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タイムオフが呼んだ冷たい死

法が認めた労使安全活動も『無断離脱』...労使、あちこちで衝突

チョン・ジェウン記者 2011.06.10 09:45

タイムオフに抵抗して6月9日に自決した現代車牙山工場のパク○○(49歳)氏は 『労働安全保健委員(略称労安委員)』だ。足で走り回って労働者の安全と健康 のために活動した彼は、タイムオフという壁に遮られて、会社と戦わなければ ならなかった。

結局、遺書を残して冷たい遺体になって家族と同僚の前に立った彼は、『この 命を投じても、労働弾圧粉砕の先頭に立つ』と書き残して行った。

▲パク組合員が自殺したエンジン事業部トイレの前を牙山委員会幹部が守っている。[出処:金属労組カン・ジョンジュ]

法で保障された安全活動もタイムオフで制約

マット設置、椅子保守、資材パレット騒音で交替...

労使共同の安全活動も労働者だけ無断離脱、無給

現代車支部(正規職労組)は専任常勤者の労組役員だけでなく代議員、労安委員、 教育委員など多くの非常勤労組幹部が活動している。牙山工場委員会だけでも 労組専従常勤者11人、労安委員5人、教育委員5人、代議員26人だ。

『労安委員』は労組の職責でもあるが、産業安全保健法によるものでもある。 『産業安全・保健に関する基準を確立し、その責任の所在を明確にし、労災を 予防して快適な作業環境を造成することにより、勤労者の安全と保健を維持・ 増進することを目的』として、この法は制定された。この法により労使は共同 で委員を構成し、現場の安全のために多様な会議、活動をしている。労組体系 とは異なる形式で、労使が現場の安全のために協力し、これを法で保障している。

だが『労安委員、筋骨実行委員(筋骨格系実行委員)、筋骨(筋骨格系)申請面談 の時間まで、無断離脱にしている』と故人が遺書に書いたように、産業安全 保健法はタイムオフ施行で紙切れになってしまった。

筋骨格系実行委員は筋骨格系疾患患者が発生すれば、面談をして会社環境安全 チーム(現場安全管理チームの一つ、労組の労安委員会と似た役割を果たす会社 の組織)に提出するが、実行委員は患者との面談の時間も取れない。労安委員で 筋骨格系実行委員だった故人は、産業安全保健法によって活動していたのに、 タイムオフが適用されて『無断離脱』として「無給」処理された。

この4年間、労安委員として活動していた現代車労働者キム某(42歳)氏は「産業 安全保健法によって、労使は作業改善、安全事故、作業環境測定、安全点検、 労働災害申請、労働災害不承認検討など、現場の安全と労働者の健康のために 総体的な活動をしている。労使が協議して、2003年に筋骨格系実行委員を作っ たこともある」とし「活動時間が必要で、患者との面談などで駆け回っている が、無断離脱で処理されるのできちんと活動できない。労安委員の活動ができ なくなれば、現場で安全事故が増えるのは火を見るより明らかだ」と指摘した。

また産業安全保健法19条によれば、事業主は勤労者・使用者同数で構成される 産業安全保健委員会を設置・運営しなければならない。現代車労使も産業安全 保健委員会を運営し、分期ごとに労使が集まる。さらに月1回開かれる安全保健 改善チーム会議、予防管理委員会の会議など、労安委員は現場の安全に責任を 持つために多くの活動をしている。

今年4月27日に開かれた安全保健改善チーム会議録を見ると、労使は筋骨安全 マットの設置、椅子の補修、資材パレットの騒音で交換などを議論し、作業完了 事項も詳細にチェックしていた。

キム氏は「タイムオフは労働者の健康権まで奪っている。安全保健だけの問題 ではなく、労働者の福祉、賃金向上のための労組活動も制約されている。さらに タイムオフは労組活動家を苦しませ、暮しやすい社会のための行動もさせない」 と批判した。

ニューエンジンの新規ラインで作業環境を測定すると、無断離脱?

タイムオフで何かと衝突、労使関係悪化

「タイムオフは病人を増やし、労組を弾圧する悪法」

特に故人が働いていたエンジン1部はデルタエンジンの後続のニューエンジンを 生産する所で、新規ラインが設置された部署だ。現代車使用側は昨年からニュー エンジンを生産する新規ラインを敷き始め、今年5月に正常稼働に入った。

このために作業環境を測定して、現場の安全と労働者の健康を守る活動は何よ りも重要だった。だが4月にタイムオフが施行されたことで、労組の労安委員が 作業環境を測定しようとすれば、いつも会社と衝突した。

故人と同じように現在労安委員をしているコ・ヒョンスン(32歳)氏は「4月には とんでもないことがあった。作業環境測定をしなければ、法律違反だ。会社の 環境安全チームはまた会社の支援チームに勤怠協力を要請したが、会社の支援 チームはタイムオフにより勤怠協力ができないといった。無給だというのだ」 と怒った。

コ氏は続いて「作業環境測定をしなければ会社は法律違反になる。われわれは 無給なら測定せず、法的対応すると抗議した。結局、会社が勤怠協力をした」 とし「法が認める現場安全活動をさせないタイムオフは、結局労組活動を無力 化させる制度でしかない」と指摘した。

故人の同僚のキム某(50歳)氏もタイムオフにより故人が苦しんでいただけでな く、労組活動が全般的に制約を受けると憂慮した。故人を近くで見ていたキム 氏は「前は違ったが、4月にタイムオフが適用され、会社は勤務協力をしなくなっ た。ことごとに管理者とあたるので、急にラインの必要で提案しても無給で、 病気の人と面談しに行っても無給で、教育を受けるのも無給で、労組活動を するなという悪法だ」と厳しく批判した。

故人と同じ工程で働いているカン・某(34歳)氏も「労組幹部の活動は認められ るべきで、賃金も受け取れなければならない。活動が制約されれば、当然、 組合員が被害を受ける」と話した。

▲故人の遺体が葬儀場に移動すると、遺族は嗚咽した。

タイムオフ勤怠管理マニュアルは「労組活動許可制」

労組弾圧の先頭に立つ政府と現代車

一方、現代車は4月にタイムオフを施行するにあたり、『勤労時間免除関連勤怠 管理マニュアル』を作成、施行している。マニュアルによれば、タイムオフの 施行で法的根拠を提示して『事前承認組合活動』と『未承認組合活動』に分けた。

専従者を24人に確定し、期間専任は(1)労働組合の事前要請を労務主管チームが 承認、(2)各部門の人事主務チームは該当の所属部署に協力前に送付(対象者、期間、 組合活動内容)させている。『未承認組合活動』をした時は、該当者は『人事 措置』され、組合活動のための早退、外出、欠勤は『不可』だ。

労組のある関係者は、「タイムオフ制により、会社が勤怠管理をしても、労組 の弾圧に政府と現代車が先頭に立っている事実は否定できない。すべての活動 が許可制だ」とし「結局、タイムオフは労働界全体の問題で、労使が全面戦争 をしなければ解決しない問題だ」と主張した。(記事提携=メディア忠清)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-06-13 04:29:45 / Last modified on 2011-06-13 04:30:24 Copyright: Default

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