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[論評]参与政府継承する「実用政府」を予告

資本権力への行政権力の従属性が深刻に

チャムセサン/ 2007年12月19日20時46分

嘘まみれの政権が誕生する。出口調査の結果、有権者の半分が李明博候補に票 を入れた。終盤の李明博動画効果は不備だった。李明博候補は投票前日のTV演 説でさえ、動画にコメントしなかった。経済を生かせるのは自分だけだと言っ て支持を訴えた。失った10年の怨念を解消するかのように、17代大統領当選を 目前にしている。検察発表が事実なら、李明博当選者は詐欺師にもてあそばれ た経済大統領であり、動画が事実なら自分が設立した会社を違うと否定した偽 りの経済大統領になる。李明博当選者は特検を受け入れたが、当選者と業務引 継ぎ委員会の派閥作り、そして特検の過程がどのような関数関係を結ぶかによ り、特検の結果も思うままにされるだろう。李明博当選者が起訴されるのか、 政治の議論と共に強烈な弾劾の嵐につながるのか、現在のところすべて未知数だ。

明らかなことは、総選挙を前にして議会権力として有利な位置を占めるための 政治勢力間の対決が、いつよりも激しい様相を帯びているという点だ。最近、 議会でさらに多くを占めようとする政党間競争が強まる中で、政治勢力の生成、 分化と両立で、二大政党構造への収斂の代わりに多党構造への拡散が予告され ている。ここに李明博当選者に対する圧倒的支持は、行政権力優位の党政関係 の構築につながるという点も注視すべき点だ。

一方、大統領選挙の最終局面で、一部ではBBK捜査発表に関する廬-明博ビッグ ディール説がしきりと流れた。李会昌候補側は選挙の中立とBBK捜査問題と退任 後の保障をめぐり、廬-明博コネクションを既定事実化する態度を見せた。事実 は未確認だが、サムスン秘密資金とBBK捜査をめぐり現政権と次期政権との間に 政治的な妥協が形成されるだけの情況は十分にあるだろう。これまで参与政府 がサムスンと維持してきた蜜月関係という側面でもそうだが、キム・ヨンチョ ル弁護士のサムスン秘密資金暴露と特検推進の過程で見せた態度から考えれば、 退任後の政治的な動きの保障は早急に解決すべき問題だったという点でもそう だ。韓米同盟の強化、派兵、韓米FTA、非正規法、資本市場統合法推進など、参 与政府の親資本政策の文脈から見て、行政権力の委譲は李明博当選者と次期政 府の政治的な色彩とは無関係に、その連続性が保障されるものと見られる。こ れは、行政権力が資本が要求してきた立法と政策課題の生産・執行強化の文脈 と無関係ではなく、李明博当選者が言い放ってきた公約と政策からみて疑う余 地は無さそうだ。

参与政府末期、議会と行政府はサムスン特検とBBK特検を通過させた。キム・ヨ ンチョル弁護士は盧武鉉大統領が任命したイム・チェジン検察総長をわいろ検 事という烙印をおし、BBK特検の捜査対象にはBBK捜査チームの検事が含まれた。 イム・チェジン検察総長は、就任後すぐ二つの特検を対岸の火事を見物するか のように見る身分になった。二つの特検が進められる過程で、イム・チェジン 検察総長が召喚される状況が起きるかもしれない。三権分立の側面から見て、 司法権力は法が決めた政治的な審判の裏機能を含む。しかし行政権力への従属 が深刻になるほど、司法権力の権威と機能も墜落せざるをえない。今二つの特 検の成立は、司法権力が韓国社会の重大な政治的事件について独立した捜査を 担保する能力がない、または脆弱な水準であることを示す。今回のキム・ヨン チョル弁護士のサムスン秘密資金の暴露から推察しても、司法権力に対する資 本の影響はすでに相当な水準に達していると類推される。

このように、サムスン秘密資金問題とBBKをめぐる三府権力間の政治的な緊張関 係は、資本権力から切り離して説明するのは難しい。「参与政府」の「実用政 府」への転換は、親資本権力としての行政権力の平和な委譲を意味する。した がって、実用政府の首長としての李明博当選者の道徳性と偽りの有無は、政治 的に致命的弱点でもあるが、同時に権力の再生産という側面で、いくらでも収 斂、薄められるという点も見過ごしてはならない。

現代社会では、人民は自分の生存と社会・経済的な人生の保証のために選挙を 通じて国家権力に統治を委任する。委任された行政権力は、公共領域に対する 民主主義政治機制を稼動させることで社会・経済的な政策と社会統合のための 支配秩序を構築する。周知のように、有権者2人のうち1人は李明博候補に票を 入れた。これは今韓国で暮す社会構成員の社会・経済的欲求の表出であり深刻 な二極化の苦痛から脱出するための次善の選択と解釈される。李明博当選者個 人の道徳性とは無関係に、進歩と保守の理念とは無関係に、経済が生き返れば 不偏不党な生活の条件も変わるという一抹の期待が参与政府の失政への反発と 共に、李明博候補への支持につながったのだ。

しかし、李明博当選者とすぐに構成される実用政府が資本権力から自由であり えるのかは疑わしい。外国為替危機以後、資本は公共領域に挑発的な侵入を続 けてきたし、韓米FTAは公共領域全体を対象として市場化するという性格を帯び ている。これは、87年以後、労働者民衆が血の汗で作ってきた民主主義的空間 の解体と同時併行的に進められている。参与政府は、資本のほとんどの要求を 受け入れ、李明博当選者も教育、医療、エネルギー、文化、メディアなどすべ ての政策で公共性の無視・排除と、効率と競争の市場化を骨子にしているとい う点で、これからの実用政府は参与政府の市場化政策を拡大強化すると予想さ れる。

これは、社会の支配構造と社会の構成員の社会経済的要求に対する資本統治力 の強化が必然であることを予告する。実用政府が腐敗と偽りの反復露出と二極 化の深化に対する経済的な代案を出せなければ、政権の政治的不安定は参与政 府よりもさらに鋭い危機状況を繰り返すだろう。李明博当選者と実用政府の成 功の可否は、社会統合能力により決まり、社会統合能力の物的な基盤は、資本 ないし資本権力から生まれる。したがって、資本の危機管理能力がすなわち行 政権力の社会統合能力を計る定規になるだろう。これは、逆に資本と政権の社 会統合に反発する社会構成員の抵抗がいかに表出されるのかにより、新しい政 治の可能性も向上することを意味する。

保守過剰の今回の大統領選挙の結果が示すもう一つの示唆は、保守-改革-進歩 の理念的スペクトラムが政治勢力間の差別や離合集散の一次的な準拠として作 用しない、あるいは弱まるという点も熟慮すべきポイントだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-12-27 15:29:37 / Last modified on 2007-12-27 15:29:38 Copyright: Default

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