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ユソン企業の労使破局を客観的に収拾しよう

[寄稿]ユソン企業-現代車グループ-MB政府の合同作品

キム・ヨンジク(民主労総忠北本部) 2011.05.30 13:56

労組の占拠による生産中断で20日の被害額は約1111億ウォンに... 不法ストに 厳しく処断する方針、外部勢力介入、賃金7000万ウォンの貴族労働者、3年連続赤字 企業に無理な要求...

マスコミの報道内容だ。本当に正しいのか? 少なくとも事実関係を確認した 報道なのか? チェ・ジュンギョン長官に続いて李明博大統領も、7000万ウォンの 労働者はストライキをするなと断言する。

ユソン企業事態は公権力投入で終了したか?
そう望みたいのだろう。そうだと思う側では、今回のユソン企業事態が連鎖的に 拡大すると警告している。ユソン企業事態の事実関係を客観的に点検してみよう。

3年連続赤字の会社、7000万ウォン貴族労働者が不法ストライキをしたのか?

当期純利益132億 → 70億 → 13億 →157億

マスコミは労組がストライキのたびに、会社がずるずると労組の言いなりに 賃金を上げ、3年連続赤字なので『こんな会社でこんな無理な要求を?』と 労組を追い込んだ。真実は違う。

ユソン企業とユソン企業が大株主として経営権を持ち支配する子会社の経営実績 も合わせた連結財務諸表は、当期純利益2007年132億ウォン、2008年70億ウォン、 2009年13億ウォン、2010年157億ウォンだ。どの会社もこんな実績は難しい。

ユソン企業労働者の血と汗でユソンPM工業、Y and Tパワーテック、ユベガルリョ ファルセクァン有限公司、トンソ工業、ドンソン金属、シナ精密という子会社 を編み出した結果だ。最も重要な会社だ。株式がわけもなく上がったのではない。 泥の中の真珠を株屋が発見したのだ。

また、韓国自動車協会とチェ・ジュンギョン知識経済部長官に続き李明博大統領 も『1人当りの年俸が7000万ウォンを越える会社の不法ストライキは国民には 納得し難い』とし、貴族労組と追い込んだ。インターネットに掲載された9年目の 労働者の給料明細だ。

基本給は時給に換算すれば5900ウォン。今の最低賃金4320ウォンより1580ウォン 高い。基本給に対する総支給額は50%程度だ。一日8時間、週40時間という 法定労働での基本給の割合がそれだけ低いということだ。

ではあとは表の通り、一か月に一日2時間、15日間の超過勤務と、休みの土曜、 日曜の5日を働いた。人間の寿命を13年も縮める深夜労働を10日した。これで受 け取る賃金が税金抜き保険抜きで217万ウォンだ。本当に多いのか? 一家庭の 家長が受ける金としては、決して多くない額だ。

通常賃金164万ウォンで計算される賞与金の800%も入れ、この組合員の課税前の 年俸は4329万4344ウォンだ。税金を払うと3912万779ウォンだ。鉄が飛び、全身 に火傷の跡、途方もない騒音と化学薬品のひどい臭いに耐えて残業や特別勤務 で稼いだ4千万ウォンが、不当な貴族労働者の賃金なのかを確かめるべきだ。

7千万ウォン? 入社25〜30年目の古参が死ぬほど土日もなく、残業に特別勤務、 夜間勤務をしてやっと稼げる仮想の賃金だ。貴族労組だと国民に非難させるた めだが、最低の基本もない。保守言論、チェ・ジュンギョン長官、李明博大統領は、 この言葉にどう責任を取るのか?

本格的に座り込みするために嶺東に行った組合員、夫人が『こっそり違う家を 持っているのか? もらった年俸7千万ウォンはみんなどこに行ったのか?』と 追及されたという。言論は本当に恐ろしい。

ストライキの正当性

労働部は『労組が団体交渉の決裂で争議行為をするのは正当だが、職場閉鎖に 対して管理職社員の会社出入を封鎖し、生産ラインを占拠するのは排他的業務 妨害容疑に当たり不法ストライキ』だと言う。

1)適法に申告された職場閉鎖だが、2)労組が代替人材の作業を妨害するため に生産施設を占拠してストライキ参加者以外の会社の人の出入を阻止するのは 不法という論理だ。1)が適法だからこれに違反した2)は不法だ。この論理は 1)が適法なら2)が不法だ。1)が不法なら2)は不法ではないという理屈になる。

