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私の初めての職場、群山サービスエリアを返して下さい

[インタビュー] 群山サービスエリア販売社員イムウンミ氏

オドヨプ記者 odol@jinbo.net

全北群山からバスで板橋にある韓国道路公社を訪ねた労働者がいる。5月19日、 民主労組死守102日、ストライキ32日目を迎えた群山サービスエリア労働者だ。 コンクリートの塊で封鎖された職場、群山サービスエリアを返してくれと道路 公社を訪ねたが、彼らを迎えたのはくさせた閉じられた二重の分厚い鉄門だった。

イムウンミ氏は、群山サービスエリア労働者だ。まだ世の中の不条理を理解す るにはあまりにもきれいな顔をしている。箸が転がる音を聞いただけで笑いこ けた少女の目には、いつのまにか怒りがにじんでいる。

バスでおりた労働者たちは、興奮した。話しにきたのに、どうして門前払いを するのかと、鉄門の向こうからラッパを吹いて抗議する。イムウンミ氏も首に かけていた赤いラッパを口であてて鉄門前に近寄る。

閉じられた鉄門でラッパを吹く

「一日12時間二交代です。週末の休みは想像もできません。平日に一日ずつ休 みます。生理休暇や月次休暇は使うこともできません。」

サービスエリアの労働者は、勤務が始ると友だちにいつも時間もないという。 12時間夜昼二交代で、休日には休むことができないので、自然と友人とも遠ざ かるという。

「私たちが受け取る基本給は、一日12時間働いて98万ウォンです。夜間勤務は 手当として一日6千ウォンを受け取ります。超過勤務手当が何か、夜間手当て が何かも知らずに、支払われるままに受け取っていたのです。」

残業と夜間手当を計算すると、彼らが受け取る給与は、法定最低賃金にも達し ない。手当はともかく、採用時に約束したボーナス200%は、今まで一度も受け 取ったことがないという。

一度も見たことがないボーナス

2001年12月にオープンした群山サービスエリアは、2004年1月にチャニョ産業 に委託され、問題が発生する。チャニョ産業に委託されると、年俸が200万ウォ ンから500万ウォンまで減った。2004年に60人だったスタッフは、チャニョ産 業が委託したことで36人に減った。残った人の仕事はそれだけ多くなった。

また、サービスエリアに納品する業者の決裁代金も常習的に支給しなかった。 そのためチャニョ産業は道路公社から数回警告を受けた。

「宿舎に油を納品する業者に代金を支払わないので、冬に宿舎のボイラー油が なくなっても持ってきません。このまえの冬はたくさん雪が降ったでしょう。 家に帰ることもできずに宿舎で寝て働くのに、冷たい部屋でぶるぶる震えなが ら寝なければなりませんでしたし、冷水でシャワーを浴びなければなりません でした。職員の福祉には何一つ気を遣いません。」

真冬冷水でシャワーをしながら

イムウンミ氏は一日十二時間、休み時間もなく脚がパンパンにはれるまで立っ て働いた。顧客が癇癪を起こしても、威張っても、笑いながら対応した。群山 サービスエリアに来る顧客に、もっと良い記憶を残そうと最善の努力をした。 食事の時間三十分を除き夜昼十二時間交代で、笑いながら顧客を迎えた。

「全北平等労働組合に加入しました。労組に加入すると、チャニョ産業はとて も考えられないやりかたで労組脱退を強要しました。とんでもない汚名をかぶ せ、解雇し、暴力団を動員して怖がらせました。入店した業者を契約解約し、 組合員を解雇して。世の中が本当に恐ろしい、生活はとても恐ろしいという気 がします。」

電話をかけ、性暴力も加えたという。ある組合員は性的羞恥心と侮蔑感で下血 などのストレスから、結局辞表を出した。

労組に加入した群山サービスエリアの労働者たちは、4月18日まで10回にわた る団体交渉を要請した。だが交渉は一度もきちんと行われなかった。4月18日、 ストライキのはじめに、テントでの座り込みを始めた。

