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「現代車は戦争前夜に駆け上がっています」

[寄稿]現代車10年目の非正規職が鄭夢九会長に送る手紙(1)

キム・ヒョンウ(金属労組副委員長) 2011.02.16 14:46

私は2002年から現代自動車全州工場トラック部で10年働いている社内下請労働 者で、金属労組副委員長のキム・ヒョンウです。現代自動車で自動車を作って いる労働者ですが、現代車の『社員証』をもらえない社内下請労働者として10 年を暮して感じた気持ちを三通の手紙に書いて送ります。

7年待った法院の判決

2月10日の朝、ソウル高等法院に行きました。2年以上働いた現代車の社内下請 労働者は正規職だという昨年7月22日の大法院判決の破棄差戻し審理が開かれた 日でした。最高裁判決はひっくり返せないと思いながらも、国内ローファーム として1位、2位のキム&チャンとドンソンの敏腕弁護士が総動員されたので非常 に不安でした。

しかし入社した日から現代車が直接雇用したという『暗黙的勤労契約関係』は 認められませんでしたが、2年以上働いた社内下請労働者は勤労者派遣法により 正規職だという判決を聞いた労働者の顔に、久しぶりに明るい笑いが広がり ました。

2010年7月22日の大法院判決以後、200日を待ち続けて受けた判決でした。いや、 2007年6月1日に現代車牙山工場社内下請労働者が現代車正規職としソウル中央 地法に出した『勤労者地位確認訴訟』で勝訴してから4年目でした。

4年でしょうか。違います。2004年に労働部が現代車で働く1万人が、社内下請 労働者に対して不法派遣と判定した後、非正規職労働者が『不法派遣と判定し 正規職化を実施しろ』と叫んでから7年という長い歳月が過ぎました。

[出処:資料写真]

7年間『殺処分』された名のない労働者たち

鄭夢九会長さん、会長さんには7年という歳月は、現代自動車を世界5位にあげ る時間で、現代車の純利益が5兆2千億ウォンを達成して、会長様の株価総額が 7兆ウォンを越える時間でしたが、私たち労働者には真に残忍な歳月でした。

7年の歳月の間、労働組合を作ったという理由で数百人の幹部と組合員が解雇さ れ、現代車の告訴告発で長期間の拘束と手配、数億ウォンの損害賠償仮差押さ えなど、耐えられない苦痛をあじわいました。2005年9月、現代車の蔚山工場で 差別と弾圧に対してリュ・ギヒョク烈士が首を吊って自決し、昨年11月21日には 『不法派遣正規職化』を叫んで、焼身で抵抗した第4工場ファン・イナ同志は 今も病床に横になっています。

現代自動車は2008年11月の世界経済危機を口実に、エクウスを作っていた115人 の社内下請労働者全員を工場から追い出したのに続き、2009年までに経済危機 を理由として千人以上の労働者を『殺処分』しました。2011年1月初めにも現代 車は第3工場で正規職労働者の転換配置で55人の社内下請労働者を追い出したこ とを会長さんは知っていますか?

現代自動車は2005年に蔚山で7620人、全州で839人、牙山で1030人、計9489人の 社内下請労働者がいました。以後、正規職転換配置、経済危機などを理由とし て社内下請労働者を解雇し、2010年には1902人減り、7587人が働いています。 この7年の歳月の間に2千人を越える名のない労働者が自販機の紙コップのよう に使い捨てられたのです。

良心があれば、少なくとも謝罪でも

1月10日、私たちは7年の歳月を待ち、大法院と高等法院の確定判決を受け取り ました。私は、現代車に良心があるのなら、1万人を越える労働者に7年の間苦 しませたことを心から謝罪し、正規職化を約束することが人間に対する道理と 考えました。百歩譲って、公式に発表しなくても、少なくとも対話を通して、 正規職化の問題を解決しようというだろうと期待しました。

