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留置場で暖かい湯で入浴するには

「時代が変わった」というソウル拘置所刑務官と『雑犯』の人権

パク・チョムギュ 非正規職ない世の中作り執行委員 2016.05.18 11:38

2009年4月3日、一山キンテクス「2009ソウル・モーターショー」イベント会場前。 キリュン電子、現代車、現代ハイスコ、ドンヒオート、GM大宇など、金属労組非正規職闘争本部所属の非正規職労働者約60人が集まって 「非正規職はみんなクビにしてなぜショーをやるのか?」とし、非正規職大量解雇糾弾記者会見を開いた。 警察はモーニング自動車に鮮血をまく象徴儀式を理由に40人を連行し、47時間監禁した。 「その筋のプロ」40人がいる留置場に閉じ込められ、面白い風景が繰り広げられた。 連行の過程で怪我をした人が治療するために病院に送ってくれと要求した。 部屋が寒いからもっと毛布をくれと言った。 シャワーを浴びるといった。湯を出せと戦った。 髪を洗うと言ってシャンプーを要求した。 警察は内部規定だとし、何の要求もすぐには聞き入れなかった。 4月から冬期が終わるので温水は切れたとし、温水は出さないといった。 窓格子を揺さぶって大声を出した。 他の収監者に了解を求めて戦った。 面会に来た人々に留置場の状況を知らせ、国家人権委に陳情書を出した。 戦いが始まると、一つずつ要求が貫徹された。 騒乱に不愉快そうだった他の留置人も、湯で入浴ができるようになったので、シャワーを浴びるといった。

だが警察は病院に送ってはくれなかった。 国会議員が面会に立ち寄り、労働者たちが調査を拒否すると、一山警察署のある関係者は 「昼食を取れなかったので、チャジャン麺を注文して食べたらすぐ病院に送る」と約束した。 彼は言葉を翻した。 「チャジャン麺を食べるのに4時間かかったので、病院に送ってやれなかった」と言い、収監者をあざ笑った。 労働者たちは謝罪を要求して鉄格子を揺さぶり、食器をひっくり返して戦った。 結局、警察官が各部屋を歩き回って頭を下げて謝罪し、病院で治療を受けた。 「留置場大騒ぎブルース」のおかげで腹を立てた警察が公務執行妨害罪を追加し、4人に拘束令状まで請求したが、幸いすべて解放された。 病院で治療を受け、湯で入浴する権利はタダでは得られなかった。

集会して捕えられれば、ひざまずかせて力いっぱい殴る暴力は消えたが

1990年代までは、集会をして警察署に連れて行かれると、ひざまずかせられて力いっぱい頭を殴る暴力が堂々と行われた。 被疑者の勢いを制圧するための反人権的暴力行為は、地方ではさらにひどかった。 警察の人権蹂躙行為は当事者の抵抗と闘争で、集会が多かったソウルの主な警察署からは消え始めた。 2000年代に入ると労働人権弁護士が増え、連行された労働者の対応も変わった。 集会の過程で誰かが連行されれば弁護士に連絡する。 当事者は弁護士がくるまで黙秘権を行使する。 面会をして留置場で人権侵害を受けなかったかを確認してマスコミに知らせる。 暴力が消えた後も留置人を制圧するために続いた裸検索と手錠も徐々に消え始めた。

2008年だった。 警察は米国産牛肉輸入反対キャンドル集会に参加して逮捕された女性4人に自害、自殺に利用されかねないという理由でブラジャー脱衣を強要した。 彼女らは人権団体とマスコミにこの事実を知らせ、国家を相手に訴訟をした。 2013年、大法院は「過度に基本権を侵害した」とし 「国家は各々150万ウォンを支払え」と確定判決した(2013タ200438)。

だが翌2014年5月、ソウル東大門警察署はセウォル号追慕集会に参加して連行された女性6人を留置場に収監する過程で、ブラジャーを取ることを要求した。 マスコミに伝えられると、警察は「該当婦人警官が指針が変わったことをきちんと知らず、ミスをした」とし 「警察側の誤りを認め、こうしたことが二度と起きないようにする」と謝罪した。 市民自らが権利を認識して人権侵害に抵抗しなければ、警察の不法行為はいつでも繰り返されることを見せたのだ。

大法院の判決の後にも留置場での裸身体検査

5月11日夜9時、ソウル拘置所正門の前で「大騒ぎ」が起きた。 題名は「雑犯にも人権はある! フンヒあふれる文化祭」。 「フンヒ」は金属労組キリュン電子分会のユ・フンヒ分会長だ。 不法を犯した会長は無罪、逃げた会長を訪ねて行って、玄関のチャイムを押したのは有罪という裁判所の不正な判決を不服として、労役に行ったユ分会長に強制的に下着脱衣検身をしたことに対してソウル拘置所を糾弾する文化祭であった。

最近刑務所に収監された民主労総の女性労働者たちは、誰も下着脱衣検身を受けなかった。 刑務官も下手に民主労総に触れば大変なことになることをよく知っているからだ。 刑務官はキリュン電子分会のユ・フンヒ分会長が住居侵入罪で労役に入ってきたので、公安事犯ではなく「雑犯」だと思っていた。 ユ・フンヒ分会長が「本人は麻薬事犯でもなく、入墨も手術の痕もない」とし、下着脱衣検身を拒否すると、 ソウル拘置所は近くにガウンがあったのに何の案内もせず、刑務官数人が強制的に下着脱衣検身をした。 女性刑務官は「どこかで聞いたようなことはあるが、時代が変わった」と話した。

「身体検査は基本権が不当に侵害されることがないように十分に配慮された方法で行わなければならない」という憲法裁判所と大法院判決、国家人権委員会勧告は、 公安事犯だけに適用され、いわゆる「雑犯」は一方的に裸検索をしていたのだ。 一般の服役者が人権の死角地帯で生活している現実を目撃したユ・フンヒ分会長は、国家人権委員会に陳情書を提出した。 労働と人権団体も記者会見を開き、この問題をマスコミに知らせた。 人権委はソウル拘置所に対する調査に着手した。

「拘禁施設は法に違反した時、身体の自由を制限する空間だ。 以前は拷問に近い罰を与えたが、近代社会になって身体を傷つけることは消えた。 民主主義国家で法に違反したからといって好きなように暴行をしてもよく、人権侵害をしてもいい国はない。 ところがそんな国が韓国だ。 凶悪犯もいて、ささいな犯罪者もいる。 彼らが法を違反したからと言って人権を奪われ、刑務官が帝王のように勝手にしてもいいわけではない」。 去る5月9日、国家人権委員会の前で開かれた記者会見で人権運動サランバンのミョンスク活動家の話だ。 30年戦って得た一切れの人権さえ廃棄される時代を生きている。

ユ・フンヒ分会長が労役をして出てきた。 一緒に「部屋」にあった人たちがユ・フンヒにありがとうと話した。 戦わない所に人権はない。 人権は公安事犯だけにあるのではない。 「雑犯」にも人権はある。

(ワーカーズ10号)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-05-22 19:01:10 / Last modified on 2016-05-22 19:01:11 Copyright: Default

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