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錦湖タイヤ資本の自害恐喝脅迫

[寄稿]工場稼動中断は労組圧迫だ

ハン・ジウォン(労働者運動研究所(準))/ 2010年03月22日14時42分

3月21日から10日間、錦湖タイヤ光州1工場、曲城1工場などの一部の工場で稼動 が中止する。使用者側は資金難で材料の購買ができなかったためだと発表した。 債権団が要求した構造調整に対する労組同意書が遅れ、材料の購入も難しいほ ど資金事情が悪化したというのが使用者側の説明だ。

使用者側は3月21日から31日までは全面中断、4月1日から20日までは50%稼動を 計画していると発表した。これに伴い、4月までに約800余人の労働者が自然休 業状態に追いやられることになるものと見られる。

錦湖タイヤ資本の労働者に対する自害脅迫

▲使用者側が労働者たちに発送した解雇(予告)通知携帯メール[出処:金属労働者]

だが、錦湖タイヤの資金事情が良いとは言わないが、それでも工場稼動をすぐ 中断する程ではないと見られる。売上げは2009年2/4分期から少しずつ増えてお り、営業赤字も下がっている。2010年1月からは債務償還も延期された。2010年 の2月には千億ウォンの緊急運営資金支援も受けており、約800億ウォンの賃金 も支払っていない。2009年3/4分期の売上と売り上げ原価を基準とすると、 2010年にタイヤ販売で約200億以上の売り上げ利益も上げたものと見られる。材 料費、買入債権程度を除けばあまり現金流出が発生する余地はないということだ。

事実、今回の工場稼動中断は、資金難より労組圧迫の性格が強い。今月末が債 権団との了解覚書締結の時限だが、構造調整には労組の同意書が必ず必要だか らだ。今回の工場稼動中断は、労組が同意書を作成しなければ、使用者側が破 産しかねないという無言の脅迫なのだ。錦湖タイヤのウォークアウト終了期限 が4月5日に近付いてきた中で、産業銀行を筆頭とする債権団は、今月末までに 自救計画書と労組同意書の提出を要求している。

一方、パク・サムグ会長の錦湖タイヤ経営陣は、労組の降伏を勝ち取るために 工場稼動中止という脅迫もしているが、債権団にはあらゆる愛嬌を振り撒いて いる。錦湖タイヤはこの前、産業銀行前幹部を理事に選び、理事1人当りの報酬 限度額は上方修正する案を株主総会案件に提出した。

使用者側の構造調整案は必須不可欠な案か?

錦湖タイヤ使用者側が工場稼動中止までして貫徹しようとする構造調整案は、 基本給20%、賞与金200%削減、1199人解雇および非正規職化だ。4100人の生産職 の30%近い人材構造調整案で、賃金を30%近く削減する案だ。会社側の案が貫徹 されれば2008年より約千億ウォン程度労務費が減少して、労務費が大幅に減っ た2009年と比べても約200億以上減少する。

一方、錦湖タイヤは大宇建設買収後から毎年千億ウォン以上の営業外損失を記 録した。2007年から2009年までに支払った利子だけで2千4百億ウォンを越え、 外国為替の運用ミスで同期間に1千5百億ウォン以上の外国為替損失を記録した。 無理な国外工場、国外販売法人建設による持分損失も3千3百億ウォンに達する。 この3年間の営業外損失総額は8千4百億ウォンに登るが、このすべての損失は労 働者の生産とは直接関連がない経営陣の判断によるものだ。

金額だけでも錦湖タイヤ企業の正常化に必要なのは、労務費より各種の金融費 用と国外工場および販売法人の調整だ。解雇は殺人になるほかはない韓国の現 実で、労働者の殺戮による企業の正常化ではなく、財閥一家の誤った経営を正 し、財閥一家の投機的態度に賛同した債権団も責任を負う企業正常化が必要だ ということだ。

