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ドカタ社長の執権と政治構造の変動

[李明博時代展望](5) -政治情勢展望

ホン・ソンマン(進歩戦略会議)/ 2007年12月22日9時33分

ハインリッヒの法則

1:29:300。これがハインリッヒ法則だという。大災害が発生する前に、少なく とも29回の軽微な事故と300回の事前の兆候があるという。これは主に自然災害 に該当するが、ほとんどの人々は300回の異常兆候を軽く見て大規模災害にあう という。自然災害と違うことがあるとすれば、政治では分かっていてもやられ ることがある。少なくとも300回以上の事前兆候があり、大小の事件で現執権勢 力の没落とハンナラ党の執権は予告されていた。結局、誰もが予想していたこ とが爆発してしまった。

ドカタ社長の執権

何かお見せします;企業自由主義の到来

李明博の当選の核心の話題を選ぶなら、それは『能力』だ。李明博への大衆の 支持は、彼が見せた能力にある。ノガダ(土方)社長、建設会社CEO出身の李明博 への期待は、ソウル市長の時に見せた清渓川復元工事や交通体系改編と相通じ る、力強い推進力だった。(ノガダ(土方)という表現が、建設労働者たちを見下 す言葉に聞こえないことを望む)。汎与党圏が『腐敗』を持ち出したとすれば、 李明博は『政府の無能』、すなわち自身の能力を武器とした。だから李明博で 政治的危機は道徳性や過去の醜聞としては現れなかった。国民の3分の2がBBKの 検察の捜査結果を信じなず、半分の人々が李明博を支持した。大統領選挙終盤 の李明博動画は、支持の撤回ではなく逆に支持層を結集させる効果を産んだ。

最大の変数と見られるBBK事件は、まず特検で一段落するだろう。特検でも起訴 不可という結果になれば、この事件はそれで終わりだ。もし大統領就任前に起 訴されても、裁判所が当選した大統領の当選無効の判決をするのは政治的に負 担になる。就任後には起訴することはできないが、政界内で騒乱がありえる。 だがそれも総選挙を前にして、互いに負担になることなのであいまいになる可 能性が高い。もはやBBKは大きい変数ではない。

その代わりに、李明博は大統領として何か見せるといった約束を守らなければ ならない。これが反盧武鉉選挙で行われた今回の大統領選挙で、李明博に付与 された使命のようなものだ。当選するとすぐ、ブッシュ大統領と電話してみせ るような幼稚なことまでしてみせた(候補時代、李明博陣営も認めた最大の心苦 しい事件が、ブッシュ大統領との面談霧散だった。そのために彼らが無能に見 られたためだ)。だが、何か見せなければならないということこそ、彼を政治的 危機に追い出す最大の自失を招く手法になるだろう。

李明博が見せるのは、さらに多くの規制緩和、さらに多くの企業都市、さらに 多くの経済開放、さらに多くの民営化、市場化のことだろう。財閥出身政治家 として、彼は遊説たびに企業活動がうまくできる国、規制がない国、投資がう まくいく国に変えるという言葉を頻繁に使いながら過ごしてきた。まさに財界 が李明博の当選を支え、財閥が投資を拡大しようとしている。このように李明 博新政府の登場は、単なる新自由主義世界化への便乗を越え、企業自由主義の 本格的な到来を意味する。それだけ労働者民衆の生活は疲れる。

87年体制の解体と実用主義の拡散

新自由主義政策は、政治的に不安定な構造につながる。常時的な構造調整で蔓 延した労働の不安定化、金融の膨張による不動産、株式、債権など資産市場の 急激な変動、公共サービスの民営化による福祉の後退により、多くの人々の生 活の質の低下を持たらすからだ。しかし中道政治勢力の拡張と新自由主義支持 勢力の政権交替により、大衆の不満を政治的に収斂させていく構造を作った。 これが新自由主義支配連合だ。互いに同じような政策を持っているが、政治的 に反目している政治集団の構造を通して、どん底へと疾走しながらも大衆の不 満を終わらせた。

