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全国的な解雇反対闘争が必要だ

[寄稿]双竜車スト、争点と課題..解雇は双竜車で終わらない

ハン・ジウォン(労働者運動研究所(準))/ 2009年08月07日14時29分

双竜車労働組合の占拠ストライキは、結局使用者側の整理解雇を受け入れるこ とで終了した。双竜車支部は談話文で、整理解雇を防げず申し訳ないと発表し、 全国の仲間たちにまだ終わらない整理解雇阻止闘争を要請した。双竜車労働者 たちは、公権力の殺人的暴力と水と医療品まで搬入が禁じられる生存の限界状 況の中でも、77日間の占拠ストライキを死守した。今、双竜車労働者の闘争を 最後まで守れなかった私たちすべてが彼らの要求を掲げて戦う番だ。

しばらく保守マスコミを前に立てた政府と資本は、労働組合のために会社が破 産に追いやられ、社会的に大きな費用を払ったとし、労働組合への批判の程度 をさらに高めるだろう。この朝鮮・中央・東亜は、再びこうしたことが起きな いように政府の強い対応を要求し、労働組合失脚に腕まくりをしている。すで に何度も見たレトリックだが、下半期にはさらに多くの構造調整が待っている 現在、彼らの非難は今後の闘争の大きな負担になる可能性が高い。

労働者運動の内部では、強く整理解雇阻止の立場を堅持してきた双竜車ストラ イキ闘争を結果論的に批判し、ある程度解雇を受け入れざるをえないという譲 歩交渉論が台頭する可能性が高い。解雇の後もある程度生存権を保障できる社 会的安全網が必要だという柔軟安全性のような制度改善の要求から、構造調整 の時の希望退職、非核心部門の外注化などへの労組のガイドラインを作ろうと いう露骨な譲歩交渉論まで、さまざまな話がすでに言論インタビューなどで、 間けつ的に出てきている。

だが、双竜車労組の闘争が残した課題は、労働組合が強く闘争すれば会社がつ ぶれるという労組責任論でもなく、また労働組合が戦略的に部分的な解雇を受 け入れるべきだという譲歩交渉論でもない。双竜車労組の闘争が私たちに投げ かける課題は、いかにしてさらに多くの労働者と共に整理解雇を防ぐ戦いを組 織できるか、いかにしてさらに多くの双竜車闘争を全国に作るかだ。双竜車の 今後の展望と下半期の情勢がなぜそうだったのかは簡単にわかる。

双竜車破産とは無関係に構造調整はさらに進む

占拠ストライキが終わり、政府が吐いた最初の一言は至急『投資家』を探さな ければならないということだった。簡単に言えば、買収対象者を探さなければ ならないという言葉だ。今まで1ウォンも支援できないという言葉を繰り返すだ けだった政府が吐いた最初の代案が、まさに売却方針である。

政府は、ロシアとインド系の投資家が双竜車に関心を示したと話したが、この ロシアまたはインド系の投資家は、自動車会社ではなく買収合併を専門とする 私募ファンドだ。私募ファンドの仕事は何か? 大規模な人員整理と資産分離に より企業を売りやすい形にして、売買差益を得ることだ。代表的な例は米国の サーベラス(Cerberus)だが、サーベラスは2006年GMのローン会社GMACを買収し た後、2007年にクライスラーを買収した。サーベラスはGMと秘密協約を結び、 クライスラーの大規模な構造調整の後に一部の資産をGMACに移転し、またGMに 売る計画でこの買収合併過程を推進した。2007年下半期の経済危機で不発に終 わったが、もし経済危機がなければクライスラーはこなごなになり、GMに買収 されただろう。政府が言及した投資家を探すというのは、まさにこのような私 募ファンドを引き入れることだ。

では他の自動車企業が完全に双竜車を買収する可能性はあるか? 残念だが可能 性は薄い。中国の自動車企業はGMのハマーを買収したのに続き、ヨーロッパの オペルを狙っている。インドの自動車企業は英国のローバーを買収した後、こ れを再売却できずにさまよっている。この他にもGMの45のブランドが市場で買 い手を待っていて、2007年と較べ販売量が25%以上急減した自動車市場は当分 大きく回復する兆しを見せない。

