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『民主共和国』で堂々と幅をきかす『不法政治ゼネスト』の怪談

[寄稿]労働者政治ゼネストと大韓民国憲法第1条

キム・テヨン(労働戦線)/ 2008年06月19日0時48分

チョ・ガプジェ前月刊朝鮮代表が、キャンドル集会をポルノ映画と罵倒して、 「光化門地域を青少年夜間通行禁止区域」に指定して国軍を動員しろと主張し た。作家の李文烈は、キャンドルデモを『集団騒動』と罵倒し、『義兵蜂起論』 を主張した。彼らはこれまで保守陣営の親衛隊を自任し、暇さえあればラッパ 手役をしてきたが、キャンドルデモへの視点と処方はまた驚かされるしかない。 これほどになれば、彼らの非民主的で非常識な世界観を越え、精神の疾患を疑 わざるをえない。こうした『病的』な扇動は、イデオロギー攻勢に留まらない。 彼らは北派工作員のキャンドル集会場占拠や、一部宗教団体のキャンドル集会 糾弾集会を『義兵蜂起』と規定し、それを鼓舞称賛しているのだ。チョ・ガプ ジェ、李文烈式の悪扇動は、本格的な弾圧の前奏曲だったようだ。

BSE牛肉問題が李明博政権の公共部門の私有化・市場化、民生破綻など総体的な 問題に拡大している。その結果、キャンドル集会が貨物連帯、建設機械を筆頭 とする労働者闘争に発展している。闘争の議題と主体が拡大しているだけに、 『反動』も全面化の兆しが見える。本格的な『反動』は、労働者闘争への弾圧 から始まろうとしている。

BSE牛肉交渉に反対するキャンドル集会がますます大きくなり、朝鮮、中央、 東亜日報と李明博政権はネチズンの批判を『怪談』だと一蹴していた。ところ が時間がたち、その『怪談』が『真実』であることがわかった。怪談が本当だ とわかっただけに、キャンドルはますます増えた。今、朝鮮、中央、東亜日報 と李明博政権は、もう一つの怪談ドラマを演出している。今回は、彼ら自身が 怪談を流布して、それを本当のものにして、キャンドルを消そうとしている。 まさに『不法政治ゼネスト』怪談だ。

ラッパ手たちの怪談

「政府は不法ストライキには毅然と対処しろ。国の経済を担保にした民労総の 政治ストライキに、国民も力を集めて対応する必要がある(6.15東)。」
「民労総のゼネストは本当に問題が多い。貨物連帯のように生計型ストライキ でもないうえに、勤労条件とは無関係の米国産牛肉輸入反対、韓半島大運河反 対といった政治的問題を押し出した不法ストライキ(ハンギョン6.16)だ。」

言論の扇動にすぐ応えて、6月17日にキム・ギョンハン法務部長官は、民主労総 が米国産牛肉輸入反対ゼネストを決めたことについて「勤労条件改善と無関係 な政治目的のストライキを予告している」とし「政府としてはこうした不法行 為が続けば、法と原則により措置するほかはない」と一喝した。

『不法政治ゼネスト』怪談の実体1: 民主労総のゼネストは勤労条件改善のためではない?

彼らが民主労総のゼネストを不法と主張する根拠を一つ一つ確かめてみよう。 まず、民主労総のゼネストが『勤労条件改善と無関係な政治的目的』だから不 法だというものだ。彼らの主張は、労働組合法2条の「労働争議は労働組合と使 用者または使用者団体の間で賃金・勤労時間・福祉・解雇その他の待遇などの 勤労条件の決定に関する紛争状態をいう」という条項を根拠としている。

では民主労総のゼネストの要求が『勤労条件改善』と無関係だろうか? 民主労 総は、BSE牛肉交渉全面無効化と再協議、水・電気・ガス・鉄道・医療・言論の 市場化・私有化政策廃棄、韓半島大運河反対、燃料代・物価暴騰阻止など4つの 要求を掲げてゼネスト闘争をすることにした。

BSE牛肉問題を見よう。これに関して6月15日、朝鮮日報は「現代車労組幹部が 『BSE感染牛を食べて健康が悪化すれば生産性が落ちる。これを防ぐストライキ は正当だ』と話したと報道された。現代車労組が民主労総の指針に従って、6月 13日に米国牛肉輸入反対のためのストライキ賛否投票をしたことについて会社 側の『政治ストライキを自制しろ』と訴えを正面から受けた言葉だ」と皮肉っ ている。現代自動車労組幹部の話が皮肉に聞こえるのだろうか? BSE牛肉問題は 労働力再生産の最も基礎になる労働者の健康権、生命権に直結する問題だ。ま さに勤労条件の改善に直結する問題だ。

水・電気・ガス・鉄道・医療・言論の市場化・私有化政策廃棄の要求はどうだ ろうか? 公共部門の私有化市場化は、水の値段、電気料金、水道料金、教育費、 医療費など、労働者の生計費圧迫を加重し、実質賃金を低下させるだろう。こ れも勤労条件に直結する問題だ。大運河による環境破壊が招く災害も、労働者 の生存権と無関係ではないことも同じ論理だ。燃料代の問題は、朝鮮、中央、 東亜日報自身も貨物連帯ストライキを『生計型ストライキ』というので再論の 必要はないだろう。

『不法政治ゼネスト』怪談の実体2:労働者ストライキは政府を相手にできない?