大法院宣告98タ34331では『職場閉鎖は…勤労者側の争議行為に対する防衛的な 手段としての相当性が認められる場合に限る』とされ、『労組が順法闘争に入っ てから3日で電撃的に断行した使用者の職場閉鎖は正当性を欠く』と判示した。

つまり今の職場閉鎖の適法性に関する法律的な判断を優先すべきなのだ。スト ライキ初日、それも3日の時限付き2時間部分ストへの職場閉鎖が防御的なのか、 攻撃的な不法なのかを判断しなければ、労組の退去拒絶が不法かどうかは言えない。

しかしこうした法律的な判断をせず、不法だという労働部の主張しかない。 もちろん私も主張だ。主張と主張ではない法律的判断は法院の役割だ。それが 欠けている。

ストライキ誘導労組破壊工作、現代起亜車グループ介入、政権の介入はあったか?

ひき逃げ事件、『未必の故意による殺人行為』

慣例では、一般的な交通事故でも全治4週以上の傷害が4人以上発生する場合、 いくら初犯で逃走のおそれがなくても拘束捜査した後、1審で執行猶予で解放さ れるのが一般的だ。夜間のひき逃げ事件なのに釈放したことが異例なのは明ら かだ。一般的な常識と法律的な常識を動員しても、0時30分にライトを消し、 人が集まっている歩道に突進してひき逃げをしたのは交通事故を越え、未必の 故意による殺人行為だ。

またその車は偽装車だという。偽装車なら、当然総合保険どころか責任保険にも 入っていないのは明らかだ。今まで加害者は被害者と合意の努力もしていない。

殺人未遂ではなく道路交通法だけを適用しても、無保険、夜間歩道疾走、ひき 逃げ、多数の4週間以上の重傷者を出したこの事件は、100%拘束捜査が原則だ。 こんな状況での不拘束捜査は不公正を越え、法院の独立という存在を疑わなけ ればならない。

ストライキ誘導?

労組は使用者側が徹底した計画の中で労組のストライキを誘導したと主張する。 その理由として、車中で発見された現代車購買担当総括理事という人による文書を 提示する。

文書には、労組のストライキ賛否投票の前の5月11日(水)から具体的な使用者側 の準備と対応事項をまとめている。労組のストライキを不法と規定し、攻撃的 職場閉鎖を準備した。職場閉鎖を既定事実化し、会社周辺、その上社長の家にも 集会申告をして、あらかじめ用役会社に見積もりを出して施行を準備させた。 また、管理者を動員し、宿泊しながら生産できるように寝具と衣類まで準備した。 労組の不法を誘導するために採証組とCCTV、デジタルカメラを購入した。

労働組合のストライキを誘導し、この機会に必ず民主労組を根絶するという 徹底した事前準備をしたことが明らかなストライキ誘導で不当労働行為だ。

現代車が背後にある

現代車はすぐ自分たちは関与していないと熱心に強弁した。発見された文書を よく見れば、ほとんどがユソン企業または創造コンサルティングで作られたと 見られる。

ただ一枚『[ユソン企業]昼間連続2交代導入関連の問題点および推進方案』と いう文書は明らかに違う。現象を分析してユソン企業と金属労組、現代起亜車 の状況が出てくる。また予想される問題として『ユソン企業労使間の昼間連続 二交代施行合意時→ 現代車/起亜車本交渉で一部変数発生憂慮』、『履行合意 なくユソン企業会社側の原則的対応時→現代車、起亜車の乗用ディーゼルエン ジン部品供給に支障の可能性 ※生産物量点検および対応は駆動部品開発室で 別途検討中』となっている。

ユソン企業や創造コンサルティングが作成した文書なら、予想される問題とし て『合意時→生産物量の減少の可能性、賃上げによる財務上が困難』等を提示 しなければならない。他人の心配をしている時ではない。『不合意時→部品供 給支障の可能性』まではいいが、「駆動部品開発室別途検討中」とは? 駆動部品 開発室という組織はユソン企業にはない。自分たちにない組織で別途検討が可能 だろうか?

