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「サムスンの主張は間違いだ」

[寄稿]半導体工場の発ガン物質公式確認に対し

ソン・ジンウ(韓国労働安全保健研究所) 2012.02.08 18:44

これまで政府とサムスンなどの半導体資本は、サムスン半導体白血病と言われ る半導体電子産業での集団職業病問題を徹底的に無視してきた。2007年、初の 被害者、故ファン・ユミ氏の白血病による死亡以後、現在までパノルリム(半導 体労働者の健康と人権守備)には白血病など希少病の死亡者約50人、被害者約 150人の情報提供が続いた。これまで政府と資本は労働災害を認めずに隠し、 歪曲してばかりいた。

特に勤労福祉公団は、いつも産業安全保健研究院の疫学調査の結果を根拠に、 半導体電子産業被害者のすべての労災申請を承認しなかった。その上、昨年の 6.23集団労災訴訟1審で「サムスン半導体で働いていた故ファン・ユミ、故イ・ スギョンの白血病死亡は労働災害であり、業務関連性を推定できる」という判 決があったが、結果に従わなず、控訴までした。

しかし結局、政府は2月6日、半導体事業場からの発ガン物質検出を認める結果 を発表した。この日、雇用労働部傘下の産業安全保健研究院は、サムスン半導 体を含む『半導体製造事業場三社の精密作業環境評価研究』結果を発表し、 発ガン物質の検出を公式確認した。

▲昨年11月13日開かれた全国労働者大会でパノルリム会員が労働者と市民にパノルリムが作った本「サムスンが捨てたもうひとつの家族」を宣伝している。〈パノルリム〉[出処:パノルリム]

産業安全保健研究院は、2009年から3年間進めた研究結果発表で「ベンゼン、ホ ルムアルデヒド、電離放射線、ヒ素などの1級発ガン物質が副産物として発生す る」という大変重要な事実を明らかにした。これは最新の自動化した作業環境 でも、ベンゼン、ホルムアルデヒド、電離放射線、ヒ素などの1級発ガン物質が 副産物として発生することを意味し、特別な意味がある。

これまでのサムスンの主張をひっくり返した発表

この発表は、これまでベンゼンなどは取り扱いも露出もないと繰り返してきた サムスンの主張をひっくり返すものだ。また昨年の1審判決以後、サムスンから 依頼を受けて疫学調査を実施したインバイロン社が、いかなるデータや根拠と なる資料も提出せず「発ガン物質はなく、工程は清潔だった」と主張した内容 に反論するものだ。その上、産業安全保健研究院は「空気中のベンゼン露出は ない」と2008年疫学調査結論により、勤労福祉公団の不承認の根拠とした自身 の誤りを自ら認めたものだ。

特に最新(2009年〜2011年)の自動化された作業環境でも発ガン物質が検出され たことの意味はさらに深刻だ。多くの職業病被害者が今よりはるかに劣悪で 老朽化した環境の手動作業環境(1990年代〜2000年代初中盤)で働いていたこと を考えると、彼らはさらに深刻な環境に追いやられていることを類推させる 項目だからだ。

サムスンはいつも最新式の自動化設備を云々して昔の作業環境で装備の老朽化 により発生する頻繁な不良と換気施設不備のため、ひどいにおいの中で働いた という多くの被害者の陳述を押さえ込んだ。その上、産業安全保健研究院の 疫学調査の結果などを根拠に最新式の作業環境では発ガン物質が検出されず、 これまでにもなかったと主張した。しかし今、そうした根拠が根から揺らぐ ことになった。

副産物として発ガン物質が発生するという結果は、もうひとつの重要な意味を 持つ。半導体電子産業以外の多くの化学物質を取り扱う製造業事業場でも同じ 発ガン物質に露出する可能性があることを示唆するためだ。これは製造業現場 労働者全体の健康に大きな危険を警告する重要な部分だ。

この点で雇用労働部は今からでもこの事態の深刻性を認知しなければならない。 発ガン物質には安全な露出基準はない。これが産業保健専門家の共通した意見 だ。「発ガン物質は発生しないか、人体に影響を及ぼす水準ではない」という 安易な態度が、これまで多くの半導体電子産業被害者の死をもたらした。遅く はあるが責任を痛感して今、政府が、そしてこの社会が積極的に事態解決に動 くべきだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-02-09 11:50:09 / Last modified on 2012-02-09 11:50:11 Copyright: Default

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