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電気を商品のように売買する!

誤った電力産業構造改編が 根本的な原因

ソンユナ(エネルギー労働社会ネットワーク)/ 2006年09月03日22時26分

99年から加速した電力産業民営化

IMF構造調整プログラム履行の条件として、国内財閥と多国籍エネルギー資本 の要求で、99年から電力産業は民営化が急速に進んだ。労働組合の激しい抵抗 にもかかわらず、2001年4月2日に韓電の発電分野は5つの火力発電と1つの原子 力発電に分社された。ひたすら売却のためだけに断行された発電所分割は、現 在途方もない非効率と問題点を量産している。

誤った電力産業構造改編をむちゃくちゃに貫徹するために数千億ウォンの直接 費用が必要だった。常識的に考えても、韓電1社として存在していた会社を火 力5社と原子力1社で分けたのだから、結果として社長と役員の経営陣だけでも 6倍に増加した。三成洞にある韓電本社ビルに行けば、韓電をはじめ7社の看板 がずらずらと並ぶ珍しい風景を目撃できるだろう。さらに、これまで発電設備 は23%ほど増加したのに、現場組合員は9%しか補充されなかった。しかし公企 業の慢性的な天下り経営陣によるばらまき人事政策が続き、管理職は40%以上 増えた。効率と競争という名で進められた発電5社分社は、逆に最も非効率な 体制を量産したという点に注目しなければならないだろう。

発電5社分割、利益計上に汲々とする経営で

現在発電5社が競争を強要され、発電5社は短期の利益を上げることに汲々とす る経営体制に転換した。これまで韓電が全量購入していた発電用燃料の有煙炭 を個別に購入することで購入費用が上昇し、有煙炭供給の安定性も崩壊した。 これは結局電気料金上昇の原因になる。また、購入単価を下げるために中国産 の低質炭を持ってくる過程で環境破壊が起き、電力の質(周波数安定性)は深刻 に壊された。

さらに今夏の深刻な暑さで起きた頻繁な故障事態と、4月の済州島・麗水の大 規模停電事態は、発電分割の必然の結果と言わざるを得ない。発電5社は発電 機の整備周期を延長して工期を短縮、装置産業の基本である適正な維持保守を 疎かにする方法で経費削減を試みている。10年使う自動車も、うまく維持保守 すれば20年ぐらいは簡単に持つが、発電所のような巨大装置産業では維持保守 業務を疎かにするということは、装置産業の基本を損なうものだ。

また、韓電体制下で有機的に形成された電力生産と供給システムが崩壊し、停 電などの事故が発生しても、業務協力関係が断絶した。互いに別会社と思うと 緊急の事態にも文書処理が優先され、停電による数千億ウォンの事後処理費用 を押し付けるという慣行が定着した。結局、事故の収拾と処理よりも責任の押 し付けあいに汲々とする今のシステムは、電力供給の安定性を深刻に破壊して いる。現在の発電現場の組合員は、誰よりも電力大乱を憂慮し心配する電力を 直接生産する現場の労働者だ。

もう一つおもしろい話をしよう。電力取引所などが誕生して電力システムの非 効率が発生した。まず緊急な火から消そうとして電力取り引きを始めたところ、 今年の上半期に韓電の営業利益が急減した。これについて韓電は6月に発電費 用評価委員会を開き、発電会社の営業利益の8500億ウォンを韓電の営業利益に 回すという粉飾会計が行われた。結局、発電会社1社当たり1200億ウォン、韓 水原2500億ウォンの営業利益が韓電のものになった。このような希代の行為は、 結局発電5社の競争体制そのものがいかに虚構的かを反証する事例だ。

電気を商品のように売買する?

政府の電力産業構造調整の本来の目標は、発電所をいくつかに分けて電気を家 庭に供給する配電会社もいくつかに分け、電力取引所を通して売買する市場に するということだ。現在の電力取引所は、ちょうど証券取引所と同じ構造だ。 ところが配電会社が未分割の条件で、発電と配電会社の双方向入札ではなく発 電会社の一方向入札が形成されている。電力取引所はリアルタイムで発電供給 価格を決め、韓電から購入する。

電気を商品のように売るという幻想で電力取引所を作り、崩壊した代表 的な国が米国カリフォルニアと英国だ。すでに倒産したエンロンは、カリフォ ルニアで電力取り引きに参加し、供給を操作する方法で途方もない利益を上げ た。供給が減れば価格が高まるのは当然の事だ。エンロンは電力取引所を通じ て供給量を減らし、停電などの事故が発生した時に、供給を操作するという方 式で価格を暴騰させ、途方もない利益を独占した。米国の民衆は途方もない料 金の値上げと電力大乱に苦しめられなければならなかったのだ。まさにこのよ うに不道徳で公共性に関心もないのが私企業であり、エネルギー資本である。

発電労働者のストライキの理由はまさにこれだ。発電労働者たちは、2001年に 発電労組を作った瞬間から2002年のストライキ、そして今まで粘り強く電力産 業の公共性と電気の安定供給のために闘争してきた。発電労働者の闘争要求は、 発電労働者の利己的な要求ではなく国民の社会的な要求だ。今、われわれは発 電労働者のストライキに積極的に支持し、連帯しなければならない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-09-04 04:22:04 / Last modified on 2006-09-04 09:52:48 Copyright: Default

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