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文在寅の韓国版ニューディールは李明博-朴槿恵政策の二番煎じか

中身のないニューディール政策、財閥大企業と首都圏集中で二極化深化

ユン・ジヨン記者 2020.07.29 06:48

最近、文在寅(ムン・ジェイン)政府が発表した「韓国版ニューディール」が 過去の政策の二番煎じの見掛け倒しだという批判が続いている。 「先導国家に跳躍する大韓民国大転換」というキャッチフレーズを掲げて 114兆ウォンの国費を投入したが、 まさに「社会的大転換」に対する考えがなく、 大企業主導の経済政策に焦点を合わせているという指摘だ。

コロナ19市民社会対策委は7月28日午前10時、 民主労総で「韓国版ニューディールの問題点と代案摸索討論会」を開いた。 問題提起をした正義政策研究所のキム・ビョングォン所長は 「韓国版ニューディール政策は『国家的ニューディール』事業と評価するには心苦しい水準なので、 項目を個別に一つずつ調べる価値もない」とし 「あえて要約すれば以前の朴槿恵政権の『創造経済』と 李明博政権の『緑色成長』を混合した程度から質的に抜け出していない」と批判した。

朴槿恵の『創造経済』と類似の文在寅の『革新経済』

市民社会や専門家は、韓国版ニューディールが韓国社会転換に関する検討や議論なく推進され、 内容が不十分で、結果として大企業主導の経済を支援する水準に留まっているという限界を指摘している。

キム・ビョングォン所長は 「K-防疫に対する称賛に酔って3か月で未熟なポストコロナを企画したので、 コロナ19災害の教訓を基礎として今後の社会を展望する部分にも 未熟さと問題点があらわれた」とし 「政府はコロナ以後の主な話題を『非対面』、『アンタクト(非接触消費)』と提示して、 これを簡単にデジタル経済と連結させた。 だが封鎖、休校、休業、在宅勤務などの一時的現象を『固着化』させる方式の 『非対面』は、一介の企業のニッチ市場戦略と見るならともかく、 長期国家戦略として採択するには途方もないナンセンス」と指摘した。 コロナ19のような災害を根本的に予防するのではなく、 災害が日常化した世の中に「適応」すると言って暮らさなければならないという信号を与えかねないということだ。

そればかりか韓国版ニューディール(デジタル ニューディール、グリーン・ニューディール、ヒューマン ニューディール)の一部門である デジタル ニューディール政策は、 過去の政府が推進してきた政策にも達しないという指摘もあがっている。 キム所長は「概して今までのICT産業基調とあまり違わず、 コロナ19衝撃を意識して『非対面』を特別に強調した程度」とし 「既存のICT産業政策を加速させるという徹底的に供給主義的な政策だという点で 朴槿恵政権の創造経済-文在寅政府初期の 革新経済-現在のデジタル ニューディールに至るまで、 一貫して連続的につながっている。 この大きな課題にニューディールまたは「大転換」といえるようなものは全くなく、 ある意味ではデジタル ニューディールの元祖というべき金大中(キム・デジュン)政府の『IT産業政策』にも達しない」と明らかにした。

進歩ネットワークセンターのオ・ビョンイル代表も 「デジタル ニューディール事業はすでにかなり前から政府が『革新経済』という名で進めてきた事業を再構成したことにすぎない」と指摘した。 文在寅政府の革新経済が朴槿恵政権のモットーだった 創造経済との差別点が見えないということだ。 オ・ビョンイル代表は「『革新経済』の制度的基盤であるいわゆる『データ3法』をめぐる議論、 つまりビッグデータ、人工知能環境で個人情報処理規範をめぐる議論は、 2016年に朴槿恵政権が発表した 『個人情報非識別措置ガイドライン』から始まった」と説明した。

今年1月に国会を通過したデータ3法は、 ビッグデータ、人工知能産業育成を名分として政府主体の同意なく 異なる企業間で仮名化した個人情報を販売、共有、結合できるように認めており、 市民社会はこれを「個人情報泥棒法」だと批判してきた。

急造された「グリーン・ニューディール」、貧弱な内容で顰蹙

グリーン・ニューディールも貧弱な内容で顰蹙を買っている。 キム・ビョングォン所長は 「グリーン・ニューディールは初めから企画財政部の原案になかったものだが 大統領の指示で急造したためか、さらに内容が貧弱だ」とし 「現在、グローバル標準として議論されている2020年バージョンのグリーン・ニューディールとはだいぶ距離があり、 むしろ李明博政権バージョンの緑色成長に近い。 最も明確な証拠は目標の不在、または誤った目標の設定」だと批判した。