最後に推進方向として『協議進行勧告』として(時間稼ぎ)を提示して、親切に 例もあげる。『現代車施行後3か月中に施行推進などの形態で導入するための実務 TFT構成など』さらに、コンサルト会社とユソン企業にも注文する。『コンサルト 社の「原則的対応」方向再検討を勧告(創造コンサルティング) -慶州ヴァレオ 電装の事例の盲信の危険を警戒』。慶州ヴァレオ電装の例のように『物量確保→ 労組ストライキ誘導→職場閉鎖→用役投入→管理職が工場に宿泊して現場投入→ 物量生産→労組揺さぶり、不法誘導→組合員離脱→労組無力化および幹部活動家 解雇』という手順がユソン企業に同じように適用できないことを警告している。

ぴったり合った。用役を投入して現場を掌握する試みに失敗した。だから現代 車のラインが切れ、結局警告した人が直接動いた。現代起亜車グループが 公権力投入を率いた。

創造コンサルティングの労組破壊工作

文書の創造コンサルティングのホームページに行くと、『KT、KBS、ハナ銀行、 プルムウォン、韓国資産管理公社、延世大医療院など』有数の企業に労務関連 の諮問とコンサルティングをするとなっている。これ以外に『プルムウォン、 イーランド、大韓航空、CAPS、KT契約職、ソウルレークサイド、スポーツ朝鮮、 毎日経済TV、キリスト教放送(CBS)、スイスグランドホテル、光明ソンエ病院、 新韓など』に団体交渉担当および妥結をしたと出てくる。

労組運動に関心がある方なら、当然上で議論された事業場の共通点を思い出す だろう。長期闘争事業場または深刻な労使対立があった事業場だ。また、民主 労総を脱退したり労組が無力化された事業場が多い。今回の車両突進で13人が 重軽傷を負わせたCJセキュリティという用役会社の社長は、この創造コンサル ティングが諮問した光明ソンエ病院の労務チーム長だった。

悪質事業主は労組破壊のための方案を要求し、コンサルティング会社はシナリ オを作り、会社と警備業の仮面をかぶった用役チンピラはシナリオ通りに労組 を破壊していく。労組破壊シナリオはある。

公権力投入の正当性?

例え職場閉鎖が適法で、労組の占拠が不法だったとしても、占拠状況が一週間 にもならない状況で、一介の私企業に対して公権力を投入することは史上初の 異例な事件だ。これまで公権力の投入という極端な状況は鉄道労組、航空労組 など、直接国民の被害が発生する公企業を中心に断行された。それも何度かの 対話の試みをした後、最後の手段として強行された。

私企業の場合、双竜車のように最低1か月以上の不法長期ストライキが行われ、 数回の労働部、政界の仲裁の試みがあった後、万一の偶発的な事故を防ぐため に徹底的に現場を把握した後、慎重に投入された。こうした対話の斡旋、仲裁 の試みもなくストライキ一週間で公権力を投入するのは決して正当でない。

労組が素直に平和に連行されたので何の問題もなかったのであって、もし決死 抗戦をしていれば途方もない人命被害が発生するところだった。ユソン企業の 現場は鉄の塊だらけだ。一介の部品メーカーが青瓦台の裁可が必要な公権力の 投入を要請できるだろうか? これも現代車グループの力がなければ不可能だった。

民主労総を瓦解させるための『ユソン企業-現代車グループ- MB政府』の合同作品

なぜユソン企業か?

昼間連続2交代制は、製造業現場では革命に近い運動だ。死なずに暮すために、 夜間労働を撤廃しようとする労働者の闘争が韓国に到着した。しかしこの運動 を現代自動車などの完成車メーカーの労働者が主導できずにいる。結局組織力 が強い部品メーカーが先に始めることになる。週5日勤務と同じだ。ユソン企業 などの部品メーカーがまず闘争で突破して、金属労組事業場が導入し、最後に 完成車メーカーが施行した。

ところが5日勤務は特別勤務を一つ増やしても生産量の下落はない。昼間連続2 交代は、必然的に生産量の下落を持たらす。夜間勤務をしないためだ。今回の ストライキ事態で見られたように、一介の部品メーカーの生産量が現代起亜車 を揺さぶった。したがって現代起亜車グループは絶対これを受け入れなかった。

二番目の理由は一部で提起されるように、非正規職のない工場、その地域で 一番組織力があり、連帯闘争に献身的な組織を除去し、金属労組と民主労総を 揺さぶるためだ。これまでこうしたシナリオの中で大邱サンシンブレーキ、慶州 ヴァレオ電装、亀尾KEC、光州錦湖タイヤなど、多くの金属労組、民主労総の 核心事業場が崩壊した。

