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だから、私はゼネストに参加する

[封堂の風景](13)民主労総ゼネストの社会政策的意味

チェガル・ヒョンスク(民主労総政策研究院長) 2015.04.22 15:57

民主労総は2015年、労働市場構造改悪阻止、公的年金強化および公務員年金改悪阻止、最低賃金1万ウォン争奪、すべての労働者の労働基本権保障という四大要求を掲げ、 4月24日にゼネストを行う。 民主労総のゼネストに対し、雇用労働部の李基権(イ・ギコン)長官は目的が不法なストライキであり、手続的にも穏当ではないので法と原則により厳正に対応すると明らかにし、 ストライキの中断を要求した。 こうした政府の立場に対し、民主社会のための弁護士の会(民主弁護士会)は声明書で、 民主労総の要求事項は労働者の勤労条件に関するものであることが明らかなので、 違法な点は全くないと明らかにした。 また、「国際労働機構結社の自由委員会は、経済政策や企業に直面した問題は正当なストライキの目的に当たり、 もし純粋な政治ストライキであってもストライキの不法性の判断の権限は政府ではなく、 当事者が信頼できる司法府の領域にあると言っており、 労働部長官のような行政主体がストライキを不法と規定するのは結社の自由の原則に符合しないと一貫して判断してきた」と提示し、 民主労総のゼネストの支持を明らかにした。 このように、民主労総のゼネストについて政府と資本は統制の触覚を立てているが、 労働および市民社会陣営の期待はかなりのものになっている。 さらにセウォル号惨事が発生してから1年経っても真実を明らかにするどころか、遺族を侮辱して国民を分裂させてきた国家の正当性が危機になっている時点で組織された労働者の社会的な要求は、いつよりも重要だ。

3月から筆者は民主労総政策研究員として働いていて、ゼネストに参加する。 しかし私の職場は民主労総の付設機関なので、ゼネストに参加するのではない。 社会政策学者として、民主労総のゼネストが持つ社会的意味に十分に共感するから、 したがって私はゼネストに参加する。 民主労総のゼネストが持つ社会政策的意味を3種類の側面から提起する。

第一に、社会政策は資本主義市場の不平等の問題を非市場的な機制に制度化し、社会構成員を保護することを目的とする。 韓国社会不平等の主な根源は、資本主義的生産関係の搾取構造の深化に起因する。 1997年の経済危機以後、新自由主義的な構造改革が労働市場と社会全般に影響を与え、 労働者階級内部の分化は深刻になり、これによる所得二極化と所得下落などで社会福祉に対する必要が台頭した。 しかし韓国の社会福祉体系における所得保障体系は、社会保険制度で運営されるので労働市場の雇用を安定的に維持することが難しい人々は制度の恩恵を享受するのが難しい。 これにより社会福祉の死角地帯の問題が発生した。 さらに政府は所得保障体系が社会保険制度で運営されるので、加入者の財政責任を原則的に固守することにより、 事実上、社会保険の死角地帯解消のための社会政策の規制は明確ではない。 したがって、死角地帯の根源である雇用の不安定性、つまり非正規雇用形態の正規職への転換と使用者側の解雇理由に対する再規制が死角地帯解消の解決法になる。 このような観点から、社会政策は労働政策と緊密な関連がある。 しかし政府の労働市場構造改革案は、非正規職問題の本質を「正規職過保護論」で糊塗し、 成果給や、さらに自由な解雇の規定を導入し、さらに柔軟な労働市場改編を計画している。 労使政委員会で該当の問題が合意できずに決裂した後、政府は一方的に法案の上程と団体協約への介入、施行令、業務指針等を通じ、 労働市場の構造改悪を推進することを明らかにした。 10大財閥の社内留保は500兆を超え、国民総所得における企業の割合は2000年の16.5%から2012年には23.3%に増えたが、 同期間に家計の割合は68.7%から62.3%へと下がった。 それでも資本は継続的に労働費用削減を強化しており、 国家は経済成長と雇用創出を名分として労働市場の構造改革を反労働的に進めようとしている。 もし資本と政府が思う通りに労働市場が改悪されれば、直ちに労働者たちの雇用や所得に直接の影響を及ぼすばかりか、 社会保険の死角地帯はさらに極大化するほかはない。 したがって政府の労働市場構造改悪は、社会政策的な次元でも必ず防ぐべき対象になる。

