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LNJ Logo 韓国:[WORKERS]4月号 イシュー(2)「変節」と「連帯」、その間で
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「変節」と「連帯」、その間で

[ワーカーズイシュー2]政権交代の風は強く、私たちの記憶は弱い

ユン・ジヨン記者 2017.03.30 20:08

全く新しいものはない。 しかしなぜか新しく見える。 政権交代という四文字があたえる力だ。 「忘れることができます。時間が過ぎれば」。 参与政府の時に同僚を失ったある労働者が話した。 キャンドルを持って来た文在寅(ムン・ジェイン)の旋風はそれだけ脅迫的だ。 「盧武鉉(ノ・ムヒョン)の男」というレッテルだけだった彼が、4年間浪人した末に「ジェントル才人」になって戻ってきた。 新しいことのない人物、新しいことのない政策だが、敗者復活戦は華麗だ。 誰も牽制が不可能な保守野党の旋風。 大韓民国の進歩勢力がすべて集まっているという民主労総さえ避けられなかった。 名前がよく知られている労働界の代表者たちが保守野党の旋風に身をまかせる。 だがこれさえ全く新しくない。 最高に美味しい店でなければ、開店休業中の食堂でただ食事を待つお客さんは多くないものだ。 ある人はこれを「変節」と言い、ある人はこれを「連帯」と呼ぶ。

「ジェントル才人」の労働者軍隊

去る3月3日、CBSの「鄭寛容(チョン・グァニョン)の時事ジョッキー」が主催した共に民主党大統領選候補討論会。 李在明(イ・ジェミョン)城南市長が文在寅民主党元代表に鋭い質問を投げた。 「まず労働組合や庶民ではなく、4大企業の研究所長と会い『大企業財閥が韓国経済の牽引車』と言いましたね? 庶民よりも財閥偏向的な親財閥候補ではないかという心配があります。」

文元代表の返事はこうだった。 「財界の人とも当然会います。 しかし社会連帯労働フォーラムという労働者フォーラムも大規模に結成して、 私が参加して、労働政策を十分に明らかにしました。」

文元代表が自信を持って言う「社会連帯労働フォーラム」は、民主労総の人たちが主軸になっている組織だ。 民主労総の前現職幹部が組合員を組織して結成した団体でもある。 文在寅の盾になった800人ほどのフォーラム会員は、相変らず民主労総組合員の資格を維持している。 目標は大統領選挙の局面で、労働基礎福祉国家に同意する政治勢力との政策協約だ。

フォーラムが発足した時期は昨年12月10日。 そして今年の2月18日に政策大会を開いた。 文在寅支持を本格化する場だった。 出帆式と政策大会ともに文在寅元代表が参加して力をつけた。 この場で文元代表は「強力な支持の後押しなく候補一人では難しい。 労働者が一緒にして下さらなければならない」とし 「労働者たちが政権交代の中心になれば、候補も党もさらに堂々と労働を語ることができる。 そんな気持ちで社会連帯労働フォーラムができたのだと考える」と話した。

民主労総内の左派勢力を中心に批判があがった。 彼らは「労働運動の前現職指導者たちが野党圏連帯論を拡散させる理由は、野党圏連帯が彼らに『官職』を与えるためだ」と声を高めた。 当時、フォーラム側の関係者は「過度な解釈」だと対抗した。 フォーラムの目的は政治勢力との政策協約でしかなく、政党加入や「官職」は念頭にないという説明だった。

そしてフォーラム発足3か月後の3月。 フォーラムのムン・ソンヒョン(元民主労働党代表)常任代表とペク・スナン(元金属連盟委員長)共同運営委員長が それぞれ文在寅キャンプの労働選対委員長と組織本部に移籍した。

フォーラムの関係者は「(キャンプ行について)協議して文在寅キャンプに入ったのであって、 民主党に入党したわけではないのではないか」とし 「(文候補が当選すれば)社会民主主義の価値を牽引していくために、中で直接参加するようになるだろう。 闘争すれば良いものではない。 椅子があれば労働者たちのために働けるのではないか」と話した。 では李在明(イ・ジェミョン)も、沈(シム)サンジョンでもなく、なぜ「文在寅」なのだろうか。 これについて関係者は 「内部的に李在明より共感する側面がある」とし 「大統領になる可能性が高い候補と他の候補とは表面的に少し違うのではないか」と回答した。

