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なぜ高齢の女性が清掃労働をするのか?

[連続寄稿](2)再生産労働に対する認識と女性の労働権

ハン・チャヨン(全国学生行進) 2011.01.28 21:31

弘大清掃労働者闘争を見て

弘大清掃/警備/施設管理労働者の闘争は、占拠座り込みから25日(1月27日で)に なった。1月3日、新年早々全員解雇の通知を受けた弘大の組合員たちは、解雇 撤回と問題解決を要求して闘争を始めてから、毎日のように新しい問題と事件 を作り出し、今は全社会の注目を集める闘争として力強く行なわれている。特 に報道機関とオンライン、ツイッターで市民から熱い関心と支持を受けており、 自発的な座込場訪問と闘争支持新聞広告、座込場物品支援などにつながっている。

弘大清掃/警備労働者の闘争が他の闘争と違い、社会全般の広い共感を形成した 理由は何だろうか? これは弘大闘争が劣悪な条件で働き、無念にも解雇された 清掃/警備労働者の切実な闘争で、間接雇用、非正規職という社会的な問題をあ まりにも佗びしく示す闘争として表象され、見る者の心に触れるためだろう。

10年以上、掃き、拭いて、守ってきた職場を一日で解雇された非正規職労働者 が涙を流す姿を見て、多くの人々が共に残念がり、清掃/警備労働者の顔に自分 の両親の姿を探している。闘争をながめる大部分の報道機関と運動陣営の焦点 も『最低賃金未適用』、『大学本部の責任回避』等に合わされていて、『一日 の食事代300ウォン』 『新年初日から解雇』は、弘大闘争を象徴する文句になっ た。実際に、弘大の非正規職労働者が労組を作ったのも、低賃金と劣悪な労働 環境が最大の理由で、間接雇用と非正規職の問題は弘大闘争を正確に貫く争点 でもある。

だが闘争の争点が『劣悪な待遇』、『間接雇用/非正規職』問題だけに限定され るのは、『なぜ清掃労働を高齢の女性が担当するのか、それがなぜ軽んじられ ているのか』についての悩みを制限する効果にもなっている。弘大闘争がその 意味をさらに拡張して行くには、女性が家と公的な領域で行う再生産労働を、 どう見るかについて、さらに深く考えなければならない。

再生産労働が重要だ

『再生産労働』は、家庭を維持するための家事、家族の介助、子供を産み育て る仕事など、家族と社会の維持に欠かせない労働をいう。だが人々の頭の中に は、再生産労働に対して『夫は外の仕事、妻は家事』という認識が強く位置を 占めていた。男も家事を分担することが増えているとはいえ、家を清掃して、 夕食を作り、子供の面倒を見る仕事は、大部分の女性が職場を持っている最近 も、やはり女性の役割と思われている。『男性は家族の生計を責任を取る家長』 と特権化する『男性生計扶養者イデオロギー』のためだが、これにより夫は外 で働いて金を稼ぎ、妻は家族を助けるという役割モデルが普遍化して、前者は 重要な仕事、後者は副次的な仕事と取り扱われてきた。

このように家庭内で『特別でも重要でもない仕事』、『当然女性がすべき仕事』 と見なされた『再生産労働』が社会で雇用になり、多くの女性が清掃労働者と して、ケア労働者として、食堂労働者として働くようになった。だが『家事』 の延長に置かれる彼女たちの労働は、あまりにも自然に低評価され、低賃金が 正当化された。『どうせ家でする仕事』、『特に技術がなくてもできる仕事』 として扱われ、男性の賃金労働を補助する程度に認識されたので、『おかず代 程度』、『子供たちの塾費』を稼ぐための仕事と思われてもいる。あまりにも 低賃金が当然で、彼女たちの雇用のほとんどが非正規職、臨時職であるのも、 あまりにも自然だった。多くの人々が『お母さんのような』弘大清掃労働者が 劣悪な労働環境の中で、法外な低賃金で働いていたことに驚いたが、実はこう した低賃金と低い待遇は清掃が『お母さんの仕事』だったために正当化された のだった。

清掃労働者がすべて一様に劣悪な環境で低賃金と不当な待遇を受けて働かなけ ればならない理由は、単に彼女たちが歳を取って用役企業があくどいからでは なく、再生産労働を低評価し、これを活用しようとする今の社会構造に求めな ければならない。女性の再生産労働を男性の賃金労働の下位に位置付けて家事 労働を女性に転嫁させ、彼女たちの労働力を『おかず代』にしている社会的な 構造に注目することで、大学非正規職労働者の相当数を占める清掃労働者の 『女性労働権』について問題提起し、要求する闘争を始められる。弘大闘争で もこうした悩みを少しずつ進めていけば、闘争勝利と共にさらに貴重な成果を あげられるだろう。これが、私たちが弘大闘争に『再生産労働』に注目すべき 理由である。

弘大闘争勝利、労働者が堂々と暮せる2011年を作ろう

さまざまな報道にあるように、弘大非正規職労働者の闘争には多くの人が連帯 し、組合員もしっかり座り込み隊伍を守っている。だが、休みだからか学内は やはり静かで、社会的な叱責の中で続く闘争にも、弘益大大学本部は少しも動 じない。そこに例のない酷寒が加わり、決してやさしくない闘争だ。だがそれ だけに、この闘争に勝利すれば他の大学での非正規職闘争にも大きな活力を吹 き込むだろう。2011年の火ぶたを切る闘争で、非正規職問題と女性労働権問題 を圧縮する闘争だけに、社会的支持を集め、連帯を拡大して勝利する闘争を作 ろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-01-29 23:26:33 / Last modified on 2011-01-29 23:26:52 Copyright: Default

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