特に、今回の錦湖タイヤのウォークアウト過程で、今まで財閥一家と債権団が 担う犠牲は殆どないという点も、さらに彼らの責任を問わせるものだ。系列会 社間の相互出資で維持された錦湖グループで、朴氏一家が失った株式は錦湖産 業の株式の一部が全て。財閥一家の損失だけなら200億ほどの錦湖産業株式が全 てだ。そして朴氏一家は相変らず錦湖石油化学の株式と、錦湖石油化学が持つ 錦湖タイヤの株式を維持している。錦湖タイヤに毎年数千億の金を出した多く の銀行も、すぐ債務償還ができない不便程度を除けば損害がない。

このような点で、使用者側の構造調整案は企業正常化のための必須不可欠な構 造調整ではなく、パク・サムグ一家の所有権確保のための構造調整案だといえ る。現経営陣が企てているのは、債権団と財閥一家の大きな犠牲なく錦湖タイ ヤを適当に維持できるようにすることだからだ。現在パク・サムグ会長の株式 はすべて債権団に担保にとられているので、債権団は現経営陣がどれほど債務 償還に熱と誠意を示すかで彼らの未来を決めるだろう。債権団と財閥一家の犠 牲による財務的正常化より、短期的な費用削減で利子と債務償還を誠実にする ことが彼らすべての唯一の関心事だ。

労働者親和的、地域経済親和的な企業正常化が必要だ

財閥一家と債権団の構造調整で被害をうけるのは単に錦湖タイヤ労働者だけで はない。彼らの費用削減は部品納品業者、下請け業者など、錦湖タイヤに関す るすべての企業に波及するだろう。財閥一家と債権団の『富』はほとんど減ら ないが、地域社会の『富』はさまざまな点で大幅に減る。

▲3月10日民主労総が記者会見をひらき、毎週土曜日ごとに大規模地域集会を開催して、来月1日地域連帯全面ストをすると宣言している。[出処:金属労働者]

錦湖タイヤはもう数年前から国内工場への投資を減らしていた。2005年8千億ウォ ンに達した設備資産は、投資の放置の中で2009年6千億ウォン台に下落した。同 期間、韓国タイヤが千億ウォン以上の設備投資をしたことに較べれば非常に大 幅な減少だ。錦湖タイヤは中国への投資だけに熱を上げ、国内設備は減価償却 ほどにも投資しなかった。

このような状況を理解すれば光州全南市民は労組のストを非難するより人員削 減、投資縮小、資本撤収という構造調整の悪循環に対してより批判的でなけれ ばならない。錦湖タイヤの労働者が賃金水準が高いのは事実だが、これはすべ ての労働者も同じ水準の賃金を受けられるように変えるべき現実であり、地面 に向かう競争をする現実ではない。

労働者と地域のどちらにも役に立つ企業の正常化が必要だ。少しだけ考えを変 えれば錦湖タイヤ労働者と地域社会どちらにも役立つ構造調整はいくらでも可 能だ。労働者と地域経済に損失をおよぼしただけの錦湖財閥一家の株式を無償 出資し、錦湖タイヤの資本拡充に使い、無分別な国外工場建設ではなく健全な 国内の設備投資に集中し、地域内の雇用を拡大することができる。債権団に一 定の責任を問い、それによる犠牲を要求し、債務償還と財務構造悪化という悪 循環ではなく生産と雇用拡大による地域経済活性化を選択することができる。

もちろんこれらすべての過程は、朴氏一家と債権団が現在のような労働排除的、 地域社会収奪的な構造調整を放棄する時に可能だ。工場稼動まで中断して労働 組合と地域社会を脅迫する態度の前で、代案は言葉の羅列に終わる可能性が高 い。金属労組と地域社会市民が共に闘うべき理由だ。2009年、フランスのクレ ロイ地方ではコンチネンタルというドイツ系のタイヤ会社が工場閉鎖を決めた 時、地域全市民の33%を越える人々が工場に集まり、労働者とともに闘争を進め、 工場閉鎖を留保させた例がある。革命の都市、光州で労働者、地域社会が共に 一塊になる闘争ができないはずがない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-04-04 09:42:09 / Last modified on 2010-04-04 09:42:11 Copyright: Default

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