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今止めなければ元に戻せない

[国際民衆フォーラム] - 「教育市場化にどう対応すべきか」ワークショップ

ラウニョン記者hallola@jinbo.net

汎国民教育連帯と全教組は16日午後6時、「教育市場化にどう対応すべきか」 という題名のフォーラムを開いた。最近済州特別自治道立法案でさらに具体化 している教育市場化の緊張が高まっている中で進められたフォーラムだけに、 大会議室に準備された椅子が不足する程、多くの参加者が参加した。特にこの 日のフォーラムは、韓国で進められている教育市場化の事例だけでなく、日本 の事例とニュージーランドの市場化、法人化の事例に接することができた。

参加者たちは外国での市場化の過程と、彼らが直面している「取り返しがつか ない状況」に深い憂慮を示し、彼らが「いかに対応してきたのか」に対する質 問を注ぎ、今後の実践方案に対する「課題」を残して席を終わらせた。

済州特別自治道、市場化のテスト版

最初に問題提起したカンスンムン全教組済州支部長は「済州特別自治道は自治 と分権という言葉で包装されているが、実際には資本のために済州島を手段化 し、済州島を新自由主義市場にさらす。その結果、済州島は深刻な社会二極化 を味わうだろう」と深い憂慮を表わした。現在政府が予告案を発表している 「済州特別自治道」の内容は、済州の発展と済州道民のための政策だという。 だが実質的な内容を見ると、済州道民の普遍的生活の質の改善政策とはかけは なれているていう。特に、そうした政策とともに、教育ではそのような「恩恵 の差」がさらに目立ち、済州社会の二極化をさらに広げる機制になるとと指摘 した。

この日の問題提起では、外国教育機関、国際学校、自律学校に関する内容を重 点的に調べた。カンスンムン済州支部長は「外国教育機関では、小中等教育機 関まで外国人教師、外国教育過程など、外国の法令による教育方式で進められ、 国内の教育システムへの深刻な混乱を招く。これらの機関では、過度に規制が 緩和され、過度な特例が与えられる」と主張した。また「これは、済州島の公 教育の不健全化を惹起し、全国的に広がる端緒になるばかりでなく、済州道内 で教育での社会二極化現象を深化させる」と残念さを表わした。

また自律学校では、法人と団体に運営を委託できるようにし、私設学院の形の 学校や公立入試学院の形の学校が量産される可能性がある。国際学校の場合、 国家の予算で運営され、国民の税金を特権層教育に支援する問題が発生すると いう点、外国大学進学プログラムの運用で逆差別が発生することに深刻な憂慮 を表わした。

最後にカンスンムン支部長は「このように初中学校義務教育体制を崩壊させる 非常に危険で深刻な事案」と憂慮し、このような教育の市場化が済州島に限る 問題ではなく、全国化の契機になる状況なので「絶対に削除、廃棄にしなけれ ばならない」と主張した。

元に戻せないニュージーランドの経験

ニュージーランド大学職員連合のラッセル・ノルマン氏は、1990年代からGATS に教育が含まれることに反対してニュージーランドの労働組合連盟と5つの教 職員組合、そして全世界的に2千 9百万人が越える教職員を代表する EI(educational International)にもGATSに教育が含まれることに反対する運 動をした。

またラッセル・ノルマン氏はヨーロッパ地域の文化、教育部長官が署名した 2002年のBRICSは宣言は注目すべきだという。BRICS宣言は「地域的差を考慮し て、文化、メディア、教育の多様性保護のための国際協約」を要求し、長官た ちは「民主的に提供されている教育、文化、メディアサービスをGATSの影響か ら除くことを要求」した強調した。

不幸にもニュージーランド政府は積極的に自由貿易を主張して、GATSに教育が 含まれることを受け入れた。また韓国政府のように、ニュージーランド政府も 積極的で、1994年にGATS譲歩会議が開かれた時、放送通信サービスの領域にも 譲歩を約束した。1999年、新政府がTVとラジオのコンテンツに義務クォータ制 を導入しようとしたが、GATSに違反するために不可能だった。ラッセル・ノル マン氏は「この10年前、政府のバカな行動によって現在、ニュージーランド政 府は自国のTVとラジオのコンテンツに対する最低限の制限も導入できない」と その危険を強調した。

