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反新自由主義を越えるシンクタンクの代案

[座談]進歩運動の展望摸索と07年大統領選挙(3) -シンクタンク

キム・サムグォン記者 quanny@jinbo.net / 2007年03月19日9時00分

87年体制、進歩論争、大統領選挙そして反新自由主義。進歩陣営の悩みは深い。 誰も「この道だ」という明快な答をくれない。時代の話題である新自由主義も、 またそれを越える関門である今年の大統領選挙にもこれという道はないようだ。 これに反し、制度政治圏の足は早い。寝て起きると新しいニュースが出て、 政治地形の構図は時々刻々と変わる。進歩陣営の声に目も動かさない人々が、 大統領選挙が近付くと「韓米FTA反対」を叫んでいる。認めたくなくとも、 大統領選挙は制度政治の地形だけでなく、進歩陣営をも揺さぶっている。 大統領選挙という「ビッグイベント」で韓国社会全体の「局面」が 揺れているのだ。

進歩陣営の共通分母である反新自由主義を越える道は容易ではなさそうだが、 迷っている時間がないということは、さらに明白だろう。今は立ち上がらなけ ればならない。しかし相変らずどのように、何を強調し、誰とともに立ち上が るべきかをめぐって迷う。民衆言論チャムセサンは新しい社会を開く研究院 (新世研)、進歩政治研究所、進歩戦略会議(準)の進歩陣営の三シンクタンクの 主体と会い、彼らの悩みを聞く場を用意した。12日に民衆言論チャムセサン会 議室での座談会では、87年体制をめぐる議論の意味を探る一方、新自由主義の 性格とそれを越えるための進歩陣営の課題、そしてその具体的実践戦略につい ての多様な意見が行き来した。また座談会参席者たちは今年の大統領選挙にあ たっての進歩陣営の対応方向に対する提案もした。この日の座談にはキム・ビョ ングォン新しい社会を開く研究院研究センター長、チャン・ソクチュン進歩政 治研究所研究企画局長、ホン・ソンマン進歩戦略会議(準)運営委員長が参加し、 ユ・ヨンジュ民衆言論チャムセサン編集局長が司会を引き受けた。

イ・ジョンウォン記者

87年体制、資本の国家からの独立に注目を

まずこの日の参席者は、最近進められている87年体制あるいは97年体制などの 議論に関する意見を交換した。参席者たちは共通して87年の民主化過程と97年 の金融危機を通ってきた現在の韓国社会の特徴を、新自由主義体制と要約した。 これと共に参席者は87年体制の主な特徴として形式的民主主義の進展を付け加 え、企業自由化措置などの経済的側面の効果に注目した。

ホン・ソンマン運営委員長は87年体制の特徴を「87年憲法が注目する点は企業 という主体を憲法的に浮上させたこと」とし「過去の軍事独裁下で企業の権利 と経済は国家に従属していたが、独占的蓄積過程以後、企業が自律性を獲得す る過程だった」と指摘した。続いて彼は97年の外国為替危機を基点として形成 された体制を新自由主義体制と規定し、新自由主義的改革の政治的性格を「政 治的管理形態として中間的性格を持つ政府を要求する一方、労働には一定程度 譲歩を受け入れさせる主導者を形成していく形態を取ってきた」と語った。

チャン・ソクチュン研究企画局長は87年体制と97年体制の連続性を強調した後、 「87年体制は政治的民主化に伴い、財閥の国家からの独立、すなわち財閥の 経済的掌握力の強化」という特徴に注目すべきだと指摘した。彼は「87年体制 と97年体制は、事実韓国の財閥が国内の超国籍資本に成長するにあたって1段階、 2段階に過ぎなかった」とし「ビッグディールにより、結局はサムソンと現代 を二本の軸として整理される過程だった」と話した。

キム・ビョングォン研究センター長は「97年以後、国民の生が明確に変わった ということをあえて表現すれば、これが新自由主義だが、これは非常に学問的 な議論だ」と指摘した後、「あえて体制概念を使えば、今は97年体制というべ きだ」と話した。彼は「現在を基準として、学界では社会構造を分析するのに 87年体制という概念を使うのは不適切だ」とし「97年以後、変化した状況が韓 国社会のさらに主要な規定力で、87年体制から続いてきた規定力は副次的」と 主張した。

続いて座談会の参席者は新自由主義を乗り越える課題についてさまざまな意見 を出した。この中で代案的主体形成の問題は共通に強調された部分だった。ま た参席者たちは現在の反新自由主義運動が「抽象的」あるいは「防御闘争」に 留まっている点については認識を共にしたが、これを乗り越える具体的な実行 戦略には差を示した。