したがって政府が直接支援し、一定期間、雇用維持をする意思がなければ、政 府の政策はただ一つにならざるをえない。まさに大規模追加構造調整による再 売却だ。政府が産業銀行等を通じて背後調整をしても、あるいは売買差益を狙 う私募ファンドなどを引き込んでも、結果は同じだ。参考までに産業銀行を通 じた売却は、会社が明らかにしたいわゆる清算型回復計画でも可能で、破産手 続きでも可能だ。両者の間の差異は、法的手続きの違いだけで、双竜車を粉々 にし、多くの買い手に売るという点では同じだ。

労働組合を失った双竜車労働者に雇用保障はない

分離売却の過程で最大の被害者は労働者だ。解雇による人員削減と分離売却の 過程で、債権団は一部の債権を返済されず、政府は双竜車問題を手放して利益 を得ることができるが、労働者が得るのは解雇が全てだ。双竜車が分離売却さ れれば、実際に雇用関係を維持できる労働者は千人にもならないだろう。現在、 双竜車が分離売却されると、せいぜい昌原エンジン工場程度が新しい企業の下 で下請け生産ができるものと見られる。富平工場と残りの整備事業所などは、 すべて不動産価値以外は大きな意味がない。このような事情を知れば、 双竜車 労働組合が77日間占拠ストライキで要求したことは、単に976人の整理解雇を防 ぐということだけでなく、政府が双竜車労働者の雇用の責任を取れということ だった。整理解雇を撤回し、上海自動車の株式を償却して公的資金を投入する ことだけが、双竜車労働者たちが生き延びる方法だった。

このような点で、労働組合の占拠ストライキ破壊の先頭に立った救社隊は、結 局自分たちの墓穴を掘った。法定管理人の指示で労働組合と市民社会団体に暴 力をふるった救社隊は、労働組合に団結し、政府に最低限の生存を要求する最 後の機会を失った。債権団の破産の脅迫を怖れ、そして解雇は死という恐怖で 占拠ストライキを一日もはやく終わらせたかった気持は理解できなくもないが、 労働組合が占拠ストライキが終わった今、政府と債権団が思いのままにすべて の状況を統制できる状況になってしまった今、彼らを守ってくれるものは何も 残っていない。

また、一部の報道機関と労働運動内が言うように、労働組合が柔軟に整理解雇 者数に妥協すべきだという主張も、闘争の争点を全く把握していない主張だ。 政府と使用者側の意図は、費用削減による企業回復でなかったばかりか、前述 のように結局ほとんどの労働者が解雇される状況に追いやられるためだ。976人 が譲歩すればいいという問題ではなく、8千人の労働者のほとんどが解雇される 問題だった。適当に解雇に妥協しろという主張は、1年、いや半年でも解雇を遅 らせろという取り繕いでしかない。

解雇は双竜車で終わりではなく、これから全事業場に拡大する

一度穴があいた整理解雇は、順調に全事業場に拡大していくだろう。すでに労 組に破産の脅迫で整理解雇を受け入れるよう要求したウィニアマンドをはじめ、 マンドなどの超国籍資本所有の企業にとって双竜車は一つの準拠になるだろう。

また金属労働者運動の多数を占める自動車企業にも整理解雇が拡大するだろう。 韓国経済全体から見れば、本当に資本に重要なことは規模が小さい双竜車より も現代・起亜、そしてGM大宇だ。現代車出身の法定管理人によるインタビュー にもあったように、労働組合を政治的に打撃する重要な理由の一つは、まさに 現代車労組と起亜車労組への圧迫だった。

まさにGM大宇は不渡り直前の危機に瀕している。2009年上半期の生産量が昨年 の半分程度に下がり、さらにはGM本社への資本流出疑惑がある派生商品取り引 きにより、毎月千億以上の金融損失を数か月間、耐え続けなければならない。 そして10月には産業銀行の負債8千億ウォンを償還しなければならない。現在は 運転資金の調達も不如意だと言われるGM大宇は、8〜9月に産業銀行が追加で支 援しなければ、不渡りになる可能性もある。

