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「以前の弱気な非正規職ではない」

[インタビュー]イ・サンス現代車非正規職支会長...「人を弄ぶな」

合同取材チーム 2010.11.16 22:20

新型アクセントなどを生産する現代自動車蔚山1工場2階のCTSドア脱着工程が完 全に止まった。11月16日午後8時に現代自動車社内下請非正規職労働者約500人 がストライキ占拠している蔚山1工場は、意外に物静かだった。昨日からのりま き一本を食べただけの組合員たちは、夜はカップラーメン一つを受け取り、あ ちこちで緊張の中で休みながらラーメンが煮えるのを待っていた。そのうちに 8時50分頃、また管理者が集まって各工場に代替人材が投入されているという知 らせが聞こえてきた。ラーメンを受け取った組合員たちはまた緊張した。

▲1工場座込み場で報告大会を進行中の非正規職支会組合員

この日の午後4時頃まで、1工場の中では約千人が座り込んでいたが、非正規職 支会は2-3工場組合員約500人を現場に送った。普通、大規模正規職労組がスト ライキをする時は、組合員の離脱を憂慮して座込み場に集めて各種ストライキ プログラムをするのが慣例だが、むしろ非正規職支会は500人を外に出したのだ。

現代自動車非正規職支会のイ・サンス支会長は、「組合員が現場に入り、ここ よりもっと厳しく戦っていることを知っているので、現場で正規職、非正規職 と別れず、ストライキを知らせて同じようにしようということだ。現場実践闘 争指針だ」と説明した。

今回の占拠座り込みは、ある意味では多分ゆ偶発的だった。現代車の過剰対応 が非正規職の全面ストと工場占拠を呼んだとイ支会長は説明する。シート事業 部の非正規職が新規下請け業者との勤労契約を拒否して既存の勤労条件のとお りに働くと言ったところ、会社はこれを拒否して解約(解雇)を通知した。15日 付で解雇通知を受けた非正規職は、工場で働くと入ろうとしたが無惨に引きず り出された。

現代車が動員した用役と管理者は非正規職のジャンパーを剥ぎ取り、履き物を 脱がせた。逃げられないようにするためだ。消火器をまいて顔に消火栓から放 水した。人間扱いされず、血を流しながらずるずる引き出される姿を見た非正 規職は怒った。イ・サンス支会長もその姿を見て涙が出た。そのようにシート 事業部から引きずり出され、非正規職支会は1、2工場に集まって部分ストを進 めた。そして初めて闘う非正規職が団結しようと考えて1工場に集まった。自然 に工場占拠座り込みになった。女性組合員も用役の暴力の中で、1工場内に集まっ た。初めて1工場のCTS工程は20人程がストライキをし、そして約千人が集まった。

▲イ・サンス現代自動車非正規職支会長

今回の闘争は尋常ではない。7月22日の大法院の不法派遣判決に11月12日のソウ ル高裁が最高裁判決の趣旨を受けて不法派遣と判決し、組合員たちは闘争に自 信を持ったという説明だ。工場占拠は不法だが、会社はさらに大きな不法を行っ ており、道徳的にも法的にも、非正規職支会に名分があるということだ。

イ・サンス支会長はこうした組合員の闘争の熱気は、数年間積み重なった非正 規職の雇用不安と解雇の威嚇による怒りのためだと説明した。イ・サンス支会 長は、「普通、一工場で2年ごと人員を減らすマンアワー協議をする。その協議 が6か月から1年近く続くが、その期間中、非正規職は気をもみながら暮す」と し「そうして非正規職は数年間、毎年300人程がクビを切られるのを見てきた。 いろいろ考えて、非正規職はいつかはクビになるのだから気が済むまで戦って みようという雰囲気が強い」と今回の闘争の熱気を説明した。

続いてイ支会長は「この戦いに勝つことだけを考えようと決心した。簡単には 退かないし、組合員も簡単に退くことは許さないだろう。私が不足すれば組合 員が支えてくれるだろう」と強い自信を見せた。

イ支会長はまた「私たちには工場占拠しかできない。それで闘争も2、3工場に 拡大するしかない。現代が簡単に退くとは思わない。しかし今回の闘争で非正 規職に対する社会的な認識が変わるだろう」と明らかにした。

合同取材チームは、イ・サンス支会長を1工場座込み場で11月16日の夜に会った。 イ・サンス支会長はずっと組合員の話が出ると口元に微笑を浮かべた。以下は イ・サンス支会長とインタビュー全文だ。

