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『本当の社長』さんはクリスマス休暇ですか?

[失われた時を求めて](5)GM大宇非正規職労働者とアルカモーネ社長

ヒジョン(執筆労働者) 2010.12.24 13:06

今年の冬、GM大宇は慶事が重なった。販売180万台を突破し、8台の新車が市場 発表を待っている。12月14日には『大韓民国インターネット接続対象』を受賞 した。顧客とのコミュニケーションが一番上手い企業に選ばれたのだ。

しかしまさに職員とのコミュニケーションは不足しているのか、12月1日、 非正規職労働者二人がGM大宇工場正門に設置された高さ9メートルの広告看板に 上がった。広告看板に上がった彼らは『GM大宇は非正規解雇労働者を復職させろ』 と書かれた横断幕を掲げて座り込みに入った。

コミュニケーションが上手い企業、GM大宇はまさに彼らとの対話は拒否した。

『彼らはわが社の職員ではない。協力業者の職員だからGM大宇が対話する必要 はない』。

これがGM大宇の立場だ。

しかし座り込みは今回だけではない。彼らはすでにGM大宇工場の前で3年間、 座り込みをしてきた。3年前の2007年、非正規職労働組合ができて、GM大宇は 組合員が所属する下請業者を廃業させたり外注化した。広告看板に上がった 彼らは労働組合に加入したという理由で解雇された非正規職労働者であった。

▲ファン・ホイン、イ・ジュンサムGM大宇非正規職支会組合員が『解雇者復職と非正規職の正規職化』を要求して富平大宇自動車正門アーチに上がった。

気分悪い恥知らず、食べない

12月4日、広告看板に上がった二人の労働者が地上に飯を投げ捨てた。何もない 上空、下から上げる飯が切れればそのまま飢えなければならない人々が、その 大事なご飯を投げるとは。このすべては『鎌』のためだった。

広告看板の上の労働者たちは食事のたびにロープをおろし、弁当を受け取る。 この日もロープが降りてきた。そして同時にGM大宇労務チームの職員が鎌を持っ て現れた。長い棹につないだ鎌は、弁当を下げたロープに向かった。ロープを 切ろうとしていたのだった。

弁当を渡そうとする人々が労務チームを防ぎ、すぐ小競合になった。そのせい で鋭い刃がついた鎌が人々の頭上を舞うような危険な状況になった。食事は無 事に広告看板の上の労働者に伝えられたが、彼らはご飯を投げた。対話どころ か、メシの種まで切ろうとするGM大宇への抗議だった。

気分悪い恥知らずなことはこれだけではなかった。一日は朝食の代わりに果物 を上げて送ろうとしたところ、警察が阻止した。許諾された物品は食事と水だ けだといった(警察はいつも座込者の弁当を検査した)。担当警察署長に抗議す ると、署長はこう言い返した。

「苦労するために上がっておいて、何でそんなにいいものを食べたいというのか」

当時の気温は零下13度だった。座り込みをする彼らが持っているものは冬季用 作業服だけだ。そんな彼らに、もっと苦労しろという言葉だったか? 二人の労働者は望み通り、大変な苦労していた。

17日に高空籠城をしたイ・ジュンサム氏が痛みを訴えた。一週間も耐えた後だっ た。医師が上がると、イ・ジュンサム氏の両足は中期の凍傷にかかっていた。 皮膚がまだらになっていた。寒さで血管組織が死んでいた。ファン・ホイン氏 も低体温症で肺炎の危険があった。真冬に鉄の構造物に、合板一枚を敷いて 半月以上を送ったので、当然の結果だった。医師が持っていった体温計まで 凍らせてる寒さであった。

二人には早急な治療と暖房機構が必要だ。しかし9メートル上空ではどれも可能 ではない。警察は暖房用品を上げることを拒否し、二人の労働者は座り込みを 止めずにいる。

劣悪な状況は地上も同じだ。高空籠城を守るために非正規職労働者は道で夜を 明かす。道端の隈にはどこで手に入れてきたのか、薪がいっぱい積まれている。 この薪が寒さを防ぐ唯一の手段だ。非正規職支会組合員のハン・ソンホ氏に眠 れるのかと尋ねた。寝る時は何とかなるが、夜明けに目が覚めるのが困るという。 真冬にビニール一枚かぶって取る睡眠だ。

