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事例1: 通信秩序確立法など権力による検閲と統制

ムンソンジュン (民主労働党情報通信次長)

  1. 文頭

    インターネットで象徴されるオンライン空間の検閲と統制は、国家権力によ り着実に増加している。インターネットなどの空間が、信念を自由に表現し、 情報を交換できるという長所を持った媒体として脚光を浴びる流行以上に、 今は通信空間の弊害が浮び上がることが多くなって、これを理由に国家権力 はインターネットにも適切な統制が必要だという主張を展開するようになっ た。しかし、彼らが主張する適切な統制は、事実上、インターネットの弊害 と汚らしさを狙うものだと思ってはならない。なぜなら国家権力は、具体的、 個別的な犯罪行為を統制するための手段を作ろうとするのではなく、インタ ーネットなどのオンライン空間で通用する一層強力で普遍的な統制手段を導 入しようとしているためだ。現行の電気通信事業法の不穏通信の規定でも、 数多くのサイトが閉鎖されており、国家保安法でサイト運営者たちが拘束さ れていて、選挙法で個人の政治的主張が黙殺されている状況だが、これより も強力な検閲と統制の手段を作って表現の自由と思想の自由を抑圧しようと いう試みだと推測できよう。一層驚くべきことは、国家権力が直接インター ネットなどの通信コンテンツを統制することに終わるのではなく、情報通信 サービスを提供する事業者にとって日常的な検閲を強制する立法も推進して いるという点だ。

  2. 検閲と統制のための法律と条例

    この夏から秋まで、行政府は国家による通信検閲と統制を強化する5つの法 律の制定、改正案と条例案を発表した。情報通信部の「情報通信網の利用促 進などに関する法律改正案」、「電気通信事業法改正案」、「情報通信基盤 保護法制定案」、青少年倫理委員会の「青少年保護法改正案」、行政自治部 の「インターネット自治団体インターネット運営に関する条例標準案」だ。

    (1)情報通信網の利用促進などに関する法律改正案 (別名 通信秩序確立法)

    「通信秩序確立法」と呼ばれる「情報通信網の利用促進などに関する法律 改正案」は、7月に初めて姿をあらわした時から、11月の国会科学技術情報 通信委員会に提出される時まで、何回かの変化があったが、概して骨組み は一貫して残っている。その内容のうち、インターネット内容等級制、個 人情報の商品化の危険性が主だ。 この他に、行政府によるインターネット住所資源管理、利用者の義務、情 報通信事業者の認知責任、令状のない捜索などが法律改正案が修正される 時ごとに議論された内容だ。

    「インターネット内容等級制」は、米国、日本、ヨーロッパ等で施行され ている制度だ。しかしこれらの国家で施行しているインターネット内容等 級制は、国家から財政などの支援を受けてはいても民間団体が自律的に運 営するのに反し、情報通信部が推進するインターネット内容等級制は政府 機関の情報通信倫理委員会が画一的に用意した等級基準を国内のあらゆる コンテンツに適用する、政府による強制的な等級制だという点で違いがあ る。情報通信部が推進するインターネット内容等級制は、国内でインター ネットで流通するコンテンツに対して一般的に適用される検閲のためのも のとみるべきだ。

    情報通信部が用意した基準は大きくわけて「不法情報」と「青少年有害媒 体」についてだが、特に問題になるのは青少年有害媒体の基準だ。最初、 情報通信倫理委員会で用意すると言っていたが、後で青少年保護法による 青少年有害媒体と定義することもした。青少年保護法で定義する青少年有 害媒体には、同性愛と歴史的な事実を歪曲する内容も含む等、進歩的な表 現、少数の自由な意思表現を青少年保護を掲げて統制しようという意図で ある。