「『反新自由主義』、具体的ないくつかのアジェンダで引き下ろせ」

キム・ビョングォン研究センター長は抽象水準が高い「反新自由主義」を具体 的な水準で提起し、議題化するべきだと強調した。彼は「ヨルリンウリ党の議 員に聞けば、多くの人は新自由主義に反対するという。だが、韓米FTAに反対 する共集合は同じではない」とし「抽象的水準ではみんな反対するが、具体的 な概念になると『よくわからない』とか受動的に受け止めている」と指摘した。 そのため彼は「『反新自由主義で政治的に団結しているのか』という時、非常 に抽象的であり、反新自由主義が共通分母であるというのは信頼できない」と し、「具体的に手で捕えられるいくつかのアジェンダに引き下ろし、反新自由 主義への政治的連帯を具体化すべきだ」と主張した。

チャン・ソクチュン進歩政治研究所研究企画局長/イ・ジョンウォン記者

チャン・ソクチュン研究企画局長は、政治経済学的分析が自動的に政治的主体 の形成にはつながらないという点を指摘し、「大衆を結集し凝集させる論理と 争点を機動的に作り出さなければならない」とし「そのような意味でチョ・ヒ ヨン教授の『左翼民衆主義』の概念やチャベスの事例は、政治戦略の側面で発 展させなければならない問題を含んでいる」と明らかにした。

最近、チョ・ヒヨン聖公会大教授が新自由主義の危機局面を突破するための一 方案として「進歩的民衆主義」の必要性を主張している。ベネズエラのチャベ ス政権の事例のように、制度政党と政府の外にいる大衆の要求を急進的な論理 と争点で再構成し、社会変革の主動力として動員する「進歩的民衆主義」が一 つの政治戦略として積極的に検討されるべきだとチャン・ソクチュン研究企画 局長は主張する。

「防御闘争を越え、民営化された企業社会化・国有化する闘争を組織せよ」

ホン・ソンマン運営委員長は、これまでの参席者が提起した議題の具体化戦略 に同意した後、「社会運動次元で見ると、反新自由主義戦線のほとんどが防御 闘争だった」とし「今は反対闘争あるいは被害を浮上させる闘争と結合しなが らも、それを乗り越える代案的な試みが必要」と指摘した。

彼は防御闘争を乗り越える具体的な実践戦略の一つとして「防御ではなく逆に 民営化された公企業を再国有化や社会化など、民営化ではない形態に戻す闘争 が組織されなければならない」とし、「結局は生産手段自体を調節し、統制し、 さらに代案的に労働者が所有する問題にまで入らなければならない」と述べ、 さらに直接的な方式での資本に対する社会的統制としての「社会化」あるいは 「国有化」戦略の必要性を強調した。

「今は財閥から奪ってくる必要もある」

チャン・ソクチュン研究企画局長は「個人的見解」だと前提にして、民主労働 党進歩政治研究所が出した社会連帯的国家戦略の補完的方向を提案した。チャ ン・ソクチュン研究企画局長も「新自由主義体制で中間的な代案を貫徹させる には、結局資本の統制が重要だ」とし「戦略や現実政治において議題形成次元 で私たちが攻勢的に語ることができなかった超国籍資本への統制を果敢に語ら なければならない」とホン・ソンマン運営委員長と同様の立場を見せた。

彼は「資本への統制の下位の部分として、民営化企業に対する再国有化などを 話せるだろう」とし「本当に経済をそうしないために、今は財閥から奪ってく る必要もある」と、さらに急進化した形態の経済戦略樹立の必要性を強調した。

「進歩陣営、資本の『進歩式』動員に悩め」

キム・ビョングォン新しい社会を開く研究院研究センター長/イ・ジョンウォン記者

ホン・ソンマン運営委員長とチャン・ソクチュン研究企画局長が資本に対する 直接の社会的統制の必要性を重視したとすれば、キム・ビョングォン研究セン ター長は資本の「進歩式動員」を強調した。

キム・ビョングォン研究センター長は「進歩の最もぜい弱な輪が資本動員に対 するアイディアが弱いというところにある」と指摘し「生産関係や生産力まで 含み、労働を動かす問題が重要だが、実際に進歩が経済を運用するという執権 的なマインドを持って思考し始めれば、どうしても資本に対する動員問題を考 えなければならない」と主張した。彼は「おかしな事例かもしれないが、例え ば98年に金集め運動で、兆単位の金が集まった」とし「韓国は財政ではなく、 とても多くの構造で資本を動員する潜在力がある。この潜在力を動員する方法 に関心を持たなければならない」と述べた。