彼らも民主労総のゼネストの要求が労働者の勤労条件と無関係だと主張するの が難しいことを知っているので、また違う論理を取ってつけている。『労組は 使用者または使用者団体に対してのみストライキができ、政府を相手にするこ とは政治ストライキなので不法』という主張だ。

彼らが根拠とする労組法2条5号は問題になっている部分だ。政治ストライキが 不法だというのは彼らの一方的な主張でしかない。大韓民国憲法第33条1項は、 「勤労者は勤労条件の向上のために、自主的な団結権・団体交渉権および団体 行動権を持つ」と規定している。そして労組法第1条は、「憲法による勤労者の 団結権・団体交渉権および団体行動権を保障し、勤労条件の維持・改善と勤労 者の経済的・社会的地位の向上を企て、労働関係を公正に調停し、労働争議を 予防・解決することにより産業平和の維持と国民経済の発展に尽くすことを目 的とする」となっている。

憲法と労組法は、労働者の経済的、社会的地位向上のために労働三権を保障し ているのだ。李明博政権の政策が、労働者の経済的、社会的地位向上に深刻な 危害を加えているのだからスト権を行使できる。国際的基準に照らしてもこれ は明らかだ。今でもヨーロッパなどの世界各国では、労働組合が社会保障制度 などの政府の政策に対する要求を掲げて政府を相手に合法的な全面ストライキ 闘争をしている。

『不法政治ゼネスト』怪談の実体3:利益団体の集団利己主義?

6月15日、中央日報は「キャンドル集会にこっそりと便乗する利益団体が増加し ている。『公企業を民営化すれば水道代だけで一日14万ウォン』というビラを まいて『公企業民営化を放棄しろ』と声をあげた」と主張し、不法政治スト云々 している。『不法ゼネスト』の怪談は法理的な主張だけでなく、感性を刺激す ることもある。

この10年間の新自由主義世界化攻勢に直面した労働者がゼネストをするたびに 書き続けた手法だ。『国益』に反する利己主義的ストライキだから道徳的に不 法だというものだ。『国益』とは何か? ある特定の個人や集団の利益を越える 国家全体の共同の利益だ。国家全体の共同利益とは何か? 大多数国民の利益だ。 BSE 牛肉輸入、大運河、石油価格暴騰に大多数の国民が反対し、公共部門の私 有化・市場化の被害が労働者を含む大多数の国民に戻るのだから、民主労総の 四大要求はまさに『国益』保護ではないのか?

それでも彼らが労働者の闘争を利益団体の集団利己主義と罵倒するのは、彼ら だけの『国益』が別にあるという自白に過ぎない。少数の持てる者だけが国益 の享有者である。だから彼ら少数の持てる者の国家を基準に見れば、民主労総 の政治ゼネストは道徳的に不法だ。しかしあとの絶対多数の民衆の立場から見 れば、道徳的に合法であり正義である。

李文烈がキャンドル集会を『内乱』と規定し、内乱の鎮圧に『義兵蜂起』が必 要だという。これほどまでになれば、李文烈の扇動は病的なものではなく、支 配者たちの本心を隠さず表わしたと見なければならないだろう。では少数の持 てる者が宣戦布告した『内乱』を行うしかない。彼らには『不法政治ゼネスト』 だが、絶対多数の民衆には正しい闘争だ。

労働者政治ゼネストと大韓民国憲法第1条

キャンドル集会現場で愛唱され、国民歌謡になった『憲法第1条』を思い出そう。 「大韓民国は民主共和国だ。大韓民国の主権は国民にあり、すべての権力は国 民から出てくる」

李明博政権の序盤期に法秩序を口にしながら『ごり押し方法』を懲らしめると いった。その内容に、ポリスラインを越える不法集会への厳しい処断が位置し ていた。実際に不法集会を云々してキャンドル集会主催者召喚などの弾圧を試 みたが、一歩後退した。『大韓民国の主権は国民にあり、すべての権力は国民 から出てくる』ということが、闘争の力で現実になったからだ。4.19、5.18、 6.10 等、すべての局面で少数の支配者たちは不法を突きつけて弾圧した。しか し、歴史はそれらの闘争をすべて合法と記録した。

BSE牛肉問題、社会公共性問題、大運河問題への労働者のストライキを不法と罵 倒し弾圧を準備しているのは、民主化した大韓民国で二重の定規が通用してい るからだ。労働者の闘争に非民主的な認識が通用しているためだ。キャンドル 闘争は、明らかに韓国社会の『民主化』を一段階アップグレードしようとする 熱望が込められた闘争でもある。

実質的な民主化の進展は、労働者の政治ゼネストが自由に認められるかどうか で区分されるだろう。朝鮮、中央、東亜日報と李明博政権の認定は無関係だ。 キャンドル集会に集まる国民が、労働者の政治ゼネストを正しい闘争だと認め るかどうかに掛かっている。アンケートはないが、すでに大多数の国民はその ように考えていて、民主労総が立ち上がれと言っている。朝鮮、中央、東亜日 報と李明博政権の『不法政治ゼネスト』の怪談が真実ではなく、怪談であるこ とが明らかになっている。それなら勝敗は区分された。問題は民主労総と組合 員だ。大多数が望む政治ゼネストを力強く展開しよう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-06-20 07:43:30 / Last modified on 2008-06-20 07:43:30 Copyright: Default

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