    国家が強要するインターネット内容等級制や等級制の基準が反動的だとい う理由だけで、インターネット内容等級制に反対してはならない。インタ ーネットでやりとりされる内容に等級を付けようとする試み自体が問題だ。 基準を作って青少年保護などを人に頼って普遍的接近を遮断することは、 思想の自由な表現と知る権利の侵害だ。それなら、いわゆる先進国等でイ ンターネット内容等級制をめぐる葛藤が存在するということは、インター ネットで民主的な国際ネットワークを形成しようとする試みに対し、各国 家権力が統制と検閲で対抗していることではないか考えるべき問題だ。

    インターネットが国民の生活に深く根差すことで生じる問題のひとつが、 個人情報の流出だ。これを防ぐために、情報通信部は既存の情報通信網の 利用促進などに関する法律よりも、その改正案である通信秩序確立法で個 人情報保護に関連する条項を強化したと主張する。しかし、むしろ個人情 報を扱う事業者が個人情報を扱う時に許容される範囲を一層明らかに設定 することで、個人情報が商品化される傾向をあおっている。今、必要な処 方は、個人情報が商品としての価値を適切な線で規定することではなく、 個人情報が商品になり得ないようにすることだ。これが、個人情報をプラ イバシー権保護次元で扱う法律が必要な理由である。

    (2)電気通信事業法改正案

    通信秩序確立法が世間に知らされ、「検閲」の疑いを受けるようになって、 国会科学技術情報通信委員会のハンナラ党所属議員たちにも良い印象を与 えなかったため、情報通信部はこの改正法律案の重要部分のひとつである インターネット内容等級制と名誉毀損紛争調整を、情報通信倫理委員会が 担当する条項を電気通信事業法改正案に差し換えて立法趣旨を発表した。 二の法案のうち一つだけが通過しても、所期の目的を達成できるという手 を使ったのである。しかし、電気通信事業法改正案が現政権に必要な最も 大きな理由は、インターネット内容等級制を導入するところにあるのでは なく、韓国通信の外資持分率を高めるところにあり、インターネット内容 等級制導入の世論が悪化すると立法予告を経て電気通信事業法改正案から インターネット内容等級制の部分などを削除した。

    (3)情報通信基盤保護法制定案

    情報通信部と国家情報院が情報通信分野に関してある種の合作を準備して いるとうわさはあったものの、その内容は知られていなかった。9月に立法 予告した情報通信基盤保護法制定案が彼らの作品であったのだが、この制 定案の統制手段は大きく2種類がある。

    ひとつはわが国の公共網全般の安全性確保業務を国家情報院が担当するこ とだ。国家情報院は、植民地支配と独裁の産物であり、最も暴圧的な国民 統制機構だ。このような国家情報院が、日常的に行政・金融・通信・国防・ 治安・運送・エネルギーなど、国民生活と密接な分野である主要情報通信 基盤施設に対する保護対策の樹立・予防・対応・復旧等に関する管理的・ 物理的・技術的業務支援などを遂行し、その業務遂行に関して必要な事項 を包括的に大統領令で委任されることは、危険千万なことと言わざるをえ ない。

    もう一つは、情報通信基盤施設を保護するという名目でオンラインデモを 不法化していることだ。「主要情報通信基盤施設に対して一時に大量の信 号を送ったり不正な命令を処理させる等の方法で情報処理に誤動作を発生 させ、システムの運営を妨害する行為」を禁止しているが、これはオンラ インで意思表現の手段として頻繁に使われている特定のインターネットホ ームページ掲示板に集中的な掲示物の書き込みやヘッダー掲揚運動等に対 しても適用される素地があり、このようなサイバー時代に似合った新しい 表現の手段を不法化し、表現の自由を抑圧しようという目的で作られたも のである。