性暴力もはばからず

「ストライキに対する会社の答はとんでもないことに、営業中断でした。スト ライキに入って3日後に。寄宿舎まで閉鎖をしました。道路公社はさらにひど く、4月21日に群山サービスエリアの出入口をふさぎ、トイレも使えないよう にしました。電気と水道も切ってしまいました。」

高速道路サービスエリアは単純な利益を残すための事業場ではない。高速道路 は私企業が作ったものではなく、国民の税金で作られた。サービスエリアは、 長距離運転をする人にとって生命に直結する安全施設だ。労組に加入したと言っ て一方的に私企業が営業所の扉を閉め、道路公社は入口を封じるというのは、 有り得ないことだ。

「群山サービスエリア周辺の道端には、休む所のない運転手が車を止めていま す。危険なことが起きているんです。委託業者が営業をしなくても、サービス エリアのトイレと駐車場は利用できるようにするべきですよ。税金で作られた 道路を通行料を出して利用する国民にとって、当然保障される権利です。」

道路公社は利益だけ...命はしらない

竹岩サービスエリア労組のイヒチョル委員長は、「道路公社は、委託業者から 売り上げの18%を賃貸料として受け取ります。サービスエリアの賃貸料を取れ ば、道路公社の役目が終わるわけではありません。サービスエリアから莫大な 利益をあげる道路公社は、サービスエリア労使間の第三者ではなく当事者です。 当然、サービスエリア閉鎖などの責任は、道路公社にあります」と主張する。

5月19日、公共連盟の代表者は韓国道路公社と面談した。面談の結果は、時間 が必要だというありきたりの答弁だけだ。チャニョ産業は営業をしないと言う が、道路公社との委託契約はまだ有効だ。道路公社は手続きをあげ、サービス エリアが正常化するには時間が必要だという。

サービスエリアのトイレと駐車場は開放して、高速道路利用者に便宜を提供す べきではないかという質問にも、道路公社はこの場では話せないという。

「売り上げの18%をきっちり持っていって、今になって知らないと言えますか? チャニョ産業が営業をしないというのに、時間がかかる理由がありますか? 一 方的に門を閉めたら、これに対する責任を問い、契約を解約し、一日も早く正 常化するのが正しくありませんか。」

一日も早くサービスエリアの正常化を

インタビューしたいというと照れて拒否したイムウンミ氏の声はますます強く なって鮮やかになる。労組に加入し、ストライキ1か月が過ぎ、イムウンミ氏 の目も胸も変わりつつある。何も知らずに始めた仕事場で、自身が労働者であ ることを理解しつつある。

「今は鉢巻きもチョッキも似合います。他の人々がストライキをする時はわか りませんでしたが、今は分かりそうです。ぜひ私たちの職場に来てください。 また群山サービスエリアのドアをあけ、サービスエリアに来る顧客に良いサー ビスで応対するでしょう。もっと多くの人が私たちの声に耳を傾けてほしい。」

この日の道路公社集会でオウノク組合員がこれまでの闘争過程を発表し、みん なの目が赤くなった。イムウンミ氏も悲しみが胸を突き抜けて、限りなく涙を 流した。集会を終え、道路公社の入口に立つ警察の盾を突破して本館に入るた めに小競合いを始め、イムウンミ氏は丸腰で盾に向かって情熱を傾ける。

イムウンミ氏の初めての職場、群山サービスエリア。短い職場生活でイムウン ミ氏は社会のとても多くのことを体験している。

「同僚がいるから苦しくありません。」

インタビューを終えたイムウンミ氏はまた警察の盾の下にもたれて座る。彼女 が吹くラッパが遠く広がって行く。かなり暗くなり、またバスに乗って群山に 帰る彼女の後ろ姿に夕陽が落ちる。明日の朝には希望の笑いが浮かぶのか……。

2006年05月22日15時43分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-05-23 10:16:37 / Last modified on 2006-05-23 10:16:38 Copyright: Default

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