さらに問題は、こうした損失が当期の流動性問題では終わらないという点だ。 輸出が生産の90%近く占めるGM大宇は、オペルの売却によるGMヨーロッパの崩壊、 北米地域の小型車独自生産計画などにより、長期間の生産削減が不可避だ。整 理解雇の要因が非常に強いということだ。グリマルディ社長が人為的整理解雇 をしないと労組と合意したというが、これは2兆ウォン台の産業銀行支援に死活 をかけているGM大宇の象徴的措置でしかない。9月末、グリマルディが退任した 後、中短期的な人材調整を実施する可能性が高い。現在の生産減少幅だけを見 れば、状況は2001年の整理解雇当時と大きく違わない。むしろ、世界の自動車 市場が90年代後半から急成長し、GMが大宇自動車を下請け生産工場に望んだ状 況と較べると、世界経済が構造的に低迷している現在はさらに大きなGM大宇の 危機だといえる。

現代は、2009年7月の生産量が15万台水準を回復し、表面的には一定程度生産量 を回復したように見える。だがこれはほとんどが政府の支援金による内需回復 によるもので、2007年基準で全販売の65%を占める輸出は、相変らず以前の70% 水準に留まっている。毎年増加し、すでに全生産量の40%近くを占める海外工場 での生産もまた問題だが、現代車はさらに世界経済沈滞の中でも多少成長を維 持する中国、インドなどでの現地生産を拡大し続けている。国内の人員削減の 要因がさらに強く発生しているのだ。十分な余裕資金がある現代車は、すぐに 問題が生じることはないが、長期的な生産削減が不可避なら使用者側はいつま でも人材調整を先送りしないだろう。1万人にのぼる人員削減を敢行した1998年 ほどの急速な構造調整が行われることはないが、2000年代以後、全生産に占め る輸出の割合が急激に増えた点、海外生産の割合が大きく増加した点、自動車 市場バブルの崩壊が長期間にかけて進む点などを考慮すれば、全体的な条件は 1998年とあまり違わない。起亜車も現代車とあまり違わない。

超国籍資本の所有下にある企業は、双竜車ストライキ以後の影響にさらに直接 的に露出するだろう。すでに4月、ウィニアマンドはシティベンチャーキャピタ ルの資本撤収威嚇の中で約90人の整理解雇を押し切った。パーカーハニル油圧 は、労組破壊を目的として新しい会社を作り資産を移転し、大規模整理解雇を 敢行した。超国籍資本の撤収と以後の処理過程に対する労働者の一方的な犠牲 が容認されることを確認し、政府が労働組合の闘争にいっさい譲歩せず断固た る態度を維持することを確認したこれらの企業は、さらに自信を得た。現在、 韓国では17万近い労働者が超国籍資本所有の企業で働いている。

金属労組の存在理由が否定されている

だが、政権と資本の攻撃が激しく進められる中で、まさにこれに対抗しなけれ ばならない金属労組は、むしろますますその存在の理由を失いつつある。1000 人の金属労組組合員が双竜車工場で命をかけて行った整理解雇阻止闘争で金属 労組が見せた微弱な闘争力は、なぜ産別労組を作ろうとしたのかという根本的 な質問につながる。双竜車支部が玉砕ストライキを断行した瞬間、現代車支部 は委員長が突然辞任し、労組空白事態になり、GM大宇支部は使用者側と賃金凍 結に合意した。金属労組の部分スト指令は、ちゃんとストライキが行われたの かを確認することも難しいほどの宣言に終わり、その上、数千人が集まった平 沢の週末集会では、戦術をめぐる対立で組合員ほとんどが解散してしまうとい う事態まで起きた。