Q:シート事業部闘争が全面ストと工場占拠座り込みまできた。これほど闘争が大きくなった理由は。

▲ラインが完全に止まった1工場

イ・サンス支会長:シート事業部の業者廃業で現代自動車が直接勤労契約をする ように要求した。新規業者と新規契約を結ぶのは、今の勤労条件をすべて初期 化するということだ。それは受け入れられない。だから直接雇用しろといった。 組合員がシート事業部に入ったのは、既存の勤労条件が出てくるまで勤務を続 けるから防がないということだった。

争議対策委はシート事業部で状況が発生した時、15日から夜昼残業拒否をして いた。シート事業部別に2時間以上のストライキの指針も出した。金曜に支会は 内容証明を送った。組合員を現場に投入し、誠実に働くという内容だった。だ が月曜の朝(15日)に警察兵力が配置され、朝はシート組合員が解雇されず働け るように作業開始前までラインに入っていた。

すると会社が非正規職を殺すと飛びかかってきた。明け方の暗い時を利用して、 各種の鉄の固まりが飛んできた。非正規職に死ねとばかりに投げ、消火器をま き、倒れれば踏みつけた。その渦中で消防ホースを直接組合員の顔と口に吹き 付け半殺しにした。そしてした事は、携帯電話を奪いジャンパーをはぎ取り、 靴下まではぎ取った。自分たちが警察だ勘違いして非正規職が逃げないように したのだ。そのように用役が非正規職を引き出して警察に引き渡した。これに 抗議するために、シート事業部がストライキに突入した。B組全体がシート工場 に集まるよう指針を出した。この渦中で49人が連行され、多くの負傷者が発生 した。闘争は大きくならざるをえなかった。

Q:会社がこれほど強く対応した理由は。

イ・サンス支会長:会社は序盤に非正規職の勢いを挫いて全く身動きができない ようにしようとしたのだ。私たちの選択は、シート事業部さえ掌握すればいい という会社の判断が間違いだったことを示すことだった。まず全工場昼食報告 大会をすることにした。1、2工場の13時からの4時間スト指針を出した。1ライ ンが止ると会社はさらに非正規職の勢いを挫こうとし、われわれはまだ闘争の 初期で押されるかと思い、1、2工場を糾合する判断をした。それで2工場組合員 を連れて1工場にきた。ちょうど1工場のラインを止めてCTS事業部に上がってき た。自然にこの状態になった。会社は誤認したのだ。非正規職を暴力で粉砕す れば勢いがなくなると判断したのだ。しかし組合員たちはもう、以前の弱気な 非正規職ではない。

Q:最高裁判決以後どんな過程を経てきたか。

イ・サンス支会長:大法院判決があった7月22日から、途方もない弾圧の中を駆 け抜けてきた。秋夕前まで労組に加入すると、すぐに元下請の弾圧が強まった。 そこに両親と親戚の引き止めがあり、先輩や後輩まで引き止めた。さまざまな 方式の脅迫と哀願など、非人間的な工作に耐えた組合員たちだ。

秋夕後は毎週水曜に500-700人が本館抗議集会をした。10月に全体教育と訴訟団 面談で集団でこの六つの過程を終えた。日常的な組合活動と事業部懇談会、昼 食宣伝戦、朝出勤闘争をほとんどすべてやった。そしてここまできた。

10月30日の非正規大会はそんな組合員の組織力の最初の点検だった。現代資本 は不法だと言ってかなり脅迫もしてきたが、AB組千人以上が行った。この日、 われわれにも戦えると確認した。先週水曜には全組合員集結集会を開き、すべ ての日程と無関係に労働組合を攻撃すれば即刻争議に突入すると確認した。

Q:15日は組合員の怒りが強かったようだ。どの程度だったのか。

イ・サンス支会長:昨日、状況点検に回ったが、組合員が服が剥ぎ取られ靴もな く運び出されるのを見た。涙が出た。組合員がずるずる引きずり出され、血を 流しているのに、そのまま警察の車に乗せた。どうするか。もう戦う準備はで きているのに... 会社はカネの計算だけするが、私たちはそんな金だけのこと ではない。

Q:工場占拠闘争に負担はないか。支会長なので負担が大きいと思うが。

イ・サンス支会長:ずいぶん我慢しているが、発言のたびに涙が出そうだ。組合 員たちがしっかり戦って上手くやり、何とかこの戦い勝ちたいとだけ考えよう と思っている。簡単には退かない。私が簡単に退くことはむしろ組合員たちが 許さないだろう。私が不足すれば組合員が支えるだろう。

Q:事態解決のための要求事項があるか。

イ・サンス支会長:私たちにはこれしかできない。現代資本はとても名誉を重要 視する印象を受けた。しかし労務管理は腐って弾けなければ解決しない会社だ。 それでやっと妥結しようとする会社だ。今、判断するのは会社の役割だ。現代 が簡単に退くとは思わない。今回の闘争で非正規職の社会的な認識が変わるだ ろう。

