「風邪、疲れは宅配労働者には贅沢」...宅配労働者の叫び
CJ大韓通運宅配ドライバーストライキ、「一日15時間労働、各種のペナルティで死にそうだ」
ムン・ジュヒョン記者 2013.05.15 10:45
CJ大韓通運宅配のドライバーのストライキが11日間続いているが、全北地域のCJ大韓通運宅配ドライバー36人もストライキに参加して注目されている。
彼らは2日に民主労総貨物連帯CJ大韓通運分会に加入し「一方的手数料値上げと
ペナルティ制度の廃止、誠実交渉」等を要求し、現在全州市パルボク洞にある
物流集荷場で座り込みをすると共に毎日集会を開いている。全州地域約160人の
CJ大韓通運宅配ドライバーのうち36人がストライキに参加しているが、宅配
ドライバーは特殊雇用労働者に分類され、労働者性を認められていない。
▲キム・ジョンハク全州地域貨物連帯CJ大韓通運宅配分会長[出処:チャムソリ]
大韓通運分会のキム・ジョンハク分会長は「朝6時50分に出勤して、晩11時まで
配達、集荷、下車、送り状整理まですべて宅配ドライバーがしている」とし、
「悪条件の中でも黙黙と働いたが、手数料は一方的に上げられ、大韓通運の時
にはなかった各種のペナルティ制度で賃金はますます下がり、宅配ドライバー
の不満が高くて労組に加入した」として労組に加入した理由を明らかにした。
「ペナルティ制度に低い手数料のために一日15時間労働しても苦しい」
「風邪、疲れ、病気は宅配ドライバーには贅沢」
現在、全国的にストライキが広がっている中で、5月13日には全国で約700人の
CJ大韓通運宅配ドライバーがソウル市汝矣島産業銀行の前に集まり、大規模な
集会を開いた。この場で労働者たちは誠実交渉を要求した。
公共輸送労組の関係者は、「最近、会社と会ったが、会社は具体的な交渉案を
提示せず交渉が止まっている」と現在の状況を伝えた。このようにCJ大韓通運
の宅配ドライバーの不満が高まり、内部でCJ大韓通運の劣悪な労働条件に不満
を表出する労働者が増えている。
キム・ジョンハク全州分会長は「CJはまるで労働者を働き蟻のように扱う」と
し「一匹のアリがいなくなれば、他の一匹のアリに変えればいい。まるで宅配
ドライバーを使い捨ての付属品のように見ているようだ」と怒りを表現した。
キム・ジョンハク分会長によれば、全州地域CJ大韓通運宅配ドライバーの日課
は次のようだ。
6時50分:出勤および上車(配達する品物を降ろす)開始
午前11時〜12時:上車完了および送り状整理開始
午後1時:送り状整理完了および配達開始
午後8時30分:配達完了(配達には他の地域への配達を依頼する顧客の品物の受け取りと返品の受け取りも含む)
午後9時まで:顧客から受け取った品物と返品製品を他の地域に運ぶ大きなトラックに積む(これも上車と表現)
午後9時〜11時:他の地域に送る物品の送り状整理
キム分会長によれば、こうした日課は地域と宅配ドライバーにより差があるが、
普通毎日繰り返される。最近問題になっているペナルティ制度はこの日課の中
のあちこちで適用される。
キム分会長は「午前の上車後、送り状整理をする時、約200枚の送り状をいちい
ちスキャンする。しかしミスでスキャンできなければペナルティが賦課される。
そして午後9時に他の地域に配送する物品が、配達時間の遅れで上車できなけれ
ば、この時もペナルティが賦課される」と話した。
続いて「それでも夜の上車時間を9時から11時までと流動的にすればいいのだが、
9時を過ぎると翌日に上車することになり、食品が傷むとその責任も私たちが
取ることになる」と苦情を吐露した。
チャムソリが入手したCJ大韓通運のペナルティ目録によれば、こうして上車が
できない場合、1件あたり5万ウォンの罰金が賦課される。
▲チャムソリが入手したペナルティ目録[出処:チャムソリ]
これに対してCJ大韓通運広報チームの関係者は「ペナルティ制度は、宅配ドラ
イバーに不利益を与えるためではなく、より良いサービスを提供するためのガ
イドラインとして作ったもので、これをドライバーが簡単に理解できるように
金額で定めた。警鐘を与えるための指標であって、実際にこれが適用される
ケースはきわめて例外的だった」とし、実際には一般的にペナルティ制度は
適用されていないと説明した。
続いて「宅配ドライバーのこうした不安を最近受け入れて、ペナルティ制度を
金額ではなく罰点制や教育などに変え、ガイドラインを提示する方向に変える
計画」と伝えた。
