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納涼特集「生きている死体の夜」、そして双竜自動車

[イ・ジョンフェ コラム]整理解雇をまぬがれた労働者たちがゾンビになった理由

イ・ジョンフェ/ 2009年08月04日9時24分

魂のない、だが疲れを知らない労働力、ゾンビ

個人的にはあまり好きではないが、夏になると背筋が凍るような鳥肌と悲鳴で 恐怖映画がTVと劇場街にやってくる。最近は素材も多様化したが、恐怖映画と いえば〈月下の共同墓地〉から〈伝説の故郷〉の主人公、白い服を着て口元か ら血を流し、長い髪を下げたおばけがおなじみだ。西洋人にとって恐怖映画は 吸血鬼『ドラキュラ』が元祖だろう。

〈月下の共同墓地〉といえば、日帝時代の抗日運動を基本背景にしてくやしく 死んだ月香が主人公であったし、小説〈吸血鬼ドラキュラ〉のドラキュラは、 その素材がオスマントルコ帝国の軍隊を駆逐したルーマニアの勇将、ドラキュ ラ伯爵から始まった。ところが最近、西洋映画で荒れ狂うゾンビはその背景が 尋常でない。

ネイバーを検索すると、ゾンビ伝説の舞台は黒人の低賃金労働力を供給する西 インド諸島のハイチ島だ。ブードゥー教の黒魔術にたけた呪術師が麻薬成分の 薬品で犠牲者を仮死状態に陥らせ、医師に死亡を診断させた後、墓地を訪れて また真夜中に掘り出して、悪徳農場主に売る。こうして作られたゾンビは何か の力により、死んだ体のまま、生まれ変わった人間を称するようになり、ホラー とファンタジー作品などにしばしば登場し、腐った死体が歩きまわる姿で描写 される。

ところがドラキュラがそうであるように、意味は転倒し、恐怖映画のゾンビは 疲れを知らない労働力という存在として描かれるのでなく、人間を敵対視する モンスターのように描写されることが多い。すでに意味が転倒してしまったゾ ンビ映画の元祖格の〈生きていた死体の夜〉のゾンビが私たちの前に現れた。

ゾンビになった労働者

TV画面で見る双竜自動車工場は、戦場を彷彿とさせる。空にはヘリコプターが 宣撫放送をしながら浮かび、時には労働者の頭上から催涙液を一気に浴びせる。 警察は、大きな盾を前に立て、一歩一歩塗装工場へと進んで圧迫する。そうし て少しずつ入り、結局は塗装工場を囲んでしまった。使用者側は水とガスはも ちろん、消火栓まで止め、ついに電気も切った。燃える古タイヤが真っ黒な煙 を空に上げ、たまに火炎瓶も登場し、パチンコで撃ったボルトが飛びかう。

労働者たちは、おかずもなくおにぎりで命をつなぎ、警察が撃ったテイザー・ ガンが顔をあたっても診療も妨害されているので、そんな苦痛を訴えても意味 がない。備蓄していた水を飲めなくても、惜しみなくシャワーを浴びるのは催 涙液で全身にできた水泡のためだ。戦場には人権はない。

止められた消火栓への世論が悪いので、消防署が出てきたが、結局は使用者側 に阻止された。水を入れようとしても、医療陣が労働者を治療しようとしても、 結局は使用者側に阻止される。『使用者側』というが、結局は傍観だけしてい る警察の代わりに、『別の労働者』が出る。同僚の整理解雇で労働強度は強化 されても『3年間基本給凍結、2年間賞与金250%返却、3年間一切の福祉返却』を 誓い、生き残ったとは言え、息をしているだけの骸骨と違わない労働者、彼ら は現代版ゾンビでしかない。『会社が生きれば労働者も生きられる』という呪 術にかかり、魂が抜け、生きた死体になった。

整理解雇に反対して死んでも、あんな状態で死んでも同じような座り込み労働 者たちは、昨日までは同じ組み立てラインで働いていた同僚だった人に、手に 鉄パイプを持って振り回すことができず、対立して涙を流す時、彼らゾンビは 切断機と鉤と鉄パイプを振りかざして殺そうとかけ込む。ゾンビたちは正門の バリケードで向き合った労働者の家族に、頼むから水だけでも入れてくれと、 そして患者を治療する医者を入れくれと叫する座り込み労働者の家族に唾を吐 き、足蹴りをする。

龍山惨事に関する調査で、検察はなぜ火がつき、どこから始まったかを最後ま で明らかにできなかった。検察が言うように火炎瓶で火事が起こったのか、で なければ櫓を解体するためのグラインダーからの火花から始まったのか、でな ければコンテナが櫓に当って火花が散ったのか、でなければ今でも明らかにし ていない特攻隊の鎮圧武器で火事が起こったのか、誰にもわからない。検察は ただ撤去民が火炎瓶を投げて火事が起こったと言うばかりだ。

龍山では約2千リットル程度、そして今、労働者たちが死守している塗装工場に は双竜自動車全体をふき飛ばすに十分な20万リットル程度のシンナーのような 引火物質がある。それでも龍山撤去民の櫓を壊すために使ったようなコンテナ を出して警察特攻隊が待機しているという。警察特攻隊はなぜ恐れないのだろ うか。シンナーがあるのかも知らずに進入し、実際に火が出てあわてて走り出 たという、検察調査過程で出た特攻隊員の陳述はそれを反証する。

