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News Item 20170707
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世の中が変わったのに、なぜまだ非正規職はそこにいるのですか?

[ワーカーズ]労働の追憶

オ・ジノ(非正規職ない世の中作りネットワーク) 2017.06.27 10:29

6月7日、ユソン企業、トンジン・オートテック、現代・起亜車の非正規職労働者たちが 清雲洞事務所前で野宿座り込みを始めた。 座り込み前日の夜まで心配していた。 鄭夢九(チョン・モング)の胸像を下ろすことを警察が防いだらどうすればいいのだろうか。 テントを張ればすぐ警官が駆け付けて壊してしまうだろうが、 夜中にテントを張って戦わなければならないのか。 目新しい心配ではなかった。 2013年、双竜自動車の解雇労働者たちと現代自動車の非正規職労働者たちが清雲洞事務所の前で座り込みした日には、 アンプもまともに下ろすことができなかった。 2014年には清雲洞事務所近くの60余か所に集会申告を出したが、 すべて禁止通知を受けたこともあった。 2015年の五体投地デモ行進では、清雲洞事務所前で記者会見をしたという理由で、 集示法違反の容疑で裁判まで受けている。 一回記者会見をするために、連行と暴力を「決意」しなければならない空間、 そこが清雲洞事務所であった。

[出処:パク・タソル記者]

しかし6月7日午前の雰囲気は全く違っていた。 清雲洞事務所から青瓦台に通じる道を埋める車壁もなく、警察兵力も少なかった。 相変らず情報官は多かったが、以前とは全く違って軟らかい雰囲気まで漂っていた。 記者会見が終わって鄭夢九(チョン・モング)の胸像が入ってきた。 期待(?)していたのとは違った。 序盤に少し進入を阻止されたが、参加者の激しい抗議の後には特に無理もなくM 胸像が座込場に入ってきた。 午後遅く張ったテントにも、警察は特別な制裁をしなかった。 そうしておよそ十年ぶりに「最低限の人権を守る装備を備えた最初の青瓦台野宿座り込み」が始まった。 「内部の改革がなければ捜査権もない」という青瓦台のメッセージが出されていくらも経たない時期なので、 警官の対応が特別だったのかもしれない。 それでもキャンドル抗争によって変わった世の中がどんなものなのかを改めて実感した日だった。

「非正常の正常化」とは、こうしたことではなかったのだろうか。 青瓦台の前で一回記者会見をするために身を投げ出さなければならなかった時間。 市庁広場と大漢門、光化門広場で一回テントを張ると地団駄を踏んだ記憶が蘇った。 山犬のようにテントに飛びかかる警官たちに 「少なくとも人間としての礼儀は守れ」と叫んだ言い争いも。 当然のことを当然だと叫ぶことが「勇気」でなければならなかった場面も、走馬灯のようによぎった。 当然の権利が保障される経験に、喜びより虚しさの方が先んじた。 この日の経験が変化の開始なのか、変化の全てなのかは分からないが、 とにかく政権が変わったことを初めて体で感じた。

非正規職、まだ堅固な積弊

野宿座り込みを始めた労働者たちは 「積弊1号・鄭夢九(チョン・モング)を拘束しろ」として、現代・起亜自動車の不法と便法に対して政府は厳しく処断することを要求している。 この前の5月19日、大田地方検察庁天安支庁は、現代自動車の購買担当役員など4人と現代自動車を起訴した。 部品メーカーの労組破壊の問題で元請が起訴された異例な事件だった。 起訴までの過程は険しかった。 ユソン企業の労働者たちは、2012年から現代自動車の責任者の処罰を要求した。 労働組合が現代自動車を告訴すれば検察は不起訴処分にして、 労働者たちが裁判所に裁定申請をすれば、検察が再び不起訴処分にした。 労働者たちが追加の証拠を確保して再度告訴すれば、 検察がずるずると事件をもみ消すことがこの6年間、繰り返されてきた。 諦めようとしない労働者と弁護士の馬鹿力が、現代自動車を司法の秤に乗せたのだ。

現代・起亜自動車の不法派遣も同じだ。 2004年に初めて労働部が不法派遣判定を出してから8年経ってやっと大法院は社内下請労働者(チェ・ビョンスン)が不法派遣であり、 正規職として雇用しなければならないという判決を出した。 続いて2014年には現代自動車1179人、起亜自動車468人の勤労者地位確認訴訟で勝訴の判決が続いたが、 相変らず会社は不法派遣の労働者たちを正規職に転換せずにいる。 不法派遣だけではない。 ドンヒオート、マンド・ヘラー、現代モービス、現代グロービス、現代ウィアなどの正規職ゼロ人工場、 現代グロービスが東進支会の労働者に行っている労組弾圧まで。 労働者たちに当然認められるべき最低限の権利が崩れた職場を作り、 法で決められた最低の処罰からも逃げる企業がまさに現代・起亜自動車だ。

イミョンパククネ政権の10年が最低限の人権と民主主義を踏みにじったとすれば、 鄭夢九会長一家はそれよりさらに長い間、 労働の権利を押し倒し、労働積弊を積み重ねた。 彼らが金の力で勝ち取った免罪符は、他の財閥と企業主がためらいもなく不法に飛び込めるように自信を吹き込み、 彼らが設計した正規職ゼロ人工場、労組破壊マニュアルは、産業構造の全般に食い込み、 悪い雇用を増やすために重要な役割を果たしてきた。 それで現代・起亜自動車非正規職、ユソン企業、東進支会をはじめとする部品メーカーの労働者たちの座り込みは、 労組をする権利を踏みにじる韓国社会に警鐘を鳴らす闘争だ。

共に作った勝利の経験、組織化につなげよ

派遣法が導入されてから20年。 構造は重層化され、差別は固定した。 全く同じ仕事をしているのに異なる賃金を受けることが自然になり、 特殊な雇用構造だったはずの「非正規職」がいつのまにか普遍的な雇用構造になった。 どこから手をつければいいのかさえわからない程に巨大な非正規職問題。 今すぐ非正規職の法・制度をなくすのは不可能だから、差別を減らす方式を選ばなければならないという主張が出てくることでもあろう。 だがわれわれは不可能だと思ったことを現実にした経験を持っている。 現職の大統領を引き下ろし、大韓民国最高の財閥総師を拘束させた。 集会デモの禁止区域のように思われてきた青瓦台の前を開き、 広場では無数に多くの積弊を告発した。

朴槿恵(パク・クネ)退陣局面を経て、また労働組合の扉を叩く人々がいる。 新しい政府への期待が作った変化かもしれず、キャンドルを持った経験が作り出した変化かもしれない。 今では彼らとともに暮らしを変える期待を作り出す番だ。 20年近く社会のあちこちに食い込んだ非正規職法と制度、職群という名目で、アルバイトという名前で、 受けてきた差別に亀裂を作る期待が必要だ。 この期待は昨年の冬がそうだったように、誰かの恩恵授与や恩恵で作られるものではないだろう。 変化は可能だという信頼、自分の職場を変えられるという自信、 新しい夢に対する希望が集まった時、 始めて職場を変える種になることができる。 私たちが昨年の冬、共に持ったキャンドルが世の中を変えたように、 今では共に団結する労働組合が新しい変化を作る。[ワーカーズ32号]

原文(チャムセサン/WORKERS)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-06-29 22:09:40 / Last modified on 2017-06-29 22:09:41 Copyright: Default

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