広報チームの関係者の言葉通り、CJ大韓通運が提示したペナルティ制度は宅配
ドライバーに十分に警鐘を与えたのは確実のようだ。キム分会長は「ホーム
ショッピングなどの会社がVIP扱いする業者の配達は、客から悪口などのクレー
ムが入れば100万ウォンまで賦課するという話もおおっぴらに聞いた」とし、
「事実、一日15時間以上の仕事を金曜まで繰り返すと、身も心も疲れるが、
このペナルティ制度でさらに苦しい」と話した。
続いて「各区域ごとに配送の責任がある物量は毎日あるので、体調が悪くても
仕事をするしかない」とし「私が働かなければ同僚が苦しみ、同僚の家族が死
んでも共に慰めることができない。風邪、疲れ、病気、これらすべてが宅配
ドライバーには贅沢」と宅配ドライバーの現実を語った。
こうした不満はキム分会長だけではない。この日会った12年目のキム某(44歳)氏
も「一日返品が遅れれば1000ウォンが賦課されるが、よく発生する」と話した。
このように、ペナルティを受けるという認識の中で、一日15時間近く働く彼ら
の運送収益(通常月給)は、1件当たり800ウォンから860ウォン程度。実際に稀に
2000ウォンが出ることもあるが、これは1か月に1〜2回。ほとんど800ウォン水
準の手数料を受け取る。キム分会長は「事実この基準についてわれわれは分か
らない」とし「1人代理店の形で働く人もいて、数人の宅配ドライバーが集まっ
て代理店を運営することもあるが、その運営費は皆宅配ドライバーが負担しな
ければならない。そして燃料費、食費まで入れれば結局件当たり650ウォン水準
を取る。これを1か月で計算すれば平均180万ウォンから230万ウォン程度だ。
1日15時間働くことを考えれば低い金額」と話した。
CJ大韓通運広報チームの関係者は「手数料は全国の村・面・洞の約6700か所の
面積と配送量で分けて、地域ごとに若干の差はあるが妥当に計算した」と説明した。
最近CJ大韓通運宅配非常対策委員会(非常対策委)が明らかにした資料によれば、
CJ宅配と大韓通運の統合後、宅配ドライバーの1か月の固定収入は177万ウォン
水準、これを時給にすれば時間当り4400ウォン程度。2013年の最低賃金4860ウォ
ンにも満たない水準だ。非常対策委は「大韓通運が統合し、多くの用車(持込車主、
宅配ドライバーを指すこともある)が代理店に編入され、代理店運営費を全く
負担せず宅配ドライバーの負担はさらに増えた」と説明した。
▲14日午後、全州地域貨物連帯CJ大韓通運宅配労組員がストライキをしている現場に停められた車両[出処:チャムソリ]
「CJ大韓通運、直ちに交渉に出て来い」
非常対策委、ペナルティ廃止・手数料値上げなど12項目の要求を提示
一方、CJ大韓通運宅配非常対策委員会は5月13日、民主労総公共輸送労組と民主
統合党の殷秀美(ウン・スミ)・張(チャン)ハナ議員などと共に記者会見を行っ
て、「会社が即刻に交渉に出てこい」とし、12項目の要求を提示した。
非常対策委が提示した12項目の要求には、問題になるペナルティ制度の廃止と
配送手数料を950ウォンに値上げ、事故処理の責任転嫁禁止などが含まれている。
この日の記者会見で非常対策委は「宅配の全過程にわたりCJ大韓通運の指示と
監督を受けているが、責任が発生すればすべて宅配労働者に転嫁される」と
糾弾した。
このように、CJ大韓通運宅配労働者の叫びで、市民社会、政界の参加も広がっ
ている。進歩正義党、民主党、統合進歩党、参与連帯などの政党と市民・社会
団体は素早く声明を発表し、CJ大韓通運の態度を「甲の横暴」と規定して糾弾
した。
▲全州地域CJ大韓通運宅配労働者が全国的なストライキ隊列に合流し、全州地域でストライキをしている。[出処:チャムソリ]
民主労総全北本部のチョ・ヘジン組織局長は「地域公共輸送労組と共に迅速に
動き、CJ大韓通運宅配労働者の闘争に連帯する」とし「特殊雇用労働者などの
問題は、一日二日の問題ではなく、地域社会も関心を持つべき問題だ。毎日、
午前中にパルボク洞の大韓通運物流集荷場で開かれる集会などに地域の市民社会
も参加してほしい」という希望を伝えた。(記事提携=チャムソリ)
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
Created byStaff.
Created on 2013-05-16 06:39:41 / Last modified on 2013-05-16 06:39:42 Copyright:
Default