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[ヨンジョンのバカみたいな愛](88)甲乙オートテック闘争連帯の時間

ヨンジョン (ルポ作家) 2016.08.15 09:07

一日に二三時間の睡眠で続ける闘争

「団結闘争歌を力強く歌い、 勝利に向けた力強い第一歩を踏み出します。 闘争、闘争、団結闘争!」

「夜が明ける明け方、 明るくなれば赤い太陽がのぼる。 くやしさが怒りになって巨大な波になった。」

2016年8月6日、午前6時。 忠南道牙山市にある甲乙オートテック職場閉鎖12日目の起床闘争が始まる。 400人ほどの金属労組甲乙オートテック支会組合員と支援に来た労働者・市民の声が工場の中に鳴り響く。 会社の労使合意破棄と警備業務一方的外注化、交渉懈怠などに対して争議行為だった金属労組甲乙オートテック支会(以下『支会』)は、 7月末に会社が職場閉鎖をした後に用役、警察兵力を投入したため、 全組合員が工場の中で工場を守る座り込みを行っている。 夜回りをしながら、工場の正門を守るために一日に2〜3時間程しか眠れない組合員たちの目は血走っている。

▲朝の起床集会中の甲乙オートテック支会組合員たち

▲工場の中のテントで眠る組合員たち

明日が立秋なのに、連日最高気温35〜36度の暑さが続いている。 夜は熱帯夜と蚊などの虫が多く、 工場の中のテントで寝ている組合員たちの睡眠の質は高いはずがない。

集会の司会者が前日、「Q-P戦略シナリオ (ストライキを誘導した後に職場閉鎖と公権力投入等による労働組合破壊戦略内容を含む使用者側と労務法人予知が作成した文書)」 に関する記者会見の後、労働部の態度が肯定的に変わったという話をすると組合員たちの硬直していた顔が解け始める。

起床闘争が終わり、6時30分から朝食が始まる。 正門死守中の組合員たちが先に食べ、支援に来た人が食事をする。 食事担当組合員たちの上手で早い仕事のおかげで食事を待つ列は長くない。 朝食のメニューは干し明太の汁だ。 干し明太の汁の上にカットゥギを乗せるが、キムチを別に食べることを望む人には小さな皿に入れる配慮もある。 支会の食事チームは支援に来た人も含み、一日に平均1500人分以上の食事を準備するが、 米だけで一日に20kgの袋が10袋になる。 食事のたびに500人分以上の食事の準備をするために、食事チームの組合員たちもまともに眠れない。

▲朝食に出てきた干し明太の汁

全てが現場を分裂させるための労組破壊シナリオ

朝の食事を終えた組合員たちがまた正門の前に着座して、 支会幹部が労組破壊シナリオの内容の説明をまた進める。

「管理者たちはこの5年間、これらすべてを隠して組合員たちに懇意に接して喜怒哀楽を共にしているかのように、 無力な管理者で不安だと言って、 情報を求め、助けてくれと言いました。 これらすべてが現場を分裂させるための労組破壊シナリオにある内容だったことがわかりました。 管理者たちは以前から労組破壊シナリオをすべて知って行動してきたのです。」

甲乙オートテックの管理者らは今朝も揃いの帽子とTシャツを着て、 会社正常化と会社の未来のためにきたと言うが、 入ることができず正門の近くのすみに交代で座っている。 毎日、会社の正門前では中央に警察と似た服装の用役、両側には警察、 すみにはお揃いの帽子とTシャツを着た管理者が並ぶ珍しい風景が繰り広げられている。

今回の労組破壊シナリオの発見で、2009年に甲乙オートテックが買収するとすぐ廃業までを含む労組破壊を計画した事実を知った組合員たちは衝撃を受けた。 また、一つの工場で二三十年、同じ釜の飯食べてきた管理者が使用者側の労組破壊シナリオをあらかじめ知っていて、 それを実行するために動いていたという事実も大きな衝撃だった。 雇用労働部と検察はこの文書を入手して全てを知っていたが、 組合員にはこの事実を知らせなかった。 むしろ7月には裁判所が不当労働行為で起訴された朴孝祥(パク・ヒョサン)前甲乙オートテック代表理事に検事の求刑8か月より高い懲役10か月を宣告し、法廷拘束もした。 今や甲乙オートテックの労働者たちが信じられる対象は、自分自身と一緒に闘争する同僚、 家族と支援の仲間たちだけだ。 だからだろうか。 組合員たちの支援の仲間に向けられた暖かい配慮の姿が筆者の心を何度も泣かせた。

▲正門死守中の組合員たち

家族対策委員会の記者会見など、午前の日程が終わると、昼食が始まる。 今回は支援の仲間たちが先に食事をする。 正午から二時間、支援の仲間たちが正門死守をするからだ。 夜には深夜12時から午前2時まで支援の仲間たちが死守をして、組合員たちが休息を取った。 正午から午後2時までは熱い陽光のために、正午から午前2時までは眠気と熱帯夜のために、 一番苦しい時間だ。 現在は一日二回、二時間ずつ支援の人々の死守が行なわれているが、 人が増えれば時間を増やして、組合員たちをもっと休ませることも可能だという。 支援の仲間たちの食事が終わると、近くに事業場がある金属労組セジョン支会の代議員が買ってきたというアイスクリームが、 やはり支援の仲間たちから回る。

