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News Item 20170409
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私が生産する労働は社会にどんな影響を与えるか

[ワーカーズ]緑は赤

ヨン・ソンノク(客員記者) 2017.04.03 16:51

昨年9月、蔚山の温山国家産業団地内にある石油化学業者で働いた。 しばしば「プラント建設労働」というが、 機械、製管、配管、溶接、電気等で、石油化学、発電、精油などの工場施設を建設したり設置する仕事だ。

9月12日、慶州で規模5.0と5.8地震が発生した時のことだ。 午後7時44分に1次地震、8時33分に2次地震が発生した。 蔚山市内すべての所で振動を感じることができた。 塀が崩れたりガラス窓が割れ、天井材が落ちたり照明が破損し、エレベータ故障など、 教育機関だけで88か所の被害事例が申告された。 地震が起きた翌日に現場での話題は断然地震だった。 ずっと余震が続き、何日も人々は地震による核発電所の危険について話した。 ある人は避難バッグをまとめて玄関の前に置き、ジーンズを着たまま寝るとも言っていた。 地震と核発電所に対する人々の反応は、大きく二種類に分かれた。 一つは「危険だが、あの核発電所をどうすればいいか」として対策が必要だという人々、 またもうひとつの部類は「爆発すれば皆死ぬね。方法があるか」として仕方ないという人々だ。

私は脱核活動をしてきたため、蔚山に新規建設中の「新古里原子力発電所5・6号機」に意図的に言及した。 新古里5・6号機建設反対ステッカーを車両に貼り、人々に配ったり、核発電所反対に行こうと言ったりもした。 しかし思いがけない返事がかえってきた。 「だめだ。それはメシの種だから」。 新古里原子力発電所5・6号機を建設すれば、プラント建設労働者数千人の雇用が生まれ、 数年は暮らせるということだ。 思いがけない所で伏兵と会った。 核発電所を作ることは、私たちの世代と未来の世代にも核爆弾を抱いて暮らせということと同じだと強弁した。 同じ現場で働いていた人々は「私が働かなくても何が変わるか」程度に受け流した。

▲プラント建設現場で働く労働者[出処]ヨン・ソンノク

彼らの経済論理

韓国水力原子力と蔚州郡など、新古里原子力発電所5・6号機建設賛成論者たちは、 地域経済の活性化と雇用創出を主張する。 彼らは新古里5・6号機の建設は総額8兆6千億ウォン規模の大型建設事業であり、 600社ほどの企業が参加し、主設備工事に投入される延べ人数320万人の賃金が地域で消費されると主張する。 造船業不況で雇用を失った人員が大挙投入されるとも囁かれる。

蔚山には蔚山市庁から半径30km以内に古里と新古里、月城と新月城など、合計14基の原子炉がある。 また2箇所(尾浦、温山)の国家産業団地があるが、有毒物と化学物質の取り扱い量は各々全国流通量の30%を越える。 有害化学物質取扱事業場は470箇所、危険物取扱事業場は5500箇所に達する。

蔚山市、蔚山市議会、環境団体などが最近2年間、数回にわたり蔚山市民を対象として世論調査をした結果、市民の約70%は核発電所建設に対し否定的に答えた。 彼らは「核発電所のために不安だ」、「脱原発政策が必要だ」、「核発電所のために安全が威嚇される」と話した。 韓国は核発電所に比べて過度に人口が密集しており、狭い土地なので霊光、蔚珍、慶州、釜山と蔚山の核発電所事故は韓国全体に影響を与える。

核発電所にために不安だという70%は何をしているか

核発電所で働こうが、石油化学業者で働こうが、 正規職や非正規職労働者、日雇い労働者すべてが 「私が生産する労働」が社会にどんな影響を与えるのかについて、 公論の場で話をしたことは殆どないという考えに至った。

脱核に同意しつつも、核発電所で働く人はどんな感情を感じるだろうか。 プラント建設労働者の中で反資本主義指向を持つある者は 「自己恥辱感を感じる」と言う。 彼は「核発電所で一緒に働いた人々は、エネルギーを核発電所の代わりに風力や水力に変えても雇用は減らないということに共感する」と言う。 しかしこうした話はまだ塀の中でも外でも活発に議論されずにいる。 放射能被曝の恐怖に苦しみながらも、多くの発電労働者とプラント建設労働者、彼の家族は「生計手段」として不安な労働に耐えている。 廃炉費用と核廃棄物処理費用を考慮すれば、非常に高額な電気だが、 「安くて経済的」という核発電論者の論理がそのまま韓国社会を支配してきた。 それに反して韓国の労働運動や環境運動は、危険であるか正しくない労働と消費について、解決法を提示することができなかった。

韓国の労働運動の誤りや責任を話そうというのではない。 韓国の労働運動は、自力で世の中を企画することに集中すれば良い。 核エネルギーを拒否し、自分が働く事業場の電気を自家発電し、 少なくとも人類と生命が核発電労働により破壊されることを防ごうとする悩みがなければならないのではないだろうか。

すでにかなり以前から「赤緑連帯」という言葉があった。 しかし厳密に問い詰めれば、緑と赤は「連帯」ではなく、 同じ条件と環境に置かれている。 「私が生産する労働」は社会にどんな影響を与えるのか? じっくりと考えながら、変化に向けて一歩を踏み出してみよう。[ワーカーズ29号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-04-10 19:31:38 / Last modified on 2017-04-10 19:31:39 Copyright: Default

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