第二に、民主労総のストライキ要求の一番最初には、公的年金という社会政策要求案が提示されている。 これまで民主労総は社会公共性強化闘争を中心として社会政策領域や各種の民営化反対闘争をしてきた。 しかし単社の次元ではなく総連盟次元で公的年金をストライキの主要要求として提示したのは今回が初めてだ。 フランスで労働者と学生が2010年と2013年、国家による年金改革に対抗し、ストライキをする姿を見て、自分たちの未来を国家が勝手に決定することはできないと動いた彼らの参加と行動がうらやましかった。 ところが韓国でも初めて社会保険の議題について、労働者がストライキという手段による強力な介入の火ぶたを切ろうとしているのだ。 今まで韓国の公的年金は、利害当事者である国民年金加入者や公務員年金加入者の意見が政策決定の過程で重く受け止められることも尊重されることもなかった。 政府の官僚と政府が推薦した専門家を中心に財政安定という目標の下で、公的年金は着実に縮小されてきた。 OECD国家のうち老人貧困率1位の大韓民国は、65歳以上の老人二人に一人が貧困層だという現実で、 未来の財政安定のために未来の年金給与水準を縮小し続けてきた。 これは未来世代のための財政削減ではなく、未来世代の年金受給権を剥奪したり縮小する結果につながるという点は徹底して無視され、 老後保障での個人の責任が強化された。 年金財政安定化をあげて支出を減らし、収入を増やす方式で保障性を削り、保険料を増加させてきた。 しかし、保険料収入増大の方案は多様だ。 青年失業率を下げるには、質が良い雇用(公共部門および公務員の正規職雇用)を積極的に拡大し、該当の費用は国民の血税フレームではなく、 資本の責任に帰結させれば事実上、不可能な方法ではない。 つまり年金の問題は財政ではなく、政治が本質だ。 このような観点から、民主労総のゼネスト要求として公的年金強化と公務員年金改悪阻止は、 国家と資本の一方的な社会政策決定に制約を加え、今後の社会政策の決定の過程にさらに多様かつ強力な方法で労働者と庶民が介入する契機を作ることになった。

第三に、最低賃金1万ウォン値上げとすべての労働者への労働基本権保障は、 総労働の観点から組織されていない労働者を代弁すると同時に、 実質的な所得の強化と労働権強化による作業場の民主化を実現する社会的な意味を持つ。 また、国家が無視してきたセウォル号遺族の痛みに民主労総が共にし、 保守日刊紙のイデオロギーとして流布される貴族労働者たちの利己的なゼネストと歪曲するのが難しくなった。 韓国の社会福祉制度は危険と危機別に非常に分化的に発展してきた。 そのため労働貧困層は社会福祉の恩恵を受けるのが難しく、 制度別に給与対象者が分離されていて、政策に対する大衆的かつ普遍的な要求が難しい構造だ。 さらに労働貧困層や次上位貧困層の福祉恩恵は非常に劣悪だ。 したがって一次分配の重要性が強調されなければならない。 最低賃金に対する基本フレームを実質所得強化の観点に転換することにより、 最低基準の賃金ではなく、仕事により保証されるべき最低限の賃金所得が再考されたのだ。 もちろん、自営業者と小商工人の賃金費用への憂慮も存在する。 しかし民主労総の最低賃金1万ウォンのフレームの主な打撃対象は資本であり、 自営業者と小商工人に対する特別な支援方案は継続的に考慮されている(クレジットカード手数料引き下げ、自営業者と小商工人に対する税金恩恵など)。 したがって、1次分配の市場賃金の矛盾を縮小させ、2次再分配の問題をより透明にすることができるという点で、緊密に社会政策的な意味を持つ。

社会政策は資本の立場では労働力の安定した保障のために、 国家の立場では資本蓄積の正当化のために、 そして労働の立場では社会的危険から保護されるために必要だ。 各国家の発展局面と時期によって相異なる階級的な利害関係は、 権力構造によって決定され、この決定形態は流動的だ。 それでも大多数の資本主義国家で合意された社会政策の機能的意味は、 資本主義市場経済が発生させた構造的な社会問題に対して予防的かつ事後的に、さらに平等な社会を達成する方案を制度化することで社会構成員を保護し、社会統合を維持することだ。 だから社会政策は独立的であるよりは、労働政策とともに考慮すべきだ。 今まで韓国社会で社会福祉、福祉国家に対する議論は福祉を通じ、すべての問題を解決できるかのように想定する「福祉万能主義」か、 労働市場や労働政策は無視してただ社会福祉政策で制約的な接近をする傾向が強い。 しかし、韓国の福祉の代表的な問題が死角地帯と低保障性である点を考慮すれば、 社会福祉制度により解決できる範疇や領域は非常に制約的にならざるをえない。 したがって、4.24を起点として始まる民主労総の2015年ゼネストは、 労働の観点ばかりでなく、社会政策の観点でもかなり重大な意味を持つ。 資本主義の根本的な矛盾の止揚を目的にしない社会政策は、資本の利害関係を持続させるが、 労働者のゼネストは社会政策の労働階級性を強化させる。 したがって4.24ゼネストと、今後計画される民主労総のゼネストは、 以前のゼネストとは明らかな差を持つことになる。 行こう、ゼネストへ!!!

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-04-23 09:49:07 / Last modified on 2015-04-23 09:49:09 Copyright: Default

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