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悪魔は細部に宿る

ワーカーズ10号デスク コラム

ホン・ソンマン編集長 2016.05.17 15:29

加湿器殺菌剤が数百人の命を奪った。 1528人が被害を受け、このうち239人が死亡した(政府は149人しか被害死亡を認めていない)。 毒劇物が入った製品が年間60万本以上売られ、潜在的な被害者は数百万人に達する。

この事件に対して歴代どの政権も自由でない。百人以上死亡したオキシー・レキットベンキーザーの加湿器殺菌剤に使われた物質は、 海外では有害物質と規定され、人体への使用が禁じられている化学物質だったが、 1997年に環境部の審査を通過して、金大中(キム・デジュン)政府の2001年、 オキシーから殺菌剤として正式に市場発表された。 当時、この製品はKCマーク(国家統合認証マーク)まで獲得した。 その後、2006年の盧武鉉政権の時に多くの赤ん坊が肺の疾患で死に、 牙山病院のホン・スジョン教授が関連論文を発表して対策を要求した。 2007年に第一線の医師が疾病管理本部に実験室での検査を依頼したが、政府はこれらをすべて無視した。

2008年に李明博政権になっても、医者が加湿器と肺疾患の関係の可能性を提示して疾病管理本部に疫学調査を建議したがやはり黙殺され、 2011年に妊婦と幼児が肺疾患で連続して死亡したことで、この殺人製品が使われはじめてから10年目に疫学調査が実施された。 政府が疫学調査で加湿器殺菌剤と肺疾患の因果関係が疑われると言って取った措置は、せいぜい市販の中断と課徴金5200万ウォンの賦課であった。 加湿器被害者が該当企業を告発したが、朴槿恵政権下の検察は無対応を続けた。 2014年に政府は公式被害者を認め、検察は該当企業を起訴した。 だがまた2年近くなにもせず、総選挙が終わった4月19日、初めてオキシーの役員を召喚した。 販売が中断してから5年目に取られた初めての処置であった。

この過程で、オキシー・レキットベンキーザーは関連専攻大学教授を買収し、 会社に有利な報告書を作成させた。 イ教授はキム&チャンが自分の論文を操作したと主張しており、 事件の進行によっては国内最高のローファームが加担した大型法曹不正に拡大する可能性もある。

また、政府と疾病管理本部は2013年の疫学調査で加湿器殺菌剤の肺損傷の危険度が116倍になるという結論を出した。 だが当時はこれを発表せず、3年経った去る3月、国際学術誌に研究論文として発表した。

さらに見苦しいのは、オキシー・レキットベンキーザーのような海外の超国籍資本が設立した会社はほとんどが有限会社だということだ。 「ワーカーズ」3号(チョン・ウニ記者、〈「FaceBookを返してもらおう」〉)で指摘した通り、FaceBook、アップル、マイクロソフト、コカコーラ、マクドナルドなど海外企業の韓国法人はすべて有限会社だ。 この有限会社は、株式会社と同じ活動をすることができるが、外部監査を受けず、公示の義務がなく、企業会計がどう処理されるのかを公開しなくても良い。 オキシー・レキットベンキーザーは、2011年に加湿器殺菌剤が問題になると、株式会社から有限会社に変更した。 この10年間で100人以上の人を殺しながら、この殺菌剤を売って稼いだ金を英国本社にいら送金したのかは分からないということだ。 一方、政府は一足遅れて安全管理対策を用意するとし、2013年5月に「化学物質の登録および評価などに関する法律(化評法)」と 「化学物質管理法(化管法)」を制定した。 この法は、2015年1月に施行される予定だった。 しかし大企業が集団で反発したため、結局朴槿恵(パク・クネ)大統領は2013年9月25日、 第三回貿易投資振興会議で「化評法」に対して 「悪魔は細部に宿る」とし 「企業に負担にならないように特に留意する必要がある」と強調した。 この法はまた改正され、結局つぎはぎになった。

このように、4回大統領が変わる16年間、政府は殺人企業を保護し、 関連の機関は手をこまねいていた。 彼らが数百人の人を殺して稼いだ金を何事もなく本社に持ち出しても誰も分からないようにした。 そしてまたそのようなことができるように、法律でがんじがらめの規制を解いて企業活動の自由を保障してやった。 悪魔は毒性物質を売った企業よりもさらに細部に潜んでいたのだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-05-22 17:57:21 / Last modified on 2016-05-22 17:57:23 Copyright: Default

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