全く同じ非正規職と正規職

組合員ハン・ドンス氏が話を一つを聞かせてくれた。

「私たちの組に若いやつがいたが、ガールフレンドと話をしているときに、 スピードパワーワールド(GM大宇1次下請業者)の話が出てきたようです。 彼女はその友人がGM大宇に通っていると思ったのに、スピード社の話が出るので 何かと聞いたんです。すると彼は狼狽しました。それでもセンスある奴なんです。 瞬間『私たちの会社のスローガン』と言いました。『スピード!パワー!ワールド!』 『速く!力強く!世界へ!』そう言い逃れて、その瞬間をやり過ごしました」。

恋人をだますほど、下請業者職員はGM大宇正規職職員と同じように働く。同じ 工程で正規職と共に働きながら、GM大宇管理者から作業指示を受ける。

しかし彼らの境遇は恋人をだまさなければならないほど正規職と違いがある。 月給も待遇も、そして未来も違う。こうした差別をなくそうとする動きがあった のは当然だ。非正規職労働組合ができたのもそんな理由であった。

本当の社長が解決しろ

しかしGM大宇の立場は終始一貫している。

『彼らは〈スピードパワーワールド〉の職員だ。〈テイル実業〉の職員だ。 だから私たちには責任がない。対話をする理由がない。』

スピードパワーワールド、テイル実業はどちらもGM大宇の1次下請業者だ。だが 下請業者自身は、非正規職問題を解決できないとシン・ヒョンチャンGM大宇支会長は 話す。

「人材紹介所仲買屋の役割しかできない下請社長は、正規職管理者だけに外に 利益を持っていくことができません。差額を誰が持っていきますか? 最近は、 100人いる下請業者もありません。普通50人にもならない零細です。そのような 下請社長が50人、100人の人のために何ができますか? せいぜい自分がちょっと 取り分を減らして、一人か二人増やすこと? これしかありません。下請の名ば かり社長には何もできないのです。」

座込場の周辺には『本当の社長が雇用しろ』という文句が書かれたプラカードと 横断幕がぎっしり張られている。GM大宇非正規職労働者たちは『本当の社長』 であるGM大宇のマイク・アルカモーネ社長との対話を要求している。

クリスマス休暇で出かけた『本当の社長』

12月23日、GM大宇の派遣勤労者保護などに関する法律違反の容疑を認める法院 の判決があった。GM大宇協力業者の労働者たちは、実際には元請GM大宇に不法 派遣で働いたということだ。下請労働者の実質的な雇い主は元請GM大宇だとい うことで、これは多くの下請労働者がすでに知っている事実だ。

GM大宇だけがこれを否定する。対話も拒否して非正規職労働者の座り込みには 無返答だ。いやむしろ暴力的な鎮圧まで試みている。21日には警察兵力が工場 の正門に集まった。座り込みをしていた二人の労働者は、広告看板に結んだ 横断幕のひもを首に巻いて抵抗した。警察はやっと退いたが、すぐに強制執行 をすると通知した。シン・ヒョンチャン支会長がハンストに入った。

こんな状況で、GM大宇アルカモーネ社長は1か月のクリスマス休暇で出かけたという。

3年間、労働組合がしてきたただ一つの要求。『私たちを雇用した本物社長が非 正規職解雇者の問題を解決しろ。』という叫びを無視して、アルカモーネ社長 は韓国を離れた。

彼が故郷で家族とケーキにロウソクをさす甘い瞬間、彼の祈りは工場正門の 広告看板に首を縛り付けた労働者には向かわず、二人の労働者は9メートルの 上空で忘れられないクリスマスを送るだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-12-25 06:03:04 / Last modified on 2010-12-25 06:03:05 Copyright: Default

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