1988年までの2年間、 兄弟福祉院出身無縁故遺体38体が仮埋葬されたという新しい事実が明らかになった。

▲実にガンの家[出処:キム・ヨンウク]

▲無縁故者の墓[出処:キム・ヨンウク]

シン代表はヨンナク公園の墓は兄弟福祉院が釜山大に解剖用遺体として売った犠牲者を集めたところだといった。 公園の一番後に合掌墓があった。 合掌墓があったところは無縁故者の墓地であった。 20cm幅の石で作られた無縁故者の墓碑には名前もなく、番号だけが彫られている。 番号を追っていくと、その人が死亡した場所や名前が分かるという。 無縁故者とは、辞書的には血統、愛情、法律などで結ばれた関係も、縁がある人もなく死んだ人だ。 単独で家や道路で、または兄弟福祉院のように収容施設で死んだ人々だ。 あの無縁故者の中にも兄弟福祉院から脱出して死んだ人々もいるだろう。 兄弟福祉院がひそかに外に遺棄した人々もいるだろう。 無縁故者墓碑のそばに白い野花とネコジャラシに似た銀色のすすきが手まねするようにゆらゆらと揺れる。 私たちも生きている人でした、そう言うかのように。 突然の胸の中でからからと寂しい音がする。

釜山兄弟福祉院対策委は名節になるとここで過ごすといった。 一度は名節を控えて合掌墓で活動家と共にいると、子供と一緒に来た男が近付いてきて有難いと挨拶をしたという。 自分の兄が兄弟福祉院に閉じ込められて死んだと。 息も出せず、暴力に苦しんだ彼らは墓碑もなくそうして埋められた。

やや暖かくて明るい貧困の姿

われわれは無縁故者墓地で感じた凄然な感情を抱いて釜山南区に移動した。 「大淵・牛厳共同体」を訪問するためだ。 国連ロータリーを通り、釜山外国語大学校に通じる道の中間の丘を上がると仮設の建物のように見える四角型の建物に「大淵牛厳共同体」と記されている。 色とりどりに人の顔も描かれている。 村会館だ。 ソン・イホン共同体執行委員長から村の歴史を聞いた。彼は住民運動講師でもある。

▲大淵牛厳共同体[出処:キム・ヨンウク]

▲大淵牛厳共同体[出処:キム・ヨンウク]

現在「大淵牛厳共同体」に居住する公式人員は53世帯130人だ。 共同体が作られて長く、住民たちの平均年齢が上がったという。 彼らは釜山外大所有の土地に無許可の建物を作って暮らす人々だ。 87年の民主化運動以後、家の価格も、家賃も空より高く上がっていた時、 日雇いで毎日を暮らしていた人々が自ら竪穴を作って板張りの粗末な家を作って住んでいた。 本来は山林庁の所有地だったが、88年に住民にも知らせず釜山外大に売り払ったのだ。 そのうちに1990年10月、釜山外大が戒告状や行政代執行告知もなく強制撤去を始めた。 撤去場面がニュースで報道され、言論はここを「鉄塔の村」と呼び始めた。 彼は95年から住居権という概念を聞いて村作りを始めたという。 住民たちは教育を受けて、議論と活動をしながら、人権意識が高まったといった。

当時には村に電気もなく水道もなかった。 機関を訪ねて行けば無許可の建物なので電気を引けないと言われた。 何度も訪ねて行くと、電信柱があれば電気を引くと言い、 それで直接住民が捨てられた電信柱をたてた。 水道局でも水道を引かないと言った。 全ては村住民の力で作られた。

「無許可なので電気も水道もだめだというのは、住民を卑下してさげすむことでしかありません。 お前たちが泣いても助ける人はいない、そう思って排除するんです。 われわれの家は無許可だが、人が無許可か、 人が生きるのに基本的なことはするべきでないかと抗議しましたよ。」

道路の舗装も桜も住民たちがみんな自分たちで作って植えた。 2000年に住居対策委を作って2005年に「大淵牛厳共同体」に名前を変更した。 釜山慶南で唯一、占有権者が自発的に作った組織で、 地方政府の支援なしで住民たち自らが運営する村組織だ。 共同体はそこに住宅を作るので1000坪を売れと釜山外大にいったという。 2013年、共同体は自助住宅を建設するためにシアル住宅協同組合を作った。 自分たちが死んでも自立的な共同体が維持されれば良いと望む。

共同体は毎月二回の住民会議をして、清掃で警戒所当番を順番で引き受ける。 きのこや瓦松を栽培して、古物や古い服を集めて販売し、村の財政を作っていた。 その金で毎年10月には外部の客とともに住民祭りをする。 歴史を説明するソン・イホン氏の顔に満足と自信がにじむ。

話を終えた後、一緒に村シェルター、作業場と警戒所を回った。 村のあちこちにはスローガンの表札板の他にも直接作った花畑と作業場があった。 素朴だが美しいものなど。 貧しいから、くすんでつらいことだけではないんだと思った。 貧困の色を暗くするのは国家権力なのだな。 兄弟福祉院にいた人たちも国家の浮浪者収容指針がなければ、こうして自由に自立的に暮らせたはずなのに…。

国家権力が育てた貪欲に満ちるソウルに帰っても疲れなかったのは、 短い時間だが共同体の光を見たおかげではないか。 「大淵牛厳共同体」の人々の明るい表情がちらついた。 思わず微笑が浮かんだ。 心の力を充電したように気持ちが強かった。〈ワーカーズ44号〉

▲シロアムの家[出処:キム・ヨンウク]

▲シロアムの家[出処:キム・ヨンウク]

▲シロアムの家[出処:キム・ヨンウク]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-07-17 20:28:11 / Last modified on 2018-07-17 20:52:51 Copyright: Default

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