沈黙の2分、その後

［ワーカーズ22号 保守の品格1］その日、巨大な放水銃が向けられたのはどこだったのか

▲写真ホン・ジノン

「大韓民国の暴力デモはなくならなければならない。 いや、いっそデモがなければ良い。」

直射放水銃に撃たれて生死の境をさまよっていたペク・ナムギ農民関連国会聴聞会があった9月12日、 セヌリ党の黄永哲(ファン・ヨンチョル)議員が推測した国民の心だ。 集会とデモは憲法が保障する基本権だ。 国民が自ら基本権を放棄したがるとは、推測より妄想に近い主張だった。

この日の聴聞会では、民衆総決起でペク・ナムギ農民が倒れた理由が「警察の過剰対応」だったのか、 「厳正な法執行」だったのかをめぐり拮抗した緊張が流れた。 与党の聴聞委員は集会とデモに対する保守的認識をベースに韓国の集会・デモ文化が先進国とは違い「後進的」だと強調した。 鉄パイプや角材を振り回し、パチンコを撃ち、たいまつを持つデモは韓国だけにあるといった。 セヌリ党の朴成重(パク・ソンジュン)議員は米国で集会デモを暴力的に鎮圧する映像を見せて 「銃ではなくても全般的にこん棒やそうしたもので果敢に不法暴力デモに使います」と話し、 放水銃や車壁は穏健な物品だとでもいうかのように説明することもした。

セヌリ党の議員らは、ペク・ナムギ氏の家族の顔色をうかがいながら残念さを示し慰労しているようだったが、 結局すべての原因はデモの暴力性にあると追い立てた。 洪哲鎬(ソン・チョロ)議員は「公権力が死ねば国家的に何が起きるかについて、 一度私たちもよく考えてみようという意味で、無言で2分間発言をする」とした。 彼は2分間、口を閉じた。 2分後に口を開いた洪議員が姜信明(カン・シンミョン)前警察庁長官に投げた質問は、 国家暴力犠牲者事件で警察を弁護したい彼の気持ちがよくあらわれていた。 姜前庁長の相槌も見ものだった。

洪哲鎬委員: 車壁は凶器ですか?

証人姜信明: 車壁は丸腰でデモ隊とぶつかる警察を守る最後の防御手段です。

洪哲鎬委員: 証人は車壁は絶対凶器ではないと言っているのですね?

証人姜信明: そうです。

洪哲鎬委員: そうです。車壁は絶大に凶器であるはずがありませんね。 では車壁を除去するためのデモ隊の行動をどのようにして防げばいいのでしょうか？ その最後の手段として放水銃を使用したのではありませんか?

証人姜信明: はい、そうです。

洪哲鎬委員: 警察が見ても放水銃が本当に威力的で危険な威力を持っているためだと判断して「退け」などと警告をしたのですか?

証人姜信明: はい、数回…。

洪哲鎬委員: これが危険だから退けといったのですね、車壁が危険なのではなく?

証人姜信明: はい、そうです。

洪哲鎬委員: デモ隊も現場でその放水銃を見れば「これはちょっと危険だ」と危険性を感知できますか、できませんか?

証人姜信明: デモ隊らも相当部分危険性を感知します。

洪哲鎬委員: デモ責任者、集会申告した責任者はいますか？ その人たちは謝罪したのですか? 遺憾を表示したのですか?

証人姜信明: 全く何の謝罪も表明しませんでした。

洪哲鎬委員: その部分は私たちがはっきり明らかに一度確かめる必要が…。 苦しさを感じませんでしたか?

証人姜信明: 非常に残念な気持ちです。

セヌリ党の質問が続くほど、聴聞会はとても苦しくて残念な雰囲気になった。 彼らの言葉通り、今回の国家暴力事態ははっきりと、そして明らかに確かめて行かなければならない問題になった。 果たしてペク・ナムギ農民は国家暴力の被害者なのだろうか、 暴力デモの加害者なのだろうか。 その日、巨大な放水銃が向けられたのはどこだったのだろうか。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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