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錦湖タイヤ、また構造調整がくる

[寄稿]錦湖タイヤ闘争、今は労組革新のための闘争が必要だ

ハン・ジウォン(労働者運動研究所(準))/ 2010年05月10日15時20分

闘争以後、現場組織による錦湖タイヤ支会への弾劾運動

2009年初めから始まった錦湖タイヤ闘争が終った。4月22日金属労組錦湖タイヤ 支会が提出した賃金団体協議合意案が組合員投票を通過し、錦湖タイヤ支会の ストライキ闘争が終り、5月10日に非正規職支会のストライキ闘争も暫定合意に 至ったので近い将来終了するものと見られる。

だが錦湖タイヤ労働者の戦いはこれが終わりでない。錦湖タイヤの現場組織は 現労組執行部の屈辱的な賃金団体協議合意と無気力な執行力を批判し、執行部 弾劾運動を行っている。錦湖タイヤ共対委は組合員の1/3以上の発議で総会を招 集できるという金属労組規約に基づき、3期役員弾劾の総会招集要請を約3500人 の組合員のうち2千人ほどの署名で錦湖タイヤ支会に提出した状態だ。だが錦湖 タイヤ支会は執行部が気に入らないと政派が弾劾することは容認できないと明 らかにし、総会招集自体を拒否している。支会はその上共対委が総会招集権者 を金属労組や金属労組光州全南支部で要請しても受け入れないという態度だ。

錦湖タイヤ支会執行部の譲歩案は今年望んだか?

-パク・サムグ会長も債権団も利益、結局損をしたのは労働者だけ

問題の発端は、錦湖タイヤ支会執行部が今年の初めから維持してきた譲歩交渉 の基調だ。錦湖タイヤ支会は錦湖タイヤのウォークアウトが朴氏一家の投機性 買収合併で発生したのに、経営陣の責任を問う闘争ではなく譲歩交渉にしがみ つくだけだった。

使用者側が2月に1377人のリストラ案を発表すると、支会は3月、賃金カットを 骨子とする譲歩案を提出し、これも使用者側の拒否で組合員は争議行為賛否投 票を高い賛成率で可決させた。だが執行部はストライキ突入日を先送りし続け、 結局4月2日に賃金カット、条件付き整理解雇留保、段階的請負化などを内容と する譲歩案で使用者側と合意した。この合意案は8日に組合員投票で否決された。 執行部は合意案が否決されれば責任を取り辞任するという民主労組の慣行も無 視してまた交渉に突入し、賞与金返却の条件を緩和して整理解雇留保を撤回に 変える調停案を投票にかけ、通過させた。合意案では経営陣の責任は何も問わ れず、非正規職のいかなる保護条項もなかった。

最近発表された錦湖タイヤの2010年1/4分期経営資料には錦湖タイヤ支会執行部 の譲歩交渉案は結局使用者側の圧迫に労組が屈服したということがさらにはっ きり現れている。4月30日、錦湖タイヤが発表した1/4分期営業実績公示によれ ば、錦湖タイヤは1分期に213億の営業利益をあげ、当期純益も208億に達した。 5分期以上続く営業損失、6分期以上続いた当期純損失がすべて利益に転換した のだ。錦湖タイヤ支会は会社が今すぐにもつぶれるという恐怖で、際限のない 譲歩交渉をしたが、実は錦湖タイヤは2010年1月から3月まで世界経済危機緩和 と自動車販売の増加で経済危機以前の2007年1分期水準の利益をあげていた。

すでに何回も別の文で明らかにしたように、錦湖タイヤの問題は営業ではなかっ た。錦湖グループ次元の投機性買収合併で発生した財務構造悪化が問題だった。 錦湖タイヤは世界経済危機以前まで、たった一度も営業損失を記録したことが なかったが、大宇建設買収直後の2006年から短期借入金増加による過度な利子 費用などで毎年当期純損失を記録するほかはなかった。2010年1月以後ウォーク アウト期間中に借入れ金償還が延期され、錦湖の社屋など一部資産の売却で営 業外費用に余裕ができ、2010年1分期には純利益をあげた。

パク・サムグ会長が労働組合に賃金カットと請負化を強要したのは、金がない からではなかった。彼が押し通した構造調整は、自分の経営権を債権団に保証 させるジェスチャーだった。果敢なコスト削減で、債権団の借金はこれから返 すから、自分の経営権には手を付けるなということ。言い換えれば、錦湖タイ ヤの借金は労働者が返していくということだ。

実際、労働組合が賃金団体協議案を通過させた直後の4月24日頃、主要債権団と 錦湖タイヤの経営陣は秘密会見を行い、パク・サムグ会長の経営権を保障して、 以後、債権団出資転換過程で減資されるパク・サムグ会長の株式をウォークア ウト以後、最優先で回復できるよう協力するという内容で意見を集約した。こ れにより5月6日、産業銀行、ウリ銀行などの債権団と錦湖タイヤは5千8百億ウォ ン規模の負債を株式に転換(出資転換)し、6千億ウォンの新規資金を貸し出す代 わりに既存の大株主は自分の株式を100対1で減資する合意案を導出した。朴氏 一家が大株主の錦湖石油化学が持つ錦湖タイヤ株式が大幅に減り、大株主の地 位を失うが、パク・サムグ会長の経営権は保護される。もちろんウォークアウ トが終わる時点でパク・サムグ会長は錦湖タイヤ法人の金で自分の株式を債権 団から買い戻し、債権団はこれまでの利子まで加えて負債を回収するだろう。