キム・ビョングォン研究センター長は資本動員に関する具体的例として「公共 ファンドの造成」を上げた。彼は「進歩が考える福祉や社会サービスアジェン ダのために、公共ファンドをいくらでも造成できる」とし「進歩が進歩政策を きちんと遂行するには、資本を進歩式で動員する方法についてのメカニズムを 持つべきだ。国家財政だけを考えてはいけない」と強調した。

「大統領選挙は『最適綱領』への合意を作る過程としての意味が大きい」

一方、この日、参席者は近付く大統領選挙時の進歩陣営の課題と対応方向にも さまざまな意見を交わした。

チャン・ソクチュン研究企画局長は、孫浩哲(ソン・ホチョル)西江大教授の 「最適綱領」の概念を引用し「大統領選挙時に究極的イメージに対する部分で 合意できなくても、新自由主義を積極的に乗り越えなければならないというこ と、大衆にもっと具体的なメッセージで近付く水準の最適綱領への合意を作る 過程自体が今回の大統領選挙で重要な意味を持つ」と指摘した。

また彼は「(民主労働党が)今年の大統領選挙と来年の総選挙を契機として、単 に決められた合法的な政治日程だけに従属せず、これと遭遇する大衆的参加の 過程が必要だ」とし「それらを近い政治日程の中で知恵と想像力と熱気が共に 行く動員を作り出せるかどうかが核心課題」と指摘した。

「党はParty、民主労働党をはじめとする社会運動勢力が祭りをしろ」

ホン・ソンマン進歩戦略会議(準)運営委員長/イ・ジョンウォン記者

ホン・ソンマン運営委員長は「今回の大統領選挙が韓国社会進歩陣営の再編に 対する仕組みを作り出す過程でなければならない」とし「綱領と表現されるの か、各自の領域での要求を集める過程になるのかは、もう少し見守るべきだが、 こういう形態の過程が組織されなければ、私たちにとって大統領選挙は意味が ない」と断言した。

ホン・ソンマン運営委員長は大統領選挙の時期の民主労働党の役割について、 「党はパーティ(Party)だ。だからパーティ(祭り)をやらなければならないが、 自分の家だけでパーティをしているだけでは大きなパーティは作れない」とし 「民主労働党だけでなく社会運動と進歩陣営が共に大統領選挙局面を突破して、 一種の祭りを繰り広げなければならない」と注文した。

その一方で彼は「民主労働党の中で話されている民衆選挙戦制や国民選挙制は、 事実真正性を見つけるのが難しい」とし「まるで派閥づくりや得票戦略に転落 したような感じで、そういう意味での民衆選挙戦は警戒しなければならない」 と現在の民主労働党と民主労総内部で進められている民衆選挙戦制の議論には 多少否定的な立場を示した。

「左派候補が必要だ... さらに積極的に実体化しろ」

一方、現在、労働者の力の中央執行委員でもあるホン・ソンマン運営委員長は、 この日「左派陣営でも民主労働党の候補ではなく、もっと自らの要求とアイデ ンティティを明確にする労働者民衆候補も必要だ。必要ならば運動過程の特定 の時点で考えることもできる」とし、左派陣営の独自候補も暗示した。彼は 「まだ意見の水準で、実物的な運動の流れでは現れていない」と呼吸を調節し ながらも、「民主労働党だけでもなく、社会党や、労働者の力、現場の運動勢 力、社会運動陣営の運動単位が存在している」とし「これらの単位が共に結び つき、大統領選挙の地形を左に引張る役割を果たさなければならないのではな いかと思う」と話し、左派陣営の独自的政治勢力化の可能性を残しておいた。

これに対してチャン・ソクチュン研究企画局長は「民主労働党の左に左派意見 分布が存在し、右にも大衆的意見分布が存在する」とし「それらの部分がさら に積極的に実体化されるほうが良いと思う」と話した。彼は「それらの部分が 実体化し、大衆的討論と結びついた真摯な政治交渉は、大衆にもアピールでき る重要な政治的な事件」とし「むしろ積極的になることが民主労働党が活性化 するためにも肯定的役割を及ぼすだろう」と評価した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-05-29 04:58:29 / Last modified on 2007-05-29 04:58:30 Copyright: Default

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