指導部の文在寅キャンプ行で、フォーラムは2期体制を迎えることになった。 2期共同代表に選任された人物はイム・ソンギュ元民主労総委員長とチェ・ジェホ元事務金融連盟委員長だ。 イム・ソンギュ代表は「社会連帯労働フォーラム同志へ」という文で 「われわれは労働運動の成長と共に、全てを労働者政治勢力化に注いできた」とし 「しかし、最近では果たして治癒と再統合が可能なのかと憂慮される程、分党分裂の後遺症と傷の痛みで綴られている」と明らかにした。 続いて「朴槿恵罷免でかつて経験したことがない局面が開けた。 残念なことに、労働と進歩政治にはとても狭く短い空間であり、時間だ」と付け加えた。

離別の公式=「民主労総の名前を口にするな」

民主労総は公式に批判声明を出した。 「民主労組と民主労総を捨てて日の当る場所に行きたければ、 恥ずかしい心を抱いて一人で行け」と線を引いた。 「さらに民主党の有力候補を支持するのはあなたたちの自由だが、 これ以上、民主労組運動と民主労総を口にするな」と警告した。 だがこうした声明は初めてではない。 選挙のたびに民主労総は保守野党に向かう前職・現職の幹部に刃を向け、別れの言葉をしてきた。

去る2012年の大統領選挙当時。 イ・スボン元民主労総事務総長など民主労総内の革新連帯系列である「労働政治連帯フォーラム」が、安哲秀(アン・チョルス)キャンプに行った。 彼らが安キャンプを選んだ表面的な理由は、「政権交代のための野党圏単一化と新しい進歩勢力構築」だった。 その時も民主労総は声明を発表して 「彼らの動きは政治工学に慣れた官僚集団特有の立身出世だけで、 民主労総とは何の関係もない」と線を引いた。 「自分たちの名前三文字をどこに掲げるかは彼らの自由だが、 願わくばこれ以上、労働運動と民主労総の名前で行動しないことを望む」という警告も似ている。

同年3月、李錫行(イ・ソッケン)元民主労総委員長も入党書を持って民主党に向かった。 一人ではなく、組合員1千人の入党書を持ってきましたと自慢げに言った。 入党式にはイ・サンボム元現代自動車労組委員長、パク・ホンギ元起亜車労組委員長、チョン・サンチェ元韓進重工業労組委員長など、大工場労組幹部出身の要人が参加した。 当時、民主労総は「李錫行元委員長はキム○○性暴行関連で2009年2月に委員長職を自ら辞任した後、 民主労総のいかなる職責も持っておらず、今回の民主党入党も個人的な政治的な判断でしかなく民主労総とは無関係だ」という短いブリーフィングをだした。

現在、李錫行元委員長は、民主党全国労働委員会の委員長として活動している。 彼は3月15日に開かれた全国労働委員会出帆式で 「民主労総、韓国労総を問わず、組織された労働者たちは民主党で共にしている」とし 「労働が尊重される世の中、労働の価値が認められる世の中のために政権交代をしなければならない」と主張した。

極端かつ衝撃的には「保守与党」に行った人々もいる。 今から10年前の2007年の大統領選挙当時。 民主労総の前職・現職幹部747人が李明博(イ・ミョンバク)支持宣言をした。 クォン・ヨンモク元民主労総事務総長、チョン・ヨンス当時民主労総ソウル地下鉄労組委員長などが名前を連ねた。 故クォン・ヨンモクは後でニューライトとして活動し、「民主労総衝撃報告書」という本も書いた。 当時、民主労総は声明を通じて 「この報告書はいやらしい文章と思考に満ちた本で、多くの紙ゴミでしかない」とし 「こうしたチラシを作ったクォン・ヨンモクは、民主労組運動を破った変節者」と加減なく怒りを表出した。 チョン・ヨンス元委員長はその後「国民労総」という第3労総を作った。

アンニョンと言うな

社会連帯労働フォーラムは彼らの活動が過去の民主労総の人々の大統領選挙キャンプ行とは違うという点を強調した。 フォーラム側の関係者は「以前は労働フォーラムのような組織がなかった。 相手に一方的に巻きこまれる側面が強かった」とし 「われわれは社会民主主義的議題を提示して、これを共有する候補と政策協約を結ぶ。 巻きこまれるのではなく、中長期的なビジョンを通して活動する」と説明した。 現在、フォーラムは文在寅キャンプとMOUを締結し、競選以後に本協約を締結する計画だ。