中道勢力の金大中-盧武鉉政権10年は、新自由主義10年と同じだ。結局、国民大 衆は彼らへの支持を撤回する代わりに、もうひとつの新自由主義勢力を受け入 れた。新政府は露骨な親資本的企業自由主義政策を公約化した。それでも国民 大衆がこれを支持しているのは、新自由主義支配連合が政治的に無事に到着し ているということを意味する。新自由主義を越える代案勢力の形成を構造的に 封鎖した効果が上がった。競争体制の形成と代案不在の中で、単独で生き残ろ うとする生存の努力は実用主義に進んだ。これこそが97年に形成された新自由 主義支配体制が成功的に駆使した『政治の結果』だ。

李明博の当選には、伝統的な保守支持指向の有権者の他に、例のない20代の全 面的な支持、ソウルと首都圏の支持があった。それでも彼ら全てが保守化され たと見ることはできない。多くの調査で見られるように、政治的に保守化した というよりも、新自由主義体制の下で疲れきった生活の脱出口を見つけようと したのだ。国民大衆にとって、民主対反民主という87年体制のパラダイムは、 すでに古いもの、または無用のものになった。その代わりに実用主義への急速 な傾斜を見せた。代案がなかったのだ。それと共に、大衆意識は資本にさらに 深く編入されている。さらに資本に忠実な政権の誕生を呼んだ理由だ。

両党制、多党制?いや、1.5政党!

今回の大統領選挙と総選挙をめぐって、保守の分裂と改革陣営の単一化失敗に より、二大政党構造から多党制に行くのかどうかが話になっている。87年体制 の解体とともに多元化した社会に合わせて二大政党構造から多党構造に転換す るという展望だ。だがこれは自由主義勢力の主観的な展望でしかない。多党制 や二大政党制は、二つでも、三つでも、勢力がきっ抗する時のことだ。ところ が今は果たしてそのような条件だろうか? ほとんどの候補が大統領選挙で完走 し、総選挙は大統領選挙の延長戦だ。その上、大統領選挙の構図がそのまま総 選挙に続く展望だ。すでに政界再編は形成されていて、大統領選挙はその中間 結果と見れば良い。だから特別な変数がなければ政党支持率は変わるかもしれ ないが、基本的な構図の変化は予測されない。

また、韓国の制度政党は理念政党としてはほとんど進入が不可能だ。基本的に 地域に基づくことで大小が生存していける。最低限、民主労働党のように階級 階層に特殊な基盤をおかなければ生存ができない構造だといえる。そのような 意味で、ムン・グキョンの創造韓国党が制度圏に安定的に進入するのは容易で はない。既存の汎与党圏との差別化のために、大統領選挙で完走し、民主労働 党より高い得票率を得たのは事実だ。しかし何の地域基盤もなく形成され、さ らに候補の認知度により大統領選挙で一定の得票をした。候補よりさらに低い 党の認知度を考えると、彼らの総選挙の展望は非常に暗い。

李会昌(イ・フェチャン)の保守新党の場合は話がちょっと違う。生存の確率は 高い。嶺南の一部と忠清圏の支持を背負った状況で、保守新党の可能性はそれ だけ高いと言える。しかし、ハンナラ党が分裂しない限り保守新党は国民中心 党程度に終わるほかはない。すでにハンナラ党と保守陣営としてはキムジョン ピルの分離と自民連の形成、そして大統領選挙の敗北という10年前の失敗を学 習した。むしろ彼らは保守新党側との競争より、洗練された方式で保守陣営の 統合を推進していく可能性が高い。それでも総選挙で保守新党が一定の勢力を 形成すれば、今後の政局は保守両党の支配体制に動いていくだろう。どの場合 でも、制度政治権において政治戦線の『右移動』は必然的だ。

したがって、総選挙までハンナラ党と支配分派は最大限、統合的な方式で政局 を運営していこうとするだろう。日本の自民連のように多党制でも二大政党制 でもない巨大政党体制として、『1.5政党体制』の形成を目標にするだろう。 現在形成されている政治地形はこの可能性がさらに高い。