    (4)青少年保護法改正案

    通信秩序確立法の草案のうち、事業者の認知責任の部分は、論議を重ねた 末に立法予告から削除された部分だ。この条項は、罪刑法定主義に反し、 政府が刑事処罰を通じて情報通信事業者に内容規制に対する責任を強要す る巧妙な検閲制度だ。ところが、青少年倫理委員会は問題のこの条項を青 少年保護法改正案に含んで立法予告をした。第26条2項(青少年有害行為の 禁止)の11は、電気通信事業者が青少年有害媒体物の流通を黙認または放置 すれば、2年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金に処するとしている。 しかし、こうなると事業者は刑事責任を免じるために、青少年有害性に対 する判断基準を非常に広範囲に適用し、結局無分別な削除と表現の自由侵 害を呼び起こすだろう。特に、事業者の義務にされている技術的に可能な 措置の意味が曖昧なうえ、他の事業者と協調すれば技術的に不可能な措置 はほとんどないはずなので、インターネットなどのオンライン空間は小さ な論議でも容易に硬直する結果を招くだろう。

    (5)インターネット自治団体インターネット運営に関する条例標準案

    行政自治部が7月に各地方自治体に命令したインターネット自治団体インタ ーネット運営に関する条例標準案の第6条(ホームページ掲示資料管理)2項 によれば、地方自治体が運営するホームページに「国家の安全や保安に反 する場合」、「政治的目的や指向がある場合」、「特定の機関・団体・部 署を根拠無く非難する場合」の文が掲示された時、削除するように規定し ている。地方自治体のホームページは、国民が自由に意思を表現し、公論 を形成する場にならなければならないにもかかわらず、国民の間での公論 形成のための情報交換まで妨害する検閲が遂行される場に後退させること が行政自治部の条例案である。

  3. 統制と検閲試み、それに対する抵抗の過程

    情報通信網の利用促進などに関する法律改正案が、通信秩序確立法という仇 名を持つことになったのは、去る7月、改正法律案の最初の名称が個人情報 保護及び健全限定普通新秩序確立などに関する法律だったためだった。8月 になって秩序確立という否定的なイメージをぬぐうために改正案の名称を情 報通信網の利用促進及び情報保護などに関する法律改正案に変えた。

    通信秩序確立法は、情報通信部が立法予告をする前に国民の意見を収斂する という趣旨で開かれた公聴会を通じ、市民・社会団体に知らされることになっ た。このあらゆる検閲だらけの改正案の検閲イメージを覆うために、情報通 信部は個人情報保護と青少年保護を掲げた。しかし、この法案に対する抵抗 は始まった。市民・社会団体は、通信秩序確立法に対する反対声明書を7月 に発表してこの法律案の問題点を毎々に明らかにし始めた。

    この法案の正体が、進歩陣営に流れてくるまでには時間がかかった。夏の間、 ずっとロッテホテルなどのストライキ事業場での闘争が続き、一方では6・ 15宣言以後の南北関係進展により、いつよりも統一熱風が吹いていたためだっ た。通信秩序確立法反対運動を市民・社会団体と共に行っていた進歩ネック ワークセンターを通じて民主労働党に知らされ、進歩ネットワークセンター と民主労働党は、市民・社会団体の反対活動とは異なる方式のオンライン- オフラインでの直接行動を組織する必要があるということに合意し、各々、 通信検閲に反対するサイト(民主労働党-free.jinbo.net、進歩ネットワーク センター-freeonline.or.kr)を製作・運営して通信空間で活動している共同 体と共にネチズンを組織し、8月20日この問題に関して初のオンラインデモ を行うことになった。以後、青少年層の爆発的な参加でオンラインデモは8 月末まで進められた。

    8月26日、情報通信部は自分でシステムを操作して10時間ほどホームページ サービスを中断し、ネチズンの攻撃によりサービスに障害が発生したとして 警察庁サイバーテロ対応センターに告発、背後に進歩ネットワークセンター を指定する事態が発生した。10月、この事態は警察庁サイバーテロ対応セン ターの捜査結果発表と情報通信部から流出した内部文書で情報通信部の自作 劇であることが表れた。