またラッセル・ノルマン氏は「94年、ニュージーランドは教育分野に譲歩した 30か国の一つだった。当時は『塾などの個人的な教育機関による初等高等教育』 に譲歩したが、『私』教育は単に保護手段でしかないという意味でしかなかっ た。以後、政府はさまざまな理由をつけて支援を打ち切ろうとした。また政府 は、教育機関が補助金の援助が承認される前に、学位課程に新しい条件を賦課 しようとした。しかしこれもまたGATS違反になる状況だった」と、のっぴきな らない羽目に陥ったニュージーランドの状況を説明した。

最後に彼は、WTO内の市場化を促進するフレンズグループの危険性と、そのグ ループ内で旺盛な活動をしている韓国政府に対し、韓国労働社会団体の監視が 必要だと付け加えた。

高等教育の市場化と国立大学法人化の問題

イムジェホン嶺南大法学科教授は「現在の教育部の教育政策は、公教育の構造 を壊し、そのあとに新自由主義市場政策を移植する構造のコンバート作業」と 指摘して、「教育領域を市場原理が作動する領域と見るということは、教育を サービス産業の一つと見なすということの反映」と説明した。

またイムジェホン教授は「政府は教育開放を内容とする譲歩案を提出する前に、 すでにこれに対する準備作業を進めてきた。このような事前開放を許している 代表的な法律が済州国際自由都市特別法と経済自由区域の指定および運営に関 する法律だ」と付け加えた。

イムジェホン教授は特に「国公立大学の私営化のために独立法人化政策に対す る激しい憂慮」を表わした。1987年、教育改革審議会の教育改革総合構想報告 書から始まった「すべての国立大学を特殊法人化すること」の推奨内容を始め、 1995年の5.31教育改革方案で新自由主義国立大の特殊法人化が議論される過程、 そして2002年国立大学運営に関する特別法制定の推進過程での企画予算処が大 学会計制度の転換より法人化を要求した過程を説明した。

イムジェホン教授は「教育部は国立大学構造改革の目的で競争力ある世界大学 の育成を主張し、その手段が大学別特性化であり、そのためには大学に自律性 を付与しなければならない」と言う。しかし、教育部が主張する国立大学の法 人化は、法人化の手段を通して競争力のある大学が出てくるかどうかは全く未 知数であり、『法人化-〉自律化-〉特性化-〉競争力強化』という一面的論理 の中間にはとても多くの変化の要素があると強調した。

最後にイムジェホン教授は「教育部の特別法案の本当の意図は、国立大学が自 ら財源責任を負えということだ。それを可能にする法的な形態が法人化だ」と し、これに対して「教育公共性の死守は大衆の抵抗以外にない」と主張した。

日本、いつのまにかやられた国立大学法人化

日本状況と関連してはウエダ・タケオ名古屋大学教授が問題提起をした。ウエ ダタケオ教授は、日本では「事実、法人化への大学人の認識が不足していた」 と述べ、むしろ特定の大学では支援金があふれる程増えるので『歓迎』という 雰囲気もあった」と説明した。

また日本では「教育基本法改正の問題に続く法人化で、2004年4月から97の国 立大学と15の大学共同機関が89の国立大学法人と4つの大学共同利用機関法人 に転換した」と状況を伝えた。

その過程で法人化に対する認識不足により初期対応が遅れ、以後、大学の登録 料は天上知らずに沸き上がる事態が発生したと伝えた。GATSは「サービス交易 に関する一般協定」で、韓国政府は去る5月2次譲歩案を提出した。

2005年11月17日10時22分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2005-11-18 01:25:54 / Last modified on 2005-11-18 01:25:55 Copyright: Default

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