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GM大宇、『食い逃げ』の準備中?

[寄稿]GM大宇が高空籠城労働者に返事をしない理由

ハン・ジウォン(労働者運動研究所) 2010.12.30 17:09

解雇者復職と不法派遣正規職化を要求するGM大宇非正規職支会の正門高空座り 込みが一か月に近付いている。金属労組や市民社会団体が連帯し、市議会の決議 や仁川市長も仲裁に出たが、GM大宇使用者側はまだ交渉も拒否している。

GM大宇の最近の経営状況だけみれば、果たしてGM大宇がこれほどまで根気強く 非正規職支会の要求を無視する理由はないように見える。GM大宇は2008〜09年 に大きな危機を体験したが、今年になってから販売実績が大きく改善し、危機 前の状況を相当部分回復したためだ。今年の1月から11月まで67万3千台を生産 し、昨年同期より41.6%増加を記録した。KD(輸出のために半組立品にした製品)の 生産では98万7千台を記録し、昨年同期対応13.8%増加した。

GM大宇が最大の営業利益を上げた2007年より若干少ないが、2006年の水準は回復 したと見られる。また最近、GM大宇は満期になった産業銀行借入金1兆2千億ウォン をすべて償還するなど財務状況も大きく改善されている。

[出処:ヨン・ジョン]

事実、米国GMの韓国系列会社であるGM大宇は非正規職支会の要求がなくても、 むしろ積極的に解雇された労働者を再雇用する道義的責任もある。GM大宇が2年 間、大きな経営危機の中で千人以上の非正規職労働者を解雇した原因が、GMの 資本流出にあったためだ。GM大宇はこの2年間で2兆ウォン以上の派生金融商品 損失を記録したが、外国為替派生商品の特性上、一方が損をすれば反対側はそ れだけ利益を得る。もちろんその反対側はGM大宇と取り引きするGM本社だ。

昨年と一昨年、GM大宇の労働者が十数年にわたって作った利益が一瞬で消える ということが発生し、千人の非正規職労働者が解雇され、そのうえほとんどの 正規職労働者も大幅な賃金減少を経験した。当時の投機性資本の流出について、 経営陣は誰も処罰されていないのはもちろんだ。GM大宇労働者の血の出る努力 で経営が正常化した今、当時の経営陣を処罰して解雇された非正規職労働者を まず再雇用しても足りないのに、2週間以上GM大宇使用者側は高空座り込みをし ている労働者に弾圧を続けているのだ。

一方、GM大宇が非正規職労働者復職を含み、雇用に保守的な態度を取り続ける のは、GMのグローバル構造調整政策とも関係がある。GM大宇は表面では12月8日 に産業銀行と『GM大宇長期発展方案』を締結し、GM大宇を小型車生産の戦略的 基地に育成していくと発表しているが、その内容はむしろ、いざという時には 韓国から離れるという宣戦布告をしているのだ。

まずGMが昨年発表したグローバル構造調整戦略の一つは、小型車販売が増えた 米国とヨーロッパ現地での小型車生産を増やすことだった。北米で16万台規模 の小型車生産工場を作るということは、救済金融を支援したオバマ政府、北米 工場の閉鎖に合意した全米自動車労組との約束でもあった。ヨーロッパでも、 今年のはじめにGMは、ヨーロッパでの核心系列会社であるオペルの構造調整の 代価としてドイツ政府と労組に小型車生産拡大を約束していた。

このような点から見れば『GM大宇長期発展方案』は、北米とヨーロッパで構造 調整が完了し、小型車生産が本格化するまで有効な話だ。GM大宇が直接開発し た自動車のライセンスをGMとGM大宇が共有するという合意内容もあるが、GMが 韓国を離れれば何の販売網も持たないGM大宇にできることは多くない。反対に GMはマティス、ラセティのような車種を改良して、北米とヨーロッパ、そして さらに中国で生産しても何の問題もない。

2兆3千億ウォン規模の優先株償還約束も空手形になる可能性が高い。GMがした という支給保証とは、道義的な『約束』であって法律的な拘束力がある契約で はないからだ。国際市場から資本を撤収する時、契約関係も紙切れのように捨 てられるのが茶飯事だ。まさにGMは今年のはじめドイツでドイツ政府と労組を 相手にした約束をひっくり返した例がある。雇用維持を代価としてオペル(GMの ドイツ系列会社)に莫大な救済金融を提供したドイツ政府に対し、GMは売却交渉 の過程で米国系の私募ファンドまで引き込んで時間を稼ぎ、結局救済金融だけ を受けてリストラはそのまま強行した。この事件は米国とドイツの外交的問題 にまで発展した。

現在の状況は、GM大宇が提示するバラ色の未来ではなく、金融投機的取り引き で資本を流出させ、グローバル構造調整計画の中で自身の実利だけを取るGMに、 韓国政府、仁川市民社会、そして正規職労働者もすべてが監視し規制する方案 を探すべき時だ。

そしてその開始は、現在の非正規職労働者の復職と正規職化の要求をGM大宇側 が誠実に履行するように、政治的・社会的な圧力をかけることでなければなら ない。現地の雇用にどんな態度を取るかは、資本が現地でどんな計画を持って いるかを見せる最初の尺度だ。

GM大宇が命をかけて正門高空籠城を続けている非正規職労働者に無返答を続け、 その上、市民社会の交渉仲裁まで無視するということは、GM大宇が仁川の市民 社会とGM大宇労働者に近い将来『食い逃げ』行動をするという宣戦布告と違わ ない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-01-02 17:16:45 / Last modified on 2011-01-02 17:16:46 Copyright: Default

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