    8月末、熱いオンラインデモに助けられて8月立法予告は無になったが、情報 通信部は別の二つの検閲の武器を持ち出して通信秩序確立法と共に9月中旬 頃に立法予告をした。情報通信部が新しく持ち出した武器は、不穏通信で有 名な電気通信事業法に、インターネット内容等級制と名誉毀損紛争調整を情 報通信倫理委員会が担当する条項を挿入したこの法律の改正案と、国情院の 公共網に関与してオンラインデモを不法化する情報通信基盤保護法制定案だっ た。

    情報通信関連の3つの制定案・改正案とは別途に、行政自治部では去る7月に インターネット自治団体インターネット運営に関する条例標準案を各地方自 治体に命令して、地方自治体議会に上程するようにした。これは城南・富平・ ヤンサン等で立法予告されたが、上位法の不備で地方自治体議会の反対に当 面した。しかし上位法である民願事務処理に関する法律施行令が改正されれ ば、インターネット自治団体インターネット運営に関する条例標準案が法的 根拠が作られ、各地方自治体で該当議会に条例案を上程することと予想され る。

    10月、通信秩序確立法の毒素条項のひとつである事業者認知責任の部分が青 少年保護法改正案にまで挿入されて立法予告され、情報通信部と青少年保護 委員会に協議はなかったという青少年保護委員会の主張を信じるとしても、 政府の通信検閲試みはさまざまな部署で同時多発的に、そして持続的に続い ており、今後もそのような動きが続くと予想できる。

    8月から持続的にオンライン-オフラインでの行動を組織した団体が、10月に 通信検閲反対共同行動創立を提案し、11月には情報通信検閲反対共同行動を 創立、短期的には集中的な法律案反対運動を進め、長期的には国家権力によ る統制と検閲に対抗する展望を探そうとしている。

    7月20日、情報通信部、情報通信網の利用促進などに関する法律改正のための公聴会

    7月20日、市民・社会団体、声明書「情報通信部は過度な規制と権限集中を もたらす無理な通信網法改正案を撤回せよ!」発表

    7月27日、秩序確立法改正に関する市民社会団体内部討論会開催

    8月12日、民主労働党、「反対!通信秩序確立法」ホームページ開通 (http://free.jinbo.net)

    8月18日、進歩ネットワーク、「通信秩序確立法を撤回せよ!」ホームページ開通 (http://freeonline.or.kr)

    8月19日、情報通信部、情報通信網の利用促進などに関する法律改正案の主要 骨子及び今後の推進日程発表、情報内容等級自律表示制導入方案発表

    8月20日、昼12時、通信秩序確立法に対するネチズン等の対応方案議論会合

    8月20日、午後10時、第一次オンラインデモ、情報通信部サイバー民願室自由 掲示板、検閲反対ヘッダー掲揚

    8月26日、昼12時から午後10時まで情報通信部ホームページ接続不能。警察庁 サイバーテロ対応センター捜査に着手

    8月28日、午前10時頃警察庁サイバーテロ対応センター、進歩ネットワーク センター事務室訪問。進歩ネットワークセンターでは協調要請拒否

    8月28日、昼12時、第二次オンラインデモ、情報通信部サイバー民願室自由 掲示板、検閲反対ヘッダー掲揚

    8月29日、午後2時頃から9時頃まで警察庁サイバーテロ対応センターで進歩 ネットワークセンター事務室に対する押収捜索令状執行。

    9月2日、午後3時、新村、第一次検閲反対のためのネチズン大会

    9月5日、午後1時、情報通信網の利用促進などに関する法律改正案に対する 市民公聴会開催

    9月16日、午後3時、大学路、第二次検閲反対のためのネチズン大会

    9月21〜26日、情報通信部、情報通信網の利用促進などに関する法律改正案、 電気通信事業法改正案、情報通信基盤保護法制定案を立法予告

    9月23日、午後3時、大学路、第3次検閲反対のためのネチズン大会

    9月23日、午後10時、第6次オンラインデモ、情報通信部サイバー民願室自由 掲示板、検閲反対ヘッダー掲揚

    10月9日〜13日、情報通信部の3つの立法予告案に対して民主労働党、民言連 インターネット分科会意見書提出

    10月12日、警察庁サイバーテロ対応センターが、8月の情通部ホームページ サービス不能事故に対する捜査結果発表。システムマヒの原因を「ネチズン 等のサイバーデモ」のためではなく「システム欠陥など内部問題」と結論

