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揺れる蔚山「生活の土台にも地震が起きている」

[ワーカーズ23号/イシュー]

ヨン・ソンノク客員記者 2016.10.10 11:50

最近、地震が起きた蔚山、化学団地と原発があるここでの暮らしはさらに不安だ。 蔚山には尾浦国家産業団地と温山国家産業団地がある。 国家産団には原油や高圧ガス、有害化学物質を扱う事業場が並んでいる。 キム某(55)氏は温山国家産団にある石油化学業者でプラント建設労働者として働く。

9月23日、キム氏は1か月に一度受ける建設業施行社の安全教育に参加した。 教育を受けている途中、午前11時53分頃に教室が揺れた。 マグニチュード3.5の地震だ。 彼は不安な気持ちで教室を抜け出したかったが、安全教育は続いた。

キム氏が働いている建設プラント現場のように、数千人が働いている現場では、産業安全保健教育はしても、地震対応訓練や教育はほとんどしない。 キム氏は安全教育が労働者の安全を考えてしているのか、産業安全保健法にかからないための責任逃れ教育なのか、時々疑う。

キム氏が働いている現場はメタノール、ベンゼン、キシレン、硫酸など、人体につけば致命的な有害化学物質を扱う。 有毒ガスが漏出しても、彼には防毒マスクや保護服がないため、どんな通路を使い、どう待避すればいいのかわからない。 彼が働く現場で扱っているメタノールの化学物質情報を探してみるのと「有害化学物質、故引火性液体と蒸気、目に激しい刺激を起こす、激烈に総合反応して火災と爆発を起こす、もし人体がメタノールに汚染すれば皮膚を水で洗うこと」等の対応方法が出ている。 彼はメタノールに汚染された時、目とからだを洗うシャワー施設がどこにあるのか知らず、非常避難路も避難場所も知らない。

キム氏のように、日雇い労働者たちだけが地震対応訓練や教育を受けられないのではない。 蔚山石油化学工団で働くチャン某(31)氏は正規職で、 それも安全管理パートで働いている。 彼が働く現場にも地震対応マニュアルはない。

▲蔚山石油化学工団-ヨン・ソンノク

キム氏は蔚山の温山国家産団から2kmほど離れた蔚州郡温山邑徳新里に居住する。 キム氏が暮らしている所の近くの事業場は、有害化学物質が漏出した時にどう対応すべきか、住民たちには一度も説明していない。 化学物質管理法は近隣住民に有害化学物質情報と待避要領などを知らせるとなっている。

9月12日慶州で発生したマグニチュード5.8の地震以後、 蔚山では負傷、建物亀裂、破損などの被害受付が955件に達した。 9月12日から余震は455回も続いた。 蔚山市は地震発生時の住民待避要領をホームページに掲示しただけで、住民には知らせなかった。 住民たちは各自が自分で待避要領を探し、自分で待避する場所を探している。 キム氏は9月12日にマグニチュード5.8の地震を経験した後、避難リュックサックを用意して玄関に置いて寝る。

蔚山市内の道路で通行人に「地震になった時、何が一番心配か」と聞けば、十中八九は「放射線漏出」だ。 蔚山は14基の核発電所(古里と新古里8基、月城と新月城6基)に囲まれている。 それでも蔚山管内には放射線から守られている待避所はただ一か所もない。

現代重工構造調整、ワンショット企業活力法は労働者殺し

労働者の人生を根から揺さぶっているのは、土地の中だけではない。 現代重工労働組合のイ・イルヒョン(59)支援部門代議員代表(分科長)は、 1981年に現代重工に入社した。 彼は36年間現場で働いたが、今は働けずに自宅待機している。 現代重工が分社した現代重工MOS(MOS)に転籍しろということを拒否したからだ。

現代重工は今年の8月からまず、設備支援部門労働者たちから転籍同意書の署名を集め始めた。 続いて次に重機運転、信号手、物流などの事務職と現場職の転籍同意書を集めた。 イ・イルヒョン分科長によれば、994人のうち318人は転籍せずに残っている状態だ。 現代重工が子会社や独立法人を設立して分社する対象者は、設備支援部門994人、重機運転など722人、グリーンエネルギー170人、ロボット事業205人、統合サービス134人など2225人だ。 現代重工は昨年1500人、今年は2000人を希望退職方式で送りだした。

