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15万ボルトの送電塔で雨に打たれて

[非正規職鉄塔日記]現代車座り込みメモ 6・8日目

チョン・ウイボン(現代車非正規職支会事務局長) 2012.10.26 16:05

[編集者 注] 『不法派遣撤廃、すべての社内下請正規職化、鄭夢九(チョン・ モング)拘束』を要求して、現代車蔚山工場ミョンチョン裏門駐車場の送電塔に 上がって座り込みに入ったチョン・ウイボン現代車非正規職支会事務局長が、 鉄塔日記を書き始めた。チョン・ウイボン事務局長は毎週2回程、スタイラス・ ペンで携帯電話日記を書いて画像ファイルで送る予定だ。

2012年10月22日、座り込み6日目
15万ボルト送電塔で雨に打たれながら

雨が降ると昨日は大騒ぎをしたが... 幸いにも朝、目を開くと雨は降っていな かった。鉄塔を守った組合員100人ほどがいたので鉄塔の上の天気はぽかぽかと 感じられた。普段の『出勤闘争』隊伍より多い100人ほどが集まって、一週間を 知らせる闘争を始めた。一週間ここを死守しているが、疲れているはずの組合員 は少しも動揺することなく、ここを死守している。今日からは死守隊伍が減る。 組合員が飢えた腹を満たして現場に戻る。

夜中、ずっと静かだった鉄塔の上空は暗雲が覆われている。空も何か、悲壮な 覚悟をしたかのようだ。雨の支度が終わった状態だ。狭い空間に渡した板は、 風で動揺する。蔚山本部主催の文化祭が開かれる。だが空は、私たちに空間を 開いてくれなかった。文化祭の開始と同時に一気に雨が降り始めた。そのうえ 私がいる所は15万4千ボルトの電気が流れる高圧電線の送電塔だ。私は電気が とても嫌いだ。

小さかった時、お父さんの友人とバッテリーで魚を取りに行ったのだが、後で 魚を拾っている私が感電してしまった。そのバッテリーは、車用のバッテリー なのだが、電圧は12ボルトだ。ここに座って、おかしなことを考える。小さかっ た時、12ボルトでしばらく気絶していたのに、稲光がして、鉄塔に電気が流れ れば、これが何ボルトなのか想像もできない。少し後悔して、酒を飲みながら、 ビョンスンが兄と約束したその日を。外の集会文化祭は目にも入らなかった。 じっと目をとじて祈祷してみる。雨は降っても良いが、雷だけは鳴るなと。風 が強く吹いたが、雨で全身ずぶ濡れになった私は、鉄塔を掴む意欲もなかった。 それでも合板に座っているのだから、電気は通じないだろうと考える。

暴雨で文化祭は途中で中止になり、雨を避けようとする組合員が一人二人と目 から遠ざかっていた。組合員が前にいる時は大丈夫だと自らなだめていたのに、 組合員が見えなくなり始めると、不安はさらに高まっている。緊張感をなくす ためにタバコを取り出したが、どういうことか! ライターも水にぬれてつかな い。口からは自然に悪口が出てくる。こんな調子で時間が流れ、雨は終わった。

雨のおかげでしばらく取り出すこともできない私の電話機には数十通の携帯メッ セージと何通かの電話が来ていた。がんばれはという携帯メッセージと応援の 激励メッセージだった。このメッセージを見ながら、さっきしばらく後悔した 瞬間が嫌になる。応援激励メッセージと共に私の心もなぐさめられる。今、私 の身は自分のものではなく、10年間現代車に恨みを抱く組合員の身であり、 850万非正規職の身なのだと。下も忙しい。雨に当たって体調はどうか、ぬれた 服を着替えて過ぎ行く雨と共に私の一日も通り過ぎる。

2012年10月24日、座り込み8日目
現代資本の心臓にナイフを突き立てる

少し暖かい日差しと共に、けだるい午後を楽しんでいる時は、おかしな気にな る。支会役員執行部のカトク対話室から「支会長が警察に捕まった」という携 帯メッセージが来た。いろいろ調べてみたが、起きた状況に皆が戸惑っている。 まもなく支会長が対話室に来た。『連行されたら携帯メッセージは送れないは ずだ』と考えて、また対話室に入り「こんないたずらはしないでください」と 返信すると組織部長から「いたずらではありません」という携帯メッセージが くる。瞬間、寒気がした。途方に暮れた瞬間、何も考えられなかった。これか らこの状況をどうして突破すればいいのか。

一瞬、昨日、支会長が書いた『2次包囲の日』の要請の文句を思い出す。「私が いる組合の事務室から鉄塔までは、歩いて20分です。私が行って二人の仲間の 安全を確認しなければならないのに、私はそこには行けません。数千、数万が 私の目になって、二人の仲間の安全を確認して下さい」。

支会長が連行された東部警察署までは車で20分なのに、私も支会長のところに 行くことができない。本当に涙が出る。初めて役員になった時、パク・ヒョン ジェ支会長は結婚10年経ってやっとできた娘がいた。10か月の娘を残し、労働 組合正常化のために支会長になった。一瞬、こらえていた涙がどうしようもな く流れる。

涙ぐむ。少し弱くなった私の心をまた立て直す。私がここで弱気になってはい けない。会社と政府の誤った判断だ。トップを捕まえさえすれば、戦えないと いう傲慢な考え、組合員すべてが支会長になって組合員すべてが役員になって、 また雑草のように立ち上がる。鄭夢九(チョン・モング)に必ず復讐するのだ。 待て。この怒りで必ず巨大恐竜グループ現代資本の心臓にナイフを突きたてよう。

下の組合員も大変な雰囲気だが、私にがんばれという。この時ちょうど田舎の 母から電話があった。「息子申し訳ない。お前はあの高い吹きさらしで眠って いるのに、暖かい部屋に横になっているこの母を許してくれ」。込み上げる悲 しみがまた押し寄せる。「皆同じように楽に暮らしたいと、ここで頑張ってい るのだから少しだけ我慢してほしい」とお母さんをなだめてみる。私を育てる ために、お母さんはとても苦労した。今年65歳だ。からだも具合は良くない。 今、私が親孝行してあげなければいけないのに、もう少しだけ待って下さい。 堂々と正規職を勝ち取って、ゆっくり暮らせるようにして差し上げますから。

とにかく、今日の気持ちはめちゃくちゃだ。今日から韓国シリーズの野球がある。 私は31歳、まだ夢も多く遊びに行きたい私だ。野球場に行って、累積した ストレスでも解きたい。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-10-28 00:31:33 / Last modified on 2012-10-28 00:31:33 Copyright: Default

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