現在、UNは気候危機を防ぐために地球温度上昇を1.5度に制限するべきとし、 そのために2030年までに炭素排出を50%削減するよう要求している。 目標を達成するには10年間で毎年7.6%ずつ炭素排出を減らさなければならない。 キム所長は「先日タイムズに掲載された記事によれば、 今年はコロナ19衝撃で約7%の炭素排出が劇的に減ると展望されている。 つまり10年間、コロナ19のような衝撃を受け続けなければ 私たちが臨む目標値の炭素排出削減がなされない」とし 「グリーン・ニューディールはこのように強制的な(経済活動)縮小の代わりに 脱炭素産業と生活での計画的大転換を通じ、私たちの人生も守ろうという戦略だ。 そのためには10年の目標とこれに準拠した毎年の目標が明示されなければならない」と注文した。

緑色転換研究所のイ・ユジン研究員もまた 「米国やEUなど国際的に議論されているグリーン・ニューディールは、 ネットゼロと温室ガス削減などを目標として インフラ、エネルギー、交通、輸送など、広範囲な政策が提示されている。 しかし韓国の場合、グリーン・リモデリング、グリーン・エネルギー、 親環境未来モビリティーといった単位事業に連結している」とし 「グリーン・ニューディールに含まれるべき内容が含まれていない」と評価した。

韓国版グリーン・ニューディールが大企業の支援と首都圏集中を前提にしたことで、 二極化を深化させるという憂慮も出てきた。 イ・ユジン研究員は「敗者をどうするべきかについての内容なく、 大企業が推進する電気自動車などの産業を集中支援するというメッセージしかない。 首都圏集中は地域疎外をさらに深めかねない。総体的不良」と指摘した。

「ヒューマン」のない「ヒューマン・ニューディール」…不安定労働存続させる

社会的転換による雇用問題をはじめ、ヒューマン・ニューディールに含まれる社会安全網政策にも悩みと内容が不十分だという指摘が続いた。 一例として最近、黒字企業である韓国ゲイツが工場閉鎖を断行したのも 現代車の産業転換と相対しているが、 政府や企業がこれに関して何の対策も出さずに問題になった。 イ・ユジン研究員は「韓国ゲイツは現代起亜車にタイミングベルトを納品する1次ベンダーだ。 雇用されている人は147人。 第二次、三次業者まで含めると6000人にのぼる」とし 「現代車が工場閉鎖問題に動かないのは、ここが内燃機関車部品工場だからだ。 産業転換による雇用衝撃がすでに始まったのだから、 グリーンニューディールに(雇用)安全網政策を含めなければならない」と注文した。

イ・ビョンチョン教授も「コロナ19災害で韓国社会の最も深刻な現象の一つが 社会安全網にも入れないプラットフォーム労働者のような不安定労働者であることを確認した。 また最近5年間、特殊雇用、フリーランサー、プラットフォーム労働など、 非賃金労働者が213万人ほど増えた」とし 「だが政府や与党は『4次産業革命』や人工知能(AI)を強調して、 主に労働を減らしたり不安定な労働を量産する革新を称賛するだけ」と批判した。

民主労総のイ・グァンギュ政策局長は 「労働権保障、不平等二極化解消、正しい転換などが実現される制度的装置の構築が前提になっていない資本依存的な産業再編は、 結果として今まで経験したような弊害を繰り返すだろう」とし 「安全網として提示されたことも、 良質の高賃金雇用と雇用創出よりも現在の不安定な労働を存続させた状態で、 一定部分を社会安全網により最低限の喉笛を開いてやるということでしかない」と説明した。

参与連帯社会福祉委員会のキム・ヒョンヨン実行委員は、 韓国版ニューディールの社会安全網はデジタル ニューディール(58.2兆ウォン)、 グリーンニューディール(73.4兆ウォン)を裏付ける最低限の安全装置網(28.4兆ウォン)程度と認識されている点を指摘した。 彼は「(韓国版ニューディールにおける)社会安全網は、 所得、健康、住居、ケア支援などを含んでおらず、 人投資事業で構成されているが、 この戦略も安全網と言えない新産業人材育成だけ」と批判した。

保健医療団体連合のチョン・ヒョンジュン政策委員長は 「大邱、慶北地域で大規模コロナ19確診者が発生した時、 確診者全体の治療の77%ほどを公共病床が遂行した。 公共医療拡充がない韓国型ニューディールは欺瞞」とし 「財閥企業と大型病院への非対面医療政策は 韓国型ニューディールにならない」と指摘した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-07-30 19:13:56 / Last modified on 2020-07-30 19:13:58 Copyright: Default

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