正午になって支援の仲間たちの正門死守が始まる。 組合員たちは支援の彼らがそばに立って席を立つ。 「ご苦労さん」。 「頑張ってください」。 あいさつも忘れない。 午後2時まで、組合員たちは少しの間だけでも陰で休んだり、 夜に眠れなかった睡眠を補充できるようになる。 一部の組合員たちは支援の仲間たちに申し訳ないからか、 離れることができず正門そばの陰に座って一緒に集会をしたりもする。

非正規職のない工場、私の方が元気付けられます

夜が明ければ工場から出る計画をたてた筆者は、六時間経っても実行に移せずにいる。 炎天と熱帯夜の中で苦労する組合員たちをおいて、とても落ちなかったためだ。 前日にきて、ご飯を三食食べて作られた関係の重さは相当なものだ。 あまり助けにならないが、座って、場所でも守らなければという気がした。 初日に来て、似たような気持ちで離れることができず、ずっと留まっている人々は多い。 工場から出てから何度も気になって荷物を抱えてまた来た人もいる。 民主労総のイ・ギョンジャ副委員長は、小説「少年がくる」を読んで、 光州民衆抗争の時に最後まで道庁を死守したドンホを守ってやれば、胸を痛める人たちの姿と、 休暇期間に用役、公権力投入の威嚇の中にいる甲乙オートテック労働者たちの姿がオーバーラップして、 一人の役割ぐらいはしなければという気持ちできたという。 3日間の荷をまとめてきたが、今日で7日間になるという。

▲正門を死守している支援者たち

食事チームで働くパク・ソンジュン氏も似たようなケースだ。 今やっと二十を越したパク・ソンジュン氏は、慶南道昌原からきた。 一週間前に昌原でGM大宇非正規職闘争に一緒に連帯して勉強した人たちと来て「縛り付けられた」という。 ずっといると時間が余り、食事の準備する組合員たちが重いものもたくさんあって苦労しているのを見て、 役に立とうと食事チームで仕事を始めたという。

「甲乙オートテックの闘争は印象的なのです。 労働者が主体になった一つの共同体社会のようです。 組合員はお父さん、お母さんのような人ですが、仲間であり、人間的なことをたくさん感じています。 闘争の教科書のようなところなんです。 組合員たちは、ご苦労さん、有難うと言ってよくしてくれます。 甲乙オートテックの非正規職のない工場は、意味が深いと思います。 非正規職のない工場は、使用者が優しいからできるのではないと考えます。 使用者は利益のために非正規職を作りたがりますから。 結局、非正規職のない工場は、労働者たちの闘争と労働運動によってのみできるのです。 私の方が元気付けられて行きます。」

ソンジュン氏は、工場で契約職アルバイトをしながら、人格的に非常に悪い条件で働いた経験を話しながら、 社会が青年の弱点を利用して非正規職や情熱ペイを強要している現実についての問題意識を話した。 闘争現場で青年たちの労働や失業問題も考えて欲しいという期待も話す。 しばらく時間を作り、集会に参加しているソンジュン氏に、ある支会組合員が近付いて、 さっと靴下を渡して行く。

▲組合員たちと共に食事チームで働くパク・ソンジュン氏(中央)

一緒にできることがあるのなら喜んでしなければ

集会の司会をした金属労組忠南支部のオム・テクァン主席副支部長が、 暑い中で集会に参加する人たちの士気を高めるために努める。 あまりおもしろくないジョークで、自分で心苦しんだりもする。 暑いから発言を短くしてくれと要求したが、ほとんど守られない。 民主一般連盟のチョン・スニョン委員長が力を貸そうと思って来たが、元気付けられて行くとし、 次はもっと多くの仲間たちを組織して一緒にくるという約束をする。 該当連盟の闘争事業場である瑞山料金所の労働者たちの闘争と、釜山訪問看護師闘争を紹介して、闘争基金も渡す。

「もうすぐ闘争を始めてから600日になるが、 闘争が長期化してとても苦しかった。 ここにきて、甲乙オートテックの仲間たちと食事しながら、 これまでの過程の説明を聞いて話をしました。 私たちも連帯の力でやれるという自信を得ました。」

釜山から来た訪問看護師解雇労働者も、 甲乙オートテックに支援に来て力をもらったと話す。 仁川から来た大学生のオ・ソンヒ氏は、ここで忘れられない休暇を過ごしていると話した。

「世の中で学ぶことができない貴重な真実を学びました。 非正規職のない工場というのがとても驚きで、 工場の主人が労働者だということを切実に感じています。」

昨年、408日間の高空籠城を終えて忠南道牙山にある工場に復職したスターケミカル解雇労働者だったチャ・ガンホ氏は、 一緒に復職した金属労組忠南支部のファインテック支会の組合員たちと共に休暇期間をこちらで過ごした。 休暇が終った後はほとんど毎日退勤した後にここにきて、 夜の文化祭から未明の正門死守を終えて、また会社に出勤する日常を送っている。