答は『ある』だ。チョ・ヒョノが外部勢力と呼び、労働者は連帯勢力と呼ぶ。 ユソン企業の上級団体である金属労組と民主労総があり、社会主義労働者政党 推進委員会、民主労働党、進歩新党など政治組織があり、労働者戦線という 活動家組織がある。彼らは資本主義社会の相対的な弱者である労働者が孤立 分散した闘争でばらばらにならないように、自ら団結した組織だ。共に力を あわせ、互いに支持し、連帯するために作った組織だ。

チョ・ヒョノ式の浅はかな『資本の利益に反する勢力はすべて利敵団体』から 見れば、彼らはみんな外部勢力であり利敵団体だ。しかし資本主義の最低限の 労使間の均衡という視点から見れば、彼らは連帯勢力であり、労使間の均衡で 資本主義を維持する勢力だ。

資本と政権の金属労組、民主労総失脚が始まった

ユソン企業は欠品事態が発生すると5つの顧客会社に時間当り18億ウォンの損害 賠償を支払うことになっていて、ストライキが長期化すると会社が倒産しかね ない。一日432億ウォンの損害賠償金を払う勇気があったのだろうか?

そんな勇気は、現代車グループの協調がなければ不可能だ。そして、その裏に 公権力という力を持つ現政権がなければ不可能だ。すでに文書と情況により、 彼らの協調は確認されている。

とにかく不法に追い立て、公権力を投入し、解散させ、指導部を拘束し、労組 を無力化させれば良い。その後、職場閉鎖が不法で、だから労組の占拠は違法 ではないという判決があっても、それはその時の事だ。その時にはもう労組は 破壊され、深刻な労働統制の中で誰も関心を持たない。その数年の間に当事者 とその家庭が生存が破綻した状況については誰も責任を取らない。

明白な違法行為は、すでに明らかになった。ユソン企業使用者側の緻密なスト ライキ誘導工作が明らかになり、現代自動車の下請労使関係への不当な介入が 明らかになった。明白な不当労働行為だ。政府がすべきことは今すぐこうした 不当労働行為を中断させ、対話の中で妥結を誘導することだ。

彼らが狙うのは、この闘争をユソン企業だけの、金属労組だけの闘争に埋没さ せることだ。では、その陥穽を越えるには、この闘争がユソン企業だけの、金 属労組だけの闘争に埋没させず、連盟全体の闘争として、民主労総の闘争とし て、全民衆の闘争に昇華させれば良い。これまで新自由主義の圧殺の中で破壊 されつくした民主労組、民衆運動陣営が反撃の奇貨になる。この闘争が勝利で きる端緒、公権力でやられたユソン企業の労働者が臆せず、むしろ殺気を含ん で走り込んでいるためだ。

そして、製造業事業場の夜間労働をなくすための昼間連続二交代で、労働者も 人間らしく生きてみよう。(記事提携=メディア忠清)

ユソン企業労使破局の経過

  • 金属労組ユソン企業支会(嶺東、牙山)は2009年賃金・団体協約で夜間労働の弊害をなくそうと『昼間連続2交代制および月給制を2011年1月施行』することに合意
  • 12次の交渉で合意点を見出せず5月3日に忠南地方労働委員会に争議調整申請、調整中止決定
  • 5月17日〜18日の2日間、争議行為賛否投票を実施して78%で可決、18日から合法的に2時間の部分ストを進行
  • 5月18日、ユソン企業(株)会社(以下会社)側が午後8時に職場閉鎖を断行、用役チンピラ約30人を動員、正門を封鎖して夜間組組合員の出勤を阻止
  • 組合員は夜間組の出勤時間に合わせて封鎖された正門を開き、工場に進入、用役チンピラと使用者側の管理者を工場の外に押し出す
  • 5月19日午前0時30分頃、会社周辺をパトロールしていた時に用役チンピラが乗った偽装車両1台が歩道を突進、組合員13人をひき逃げをする事故が発生、頚椎が折れ、肩を脱臼し、眼窩上側骨が砕けるなどの重軽傷
  • 5月23日、労組は記者会見で現代車介入説、ストライキ誘導説を発表
  • 5月23日から自動車協会と保守言論が完成車ライン中断、1100億ウォンの損害など水増しして韓国自動車産業の危機、7000万ウォン高額年俸の貴族労組ストライキ云々で政府を圧迫
  • 5月24日午後4時、公権力投入、500人の労働者を連行し、キム・ソンテ牙山支会長など2人を拘束、100人は不拘束

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-05-31 18:51:00 / Last modified on 2011-05-31 18:51:03 Copyright: Default

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