さらには、双竜車支部の闘争は他でもない、まさに金属労組が2009年の核心目 標に提示した総雇用保障を掲げた闘争だったという点で、こうした四分五裂は さらに骨身にしみる。金属労組の要求が政府の威嚇にならないことを自ら証明 してしまった形になったからだ。産別労組の存在理由は、企業別労組では不可 能な産業的な争点と、国家を相手にした闘争の有効性にある。このような闘争 で、組合員は会社の従業員ではない労働者階級であることを自覚し、また市場 の論理から抜け出して、代案的社会を夢見ることができる。双竜車闘争は整理 解雇という全労働者的な問題であり、公的資金投入の主体であり事態の実質的 な背後である政府と闘い、超国籍資本の蛮行と韓国社会の世界化過程の省察を 含む、まさに産別労組がその存在理由を示すべき闘争だった。

解雇反対全国的闘争戦線、金属労組の再建が必要だ

8月以後、労働者運動は至急、全国的な闘争戦線を構築しなければならない。 『解雇は殺人』という双竜車労組の整理解雇粉砕闘争を、仁川、蔚山、昌原、 ソウルなど、全国各地で組織しなければならず、解雇そのものを制限する制度 を政府に要求しなければならない。

進歩陣営の一部では、解雇を制限するよりまず社会的安全網を作れと主張する が、これは現在の経済状況と労働者生存の根拠を破壊する大量解雇事態から目 をそらす観念的な解決でしかない。労働柔軟化が政権次元の最大の課題だと主 張し、その上、福祉予算も削減し、4大河川土木作業に一気に注ぐ李明博政権に、 社会的安全網のような政策は極端な労働柔軟化を隠す装いに過ぎない。30兆ウォ ン以上の政府財政が、建設資本と地域投機勢力に行く4大河川整備事業も阻止で きない労働者運動が、あれこれ財政投入提案をしたところで、これを聞く人も 主張する人も無益なことだ。

解雇を制限する問題が重要である理由の一つは、現在の世界経済危機が短期間 に終わらないという点にある。長期間の生産削減の中で、解雇-雇用という労働 柔軟化の循環もまともに作動しない。労働時間短縮等によるワークシェアも、 雇用を分ける期間が短期間の時に通用する。現在、若干景気反騰が存在するの も事実だが、まだ隠れた天文学的な数値の金融不良が存在し、新自由主義金融 世界化に代わる新しい蓄積の方式は登場していない。金融投機バブルで誕生し た21世紀初期の需要水準に代わる新しいシステムが登場しない以上、長期間の 景気沈滞は不可避だ。このような状況で、解雇はまさに失業であり、生存権の 剥奪だ。解雇は殺人という双竜車労働者の叫びが解雇の威嚇を知らせる宣伝文 句だけではなくなる。資本が自身の利益を犠牲にし、政府が財政を投入して、 雇用関係を維持させることが答にならざるをえない理由だ。

特にすでに韓国の労働柔軟化がOECD内でも上位水準になってい程に非常に高い という点により、解雇そのものを制限することが重要だ。10数年間にわたり進 められた資本の必死の労働柔軟化政策は、労働時間短縮によるワークシェアも 不足だが、現在存在する雇用維持支援金、失業給付などの安全網も無力化させ る。法定労働時間が週40時間に改正され、実質労働時間が減ったものの、その 減った時間を埋めたのは非正規職労働者であった。多くの労働者が正規職から 1次下請けに、しかも2、3次下請けに追い出され、短期契約労働者に追い出され て、減った賃金労働条件程度も安全網により補償されることができない。結果 として、解雇により賃金は減り、雇用はさらに不安になる。いかなる代案も現 在のような労働柔軟化水準では、資本の労働費用削減効果に利用されるだけだ。

このような解雇を制限する戦いで、組織労働者、そして金属労働者が先頭に立 つべきなのは言うまでもない。金属労組は日程だけで存在する産別建設でなく、 ただ組織の形式で進められる地域支部転換などの組織体系改編だけでなく、組 合員全員が階級的に団結する産別労組を作らなければならない。これは双竜車 闘争を勝利に導けない金属労組の現状況に対する冷徹な直視から始めなければ ならず、下半期の全国的闘争戦線を実質的に組織する計画と決意から始まらな ければならないだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2009-08-10 20:32:48 / Last modified on 2009-08-10 20:32:49 Copyright: Default

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