結局ここで損をしたのは労働組合だけだ。パク・サムグ会長は経営権と未来の 所有権が保証され、債権団は直ちに回収はできないものの遠くない未来に債権 全てを回収できるようになった。一度もまともなストライキもできずに白旗を 揚げた労働者だけが、賃金と雇用で損失を受けたのだ。その上、この過程で労 働組合は組合員の信頼を失い、指導力を喪失し、今後の闘争を組織する能力を 失った。ここまでくればパク・サムグ会長の経営権でも剥奪する法定管理より、 現在の何がましなのか不明確だ。労働組合がストライキを先送りして金属労組 の非正規職関連政策にも外れる請負化方案まで賛成して得たものは何なのか疑 がわしい。労働組合の譲歩合意案は事実上、労働者の賃金削減でパク・サムグ 会長の経営権を保障するもの以上ではないように見られる。

また構造調整はくる。労組を革新して労働者団結を再建せよ

金属労組と地域支部は、錦湖タイヤ支会のこのような譲歩交渉案の作成にしっ かり介入できなかった。金属労組がまだ形だけの産別だという点がまた表面化 したのだ。組織的な整備がきちんとできていない金属労組なので、大工場支会 への介入力が弱くならざるをえないという点は客観的限界とも言える。だが、 錦湖タイヤ闘争において、金属労組が資本の状況を綿密に分析して有利な情勢 で果敢な闘争を作り出す分析力と戦略的な集中性も見せられなかった点は、しっ かり評価しなければならない。

一例として金属政策研究院の報告書は、労組も経営状態の深刻性を認め、前向 きに苦痛分担に参加することを口にしつつ、非核心部分の請負化、賃金および 福利厚生の一時的削減、労働親和的(?)な名誉退職方案を考慮し、使用者側との 妥協を要求している。報告書は法定管理に行く可能性、双竜車などの例を見れ ば、時は労働組合の味方ではないとして労組に前向きな態度を要求している。

しかし現在の錦湖タイヤの営業状況、債権団とパク・サムグ会長の結託を見る と、時はむしろ労働組合の味方だった。錦湖タイヤは市場から追い出された限 界企業ではなく、錦湖グループの買収合併過程での流動性危機にあるだけで、 労働組合闘争で生産が止まれば経営陣と債権団が大きな損失を受ける状態だっ た。労働組合に有利な闘争条件だったのだ。金属労組が有利な闘争条件の中で、 むしろ攻勢的に財閥経営陣の問題を提起して労働排除的な構造調整でなく、労 働権の保障と財閥オーナーの責任を問う経営再編を要求できたはずの闘争だっ た。非正規職拡散する請負化による費用削減でなく、債権団の連帯責任を問い、 利子費用削減による地域社会雇用創出方案を語ることができる闘争だった。ま さに産別労組らしく要求して闘争できた機会だったのだ。

今からでも金属労組錦湖タイヤ支会は新しい指導執行力を持ち、今後の闘争体 制を整えなければならない。金属労組と地域支部も財閥グループの無茶な買収 合併、構造調整、債権団との密約などにと戦える政策開発と全国的地域的闘争 の議題を作り出さなければならない。

構造調整は今度だけでは終わらない。いや、構造調整はこれから始まると見る のが正しい。パク・サムグ会長は一日もはやくウォークアウトを終わらせよう と死活をかけて費用削減に出るだろう。彼の夢は錦湖タイヤの長期的発展、労 使共生の企業などではない。自分が失った所有権をできるだけ早く取り戻すこ とだ。低賃金地域の海外工場生産拡大、さらに多くの請負化による低賃金人材 確保を断行するだろう。

南ヨーロッパ発の経済危機が急速に世界全域に拡大しているが、2009年の経済 危機の後、世界の資本主義は小さな衝撃でも大きく揺らぐほど弱くなっている。 資本家たちはさらにコスト削減による現金の確保と生産柔軟性の強化に力を入 れるだろう。資本主義の危機に敏感に反応する自動車産業の一部門であるタイ ヤ産業もそうだ。また、財閥輸出企業を筆頭に、韓国全産業にわたる構造調整 の可能性も高い。李明博政権は財閥のために、労働組合は完全になくそうとで もいうように、労働組合を弾圧するだろう。そして強硬な労組に分類される自 動車労組と錦湖タイヤ労組も政権の正照準の対象になるだろう。

今、労働組合の再整備と闘争力の確保は少しも延ばせない。金属労組、錦湖タ イヤ支会とも、一日もはやく組織的政策的な整備をするべきだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-05-10 23:29:05 / Last modified on 2010-05-10 23:29:06 Copyright: Default

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