    10月19日、市民・社会団体、声明書「国会は情報通信部が提出した情報通信 関連3法案に対して市民・社会団体の意見を受け入れよ」を発表

    10月19日、通信検閲反対共同行動創立提案、11月初め情報通信検閲反対共同 行動創立

    10月20日、昼12時、汝矣島、第4次検閲反対ネチズン大会

    10月23日〜11月9日、国会科学技術情報通信委員会議員ホームページの自由 掲示板で検閲反対ヘッダー掲揚オンラインデモ

    11月16日、午後9時、朴ジュチュン国会政務委員長ホームページ自由掲示板、 リアルタイムオンライン集会

  4. 検閲反対運動

    情報通信網の利用促進などに関する法律改正案の出現に始まった検閲反対運 動は、大きく二主体の主導で行なわれた。ひとつはこの法律案を最初に問題 視した市民・社会団体で、もう一つはオンライン-オフラインでの直接行動 を組織して、後ほど情報通信検閲反対共同行動として組織された団体だ。市 民・社会団体等の活動は、情報通信部の3法案に対して反対の論理を生産・ 強化し、政府と国会議員を相手にした説得作業が行われ、情報通信検閲反対 共同行動として組織された団体は、持続的にオンラインデモとオフライン集 会の指針を用意・施行し、検閲反対サイト運営を通じたオンライン空間での 宣伝活動を主にした。両者の運動は、別領域での活動だったが、相互補完的 な関係を通じてハンナラ党所属科学技術情報通信委員会議員たちがインター ネット内容等級制、国家情報院の公共網介入などに反対する声明を誘導し、 情報通信網の利用促進などに関する法律改正案と情報通信機防報戸法制定案 のうち、国家情報院介入部分が国会本会議に上程される可能性を減らすとい う成果を得た。しかし、検閲反対の二つの流れがあまり有機的に結合できず、 各自の道を行っている。

    国家権力の統制と検閲の試みが特定の法律の制定・改正で具現されるだけに、 今回の事案は立法過程に合せて進められる傾向がある。概して情報通信部な どの立法予告と国会常任委の法案審査日程によって行動方式を決定せざるを 得なかったが、これは瞬発力を発揮するところに集中しており、豊富な力量 を持てない境遇にある情報通信検閲反対共同行動陣営は、じわじわ大衆を組 織することになり、爆発的で持続的な行動を引出せなかった。

    (1)オンライン行動

    検閲反対運動が始まる頃には、強力なデモ方法でサービス拒否攻撃も考慮 したが、8月26日の情報通信部システム捏造事件でデモ方法は穏健な検閲反 対ヘッダー掲揚に固まった。検閲反対運動の前半(8月20日〜10月17日)には、 日と時間、デモするサイト掲示板だけを告知する方式でオンラインデモが 進められ、検閲反対運動の意義を正しく伝えない感情的な文が掲示される という望ましくないデモ形態を克服するために、中盤(10月23日〜11月9日) にはデモ文案とデモ指針まで用意して、デモを提案するようになった。 2000年検閲反対運動の下半期というべき今の時点には、11月16日からリア ルタイムオンライン集会を導入するデモ方法も使用している。

    検閲反対運動の前半部の序盤というべき8月までは、休み期間の青少年層が 爆発的に参加したが、9月からはこれが難しくなり、多少小康状態に陥った。 これは、組織された大衆によるオンラインデモがなければ、一時のブーム 以上に持続的ではありえないことを示す。また、国家権力による統制と検 閲の対象は、fan-ficと「やおい」サイトを運営する青少年を越え、実質的 には国家権力に挑戦する進歩運動陣営であるのは明らかだが、進歩運動陣 営が組織的に動きを見せていないことを示す。