Q:正規職支部はどう対応するか? 非正規職支会が独自に行動に入り、孤立しかねないという話も聞こえる。

イ・サンス支会長:非正規職支会は速度感が違う。支部は公式会議を経る時間が 必要だ。だが非正規職は急速に展開する。それでまず非正規職が動いたのだが、 支援が得られないこともあるかもしれない。過程の中で解決すべき問題だ。現 代車支部は不非特別委を常設化する計画だという。非正規職闘争を援護するた めに代替人材阻止についての支部の立場が出てくると言う。2工場は稼動率が 30%と聞く。事業部内で正規職代議員が代替人材を阻止しているからだ。支部が こうした闘争を公式化するために時間が必要だが、徐々に作っていくようだ。

Q:組合員の熱気はすごい。

イ・サンス支会長:自信は強い。あれこれ考えてみると、非正規職はいつかはク ビになるのだから、気が済むまで戦おうという雰囲気が強い。仲間の多くは、 一度やってみようという雰囲気だ。普通、一つの工場で2年に一回、人員を減ら すマンアワー協議をする。その協議が6か月から1年近く続く。その期間には非 正規職は気が気ではない。初め会社は人命を弄ぶように削減人員300人をポンと 投げてくる。そうして150人、100人こうした調子で減る。そこには心理的マジ ノ線がある。長い間働いていると、実際に消える工程を予感したりもする。そ のたびに非正規職はとても敏感になって友達同士で言い争いになる。非正規職 は毎年300人程度がクビになるが、そんなことを数年間見てきた。今は切られて も、法的に訴訟して勝って戻れるという自信がある。それで気持良くやってみ ようという雰囲気だ。

Q:最高裁や高裁判決を初めから期待していたか? 判決で不公正社会にさらに名分ができたようだ。

イ・サンス支会長:あまり期待していなかったが、不意に最高裁で判決が出てき た。高裁では会社が申請した違憲提案も棄却された。それで戦いは終わったの ではないかと思う。会社から私たちに不法がどうこうと言ったら、お前たちが 法を守れば私たちも守りますよと自信を持って言える。

インタビューの途中、イ・サンス支会長の友人から電話があった。イ支会長の 友人との通話で、イ支会長は始めての言葉が「昨日一食食べた」だった。多分 友人が夕食は食べたかと聞いたのだろう。彼は友人に「私は今、建物の外に出 られない。出たらすぐワゴン車にのせられて警察に引き渡される」と話した。 そして笑う。続いて「面会の準備でもしていろ。何日間か連絡できなければ支 会に連絡して、サンスはどこに行ったのかと聞け。ネイバーで現代自動車非正 規職と打てばみんな出てくる。後で一杯おごれ」

Q:会社では最高裁判決を無力化するため職場閉鎖という方式を使ったのか。

イ・サンス支会長:違う。労組の無力化が意図だ。それで強硬にシート事業部の 準備を徹底的にしているようだ。すでに構成を済ませ、私たちに入ってこいと いうことだったし、私たちは罠だとわかっていても入らないわけにいかなかっ た。結局、気持良くやろうと決めた。

Q:1工場を占拠していた組合員の半分程度が午後には現場に入った。戦術変化に議論はなかったか?

イ・サンス支会長:ないわけがない。しかし死守は死守で、2つともやろうといっ た。会社がその気になれば1工場はめちゃめちゃになる。あらかじめ軸を作って、 強い力を現場で作って、二つを動かそうということだ。

Q:以前の地下鉄ストライキなどを見ると、占拠座込み場から出て組合員が散るのをずいぶん見た。それでも半分を工場から抜いたのはかなり自信があるのか。

イ・サンス支会長:非正規職闘争はこれまでの労働運動の流れとは違う。とても 自信がある。闘争せず隠れることはない。して倒れても私たちはやると思う。 1工場を出た組合員に、ここより現場に行くほうがもっと苦しいと言った。その 覚悟で行った。出した仲間たちにむしろ申し訳ないといった。

Q:最後に現代自動車に話す言葉があれば。

イ・サンス支会長:人を弄ぶなということだ。非正規職も人だ。私たちを弄べば その代価は必ず返させる。非正規職が大規模にストライキ闘争をすれば、恐れ よりも希望を語れる。政府や会社も非正規職への認識を変えなければならない。 そう扱ってもらえる時がきたと思う。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-11-17 15:24:49 / Last modified on 2010-11-17 15:24:51 Copyright: Default

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