しかし現代車は「今回の判決は原告1人の個別的な事実関係に基づく制約的判断 なので、作業条件と勤労形態などが異なる蔚山、牙山、全州工場の協力業者の 勤労者には一括的に適用できない」とし、大法院に上告して憲法訴訟を提起す ると公式に発表しました。
7年待ったのに、大法院までまた5〜6か月待 ち、憲法訴訟までまたさらに数年を待たなければならないのですか? いや今回 の判決は、チェ・ビョンスン組合員個人への判決だから、現在の1941人につい ての勤労者地位確認訴訟の大法院判決があるまで6〜7年待てというのですか?

平和な工場を戦場にするユン・ヨチョル副会長

翌2月11日、私は現代車労使関係を総括しているユン・ヨチョル副会長のインタ ビューを見て驚きました。彼は「現代車が多くの利益を出したので非正規職を 正規職に変えろというのは横車」とし「現代車次元では大法院上告と憲法訴訟 など可能なすべての法的措置を取る」と話しました。

私は目を疑いました。合法的に非正規職を使っても多くの利益を出せば月給も 上げ、正規職に転換させるのが当然で、それが企業の最低の社会的道理ではあ りませんか? あまり利益が出なくても、法院から不法と判定されれば非正規職 を正規職化するためにあらゆる方法を探すのが当然だからです。

ところがユン・ヨチョル副会長は「正規職が生産ラインを止めても会社が後で 損害賠償などで責任を問うので、今回の蔚山第1工場占拠事態も同じように対応 する」と言い、「すべての産業界に悪影響を及ぼすので全経連と経済人総連な どの経済団体と共に問題を解決していく」と話しました。鄭夢九会長様、ユン・ ヨチョル副会長は、大法院と高等法院の判決があっても対話と妥協による解決 には何も関心がありません。

韓国社会を敵に回すユン・ヨチョル副会長

ユン・ヨチョル副会長は、現代自動車正規職非正規職労働者はもちろん、市民 社会団体、政界も大法院判決による正規職化を要求しているので、現代車一人 で戦うのは大変なのか、全経連と経済人総連と共に戦うといいます。ところが 現代車グループから会費を受ける全経連と経済人総連が声明を出して討論会を して、大法院と憲法裁判所を圧迫しても元に戻せるものではありません。

財閥と金持ちの肩を持つ李明博政権が現代車を保護してくれるかもしれない? しかし李明博政権の任期は2年もありません、すでにレイムダックの兆候を示し、 大法院の判決も拒否して、政権の没落を招いたり、以後の政権の断罪の対象に なることまでするでしょうか? ユン・ヨチョル会長は現代車非正規職労働者を 敵にするだけでなく、正規職労働者、市民社会団体、韓国社会全体を敵に回し ています。世界的企業に成長する現代自動車を崖に追いやっているのです。

鄭夢九会長さん、今、現代自動車は戦争前夜になろうとしています。非正規職 支会のイ・サンス支会長は、1月9日から無期限ハンストを始めてソウルの曹渓寺 は非正規職抵抗の中心になっています。良才洞の現代自動車本社前の高さ30m の上空には二人の非正規職労働者が酷寒に耐えて、闘争の旗を上げました。2月 12日、千人を越える労働者の叫びで埋め尽くされた良才洞は、これから現代車、 起亜車、現代ハイスコなどの非正規職労働者の抗争の中心になるでしょう。 現代車は韓国社会の労働者、庶民を越え、全世界の良心との戦争をすることに なるかも知れません。韓国の古いことわざに『鎌で防ぐことを鋤で防ぐ』という 言葉があります(訳注:事が大きくならないうちに適切な手を打つという意味)。 ユン・ヨチョル副会長の誤りを正して大法院と高等法院判決の精神を尊重し、 今からでも対話に出ることを訴えます。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-02-17 01:45:27 / Last modified on 2011-02-17 01:45:36 Copyright: Default


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