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非正規職死の行列、労働運動はどこに消えたのか

[ワーカーズ 労働の追憶]団結よりも高空の方が近い時代

オ・ジノ(非正規職ない世の中作りネットワーク) 2017.04.28 07:51

2016年12月14日午前3時30分。 慶北慶山の珍良工団にあるCUコンビニで殺人事件があった。 20ウォンのレジ袋の代金のために、客ともめたアルバイト労働者は、 また客が持ってきた凶器で刺されて命を失った。 なぜ被害者が逃げられなかったのか、いや初めから工団の真中にあるコンビニが、 なぜ午前3時30分に営業をしていなければならなかったのかを問わなければならなかったが、事件は静かに流れた。 退路がないレジに、最低限の護身具もなく閉じ込められていた労働者の死は、そうして忘れられていった。

事件の初期、この死を社会的に知らせようと動いた人たちもいた。 アルバ労組は事件翌日、CU本社のBGFリテイルの前で殺害された労働者を追慕して、 コンビニ・アルバイト労働者の労働実態を告発する記者会見を行った。 記者会見の後、CU本社と行った面談で、本社は 「遺族協議は店主と持続的に努力中」とし、遺族との十分な協議をして事件をきちんと終わらせる、安全対策の部分は努力すると述べた。 面談でCU本社が見せた態度と好意を信じて、アルバ労組は面談を終わらせた。

そして100日経った去る3月中旬頃、アルバ労組は被害者の友人からの連絡を受けた。 CU本社は一度も遺族側に連絡をせず、遺族の対話の試みを意図的に遮断する態度を見せているということだった。 面談で本社の広報チーム長の好意を信じて帰った彼らは背信を感じた。 面談でCU本社が見せた好意は何だったのだろうか。 弾劾直後、果てしなく熱くなっていたキャンドルの力がCUに向かわないことを望む小細工だったのだろうか。 あるいは対応策ができるまでの時間稼ぎの接待性コメントだったのだろうか。

[出処:整理解雇撤廃! 非正規職撤廃! 労働三権争奪! 労働者・民衆生存権争奪のための闘争事業場共同闘争委員会]

職場、利益と安全の間

コンビニに立ち寄ってレジをながめる。 顧客と向き合ったテーブルをたたまなければ外に出られないレジ、 アルバイト労働者が動くにはとても狭いレジ。 あちこち物がいっぱいに置かれて飛び越えることもできないレジ。 不意の事故が起きれば孤立するしかない。 小さな店舗にあらゆる種類の品物を並べるので、棚のあちこちに「効率」を考慮した配置が見られる。 しかしまさに働く労働者の「安全」を考慮した配置はない。

アルバ労組コンビニの会が進めた実態調査結果によれば、67.9%の労働者が暴言や暴行を経験した。 このうち一度でも暴行を受けたことがある労働者は9.0%だ。 特に夜間アルバイトは昼間のアルバイトより、暴言や暴行を体験した割合が2倍ほど高かった。 安全のために店舗内にCCTVが設置されているが、CCTVは労働者の安全を守れない。 むしろ労働者の監視や業務指示のために使われるだけだ。

アルバイト労働者の3分の2が暴言と暴行を体験するが、本社はすべての責任を加盟店に転嫁して利益を持って行くだけだ。 コンビニのインテリアを決めるのは本社だ。 「24時間営業」と「19時間営業」などと営業構造を分けて、収益分配率を調整する方式で、24時間営業を誘導するのも本社だ。 光熱費などを差別支援すると言って24時間営業を誘導する所も本社だ。

24時間営業でブランドイメージを上げようとするのも本社だ。 本社が加盟店に強要する契約は、「公正」の仮面をかぶっているが「公正」ではない。 労働者と違わない加盟店の社長は、24時間営業を選ぶ。 収益分配率は考慮しても、アルバイト労働者の安全は考慮しない不正な契約。 そのようにして深夜のコンビニ労働は命をかけなければならない危険な労働になった。

答えよ、労働運動

民主主義を明らかにした広場のキャンドルが消えていき、水面下にあった死が続々とあらわれている。 慶山CUのコンビニ・アルバイト労働者殺害事件。 LG U+コールセンター現場実習労働者の死、 tvNドラマ「一人酒男女」新入助演演出の自殺…。 弾劾可決から2か月で社会にあらわれた死だ。 注目すべきことは、これらの事件が労働組合に組織されないところで始まったという点だ。 非正規労働者の死があふれ、組織も背景もない遺族が闘争に立ち上がる。 職場での「安全」と「生命」が不公平な時代。 組織労働の外で起きるこれらの死の行列は、私たちの社会に大統領一人を変えることを越えた変化が必要だという警告信号だ。

だが今の労働運動が変化の出口を開くバラ色の希望になるのかは疑問だ。 大工場正規職の労働運動を見ていると情けない気持ちになる。 4月7日、起亜自動車正規職労働組合は臨時代議員大会を開いて「1社1労組維持」をめぐって組合員総投票を行う案件を通過させた。 起亜自動車の非正規職労働者たちは、非正規職を正規職に転換せよという大法院の判決を無視して一部だけを正規職として採用するという会社の小細工と正面から闘っている。 起亜自動車支部(正規職労働組合)はこうした非正規職労働者と正規職労働者の間に対立があるとし、分離投票をしなければならないと話す。 10年間、同じ労組の旗の下で活動してきた非正規職を、裁判所の判決を履行しろという当然の要求を叫ぶ非正規職労働者を投げ出すと脅迫している格好だ。

団結より高空の方が近い時代

総投票への議論が現場内外で行われている中で、4月14日に「整理解雇撤廃! 非正規職撤廃! 労働三権争奪! 労働者・民衆生存権争奪のための闘争事業場共同闘争委員会」が 光化門交差点の広告塔で高空ハンストに入った。 高空籠城を始めた労働者たちは、ハイテク、旭硝子、東洋セメント、コルトコルテック、現代自動車非正規職、世宗ホテルなど、街頭で何年も戦ってきた労働者たちだ。 非正規職の人生を変えようとして労働組合を選択した労働者たち、 労働組合を守るために闘争を選択した労働者たちだ。 整理解雇を防ぐために労働組合にかたまって戦った労働者たちでもある。

非正規職労働者を追い出すと脅迫する労働者と、非正規職撤廃を叫びながら食を断ち高空に上がる労働者が「民主労総」という同じ旗の下にいる。 2017年の労働運動が向き合った皮肉な現実だ。 闘争する労働者には団結よりも高空の方が近い。 未組織労働者は闘争よりも挫折を選択する。 ざっとまとめた「団結」と「連帯」、あるいは異質な二つの集団をどちらも満足させようとする「妥協的政策」は、問題解決の答にならない。 労働運動が誰に向かうべきなのかが明確にならなければならない。 もつれた糸の絡み合いはここから解かなければならない。[ワーカーズ30号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-05 07:21:32 / Last modified on 2017-05-05 07:21:35 Copyright: Default

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