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最低賃金は引き上げ、活動補助人賃金は低下?

点数凍結で勤労基準法上の最低賃金保障できず

カル・ホンシク記者 2014.08.29 10:30

▲活動補助人労働組合が23日ノドゥル障害者夜学学習室で活動補助人証言大会と討論会を開いた

6月27日、最低賃金委員会は2015年の最低賃金を今年より7.1%(370ウォン)高い5580ウォンに決定した。 賃金が上がるのに拒む人はいないが、活動補助人にとってはこの知らせは喜ばしくない。 最低賃金の引き上げが賃金低下、労働機会剥奪などにつながる障害者活動支援制度の問題のためだ。

活動補助人労働組合(以下 活補労組)は8月23日午後1時30分、 ノドゥル障害者夜学学習室で活動補助人証言大会と討論会を開き、 現行の活動支援制度における活動補助人労働条件と最低賃金の関係などについて議論した。

#最低賃金引き上げと活動補助点数の凍結、活動補助人の労働条件は悪化

障害者の自立生活を保障する活動補助事業は、 モデル事業を経て、2007年から施行された。 2011年10月からは障害者活動支援制度として制度化された。 障害者が活動支援サービスを申請し、審査を通じて時間を割り当てられれば等級別時間に相当するバウチャー(社会福祉サービス利用権)を受けられる。

現在、保健福祉部(以下 福祉部)は活動補助人の雇用、活動支援サービス提供などを障害者自立生活センターなどの中継機関に委託している。 したがって福祉部は、障害者利用者がバウチャーを使えば活動補助酬価8550ウォン(2014年基準)に活動補助人が働いた時間をかけた金額を中継機関に支払う。 中継機関は手数料(法的には25%未満も、ほとんど中継機関が25%に策定)を除き、1時間当り6412.5ウォンを活動補助人に払う。

また活動補助人は中継機関に所属する労働者として働くため、 中継機関は勤労基準法で規定する週休手当(有給休日に受け取る手当)、 延長勤労手当(一日8時間勤務超過時に受け取る手当。時給の1.5倍)等を保障する義務がある。 したがって各中継機関は活動補助人に1時間当り6412.5ウォンで最低賃金程度の基本給を払い、 差額として追加の手当を支払う方式(包括賃金制)で勤労契約書を作成している。

しかし来年、最低賃金が上げられると、中継機関が活動補助人に手当を支払えない状況が予想される。 活補労組は現在活動補助人が1か月に休日を除く23日間に一日9時間ずつ、合計207時間働けば132万7387.5ウォンを受け取ると明らかにした。 これは現行の最低賃金130万5105ウォンより高い。

しかし来年、最低賃金を基準として勤労基準法上の最低賃金を計算すれば139万7790ウォンだ。 活動補助の点数が凍結されると、中継機関は勤労基準法を守るために、 活動補助人に7万402.5ウォンを追加で支給しなければならない。(〈表 1〉)

したがって活動補助点数以外に収入源がない中継機関は、 活動補助人の労働時間を制限し、手当てを最大限減らすようになる。 すでに一部の中継機関は昨年8月に勤労基準法を遵守しろという福祉部の文書により、 活動補助人の労働時間を月208時間に制限した。 今年になって財政逼迫が激しくなったいくつかの中継機関は、 160時間まで労働時間を制限した状態だ。

来年は週休手当てが適用されない週14時間まで労働時間を減らさなければ、 活動補助人に最低賃金以上の賃金を支払えない。 そのため活動補助人は労働時間が減るか最低賃金より低い賃金を甘受しなければならない状況にぶつかる。

▲2015年最低賃金を適用した時、1日勤務時間別実月給と最低賃金の差額グラフ. (c)活補労組

#活動補助人労働権保障ための長期的代案が必要

この日の討論会では、 活動支援制度がバウチャー制度で運用され、 活動補助人労働権と中継機関の劣悪な運営状況は考慮されないという批判が提起された。 また、活動補助点数の引き上げなど、短期的な解決策だけでなく、 活動補助人労働権保障のための長期的代案が必要だという意見も提示された。

発表した活補労組のチョン・ドッキュ組合員は 「活動補助人の劣悪な労働条件は、活動支援制度の運用において労働者の権利を考慮しない政府、 行為者などの権利を無視して時間当りの金額で(活動補助点数を)一括で支払うバウチャー制度がある」と指摘した。

チョン組合員は 「予算を組む政府の立場としては、こうした制度は便利だが、 中継機関の運営上の問題や活動補助人の権利は無視される」とし 「この問題を解決する短期的な方便は活動補助人の点数を上げることだが、 点数を上げることだけで政府が責任を全うしたと見るのは難しい。 根本的にバウチャーだけを支払うことで責任を全うしたと考えている政府の無責任な考え方が問題」と指摘した。

チョン組合員は「長期的には政府が責任をとり、中継機関を直接運営しなければならない。 活動補助人に安定した雇用と労働者の権利を保障するために、直接雇用月給制を施行しなければならない」とし 「そのために活動補助人も制度を運用するために重要な主体であることを認め、 制度改善委員会に活動補助人を入れるなど、制度的窓口を作らなければならない」と要求した。