イ・イルヒョン分科長は 「私たちは今MOSに行くことに署名すれば、現代重工の直営はますます減る。 若者たちを外注、物量待機状態に追い出させるような署名はできない」と言う。 また「朴槿恵政権がワンショット法を作り、企業に活力を吹き込もうとしているが、 ある人はさらに楽に暮らし、労働者はますます不安定な人生につながる」と批判した。

現代重工は正規職を分社する方法で構造調整をする一方、今年に入って8月末までに65の下請企業を廃業し、昨年は57の業者を廃業した。 下請労働者の賃金は削減された。 また、金属労組現代重工社内下請支会の組合員が所属する業者が続々と廃業し、雇用は継承されない。

現代車、新賃金体系の意図を隠して労組利己主義に追い込む

現代自動車の2016年団体交渉は、団体協約が入っていない賃金交渉だ。 労働組合の要求は、大きく賃上げ、解雇者復職、損賠仮差押え問題だ。 会社側は「3賃」を必ず通過させるとして、賃金凍結、賃金ピーク制拡大、新賃金体系導入を持ち出した。 ここに労働部は「不合理な団体協約に対する是正指針」を民間部門にも送った。

新賃金体系の導入は、職務成果中心の賃金体系改編で、公共部門と似た形だ。 従来の給与体系を職務の中で評価し、賃金を差別支給するという成果主義賃金体系だ。 労働部の「不合理な団体協約」是正指針は、会社の経営権を労働組合が制約したり統制するあらゆる事に手を付けている。 労働部は現代車に対し、外注化、構造調整、新車計画など、会社の経営権に労組が関与するあらゆる事について是正を勧告した。 労働部は2016年上半期には是正指針を出したが、下半期には行政命令まで出すと予告している。

民間部門の代表格である現代車使用者側は、団体交渉の時に改悪案を説明すると言い、労組は交渉決裂を宣言した。 会社側は交渉場で説明会をしないと言い、6月8日に会社誌の「共に行く道」裏表紙に 「3賃使用者側要求」をぎっしりと書いて配布した。 現場は大騒ぎになった。

団体交渉の期間に現代車では現場外注化が進められた。 7月20日頃、第1工場は事業部代表が組合員が反対する外注化に賛成した。 第1工場は200人ほどを転換配置しなければならない。 その後、現代車工場の中の労働組合集会には普通3000人ほどが集まっていたが、7000〜8000人の組合員が集まった。

8月に入って現代車使用者側は労働部側に球を投げ、丁寧に上手く争点から逃げた。 新賃金体系も争点に浮上することはなかった。 だが8月23日の暫定合意は78.5%で否決された。 労組の歴史上、とても高い割合の否決だ。

「生活の土台に地震を起こしたように人生が揺れている」

蔚山と釜山で、演劇人として、インディバンドのボーカルとして文化活動をするユ・ミヒ(50)氏は、 最近不安が襲う資本主義的人生について 「社会構造全般を調べれば、労働する人が暮らす土台がなくなり、安心して生きていけるような公共領域は縮小され、 核発電所政策は生存そのものが安心できないようにする」とし 「資本主義の利益体系が生活の土台に対しても、地震のように暮らしを揺さぶっている」とした。

ユ氏は現場労働者として働いた経験があり、労働組合幹部としても活動した。 彼は「昔は何かになることができた。 しかし大きな闘争をしても、階級的性格を変えられないので、政治と人生が分離するようだ。 資本主義の欲望コードから抜け出す社会を考える必要がある」と強調する。 労働の範疇は工場の中だけではなく、労働組合運動が教育、脱核、労働、すべてを自分の課題としなければならないという。 地震と資本が人生をさらって行った今こそ、労働者がもうひとつの世界へと進む道を模索する時だ。〈ワーカーズ23号〉

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-10-17 14:43:13 / Last modified on 2016-10-17 14:43:15 Copyright: Default

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