フォーラム側の活動方式は、明らかに過去の労働関係者のキャンプ行とは違う部分がある。 以前の労働界の代表者たちが荷物をまとめて民主労総を離れたとすれば、 最近は民主労総に籍を置いたまま活動している点だ。 こうした様相は、民主労働党の分裂以後にはっきりと現れている。 民主労総の政治的右傾化を憂慮する声があがるのはそうした理由だ。 民主労総が20数年間進めてきた「労働者政治勢力化」という目標もますます遠ざかっている。 ある民主労総の元幹部は「以前はいわゆる『背信』をして行ったとすれば、 最近は民主労総に留まって活動をしており、労働者政治勢力化の障害になる可能性が高い」と説明した。 フォーラムは実際に、民主労総が今回の大統領選挙戦術で準備した「民衆独自候補」に反対した勢力の一つだ。 執権可能な勢力と連帯して「政権交代」を実現しなければならないという主張だった。

それでも彼らは「労働者政治勢力化」という民主労総のスローガンとは決別しない。 その代わりに新しい労働者政治勢力化の方式を話している。 自由主義政党を牽引し、労働者政治勢力化の物的土台を構築しようというのだ。 労働者階級の独自の理念と政策を中心とし、既存の労働者政治勢力化とは全く違う方向だ。

変節と連帯と協約の違う点

民主労総は声明まで発表して彼らに線を引いたが、内部の雰囲気はまた違う。 内部の意見の差により「民衆独自候補」戦術が座礁し、民主労総は特別な戦術なく大統領選挙を行うことになった。 その代わりに大統領選挙方針で保守野党との「政策協約」を開いた。 民主労総の今年の大統領選挙方針には「保守政党に対する政策的な牽引ではなく、 組織的な支持に傾倒することを禁止し、 議題-闘争を中心とする大統領選挙対応事業の成果を今後の労働者政治勢力化の軸にすることができるようにする」という遠く曖昧な文章が含まれている。 簡単に言えば、政策協約等を通じた政策牽引は可能だが、組織的支持は禁止するという言葉だ。

民主労総の大統領選挙方針が出される前から、すでに公共運輸労組は保守野党との政策協議を準備してきた。 進歩政党候補および保守政党の当選可能な有力候補すべてを対象に、政策協約などを推進するという別途の大統領選挙方針も用意した。 3月16日には李在明候補と政策協約を結び、 20日には韓国労総公共部門労組と共同で構成した「二大労総公共部門共対委」が文在寅キャンプとMOUを締結した。 公共運輸労組の関係者は「政党の大統領選挙公約にわれわれの要求内容を入れることが目標で、 共に民主党、国民の党まで、すべて政策協約の対象だ。 サンジョン正義党議員とは一番最初に協約を結んだ」とし 「公共部門の場合、実質的使用者が政府であり、政府の政策が大きな影響を及ぼすため、(政策協約を結ぶ)特殊性がある」と説明した。

公共運輸労組は2012年の大統領選挙でも保守野党と政策協約を結んだ。 当時、公共運輸労組社会保険支部の前職・現職の幹部が文在寅候補支持宣言をした。

しかし全国教職員労働組合の関係者は 「協約を結べば、その代価としてその候補を支持するという誤解があるかもしれない」とし 「全教組が提示する政策をめぐる討論会は開いたが、協約はしない計画」と説明した。

公共運輸労組の一部では、保守野党を組織的に支持する動きも把握されている。 公共運輸労組傘下のある労組の場合、共に民主党に対する組織的な競選参加と税額控除事業をすることを決定した。 公共運輸労組の関係者は「組織的な競選への参加はしないのが労組の方針だが、 規制する方法はない」と説明した。 16日に開かれた記者会見に参加した民主労総のイ・ヨンジュ事務総長は 「組合員の個人的な活動を統制することは適切ではない」と発言した。

10年前に「敵」だった勢力が「協約」の対象になった。 「盧武鉉政権が非正規職法施行令を閣僚会議で強行通過させ、 自ら非正規労働者の敵になった。 非正規労働者をどん底に追いやった込んだ盧武鉉大統領は退陣するしかない」。 2007年、民主労総が「盧武鉉退陣運動」を宣言して発表した声明の内容だ。[ワーカーズ29号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-04-04 05:21:41 / Last modified on 2017-04-04 05:36:43 Copyright: Default

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