「私たちのことですから、一緒にできることがあれば、喜んで一緒にしなければなりません。 甲乙オートテックの闘争は、現在、資本と労働者たちの間の分岐点になるでしょう。 ここで労働者が負ければ難しくなると思います。 労働者が勝てば、劣悪な労働者の現実の変化の始まりになるか、 少なくとも今よりは悪化しないでしょう。意味のある闘争です。」

チャ氏は多くの支援の仲間たちが連帯し、組合員たちに力を集中しているけれど、 最近は支援の仲間たちが文化祭の中に団体で行ったりしばしば出入りするなど、 少し乱れた態度が見られるとし、 支援の仲間たちはもっと緊張感を持って正門死守の日程を終えて欲しいという期待も伝えた。

平和な労働者の権利の主張に対する過剰な対応の結果

自由発言と労働歌謡を共に歌い、集会を続けていると、いつのまにか一時になる。 太陽の光が熱くなり、ますますつらくなる。 猛暑の中、セメントの上で座っていることを予想せず、 準備の物品を持ってこなかった筆者は、頭にタオルを巻いてその上に帽子をかぶり、 太陽の光を遮った。 だが頭からは湯気がもうもうと立ち始めるようで、足は痛い。 アスファルトの上で目玉焼きでも作れそうな暑さだ。 組合員たちはこの苦しい時間を一日中耐えている。 猛暑で正門の前にいた義務警察三人が倒れたという知らせが聞こえてくる。

「われわれはずっととても合法的に秩序正しく、平和にわれわれ労働者の権利を主張して話してきています。 しかし、警察は過剰対応を続けています。 いったいこれほどまでする理由はないのに、数十人の警察兵力を配置して、 必要以上に警察を運用し、義務警察を疲れさせ、労働者たちを強迫して物品の支援も妨害します。 私はその結果がここにいる若い義務警察が、35度、36度の暑さの中で1人2人と倒れる姿で現れていると考えます。」

民主労総世宗忠南地域本部のパン・ヒョフン対外協力局長は、 警察の過剰対応に対する批判と共に、 暴力を防ぐという名分で不要な警察兵力を投入して労働者に過剰対応する態度を変えることを要求した。

▲甲乙オートテック正門前。左が警察、右が用役

発言と労働歌謡で集会はずっと進む。 時間がとても遅く感じられる午後1時30分。 オゾンのためか、視野がぼやける。 突然、民衆歌手のリュ・グムシン氏が現れて、 労働歌謡メドレーで始まる文化公演を始めると、 集会場は冷たい氷水でも浴びたように活気が戻る。

生きていればいつかは明るい日もくるだろう
曇る日も、夜が明ければ日が昇るではないか
まだ若いということが元手なのに
けちけちせずに胸をぱっと開け
明日は日が昇る、明日は日が昇る

支援に来た人たちの歌声のトーンが上がる。 休息中の組合員たちの拍手も大きくなる。 工場の外に立っていた用役は、一瞬見えなくなり、 工場の中では組合員と支援の仲間たちが互いに配慮しながら、座り込みを続けている。

一緒に戦ってくれていると感じています

文化公演で集会の雰囲気が急上昇し、 司会者が支援の仲間たちの集会をさらに一時間すると話す。 一瞬、目の前がひやっとする。 幸い、冗談だった。 民主労総のチェ・ジョンジン職務代行のまとめ発言で集会は終わる。

「最後に『連帯闘争歌』を力強く歌って、連帯組織は退くことにします。 闘争、闘争〜!!」

そうだ、お前らたちは外勢と資本があって、暴力集団警察と軍隊があると言うが
私たちには信念と義理でかたまった、死も共にする同志がいる
見よ連帯の旗、聞け団結の叫び

明日、明後日にはここから出て行くというパク・ソンジュン氏は、 出て行くと度々思い出しそうだとし、 次はもっと多くの人々と一緒に支援にきたいといった。

▲甲乙オートテックの前。暑さの中でも用役は撤収しない

「私たちだけの戦いではなく、支援の仲間たちが一緒に戦ってくれているということを体と心で感じています。 支援の仲間たちが一緒に死守しているおかげで、私たちが少しの間だけでも休めます。 死守をしなくても、一緒にいてくれるだけでも力になります。 今、私たちの問題が労働界で深刻な問題になっています。 こうして来てくれる人がいるということが、世論面でも力になります。」

集会場そばの陰で休息しながら、拍手してシュプレヒコールをあげながら一緒にした甲乙オートテック支会のある組合員は、 支援の仲間たちを見て、組合員たちを支持してくれる方々が多く、自分たちが孤立していないと感じるといった。

「お疲れさまでした。」
「ご苦労様です。」

午後2時。 支援の仲間たちが正門死守を終えて立ち上がると、また組合員たちがその場を埋める。 真夏の昼の暑さも、数十年間働いてきた自分たちの工場を守るという労働者たちの意志も相変わらずだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-08-31 20:37:33 / Last modified on 2016-08-31 20:37:34 Copyright: Default

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