もし労働者を鎮圧するために警察特攻隊が進入するのなら、誰も安全を保障で きないということが恐ろしい。いかに大きな火事になるか、どれほど死ぬのか、 誰が死ぬのかがわからないことが恐ろしい。そして警察が鎮圧を躊躇する間、 彼らゾンビが出た。解散作戦はあくまでも警察の仕事だという警察庁長官の公 言にもかかわらず、ゾンビは何かに引きずられて「4日から事務職と生産職など 4500人全員が出勤して待機し、公権力が投入されなければ今週中に塗装工場に 進入する」という決意を見せている。

▲整理解雇で労働強度は強化されても『3年間基本給凍結、2年間賞与金250%返却、3年の間一切の福祉返却』を誓い、生き残ったとはいえ息をするだけの骸骨と違わない労働者、彼らは現代版ゾンビだ。[出処:メディア忠清]

また違うゾンビ、用役

逆説的にも、恐怖こそが労働者を恐怖で武装したゾンビにする。97年外国為替 危機をむかえ、整理解雇を含む大規模な構造調整を経験した労働者に、整理解 雇が恐怖として近付いてくる今この時期、恐慌時期の恐怖に震える労働者をゾ ンビに転換させる。

一方、双竜自動車では警察と使用者側労働者とともに、もうひとつの決定的な 役割を果たしたゾンビ、それがまさに用役だ。龍山惨事が起きた5階屋上の撤去 民を威すために2階で火を付け、警察の後に隠れて櫓に放水し、警察より前で階 段を解体して、櫓がある屋上に進入する警察を助けて龍山撤去民虐殺に決定的 だった用役の役は、双竜自動車労働者の整理解雇阻止闘争でまたはっきり現れた。

最初、労働者が占拠していた工場に入るために鉤と鉄パイプで武装した用役は、 傍観する警察の代わりに、工場を奪還する役割を果たしてきた。整理解雇をま ぬがれた労働者と、これらの用役だけでなく、結局は進入した警察と合同で工 場奪還作戦をしたのも用役だ。メディア忠清の報道のように龍山と同じように 警察に偽装したり、工場を死守する労働者が撃つパチンコと同じパチンコで労 働者の命を威している。金儲けのために出てきた用役が、生存のために工場を 占拠して闘う労働者に飛びかかっているのだ。

以前は労組破壊工作で悪名高い包丁テロ専門家蔚山の『ジェームズ・リー』が いたとすれば、最近は労働争議がある所には用役が登場する。最近のような不 況の時期、増える労働争議に使用者側に雇用された用役の需要も増える。そし て、再開発と運命を共にする用役は現在260か所程度で再開発されるソウルでは 盛業中だ。

このように増える用役の需要は、最近どこでも簡単に会える野宿者、学費を稼 ぐアルバイトをする学生、そして失業でさまよう不安定労働者が埋めている。 現政権になり、民主主義が深刻に後退していると警告を送る金大中前大統領と、 李明博政権の犠牲になった盧武鉉前大統領の労働柔軟化政策で量産された失業 および非正規職を含む不安定労働者が、その需要を埋めているのは皮肉だ。特 に、構造的失業が増加し、物価は賃金上昇を追い抜き、所得の再分配もまたさ らに両極化しているが、社会的安全網などは期待もできない最近の恐慌時期を むかえ、いつでも用役になる予備軍は増えている。

ゾンビの天国ファシズム、そして自由な個人の連帯発言会

世論操作できるようにしたメディア法の改悪は、「人権の存在を許さないファ シズム時代の初期」というリ・ヨンヒ先生の人権団体創立記念式場で声がさら に力を得る状況が展開している。しかも地球的水準での資本の危機、つまり恐 慌時期を突破する資本運動の一形態としてのファシズム、つまり反動的な国家 動員体制への転換の可能性を見るという点でさらに憂慮される。

20世紀に経済恐慌を突破しようと資本の帝国主義戦争を経て、資本戦争の弾避 けにするだけでなく戦争で生が壊れた労働者民衆こそ西欧社会主義政党が根を 張るのに決定的な役割を果たした。しかし続く経済恐慌の時期に社会主義政党 が彼らの要求を盛り込めなず、失望したルンペンプロレタリアート、つまり雇 用が不安定な労働者を基盤とするファシズム体制が構築された歴史は、過去の ものではない。100年ぶりの大恐慌というこの頃、ファシズムが議論されている この時点で、労働の不安定性というナイフは李明博政権と労働者のどちらを 狙うのだろうか。

双竜自動車の労働者は、君が死ななければ私が死ぬと、労働者を死の最後まで 追い詰める資本のこの残忍非道な本性と、最後の闘争をしている。彼らは失業 者が救援物資を受け取ろうと路上に列をつくった恐慌時期を象徴的に見せる風 景に彼らも賛同をするのか、あるいは資本に資本の危機の責任を取らせるのか の岐路に立っている。したがって人生の岐路に立つ彼ら双竜自動車労働者は、 まさに恐慌時期労働者にその負担を転嫁する資本との全面戦争をしているのだ。 それは最低賃金をはじめ労働者の労働条件を低下させ、非正規職の期間制限を 廃止し、整理解雇を自由にする構造調整を阻止する闘争でもある。

だからファシズムの土台になる雇用の不安定を越えるために、少なくとも労働 者、特に不安定労働者をゾンビにしないために、そしてゾンビ天国ファシズム 体制に行かないためにも、必ず勝利しなければならない闘争だ。民主労組運動 を含む労働運動、この社会の民主主義と人権のために、そして自由な個人の連 帯発言会を建設するために、ぜひとも勝利しなければならない闘争だ。労働者 がゼネストに、そして私たちすべて彼ら闘争に乗り出した労働者を囲む人間の 盾になっも、必ず勝たなければならない闘争だ。

今、双竜自動車で行われている納涼特集、これは映画ではない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2009-08-05 08:48:12 / Last modified on 2009-08-05 08:48:14 Copyright: Default

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