    検閲反対サイトは、関連資料蓄積、瞬発力ある更新とメーリングリスト運 営等で関連情報を提供するサイト(進歩ネットワークセンターの freeonline.or.kr)とバナーでオンライン-オフライン行動を知らせるサイ ト(民主労働党のfree.jinbo.net)が運営されている。検閲反対運動関連資 料たちが蓄積されて一度のリンクだけで持続的に運動戦術が伝えられるバ ナーを運営した成果もあるとはいえ、初めて接することになるネチズンに 検閲反対運動の意義を容易に説明できるコンテンツや構造ではないという 限界も持っている。

    この他に、オンライン上の活動として表現の自由メーリングリスト freespeech@list.jinbo.netと戦術議論のためのメーリングリスト freeonline@list.jinbo.netを運営し、関心のあるネチズンに検閲反対運動 関連消息を伝えている。

    (2)オフライン行動

    4次にわたった検閲反対のためのネチズン大会は、大規模集会に組織できず、 キャンペーン性の集会だった。宣伝物を市民に配り、検閲反対署名集めが 進められ、統制と検閲は全国的な事案であるのにソウルだけに集中する限 界を見せた。

    (3)市民・社会団体等の公聴会など活動

    市民・社会団体等の公聴会と懇談会、資料集発刊などの活動は、情報通信 部の3法案により具体的に反対できる根拠を用意し、さらに代替立法にまで 取り組んで推進するという成果を見せた。しかし、彼らは国家権力に対抗 して統制と試みを防ごうとするには結局、大衆の組織的の抵抗がなければ ならないという事実を低く評価する傾向あった。彼らが用意した対応の論 理に国会常任委で力を発揮させたのは、8月の熱いオンラインデモで火がつ いた持続的な直接行動だったという事実を理解しなければならない。

  5. 権力による統制と監視に抵抗する私たちの課題

    2000年夏に始まり、年末まで持続する検閲反対運動がもたらす結論は、国家 権力は絶対統制と検閲を放棄しないだろうということだ。米国では、通信品 位法が97年に違憲判決を受けて3年たった今年、インターネット空間で子供 を保護する法案(COPA)で熱い論争が起きている。韓国が米国の先例に追従し ないと断言することはできず、行政府さまざまな部署で通信空間を検閲し、 統制しようという試みが同時多発的に進められるものと思われ、何らかの形 で統制と検閲のための法律制定・改正は続くだろう。

    課題はこれをどのように效果的に遮断するかだ。この過程で私達が無視して はならない頭の痛い問題をまず探ってみよう。権力と保守守旧勢力がインタ ーネットに流れる猥褻物、人権を侵害するあらゆるゴミを処理すると言って 統制と検閲を導入すると言った時、われわれは統制と検閲を拒否しなければ ゴミを放置しても構わないと主張をしてはならない。そのオンライン空間の ゴミは、通信空間の価値の円滑な意志疎通と情報共有を妨害するもう一つの 暴力だからだ。しかし、残念なことに進歩的で自由な通信空間を望む私たち は、これに対する解答を探すことができずにいる。

    権力による統制と検閲を押し倒すための運動は、1.政策的代案を作り、2.大 衆的な統制と検閲反対の動きを形成することに進まなければならない。これ はまだ私達が到達できていない領域だ。公共接近権が保障されない私達の社 会で通信空間をよく理解できない構成員たちに、通信空間の統制と検閲を拒 否する理由を納得させるのはむずかしい。特に、労働者・農民など生産大衆 の少なくない数が、通信空間を自由に活用することができない。かと言って 権力による統制と検閲が彼ら関係がないわけでは決してない。生産大衆の理 解は、分配の平等にあり、この理念で生産大衆を組織する運動が通信空間に 位置を占めることができないようにするのが統制と検閲だからだ。私たちに とって最も大きな課題は生産大衆を組織して権力による統制と検閲に対抗す ることだ。


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