新自由主義ぼろ勢力、改革主義の没落

汎与党圏再編は避けられないように見える。政治構図の変化なしには総選挙の 敗北も明らかだからだ。ここに親盧グループの動きが重要な要素に作用する。 初めから盧武鉉大統領または親盧勢力は、汎与党圏の主な候補を殺すのに没頭 してきた。高建、チョン・ウンチャン、ソン・ハッキュは、盧大統領が直接血 にまみれて次々と殺し、選挙戦に突入した時は鄭東泳とも線を引いてムン・グ キョンまで締め出すことに成功した。後任の大統領が前任大統領を保護できな かったということをよく知っている自身としては、後任大統領が誰になるのか には当初から関心がなかった。鄭東泳と関係を確立した時、盧武鉉は『ハンナ ラ党が執権しても国はほろびない』とまで言った。その代わり、参与政府評価 フォーラムを作って勢力構築を始め、総選挙を契機として院内交渉団体程度の 議員グループまたは独自政党を作ることを目標として動いていった。しかし、 こうした試みも希望事項に過ぎない可能性が大きい。盧武鉉退任の後とは言え 反盧武鉉構図は大統領選挙から総選挙まで続くだろうと見られる。それでも新 政府の失敗やミスを持って何かをするには、大統領選挙と総選挙の間の期間は とても短い。

制度政治権で中大選挙区制合意のような大きな政治的な変化がなければ、彼ら は全国政党化さえむずかしくなった。湖南と首都圏の一部で持分を持つ程度で 地域政党になる可能性も高い。とりあえず、国民の多数の大衆の生存権の危機 の前で無力なことは反腐敗戦線の没落で、彼らは他の代案を見つけられないと 見られる。改革という名で韓国社会を新自由主義ぼろきれにしたのが彼らだか らだ。だが、彼らの路線と政策が李明博のそれと大きく違わないことを確認し なければならない。たとえ彼らが全国政党化に失敗しようが成功しようが、そ れとは無関係に以後の政策攻防の中で新政府に敵対的競争よりは批判的協力を 取る可能性が高い。

民主労働党に諸葛公明はいなかった

天下三分之計というしん気楼

民主労働党の戦略は天下三分の計といえる。前の5・31地方選挙の後に始まった 汎与党圏の危機、反盧武鉉情緒を背負った代案勢力としての負傷、そしてFTA反 対、100万民衆大会等により、保守-中道-進歩の構図を確立する戦略だった。し かし、これは幻想に過ぎなかった。

今回の選挙はフレーム選挙だといわれる。李明博が経済というフレームを、鄭 東泳が平和フレームを持ち出した時、民主労働党は何のフレームも提示できな かった。確固たる反新自由主義フレームを構築するための努力もなく、試みも なかった。鄭東泳やムン・グキョンの尻を追うばかりで、共に反腐敗を叫んだ りもしながら、新自由主義政権の第二中隊と認識されてしまった。悲しいかな、 民主労働党には反新自由主義フレームを押し通して、天下を三分する諸葛公明 がなかったのだ。民主労働党が提案して始まった進歩大連合関連の議論も民主 労働党が自分の手で終わらせる形になり、100万民衆大会も小さな形式的動員集 会に終わってしまった。

コリア連邦共和国論争は二番目としても、政治を政策に変えて、運動を法案に 代る現在の民主労働党式運動において、進歩の展望を探すのは無謀だった。そ して、総選挙を控えて分党論が出回っているが、これは大統領選挙敗北の怒り の表現に過ぎない。基盤もなく離党する程愚かでもないが、自主派であれ平等 派であれ、あまりに深く制度政治に足を踏み入れた。

反新自由主義、フレームまたは戦線そして党

改革主義は没落した。少なくとも、現在の政治地形ではそうだ。今、新政府の 登場と共に本格的な企業自由主義が到来するだろう。韓国社会の全般的な危機 から階級的な危機が拡大する状況を迎えるのだ。すでに放送民営化の脅しがあ り、経済自由区域の拡大、教育、医療の開放を越えた市場化、資本化が大統領 当選者の言葉の通りに進められるだろう。親資本、企業側寄りの政策が新政府 の下でさらに露骨になるだろう。結局いんちき改革主義が没落した今、李明博 政府に対抗できる勢力は、進歩左派以外にはないということだ。

するべきことは初めから明らかだった。反新自由主義-社会化フレームをしっか り守っていくことこそ、国民大衆の支持と信頼を得るところだ。今からでも準 備をしなければならない。まず既存の枠組みを壊して反新自由主義-反資本運動 を守っていける確実な勢力が結集すれば良い。ノアが方舟を作る時、まだ雨は 降っていなかった。時間は私たちにもある。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-12-27 15:49:19 / Last modified on 2007-12-27 15:49:21 Copyright: Default

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