広津自立生活センターのキム・ジュヒョン所長は 「現在のバウチャー金額でも包括賃金制を適用するといっても、 年次手当てなどは支払いうのが難しい」とし 「中継機関は政府がその気になれば、勤労基準法違反で中継機関をなくせるという恐怖に捕われ、 政府の指針に順応するようになる。 こうなると利用者や活動補助人の不正受給をさらに厳しく監視するのは政府ではなく中継機関になってしまったりする」と吐露した。

キム所長は「来年にも点数が凍結されれば、 中継機関は障害者利用者の反発で活動補助人の労働時間を制限することは難しい。 したがって、労働時間は適当に減らし、手当てを削ったり、なくす方向に行く」とし 「政府はこうした状況をある程度黙認するだろう。 これは中継機関にとってさらに大きな鎖になる」と説明した。

キム・ジュヒョン所長は「手数料を除いたバウチャー単価全額を基本給とし、 年次手当を含む残りの手当は別途支払わなければならない」とし 「限られた予想では、対象、時間拡大の問題と、 単価引き上げの問題を解決できないので、予算確保が至急だ」と強調した。

社会公共研究所のチェガル・ヒョンスク研究委員は 「最も根本的な問題は、需要者中心主義に立脚したバウチャー制度だ。 現バウチャー体系ではサービスを提供する労働者の賃金、雇用形態、雇用条件を考慮できない」とし 「サービス提供労働者は、サービス提供単価だけを給与として受け取るようになる。 さらにこうした労働者を公的ネットワークで管理するより、 中継機関を設置して時間当り単価の一部は中継機関運営費用で充当する構造になる。」と説明した。

チェガル・ヒョンスク研究委員は 「社会的ケアサービスの公共性を強化するには、労働者をどう待遇するのかが重要」とし 「点数を上げても不用予算が多ければ使い道がない。 活動支援制度は管理が楽なバウチャー制度を固守するのではなく、 根本的なパラダイム変化が必要だ」と指摘した。

これに福祉部障害者サービス課のイム・イェスル事務官は、 活動支援制度改編方案として、 △中継機関収益金活用好循環(労働環境改善を通したサービスの質向上)誘導、 △常勤職活動補助人確保、 △受給者連携型多数活動補助人連係、 △活動補助点数段階的引き上げ、点数体系改善方案研究、 △サービス難易度による加算金支給、 △利用者教育強化などを推進していると明らかにした。

イム事務官は「福祉部の方案のうち、一番核心的なことは活動補助点数の段階的引き上げ」とし 「活動補助人が療養保護士と賃金差があるのに、 人件費と運営費単価を分析して予算の根拠をしっかりさせたい。 また他のケア事業と公平性を考慮して、点数引き上げのために努力する」と伝えた。

#活動補助人「活動補助労働を過度に監視」、福祉部「不正受給を防ぐ方策」

なおこの日の討論会での質疑応答時間には、 福祉部が活動補助人を過度に管理、監視しているという批判が提起された。

活動補助人は、福祉部が中継機関に活動補助人労働時間を制限する文書を何度も発送し、 労働時間超過時に利用者と活動補助人の理由書を提出させるようにしたとし、 イム・イェスル事務官に釈明を要求した。

これに対してイム事務官は 「福祉部は労働時間を制限しろという文書を出していない。 ただしこの文書が労働時間制限を呼びかねないという点は知っていた」とし 「だが中継機関が勤労基準法を守らないという苦情が多かった。 雇用労働部に問い合わせた結果、勤労基準法を守るように案内するべきだという回答があり、そうした」と答えた。

議政府で活動補助をするK組合員は 「活動補助労働の問題は良くなるべきなのに、常にさらに監視を受ける感じだ」とし 「今は日誌(活動補助サービス遡及決済提供記録紙)に何をしたのかをすべて書かせるが、 なぜこれほど監視ばかりに熱を上げるのかわからない」と吐露した。

これについてイム事務官は 「本来、遡及決済は認められなければならない。 だが遡及決済で異常な決済の割合が高いのも事実」とし 「予算は限られているので、不正受給が発生すれば正しい制度の発展が無理になる。 日誌を書くのは現場で不正受給が多く発生しているという意見があるため」と釈明した。

しかしチョン・ドッキュ組合員は 「自分が働いたことを記録して手当てを受けるのと、 潜在的に犯罪者扱いされて不正受給しなかったと証明するのはまた違う」とし 「また評価基準と見なされるほどのものを福祉部が度々提供するが、 中継機関は福祉部に頑張って働いていることを示すために、 指針にないことまで記録しろという」と批判した。

イム事務官は 「福祉部が中継機関を評価し、予算を払うのは事実でない」とし 「ただし現場で日誌を過度に詳しく作成させることは正す」と明らかにした。

付記
カル・ホンシク記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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